弓道は「チームプレイ」
28メートル 先にある直径36センチの的に向けて弓を引き、矢を放つ。弓道は高度な技術と同時に強いメンタルも必要だ。孤独な戦いと思われがちだが、「試合に至るまでの過程は、周りの人との関わりが大切」と昨年度男子主将を務めた荒木伸太さん(工学部4年)。一緒に練習することで、仲間の長所短所を指摘しあって互いに向上していくチームプレイの要素もある。
弓道部は創部から半世紀以上の歴史をもつ。部員の減少で存続が危ぶまれた時期もあったが、最近は、勧誘の成果もあり、再び部員数が増えてきた。復調ムードの中、ついに大きな成果を残した。
「隙を見せない」。 昨年、荒木さんが掲げた目標だ。「日常生活や練習で気を引き締めることが運やツキを呼び込む」。技術向上だけでなく、部員同士の上下関係や礼節など「武道としての弓道」も極めることで勝ちに繋げようとした。迎えた七大戦は「いい経験を積めればいい」(荒木さん)と無欲で臨んだのが功を奏し、男女とも全勝で団体優勝。前年度7位(男子)、4位(女子)から大躍進を果たした。さらに、清水美里さん(医学部3年)と近藤景勝さん(工学部3年)は個人戦でも優勝した。
勝利の秘訣
今年度の男子主将、福山篤史さん(工学部3年)が掲げたスローガンは「勝負にこだわる」。関西学生リーグ戦で「あと1本」で敗れた悔しさを糧に、練習でも試合時のような緊張感に近づけようと「練習の最後に『勝負にこだわった1本を引く』機会を設けました」。また、平日夜の少人数練習を全体練習に変えた。清水さんは「自分の感覚に頼って射ることが多いので、いろいろな角度からのアドバイスは役立つし、他の部員に指導することで自分も気づくことがあります」と勝利の秘訣を語る。
今年度の目標は、「男子、女子ともリーグ昇格」(福山さん)、「個人でも優勝を」(清水さん)。今年の“的”はもう定まっている。
階段状にうまくなる
弓道の魅力について、「練習すれば曲線状にうまくなる他のスポーツと違い、弓道は何かの拍子で階段状に急激にうまくなる競技」と荒木さん。福山さんは「試行錯誤の末、うまく弓が引けるようになる、その瞬間が最高です」と語る 。
*(タイトル画像右上のロゴは、弓道部が代々使用しているロゴ)
弓道部
1963 年創部。現在、平日に1 日と土曜日の全体練習を中心に、豊中、吹田の2 キャンパスで活動している。関西 学生弓道リーグで男子は2 部所属、女子は3 部所属。2015 年の七大戦では、男女とも団体戦・個人戦で優勝。 女子は2 年連続でリーグ昇格を決めた。大阪大学体育会で七大戦において顕著に活躍した団体等に贈られる 「山村賞」を昨年度受賞。部員数は71人。
▲大阪大学ニューズレター72号見開きページより
(本記事の内容は、2016年6月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)