文書館設置準備室が動き出しました
■ 文書館設置準備室の体制
本年7 月1 日付けで文書館設置準備室(以下、「準備室」といいます。)が設置され、経済学研究科の阿部武司教授が室長に就任しました。その後10 月1 日付で専任教員として菅 真城講師が着任し、いよいよ準備室が本格的活動を開始しました。準備室には、室長、講師のほか、事務補佐員2 名がまもなく着任する予定です。準備室に関する事務については、事務局各課及び各部局事務部の協力と総務部企画推進課のお世話になることとなっています。 準備室では、大阪大学の歴史に関する文書の収集・整理・保存及び調査など、文書館設置に必要な業務を行います。
■ 文書館設置は大学としての国際標準
文書館(archives)といっても、本学ではご存知の方は少ないのではないでしょうか? しかし、それは欧米ではすでに市民的な認知を得ています。 このことは、「スターウォーズ」や「華氏911」といった映画にarchives が登場することからもうかがえます。大学においても、図書館、博物館とならんで、archives が設置されていることが一般的です。
残念なことに、日本においてarchives は、市民に近い存在とは言えないのが現状です。文書館的施設を有する大学は、まだ少数です。しかしながら、この数年で日本の国立大学の中に文書館的施設の 設置が進みました。7 大学(旧帝国大学)をみると、文書館的施設がないのは本学のみです。7 大学以外でも、広島大学にはすでに文書館が設置されており、私立大学では、早稲田大学などに文書館的施設があります。文書館を設置することによって、本学 は国際的にも国内的にも、ようやく大学としての標準に到達したということが出来るでしょう。
■ 文書館ってどんなところ?何をするの?
大阪大学文書館は、大阪大学という機関の営みを示す資料を適切に収集・整理・保管し、それを学内や一般社会の人々に公開し、大学内外の教育研究及び大学の管理運営に寄与するところです。
大阪大学という機関の営みを最もよく示す資料は、法人文書です。法人文書にはそれぞれ保存年限が定められており、保存年限が満了した文書のうち大阪大学 の機関としての営みや歴史を示す上で必要な文書を選び出し( これを「評価選別」といいます。)、その後も保存・公開していくことが文書館の最も重要な業務です。評価選別の結果、大多数の文書は廃棄されます。文書館 は何でもとっておくところではなく、積極的に文書を廃棄していく機関でもあるのです。
古い文書がすべて歴史的資料として保存されるわけではありません。現在本学が作成・収受している法人文書は、将来において貴重な歴史的資料となるので す。新しい文書であっても歴史的資料となるものがあります。また、組織の改編などを行う際には、過去の類似した事例を参照することによって、その政策立案 コストを安く抑えることが出来ます。国立大学も法人化に伴い経営感覚が必要とされていますが、こんな時にも文書館は役に立つのです。
法人文書以外にも、個人が所有している資料の中にも貴重な歴史的資料があります。広報誌などの学内刊行物や、時間割、シラバス、講義ノート、書類、メモ、ビラ、手紙、写真なども歴史的資料です。また、学生生活に関する資料も貴重な歴史的資料です。
■ 準備室からのお願い
準備室では今後、事務局及び各部局や研究室等で保存されている資料について、調査・収集活動を行います。各部局等のご協力をお願いします。また、個人で所有されている資料についても収集していきます。資料収集にご協力いただける方は、下記までご連絡下さい。
【連絡先】
〒560 -8513 豊中市待兼山1 - 3
サイバーメディアセンター豊中教育実習棟3 階
大阪大学文書館設置準備室
菅 真城(かん まさき)
電話:06-6850-6269 FAX:06-6850-6274
E-mail:kan@hpc.cmc.osaka-u.ac.jp(スパムメール対策のため@は全角になっています)
『阪大NOW』No.92(2006年10月、42頁)より