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さまざまな工夫を凝らし、世界各地にいるメンバーとの関係性を紡ぐ。
―これまでa-tuneの活動をしてきて、「やっていて良かったな」と思ったのはどんなときですか?
「やっていて良かったな」と思うときは、本当にたくさんあるんですよ。でも自分にとって一番大きかったのは、a-tuneに参加しなければ出会えなかった人たちの存在です。例えば、a-tuneのメンバーになってくれたドイツ人の子たちとの交流があったので、約1年間の留学にも安心感を持ってチャレンジできたし、ドイツ領事館とのつながりがきっかけで、領事館主催のレセプションや式典に参加させていただくなど、貴重な経験もできました。
副代表としての活動を通して、万博に携わっている企業や学生団体の人たちとのつながりもたくさんできました。普通に大学生活を送っていると、大人の方たちや他大学の人と関わる機会はそんなにないと思うので、a-tuneを通して人間関係の幅が広がったなと感じています。
―人間関係が広がって、良い経験もたくさんできたんですね。一方で、活動をする中での苦労もたくさんあっただろうなと思います。
そうですね。個人的には、海外のメンバー集めや、海外メンバーとのいろいろな調整を担当することが多かったので、そこは大変でした。特に最初の頃は、学内で留学生向けにイベントを開催しても、活動紹介をしただけで終わってしまって、なかなかメンバーが増えなくて。あとは、留学中にメンバーになってくれたけど、母国に帰国してからは「a-tune」の活動から離れてしまうケースもありました。
―そういった状況をどのようにして乗り越えましたか?
海外にいるメンバーとは、顔を合わせて話す時間がなかなかないので、その課題を解決するために、先ほどお話したe-Symphony for Studentsという交流会を始めました。月に1回オンラインで集まって、最近の活動報告や今後の活動方針などの情報共有をしたり、海外メンバー同士の交流を深めるために一緒にポスター制作に取り組んだりしました。交流会の場だけでなく、個人的にもこまめに近況報告をするなど、関係が途切れてしまわないように気を配っていましたね。
―各地にいるメンバーと長期にわたって協働するためには、いろいろな工夫が必要でしょうね。
そうなんです。他にも、私が提案したものとしては、Discordの導入があります。それまでは、主にMessengerで海外メンバーのグループを作ってやり取りをしていたのですが、海外メンバーと国内メンバーの全員が見ることができる連絡ツールがなかったので、お互いをよく知らない状態なのは良くないなと思って。Discordでは事務連絡以外に、雑談のチャンネルも作ったので、そこで同じ趣味を持つメンバー同士が雑談で盛り上がってくれていて、提案して良かったなと思いました。
―海外で長く関わってくれているメンバーもいるんですか?
はい。特にフィリピンは一番長くて、設立当時から今までずっと一緒に活動しています。先日、フィリピンから日本へ旅行に来てくれたので、a-tuneのメンバーが集まって、みんなで万博に行ったり、ごはんを食べに行ったりして楽しかったですね。
困難やハプニングを乗り越え、ついに念願だった万博の舞台へ。
―a-tuneの設立から4年、ついに今年は万博での公演の日を迎えました。どんな気持ちで臨みましたか?
私自身、1年生のときに参加して、留学中も含めて、学生生活の中でずっとa-tuneに関わってきたので、これまでの集大成として一番良い演奏をしたいなと思って本番に臨みました。
―ずっと目標としていた舞台に上がってみて、いかがでしたか。
活動を始めた頃は集客に苦戦していましたが、今回はチケットの予約フォームを公開して数時間で満席になったんです。舞台上から満員の客席を見たときは、すごくうれしかったですね。照明やプロジェクションマッピングも、演奏ととてもマッチしていて、私が約1年留学して日本を離れていた間にも、a-tuneが団体としてパワーアップしたんだなと実感しました。日本で頑張ってくれていたメンバーに、改めて「ありがとう」という気持ちでいっぱいです。
―特に印象に残っているシーンはありますか?
最後にみんなで『We are the world』を合唱したとき、a-tuneのこれまでの活動や、留学先でメンバー集めや動画撮影をしたことなど、たくさんの思い出がよみがえってきて、とても感慨深かったです。
大阪・関西万博のステージで演奏する竹花さん
あと、実は当日、台風の影響でフィリピンのメンバーが自宅から出られない事態になって。急きょ、各メンバーの自宅から接続することになりました。でも、設立当初から一緒に活動しているメンバーたちだったので、接続にも慣れていて、臨機応変に対応してくれたので助かりました。
演奏中に万博会場で花火の打ち上げがあったことも、予想外のハプニングでした。花火が上がると知らなかったので、「何の音だろう」と動揺してしまい、演奏が少し乱れてしまったのが反省点です(笑)。
―そうだったんですね!客席からは、そうは見えなかったです。皆さんが動じないで演奏していてすごいなと思っていました。
動揺をうまく隠せていたなら良かったです(笑)。実は当日だけでなく、本番前から他にもハプニングが発生していて。もともと予定していた海外のメンバーが、本番1ヶ月前に参加できなくなってしまったんです。急きょ変更してハンガリーとつなぐことになり、ハンガリーのメンバーは初めてのオンライン参加でしたが、当日もうまくいって良かったです。
―見えないところにさまざまな苦労があったんですね。本番の後、お客さんからの反響はいかがでしたか?
これまで何年も一緒に万博に携わってきた企業や学生団体の人たちからは、「回を重ねるたびに徐々にパワーアップして、今回のステージが一番良かった」と言ってもらえて、とてもうれしかったです。ずっと応援してくれていたドイツ領事館の方や、長野県に住んでいる私の家族も会場に来てくれて、「すごく良かった」と喜んでくれました。これまでの集大成としてのステージを見届けてもらえて良かったです。
―万博での舞台を無事に終えたa-tuneですが、今後の活動予定は?
