チーム名はTRIDENTS(トライデンツ)。ギリシャ神話に出てくる「三つの刃」を意味し、大阪大学と大阪外国語大学統合後の豊中、吹田、箕面の3キャンパスを表している。全体練習は土日を含め週5日、主に豊中キャンパスのグラウンドで行っている。「準備のスポーツ」と呼ばれるほど戦略が重要な競技だけに、練習後のミーティングでは、毎回、女子部員らが撮影した練習の映像をもとに動きを分析し作戦を練る。
週3回の平日、グラウンド練習を終えた午後8時
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豊中キャンパスの図書館下食堂はアメリカンフットボール部の貸し切りとなる。「健康と身体作りのためには練習も大切ですが、食事も大事。部の父母会の補助もあり、部員たちは1食あたり500円でバランスのとれたおかずと大盛りごはんの夕食をとることができる」と主将の松本雄大さん(理学部4年)はいう。「学部や学年は関係なくポジションごとに固まって食事をします。練習中にはできないような会話もはずみ、チームの親睦にも役立っています」とも。食後はさらに11時ごろまでミーティングタイムだ。
松本さんは「高校時代まで部活でサッカーをしていました。他の多くの部員と同様、アメリカンフットボールを始めたのは阪大に入ってからです」。入学当初は「サークルでフットサルなどを楽しみながらアルバイトもして…」という生活を思い描いていたという。「新入生歓迎の部活紹介イベントでアメフト部をのぞいたら、すごく明るい雰囲気で。先輩たちの情熱に惹かれて『何かに一生懸命取り組むのは学生時代しかない』と思い直して、入部しました」
ヘルメットにショルダーパッド姿の男たちが、楕円のボールを持って走る、投げる、タックルする。試合での姿や動きは華やかだが、その陰には一つの動きを何度も繰り返す単調な練習の積み重ねがある。「阪大生はやはり皆マジメ。地味な練習もまじめにコツコツやりきれるのが、僕たちのチームのいいところ。これは誇りです」と松本さん。そうした律義さを、部のOBでもある川崎彰監督は「すごいことはできなくても、やらなければならないことをやりきる。それがミスをしないことにもつながり、接戦になれば勝つ確率が高い」とみる。
「マネージャーではなくあえて『女子スタッフ』と呼ばれる女子部員の力も大きい。グラウンドでも、けがの具合の確認、毎日の練習の撮影と分析、ホームページの更新など多くの仕事を精力的にこなす頼もしい存在です」と話す。
部員たちは年数回、豊中市の小学校に出向いて「フラッグフットボール」を指導するなど、地域との交流にも取り組んでいる。
一試合で約30人が出場できるため、大所帯でも試合に出られる機会は多い。初心者でも努力を重ねれば、必ずチャンスはあるという。日々の練習や試合で、一人一人が「ワンプレイ」「この作戦」を思い描き、組織の中で自分はどう動くべきかを身につけ成長していく。
■ アメリカンフットボール部「TRIDENTS(トライデンツ)」
1967年、大阪大アメリカンフットボール部「ハーキュリーズ」として創部。2008年、大阪外国語大「ギャンブラーズ」と統合し、現チーム名に。阪大と外大チームが見事に融合しチーム力を高め、和気あいあいとした雰囲気も特徴だ。理念は“意気地を持て”。関西学生アメリカンフットボール連盟2部に所属。
(本記事の内容は、2014年9月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)