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大阪大学所蔵の野中古墳出土品が重要文化財へ
2015.3.13 Fri
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大阪大学所蔵の野中古墳出土品が重要文化財へ

3月13日(金)、国の文化審議会が開催され、大阪大学 が所有する 野中古墳 出土品について重要文化財(美術工芸品)への指定が文部科学大臣に答申されました。本学における重要文化財の指定は、 適塾 (旧緒方洪庵住宅、1964年指定(建造物))についで2件目で、美術工芸品としては初めてとなります。

大阪府藤井寺市にある野中古墳は、大阪平野南東部の古市古墳群に含まれる5世紀前半の方墳(1辺37m)で、2010年に国の「世界遺産暫定リスト」に記載された百舌鳥・古市古墳群の「構成資産」の一つにもなっています。

野中古墳と大阪大学の関わり

野中古墳は1964年に大阪大学文学部によって発掘調査が実施され、わが国第2位の出土数となる鉄製甲冑11セット、153本の鉄刀をはじめとする鉄製武器、鉄製農工具、小型把手(とって)付壺等の陶質土器など、当時最先端の技術が用いられた器物が多量に出土しました。なかでも、襟付短甲(えりつきたんこう)と呼ばれる鉄製武具3点は、本例を含めて全国で9古墳15領しか出土していない特製の甲冑です。また、これと組み合う革製衝角付冑(かぶと)と金銅張三尾鉄(こんどうばりさんびてつ)も稀少品であり、後者は日本で唯一の出土例となります。
陶質(とうしつ)土器は、朝鮮半島東南部の洛東江(らくとうこう)流域でつくられた焼き物で、鉄資源の入手先であったこの地域との交流を示す貴重な資料です。

これら希少な甲冑を含む豊富な野中古墳の出土品は、わが国最大級の古墳群である古市古墳群の実像を探る大きな手掛かりとなるだけではなく、5世紀における王権の軍事組織や対外交流、金工技術を具体的に示す資料として、国際的にも非常に大きな学術的価値をもっています。

大阪大学文学研究科では、文化庁などの補助・助成を得て野中古墳から出土した甲冑類の保存処理を行うともに、2014年2月から3月に大阪大学総合学術博物館において企画展「野中古墳と「倭の五王」の時代」を開催するなど、出土品の調査研究、活用を進めてまいりました。


甲冑の出土状況

野中古墳の位置と古市古墳群

今後の取り組みについて

今回の答申をうけて、引き続き当該資料の適切な保存を図りつつ、調査研究と活用に積極的に取り組んで行きます。また、そうした取り組みが「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録推進への一助になればと願っています。

関連書籍

野中古墳と「倭の五王」の時代

関連リンク

文化庁HP

本件に関する問い合わせ先

大阪大学文学研究科考古学研究室
Tel/Fax : 06-6850-5106

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