島津製作所と包括連携協定を締結しました

大阪大学と島津製作所は、2023年3月20日に、産学共創を通して科学・技術力向上や人材育成、社会貢献に資することを目的に、研究開発・人材育成等の相互協力が可能な分野において、具体的な協力を推進するため、包括的な連携に関する協定を締結しました。このたびの協定締結により、本学独自の「Industry on Campus」のコンセプトのもと、産学共創による研究活動を一層推進するとともに、新たな高度人材育成を進めてまいります。

2023年4月21日（金）には、リニューアルオープンした大阪大学中之島センターにおいて、本学・西尾章治郎総長と島津製作所・山本靖則代表取締役社長とによる共同記者会見を開催し、産学共創により安定した修学環境の中でともに博士人材を育成する取組について、説明を行いました。

西尾章治郎総長からは、「この人材育成の新たなステージは、人生100年時代を迎え、時代の変化がさらに加速する今、その変化を先取りし、未来社会の在り方を創造し社会変革を導く人材へと成長できる環境を、大学と経済界が協働して構築する取組みの先駆けとなるものであることを確信しております。」との強い期待が述べられました。

・これまでの経緯
本学は、キャンパス内に企業の研究者・研究組織が常駐する「共同研究講座」「協働研究所」制度を全国に先駆けて整備し、すでに20年が経とうとしています。この「Industry on Campus」のもとで新たな人材育成モデルとしての特別カリキュラム「Internship on Campus」を進めてまいりました。

本学と島津製作所は、2019年に「大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所」を開設し、研究成果の活用や高度化を推進してまいりました。2021年4月には、島津製作所の社員が大阪大学大学院薬学研究科博士課程に入学し、同研究所内に開設する「REACHラボ」をリカレント・リスキリング教育研究の拠点とし博士号取得を目指す「REACHラボプロジェクト」を開始しています。

・新たな高度人材育成の取組
このたびの協定締結により、協働研究所における産学共創による研究活動を一層推進するとともに、「REACHラボプロジェクト」を「REACHプロジェクト」へと発展させます。大阪大学の修士課程を修了し島津製作所に入社する学生に対して、修了後に期間を空けることなく社員となった後も引き続き大阪大学の博士課程で共同研究に従事し、博士号取得を目指す取組を開始します。この取組は、優秀な学生の博士課程への進学を後押しするとともに、学位取得後の就職先を確保しながら、博士課程在学中に企業から経済的な支援を得ることにより安定した修学環境で研究に取り組むことが可能となります。これにより、博士課程の進学率向上に寄与するだけでなく、島津製作所にとっても優秀な人材の獲得、研究の社会実装の加速などのメリットが期待されます。

今後、本学と島津製作所は、共同研究の対象分野も広げ、理工系にとどまらず人間のwell beingに欠かせない人文社会科学系や文理融合分野への展開を目指します。

※ Industry on Campus =本学キャンパス内の「共同研究講座」や「協働研究所」において企業が研究を行い、社会に成果を還元していく活動
※ Internship on Campus =本学の「共同研究講座」や「協働研究所」の協力のもと、学生が当該研究所等において行うインターンシップ活動
※ REACH =Recurrent & Re-skilling Academia and Industry Collaboration for Higher Education