News
被災地から始まる復興支援と教育活動 大阪大学福島拠点を福島県大熊町に開設
2024.8.21 Wed
  • ALL

被災地から始まる復興支援と教育活動 大阪大学福島拠点を福島県大熊町に開設

2024年8月6日、福島県双葉郡大熊町に大阪大学の新たな活動拠点となる「大阪大学福島拠点」を開設しました。

大阪大学では、2011年3月に発生した東日本大震災直後の支援活動を契機として、福島の地において、調査や研修を行ってきました。

2016年に始まった福島環境放射線研修は、本学が主催する学生向けの教育プログラムで、福島第一原子力発電所事故後の福島県における環境放射線の状況を、自然科学面と社会科学面の両面から学ぶことを目的としています。
学年や専攻を問わず、留学生や他大学からも参加することができ、飯舘村、大熊町、双葉町と連携して実施しています。現地での研修は、放射線測定や被災状況の視察、地元住民との意見交換などを通じて、放射線に関する正しい知識と、そこから派生する社会問題についての理解を深めるものであり、開始当初は10名程度だった参加学生数は、現在では200名を超えるまでに発展しています。

このたび、大熊町から「大熊町連携大学等研究・支援センター」を設置するにあたり、本学へ貸与いただけると申し出があり、「大阪大学福島拠点」として新たな常設の拠点を整備するに至りました。

8月6日に大熊町とともに実施した開所式には、中野貴志核物理研究センター長が出席し、西尾章治郎総長のメッセージを代読したほか、大阪大学が本拠点の活動を通じて、東日本大震災という未曽有の災害からの復興に様々な面で貢献していくことを表明しました。

なお、これに先立ち、7月23日には吉田淳町長、佐藤由弘教育長をはじめ大熊町の方々が本学を訪問され、西尾総長、田中敏宏理事、核物理研究センターの中野センター長及び青井考教授、放射線科学基盤機構の岡田美智雄教授と対話する機会があり、復興に向けた様々な課題の解決にかかる研究や人材育成にかかる活動について、意見を交換しました。特に教育については熱心に議論が交わされ、大熊町が新たに開設した「学び舎ゆめの森」において、一人ひとりの多様性に応じた個別最適な学びを展開しようとしている特徴的な取組に対して、本学でも核物理研究センターで取り組んでいる小中高生を対象に未来の研究者を育成する「めばえ適塾※」の活動を、「学び舎ゆめの森」と連携して展開することなど、将来の連携に向けたビジョンを描くことができました。



本拠点の活用について、まずは、2016年から実施してきた福島環境放射線研修を、本拠点で実施することから始めます。これまでは常設の拠点がなかったため、年に2回程度の実施に留まっていた当研修については、今後、この常設拠点を活用し、研修の規模と頻度の拡大を図っていく予定です。

また、「めばえ適塾」は、福島県の地元自治体からも高い関心を集めており、来る8月23日には福島県の小中高生を対象に、福島拠点ではじめての科学教室を開催するなど、現地でのさまざまな活動の展開を構想しています。

今後、この拠点を活用し、本学の教育・研究活動をさらに活性化させるとともに、他大学・機関との連携による新たな取組を進めていきます。これらの活動を通じて、東日本大震災という未曽有の災害からの復興に、本学は様々な面で貢献していく所存です。

■めばえ適塾とは
科学への強い興味関心を持つ小中高生を対象に、実習などを通し数理系のセンスを身につけることで未来の研究者を育成することを目的とした教育プログラム

大阪大学核物理研究センターHPは こちら

share !