文書館(仮称)設置についての検討

 平成17 年1 月に総合計画室の下に設置された文書館(仮称)設置検討ワーキングでは、これまでの検討結果を第2 次答申としてとりまとめ、3 月の教育研究評議会で報告されました。(答申の内容は次頁のとおり)
この答申を踏まえ今後の計画としては、平成18 年度中に文書館設置準備室を設置して、第2 期の中期計画が始まる平成22 年度に文書館開設を目指すこととしています。
 
 平成18 年2 月10 日
 大阪大学文書館(仮称)設置第二次答申

 大阪大学総合計画室長
 鈴木直理事・副学長殿

 大阪大学文書館(仮称)設置ワーキング主査 阿部武司

 昨年1 月以来、大阪大学に文書館的機能を持つ組織(以下、便宜的に文書館と呼びます)の設置の可否をめぐって討議を重ねてまいりましたが、同年8 月の第5 回ワーキングで設置可という結論が得られ、9 月にそれに関わる第一次答申を総合計画室に提出し、基本方針はご承認いただきました。さらに本日開催されました第9 回ワーキングで第二次答申案が了承されましたので、第二次答申を総合計画室に提出させていただきます。よろしくご審議お願いいたします。

1.設置目的
 文書館の設置目的は(1)現用期限が過ぎた法人文書(大学本部および各部局の簿冊をはじめとする文書)中、アーカイブとして保存すべきものを選別し・整 理・公開すること、および(2)大阪大学に関するそのほかの歴史的資料を収集・整理し公開することの2 点を柱とする。それらに関連して文書館は、上記資料に基づく各種調査とその成果の刊行などの研究活動、大阪大学の歴史などに関する学生への教育活動、さら には展示や市民講座の開催などの社会貢献事業も行う。
 上記目的の(1)は情報公開法(1999 年制定。2001 年4 月施行)と深く関わり、(2)は過去に実施され、今後再開が予想される大学史編纂の際の収集資料の保存と関連している。上記2 つの目的が対象とする資料は、オーバーラップする面はあるものの、少なくとも技術的にみてそれぞれ別個の専門的な取扱いが要求される。
今後、大阪大学の行政文書の保管や公開を確実に行い、近い将来編纂委員会*等の(文書館とは異なる)組織を設けて実施しなければならない100 年史編纂事業を円滑に進めるためにも、可能な限り早期に文書館を実現すべきである。

*阪大の創立100 年は平成43(2031)年であるから、その10 年少し前の平成32(2020)年頃には100 年史編纂委員会および同編纂室が設置される必要がある。

2.組  織
 平成18 年度中に文書館設置準備室(以下、準備室と呼ぶ)を設置し、中期計画が終了する平成21 年度までに文書館の設置を準備する。文書館自体は新中期計画の実施と同時に平成22 年度に開設することを目指す。
 準備室は法人文書、歴史的資料の両方の整理・収集を進め、文書館設置に備え関連法規の整備を行う。
 文書館は本部の直接管理下に置かれるべきであるので、その設置準備の段階から本部兼任の事務職員1 名が準備室のメンバーになる必要がある。

3.施  設
 準備室は総合学術博物館内に置かれるが、将来の文書館の設置場所は、まず豊中地区とする。将来、各部局の文書が毎年度、文書館に流入してくる体制が固まった暁には、法人文書の保管場所を本部の近隣に別個設置する。

4.人  員
 準備室には兼任教員(教授)1 名を準備室長として置き、その者が統括責任を負う。
 同室の専任教員として専任講師1 名を置く。任期は平成18 年度から平成21 年度までとする。多くの国立大学文書館では通常助手が専任教員であるが、大学史編纂室などの伝統の上に設置されたそれらの大学文書館と異なって、基礎が まったくない所に設置される本学文書館を短期間に発展させるためには、すぐれたarchivist の確保が肝要であり、また、できるだけ早期に「大阪大学の歴史」などの全学共通教育科目の講義を担当してもらう必要もあるため、講師ポストの確保が必要で ある。専任教員は資料の収集・整理・保存・公開に深い関心と学識を持ち、かつ実務経験を持ついわゆるarchivist である。専攻分野としては日本近代史、とくに大学史、教育史、法制史など、文書館での実務自体が研究・教育に直接反映される分野が望まれる。なお同ポスト は全学的見地からみて重要であるので、本部留保教員ポストの活用が期待される。
 専任教員の下には法人文書、歴史的資料のそれぞれを分担して収集・整理してもらうために事務補佐員2 名を置く。
 そのほか本部兼任の事務職員1 名を置くことは、すでに述べたとおりである。

[組織表]
文書館設置準備室 統括 準備室長(兼任教授)
         講師1(専任)
         法人文書担当   事務補佐員1
         歴史的資料担当  事務補佐員1
         事務(本部直属) 事務職員(兼任)
以 上

『阪大NOW』No.89(2006年4月、11~12頁)より

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