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第7期科学技術・イノベーション基本計画の共創に向けた全国キャラバン 「近畿地域における産学共創エコシステムの形成」を開催しました
2025年11月13日(木)、大阪大学中之島センターにて、大阪大学と内閣府との共催による第7期科学技術・イノベーション基本計画の共創に向けた全国キャラバンを開催しました。
本イベントは、日本の科学技術とイノベーション政策の方向性を示す重要な指針となる「科学技術・イノベーション基本計画」を策定するにあたり、大学、企業、自治体、市民などの多様なステークホルダーと意見交換を行う場として、内閣府が全国各地で開催しているものです。
今回は2026年度から2031年度までの5年間となる第7期計画の検討の一環として、「近畿地域における産学共創エコシステムの形成」と題し、全国でもトップクラスの産学連携実績を持つ大阪大学を中心に、講演とパネルディスカッションを行いました。
当日はアカデミアや産業界、官公庁など多岐にわたる分野から、現地約120名、オンライン約110名と、当初予定していた定員を大幅に超えて多数の方にご参加いただきました。
満員となった会場
式の冒頭では開会挨拶として、熊ノ郷淳総長から、今回の開催にあたり協力をいただいた内閣府や登壇者の皆様への謝辞が述べられるとともに、大阪大学がこれまで「実学の阪大」として世界に誇る研究成果を生み出してきたことや、産学共創を通じて社会課題の解決に貢献してきたこと、本日の議論が我が国の科学技術・イノベーション政策のさらなる発展と、大阪大学がこれを促進する新たな連携の礎となることへの期待を述べました。
熊ノ郷淳総長
続いて行われた第1部基調講演では、恒藤晃審議官(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局)から、「第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況について」と題して、第7期基本計画の論点が示されるとともに、その背景となる科学技術・イノベーションを巡る潮流、日本の現状や課題についてご講演いただきました。
恒藤晃審議官
第2部基調講演には藤尾慈理事・副学長が登壇し、「大阪大学における産学官連携とエコシステムの構築」として、大阪大学が関西の財界、市民の働きかけにより誕生したという出自や、その誕生以来、産業発展に大きく寄与する優秀な人材を輩出してきたという歴史から、大阪大学と産業界との結びつきの強さを述べるとともに、大阪大学が全国に先駆けて実施した共同研究講座、協働研究所制度や組織対組織の大型包括連携の実績、坂口志文特別栄誉教授の2025年ノーベル生理学・医学賞受賞などを通じて、国内トップクラスの産学連携の実績と、国際的な評価を得られていることについて紹介しました。
今後はこれら強みをさらに伸長させ、まちと一体となった共創エコシステムである「大阪・関西サイエンスヒルズ」の実現に向けて、自治体等の関係機関と強力に連携推進を図りながらまちづくりに取組み、スタートアップの集積や新たな産業創出とともに、人の幸せの本質を理解し、その開花を導く、ゆめを持った人材の輩出を進めるという構想を述べました。
藤尾慈理事・副学長
パネルディスカッションでは、安井治代特任准教授(共創機構 産学官連携オフィス)をモデレーターに、基調講演をいただいた恒藤晃審議官に加えて、北岡康夫教授(共創機構 機構長補佐)、井上隆弘教授(共創機構 機構長補佐)、松﨑典弥教授(工学研究科)、井上豪教授(薬学研究科)、桐原慎也氏(株式会社シグマクシス 常務執行役員)、桜井克明氏(株式会社アース製薬 執行役員)が登壇されました。
モデレーターを務めた安井治代特任准教授
ディスカッションの冒頭には研究成果の社会実装に向けた取組の好事例として、井上豪教授から酸化制御共創コンソーシアム、松﨑典弥教授から培養肉未来創造コンソーシアムの活動や設立経緯について紹介がありました。
井上豪教授
松﨑典弥教授
続いて行われたパネルディスカッションでは、両コンソーシアムの事例を踏まえ、参加者との質疑応答も交えながら、熱心な意見交換が行われました。エコシステム形成に向けた成功要因や課題、どのような支援が必要かという論点では、研究シーズの可能性に対して社会が共感できる、ワクワクできる内容であり、社会課題解決に期待できることの重要性、さらには自由な好奇心に基づく研究と国の重点領域に基づく最先端研究の両立の必要性、支援においては知的財産に関するサポートやプロジェクトマネージャー、研究機器の専門家の重要性についてディスカッションが行われました。
また社会実装をどのように加速させていくかという論点については、加速を後押しする国の制度への要望や日本流の新しい産学官連携への期待が語られました。
パネルディスカッションの様子
桐原慎也氏
桜井克明氏
北岡康夫教授
井上隆弘教授
閉会挨拶では恒藤晃審議官から、科学技術・イノベーションの発展に対する大阪大学への期待が述べられました。
シンポジウム終了後にはネットワーキングの時間が設けられ、登壇者と参加者がシンポジウムでの議論について引き続き意見交換を行うなど、盛会のうちに幕を閉じました。
ネットワーキングの様子