StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

「学生たちにはよく制御の基本をこの方法で説明しますね」と、笑顔で身近にあったACアダプタを振り説明する。

理論研究の第一段階は、対象となるシステムを抽象化し、数理モデルとして表すことだ。そのモデルは抽象的であるため、幅広く応用できる。例えば、本田技研の4WS車の操縦安定性を向上させるシステムにも、教授の「2自由度サーボ系」の理論が生かされた。

理論研究を行う一方で、現場を見る重要性を力説。企業での経験を経て、その思いが深まったという。「できた理論が実社会で生かせるのかを問い直すことから、研究の第二段階が始まります。現場との差をしっかり意識して、理論を洗練させていかなければなりません」

現在は情報科学の理論を取り入れ、不測の事態があっても休止しないネットワーク化制御システムの構築に向けた「ディペンダブル制御理論」に取り組んでいる。大型の競争的研究費CRESTに採択され、それが今回の受賞理由となった。

研究活動の必需品は、ホワイトボードとペン。ホワイトボードを前に他の研究者とセッションしているうちに、考えがまとまることが多い。「研究留学で訪れたトリノ工科大学にある研究機関で、ディスカッションをひたすら続けるスタイルが新鮮でしたね」と笑顔の教授は、学生とも快活に議論しながら、いつでも次の一歩を踏み出そうとしている。

藤崎泰正(ふじさき やすまさ)

1964年生まれ。1988年神戸大学大学院工学研究科修士課程システム工学専攻修了。同年より㈱神戸製鋼所電子技術研究所研究員。神戸大学工学部助手、助教授などを経て、2010年より大阪大学大学院情報科学研究科教授。博士(工学)。

(本記事の内容は、2014年3月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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