StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

練習の積み重ねが「まとまり」を生む

阪大オケの活動拠点は、豊中キャンパスの学生会館。夕方になると、団員たちが楽器を手に次々と集まり、練習に励む。目標は、毎年夏と冬に行われる定期演奏会。平日はパートごとの練習、土・日曜は合同練習を行っている。毎回、プロの指揮者を招いて開かれる定期演奏会の楽曲は3曲。曲によって演奏者やコンサートマスターが異なるのは、大人数の団員を抱える阪大オケならではの特徴だ。60人から70人ぐらいのオケを3組構成できる。

団長の一色創さん(人間科学部3年)は「阪大オケは現役学生で構成できるので、日々の練習の積み重ねがしっかりできるところが強みだと思います。オケの魅力は、『まとまり』。練習を積み重ねれば積み重ねるほど、演奏会で成功したときの喜びが大きいのが、いいところです」

定期演奏会にむけて

7月の第105回の定期演奏会では、指揮者にビッグネームである金聖響氏を迎えた。1年前から出演交渉にあたったのが、マネージャーの松本優樹さん(外国語学部3年)。「高校生のとき、金聖響さんが指揮された演奏会を聞いたことがきっかけで、ぜひお願いしたいと思いました。金さんは、大学生であっても決して妥協を許さない人。こちらも練習で手を抜かず、必死で練習しました」と力を込める。

「実は、団員の3、4割は初心者です。楽器を始めるのは大学に入ってからという人も受け入れています。同じ楽器の先輩が教えたり、外部のトレーナーにレッスンを受けたりして、演奏会に出演できるレベルまで成長します。定期演奏会ではオーディションではなく、できるだけ全員が1曲は演奏する。強制もしないし、放ったらかしにもしない。そのバランスのよさが阪大オケらしい」と言う。

今回の定期演奏会でメインコンサートミストレスを務めた田中野乃さん(理学部3年)も、「コンサートミストレスが曲ごとに違うのは珍しいと思います。楽器も、上手い人だけが演奏するのではなく、ちゃんと育てる風土があって、初心者でも演奏できる環境にあるのが阪大らしい」と話す。

阪大以外での活動も活発

大学の式典だけでなく、NPO法人大阪府北部コミュニティカレッジでの記念演奏会や、兵庫県養父市での出張演奏会など、外部へも活躍の機会を広げている阪大オケ。「団長の任期は来年2月までですが、新しい活動の場を作って、阪大オケのさらなる発展に寄与したいと思っていますし、阪大にももっと貢献したいです」と一色さん。

来年1月31日には、第106回定期演奏会が、西日本のクラシック音楽コンサートの殿堂と呼ばれるザ・シンフォニーホール(大阪市北区)で開催される予定だ。個性の違う団員たちが一つの目標に向かい、技を磨き合い、演奏会ごとに観客に聞いてもらうことで自信をつけていく。そんな貴重な時間を全員が過ごしている。

(本記事の内容は、 2015 9 月大阪大学 NewsLetter に掲載されたものです)

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