StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

※前編はページ下部のリンクからどうぞ※

会社初!インドネシアでの大規模なイベントの企画を担当。

― アジア地域に向けたポケモンのプロモーションを手がける中で、特に思い入れのあるプロジェクトがあれば教えていただけますか?

ちょうど最近、大きいプロジェクトが一段落したところなんです。「Pikachu's Indonesia Journey」と言って、2020年よりスタートした「そらとぶピカチュウプロジェクト」の思いのもと、インドネシアにおいて、旅の楽しみとピカチュウたちとの素敵な思い出をお届けすることをテーマとしたプロジェクトに関わっていました。このプロジェクトではガルーダ・インドネシア航空の「ピカチュウジェット」の就航や、バリ島を皮切りに複数都市で開催した大型イベントの開催など、現地の経済観光省と連携したプロジェクトです。




― すごくインパクトの強いお仕事ですね…!

今回のプロジェクトは私の所属するアジア事業本部にとって、これまでにない規模の挑戦となり、特に9月で実施したイベントは過去最大の規模での開催となりました。インドネシアの方に、よりポケモンを身近に感じてもらいたく、インドネシアの伝統衣装である「バティック」をピカチュウに着せたりして。現地のバティックデザイナーの方にデザインをお願いして、その制作過程を記録したドキュメンタリー映像をお客さんにも見ていただきました。


― お客さんの反応はいかがでしたか?

想像以上の反響がありました。バティックを着たピカチュウを見て「バティックだ!」ってすごく喜んでくれて。ポケモンを通してインドネシアの皆さんと心を通わせたいという私たちの想いが伝わったのかなと思います。

― こうした企画がかたちになるまでに、どんな道のりがあったのでしょうか。

そもそもこのプロジェクトに携わる前に、インドネシアの営業担当をしていた時期があったんです。その頃から、現地の文化をリサーチしたり、現地のパートナーと関係性を作ったりと、度々インドネシアを訪れていました。経済観光省の方と初めて出会ったのもその頃でした。その上で、このプロジェクトに関わるにあたり、再度インドネシアに足を運んでバティックの工房を見学させてもらったり、バティックついて勉強したりと、インドネシアへの理解を深めて。私自身、それまでインドネシアについてあまり詳しくなかったんですけど、文化の源流にふれた気がしてすごく嬉しかったです。



わたしは、企画のスペシャリストじゃない。企画をかたちにする「持続力」こそ重要。

― お話を聞いていると、海外で多くの人を笑顔にする仕事をしていて華やかなイメージが浮かぶのですが、その背景にはきっと苦労もあったのだろうと想像できます。

はい。国内でのプロジェクトにも共通することなんですが、準備期間は辛いな、しんどいなって思うことがたくさんあります(笑)。なかなか思うようにいかないし、特に海外だと日本では当たり前のことが通用しなかったりする。でも、サービスがローンチされたり、お客さんが商品を手にとってくれたり、イベントで喜んでくれたりしている姿を見ると、本当に心があたたかくなって。それまでの疲れが、全部吹き飛んじゃうくらい。そうすると、またきっと大変なことも多いだろうけど、がんばろうって思えるんです。

― 企画の仕事って、次々にアイデアが浮かぶ人がやるようなクリエイティブ職というイメージがあるのですが、津田さんはどうですか?

全くそんなことはなくて。自分のことを企画のスペシャリストだと思ったことはありません。もちろん、自分なりに試行錯誤してアイデアを出したりはしているんですけど。アイデアを出すと言っても、私の場合はとてもシンプルなんです。きっと誰もが思いつくアイデアが多いと思いますし。

これは私の考えなんですが、良い取り組みを実現する上で斬新なアイデアを出すこと以上に、そのアイデアをかたちに落とし込んで世の中に提供するまで、関係者と様々な調整を重ね、諦めずにやり切れるかという「根気」こそがとても大事だと思っています。バティックの柄ひとつとっても、ポケモンの監修ルールに沿ったデザインにしなければいけないし、関係者の合意をとる必要もあるし、世に出すまでにいくつものハードルがあるんです。それらを一つひとつ乗り越えて、諦めずに着地させられるかどうか。

― 「持続力」とも言えますね。

そのとおりなんです。だから一見、華やかな仕事なんですけど、面白いことばかりではないですね。それでも、この仕事を10年続けてこられたのはやっぱり楽しく、そして新しい発見があるからです。仕事を通して、インドネシアの文化にふれることも、数年おきに部署異動して新しい仕事内容に取り掛かれることも。新しい世界にふれるたびに勉強して、インプットして、それによって自分が見えている世界もひろがるし、仕事にも還元されていく。好奇心旺盛な私にとって、この会社や仕事内容がとても合っているなと思います。

― 津田さんにとって、ポケモンとはどんな存在ですか?

