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北川勝浩教授(量子情報・量子生命研究センター)の論文がPhysical Review Aの50周年マイルストーン論文に選ばれました

2020年11月10日(火)

アメリカ物理学会が発行するPhysical Review A(原子・分子・光物理学、量子情報分野)の50周年を記念して選定されたマイルストーン論文に、本学の北川勝浩教授(先導的学際研究機構 量子情報・量子生命研究センター長、基礎工学研究科)の論文「 Squeezed spin states 」が選ばれました。

Physical Review Aの50周年マイルストーン論文は、重要な発見を発表したり、新しい研究分野を切り開いたりすることで、原子・分子・光物理学や量子情報科学に重要な貢献をした論文であり、これらの論文の多くは、他の物理科学分野にも多大な影響を与えています。50年間で26本の論文が選ばれますが、北川教授の論文はこれまでに選ばれた22本のうち日本から選ばれた唯一の論文です。


タオルを絞るように球の上と下を反対方向に回す「一軸ひねり」という機構によって不確定性(黒い部分)が変形して、ある方向に狭くなってゆく様子

北川教授からのコメント

量子力学では位置と運動量のように同時には値が確定できず、値の曖昧さ(不確定性)の積が不確定性原理によって一定値より小さくできない物理量の組が存在します。光のコサイン成分とサイン成分の振幅もそのような組で、通常それらは等しい不確定性を持っています。これらのうち一方の不確定性を小さくすることをスクイージング、そのような状態をスクイーズド状態と呼びます。光のスクイーズド状態は、1976年にHorace P. Yuen によってTwo-photon coherent states of the radiation fieldとして理論的に予言され、マイルストーン論文に選ばれています。1985年頃に実験が成功し、今では重力波干渉計LIGOの感度を2倍に増強できるまで発展しました。

長い間、スクイージングは量子系の本質的な性質でしたが、その概念は主に光に限定されていました。1991年に、私たちはこの概念をスピン系の場合に一般化し、実験操作のレシピを提供し、スクイージングを原子系など多くの分野で利用できるようにし、計測への応用への道を拓きました。それが、今回マイルストーン論文に選ばれた Squeezed spin states です。当時は、査読者になかなか理解されず、出版まで2年半もかかりました。この論文が千件以上引用され、Top 1%論文であることは知っていましたが、50年間の数多くの論文の中からマイルストーン論文に選ばれたことは、この上もない喜びと名誉であり、研究の励みになります。

 

 

大阪大学先導的学際研究機構 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)
https://qiqb.otri.osaka-u.ac.jp/

大阪大学大学院基礎工学研究科
https://www.es.osaka-u.ac.jp/

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