9月27日の「e-Symphony in EXPO 2025」、10月11日の「いのち宣言フェスティバル」という2つのステージを終え、万博での活動はひと区切りつきました。でも、これからも年1回はオンラインオーケストラを含めたイベントを続けていきたいと、チーム内で話しています。万博を終え、代表と副代表は次の代に交代したので、今後は彼らが活動の中心になります。今までの活動で蓄積された経験やノウハウ、そして世界各地のメンバーと築いてきた関係性が途切れてしまわないように、しっかりと次の世代に引き継いでいきたいですね。
e-Symphony in EXPO 2025の様子。照明や映像などの舞台演出も本格的
阪大での出会いと経験が、自分自身を成長させてくれた。
―ここからは改めて、竹花さんご自身のお話も聞かせてください。大学に入学するとき、ドイツ語を専攻に選んだのはどうしてですか?
子どもの頃から海外に興味があったので、大学では英語以外の言語を何か一つやってみたいなと思っていました。ヨーロッパに行ってみたいという気持ちもあったので、たくさんの人とコミュニケーションが取れるように、ヨーロッパで話者が多い言語がいいなと思って、ドイツ語を選びました。あとは、世界史の授業が好きで、ドイツの歴史に興味があったのも理由の一つです。
―ドイツ語を学べる大学の中でも、阪大を志望した理由は?
長野県出身なので、最初は関東の外国語大学も候補として考えていたんです。でも、単科大学よりも総合大学のほうが、いろんな人がいて面白そうだなという直感があって、阪大を志望しました。
―そこで阪大を選ばなかったら、a-tuneにも出会っていなかったわけですね。
本当にそうですね!直感に従って良かったです(笑)。
―竹花さんが「阪大生で良かったな」と思うのはどんなときですか?
やっぱりa-tuneの活動でも、それ以外の学生生活でも、いろんな人に出会えたのが一番良かったですね。文系理系さまざまな学生がいて、留学生も多いですし、私のように関西以外の地域から来ている人もたくさんいます。多様なバックグラウンドを持つ人たちがいるのが阪大の魅力だと思います。私自身、大学生になって、いろいろな出会いや経験を通して、性格も変わったなと思うんですよ。
―性格が変わったんですか?
高校の友達に会うと、「オープンになったね」ってよく言われます。「a-tune」の活動では人前で話す機会も多かったので、コミュニケーションがちょっとは上手くなったのかなと思っています。a-tuneで鍛えられたのかもしれません(笑)。
―もともと人前で話すのが得意だったのかなと思っていたので、意外でした!とてもアクティブな学生生活を過ごしている竹花さんですが、そのエネルギーの源は?
私は音楽が好きで、1年生の頃はジャズのサークルにも入っていたんですよ。今も、好きなアーティストのライブに行ったり、音楽を聴きながら散歩したりする時間が、エネルギー源や良い気分転換になっていますね。何かモヤモヤした気持ちになったときは、2時間くらい散歩する日もあります(笑)。
あと、ちょっと大げさかもしれないですけど、a-tuneに入っていなかったら今の自分はないと思っているので、a-tuneに何か恩返ししたいという気持ちも、モチベーションの一つになっています。
これまでの経験を生かし、いつかドイツと日本の架け橋となる仕事に携わりたい。
―竹花さんは来年度春に卒業予定とのことですが、将来はどんなことがしたいと考えていますか?
今まさに就活中で。どんな業界で働くのかはまだ決め切れていないのですが、「a-tune」で海外の人たちと協働してきたので、卒業後も多様なバックグラウンドを持つ人たちがいる環境で働きたいと思っています。そしていつかは、ドイツと日本の縁を深められるような仕事に携わってみたいです。ドイツと日本の人たちがお互いの国をもっと身近に感じられるように、貢献できればいいなと思っています。
a-tuneの活動を通して、自分とは異なるバックグラウンドを持つ人とコミュニケーションを取る力が培われたと思うので、グローバルな企業でその力を生かせたらいいですね。日本の企業に入ったとしても、社内には幅広い世代の人、さまざまな考え方の人がいると思います。その中で、これまで培ったコミュニケーションの力を生かしていけたらと考えています。
―a-tuneで培った、お互いを尊重しながら協働する力は、きっとどんな仕事にも役立ちますね。最後に、阪大生へのメッセージをお願いします。
これまでの大学生活を振り返ってみて、たくさんのチャレンジができたなと思います。a-tuneの活動やドイツ留学もそうですし、1年生の春休みには1ヶ月間のカナダ留学も経験しました。挑戦する前はいつもドキドキするし、ハードルが高いと感じるんですけど、思い切って飛び込んでみたら、多くの経験を得ることができました。だから、いろんなところに興味のアンテナを張って、やってみたいことがあればどんどんチャレンジしてほしいなと思います。
■竹花実彩さん
長野県長野市出身。大阪大学外国語学部外国語学科ドイツ語専攻4年生。2024年10月からドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク(FAU)に留学し、2025年8月に帰国した。大阪大学万博学生部会に所属する学生団体「a-tune(ええちゅーん)」に1年次から参加し、2年次からは副代表を務めていた。音楽を通じた国際交流イベントを企画・運営するa-tuneは、2021年4月に発足し、2025年9月27日には大阪・関西万博で「e-Symphony in EXPO 2025〜Music Unites the World〜」を開催した。
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本記事は、2025年12月公開のマイハンダイアプリ「まちかねっ!」より転載したものです。