自分の世界を広げてくれる存在だなって思います。お仕事をご一緒しているおもしろいクリエイターの人たちとの出会いも、ポケモンがあったからこそですし。ポケモンのおかげで、いろんな企画を考えさせてもらえて、そうやってつくりあげたイベントやプロジェクトが、いろんな人の幸せに繋がっています。でもそれって、自分のアイデアやクリエイティビティがすごいというわけではなく、その原点にはポケモンがいて、私はそこに少しアイデアを加えたり、工夫をしたりしているだけ。国内外で、多くの人の幸せに少しでも貢献できているのは、ポケモンという存在のおかげだなと思います。


受験勉強は、質の高いインプットの訓練!

今思うと、勉強することには慣れているなと思うんです。きっとその素地が養われたのは、大学進学にむけて受験勉強をしていた時期で。公式とか単語とか、覚えないといけないことが山ほどある中で、それらをいかに短期間で効率的に吸収できるか。受験勉強を通じて、勉強した中身以上に、自分なりの勉強法を培うことができたと思います。

― 受験勉強が、今の津田さんにとって役立っている場面はありますか?

ありますよ。例えば、3日後に企画書を提出しなければいけない時に、いかに効率よく知識や情報をインプットしてアウトプットできるか。そのインプットも、私にとっては勉強です。その勉強の質を高めることで、アウトプットの質も高まっていきます。その素地が、受験期や大学時代に養われたと思っています。

― 受験勉強って試験のためだけでなく、未来の自分を底上げする土台になるんですね。

自分なりに、中学も高校も大学も、勉強をがんばったんです。それは、すごく今に生きている。「受験や勉強、意味ないなんてことはないよ!」って、阪大生の皆さんに伝えたいですね。


阪大に進学したのも独学なんですよ。塾とか行ってなくて。

― え!?じゃあどうやって勉強していたんですか?

どうやって勉強を進めていくかを考えた時に、とりあえずその分野の本を3冊読むことからはじめました。1冊を深く理解しようとするのではなく、3冊読んでいろんな角度から理解を深める。さらに掘り下げたいと思ったら、より詳しく書かれている本を手に取ってみる。受験勉強の時も、センター試験に向けてまずは関連する本を複数冊バーっと読んで、それから問題集を解いて、みたいな。

― まずは本を複数冊、流し読むんですね。それから理解を深めていくと。

はい。今の仕事でも、その勉強の流れを意識しています。なんか勉強の話ばっかりになっちゃいましたけど。ここで伝えたかったのは、私は突出した能力とか、クリエイターの才能があるわけじゃない。平々凡々な学生だったし、大学時代のエピソードを深掘りされてもキラキラした話はありません(笑)。ただ振り返ってみると、勉強をがんばったり、部活に打ち込んだり、地道に努力を積み重ねることが「持続力」として培われたのかなって。その努力の中にも楽しさを見出すことが、「持続力」につながったのかなと思います。

興味をひらく扉は、大学の内外にある。在学中の経験が、未来のあなたをつくる!

― 最後に、阪大生の皆さんへメッセージをお願いします。

もっと、いろんな経験をしておけば良かったなと思うんです。大学生は、時間もチャレンジの機会もあるし、やってみようと思えばいくらでも突き詰められる環境だったなって。阪大にも留学生がたくさんいたんだから、もっと交流すれば良かったのにって、今になって思います。私自身、留学に行ったりインターンシップをやってみたりと行動力がなかったわけではないけれど、ふだんの大学生活の中にも、もっと面白いことがたくさんあったはず。でも決まったコミュニティの中にずっといて、あまり飛び込んで行けなかったんですよね。大学生の間は、勉強やチャレンジに専念すればいいのだから、ぜひ、いろんな経験を積んでほしいです。


私だって、突出した能力があるわけではないけれど、いろんな経験をして、地道に続けることで、「グローバルに活躍する」という目標に手が届いたんですよね。もし、自分には何も無いと思っている阪大生がいるとしたら。「この先の積み重ね次第で、目指せばきっと手が届くよ」ということを伝えたいです。

■津田明子(つだあきこ)

大阪大学経済学部経済学科を卒業後、2015 年に株式会社ポケモンに入社。現在はアジア事業本部 アジアプロモーション部でアジア8地域に向けた SNS 展開や各種プロモーションを手がけている。これまでに、東京都の遊園地・よみうりランド内でのアドベンチャー「Pokémon WONDER」、子どもとポケモンとの出会いの機会を創出することを目的とした「My First Pokémon プロジェクト」内では、YouTubeチャンネル:Pokémon Kids TVの立ち上げ、地方自治体とともに、道県の特色に合わせて選定された「推しポケモン」が各地とポケモンの魅力を発信する「ポケモンローカルActs」などを手がけてきた。

▶ 前編は こちら

©Pokémon. ©Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. TM, ®, and character names are trademarks of Nintendo.

本記事は、2025年2月公開のマイハンダイアプリ「まちかねっ!」より転載したものです。

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