StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

香ばしい籾殻の香りと煙の中で「実は私、文系出身なんです」と笑う接合科学研究所の梅田純子助教。学生時代は社会福祉学を専攻したが、縁あって研究の道に進んだ。

「革新的なカーボンナノチューブ(CNT)のコーティング技術」が評価され、今年の総長奨励賞を受賞。CNT研究を進めるステップになったのは、籾殻からエネルギーと同時に高純度のシリカを抽出する研究。そのシリカの多孔質吸着性を利用しCNTとマグネシウムの複合材料を目指したのが今の研究につながる。現在は、チタンとCNTの混合素材から、凝着性の少ない強度ある新素材を研究している。

「どんな現象が起きているのか、イメージするのが難しい。わからないことは学生にも素直に聞く。私よりも周りの方の忍耐が試されます」

研究成果を社会に還元することを常に考える。鉄などにかわるチタン材料は、製品の軽量化や、強化にも期待される。「籾殻の研究も継続し、将来的には東南アジアの農村の生活向上につなげたい」と、社会福祉の視点も忘れない。

[総長奨励賞]

若手教員のうち 教育又は研究の業績があると認められ 将来活躍することが期待される者を顕彰し 奨励することを目的としている。

(本記事の内容は、2013年12月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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