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2023.4.17 Mon
  • 在学生

生成AI(Generative AI)の利用について

学生の皆さんへ

自然言語やプログラムコード、画像などさまざまなメディアを、ユーザーの質問に応じて生成できる生成AIの開発が急速に進んでいます。例えば、ChatGPTのような自然言語AIチャットボットは、インターネット上に存在する膨大な量のテキストデータを使い、与えられた文脈における単語やフレーズを予測して、求められた要望に対する文章等を生成します。このような生成AIに適切な問いや情報を与えることで、さまざまなタスクを、従来よりもはるかに洗練された方法で支援することが可能となり、効率的に作業を進めることができます。そのため、適切に使うことができれば、大変有用なツールになります。

しかしながら、このようなツールは、さまざまな問題点に留意しながら利用しなければなりません。まず、インターネット上の情報は、正しいものばかりではなく、生成AIで作られた文章には誤りが含まれることもあります。生成AIから得られた回答を、その真偽を正しく判断せずに自分の言葉として発信した場合、さまざまなリスクをはらむことがあります。このリスクについて、一人ひとりが認識してください。

生成AIへ投げかけた質問事項やその記載内容が、システムに蓄積・学習される可能性があり、情報の漏洩に繋がる恐れがあります。個人情報や機密情報を提供しないように注意してください。また、特に画像生成AIでは、他者が作成した画像や写真などを取り込むこと自体が著作権侵害となる可能性がありますので、注意してください。

生成AIツールで成果物を作成するだけでは、学びは深まりません。高等教育の意義は、さまざまな情報を活用し、自らの考えを創り上げ、さらには、自らと異なる意見や考えに耳を傾けて、人と人との対話を通して独創的な考え方やアイデアを生み出すところにあります。大学での学びは学習するプロセスや豊かな人間性を育むための人的交流も重要であることを認識してください。大阪大学は、皆さんがこれからの人生で遭遇する深刻な問題、さらには社会が抱える複雑な課題について、社会のステークホルダーとともに考え、解決に向かって尽力できる人材として活躍することを望んでいます。大阪大学での日々の生活における、ゼミナールや研究室などでの研究活動における緊張感や充実感、実験での成功体験や時には失敗する体験、授業でのプレゼンテーションを終えた後の達成感、といったすべての経験がその糧になると信じています。学びの一つ一つのプロセスを大切にしてください。

生成AIの倫理的・法的・社会的課題としての論点について、本学 社会技術共創研究(ELSI)センターが2023年4月にELSI NOTE No.26「生成AI(Generative AI)の倫理的・法的・社会的課題(ELSI)論点の概観:2023年3月版」としてまとめています。このような話題に興味がある学生のみなさん、ぜひ、ご参照ください。

2023年(令和5年)4月17日
大阪大学総長 西尾章治郎

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