StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

課外研究奨励事業は、学部学生に自主的、独創的かつ意欲的な研究を奨励することを目的に平成12年度から行われていて、14回目になる。今回は26件の応募があり、このうち選ばれたグループごとに上限100万円の奨励金が総長から贈られる。

発表会では、グループ代表者らが7分の持ち時間でパワーポイントを使って進行。それぞれの質疑応答では活発な意見交換が行われ、大きな笑いに包まれる場面もあった。教員や博士課程教育リーディングプログラム履修生が審査員を務め、発表に対する講評が述べられる。法学部グループの「企業間紛争への解決アプローチ」については、「コミュニケーション力が試される大学対抗コンペティションという大会に立ち向かい、いい経験になったと思う」「教養を深めるなどさらに人間力を高めて、力を伸ばしてほしい」「後輩ら次世代につなげてもらいたい」と評価・要望が示された。理学部グループの「人力無尾翼飛行機」に対しては「無尾翼というのがユニークで、鳥人間コンテストでの活躍が期待できる」「他のまねをするのではなく、新しい分野に挑戦しているのが素晴らしい」などの意見が出された。

大阪大学が「創立100周年を迎える2031年に世界トップ10入り」を掲げるなかで、外国語学部のグループは「阪大が世界10指に入るには」をテーマに挙げ、香港の大学と比較研究した。「メンバー全員が1年生で、入学間もなく仲間を募って応募したという意気込みがいい」「トピックスを突いた切り口で、逆に教えられる思いがした」と評価を得た一方、「香港は公用語が英語。非英語圏の国との比較も必要」などと指摘も受けた。

最後に岩谷良則・学生生活委員会委員長は「面白かった。金賞を獲ったフォーミュラレーシングクラブは、全日本学生フォーミュラ大会で参加77チーム中2位という総合成績を収めており、文句なしの受賞。全体としては理工系、文系の応募が増えたことを喜ばしく思う一方、医歯薬系の応募増も期待したい。初めての発表会は大成功で、来年以降も継続したい」と講評した。

サイエン ス・ インカレ表彰報告や
教養教育優秀者 専門教育優秀者の表彰も

発表会の終盤には、文部科学省主催の第3回サイエンス・インカレで表彰された5人が紹介された。代表して奨励表彰の五十嵐拓哉さんが「細胞表面へのタンパク質ナノ薄膜形成によるES細胞由来3次元ヒトペースメーカー組織の構築と移植」について研究内容を報告した。

この日は、教養教育や専門教育で優秀な成績を収めた学生も集まり、それぞれ優秀者表彰を受けた。

課外研究奨励事業研究成果発表会 出場者

※( )内は代表者の所属学部・学科

金賞 学生フォーミュラ車両を用いた実走行データに基づくタイヤ特性の分析およびそれに伴う車両運動の解析(工学部・応用理工学科)

銀賞 遺伝子工学を用いた原核多細胞生物の作成 〜国際合成生物学コンテストiGEMへの挑戦〜(理学部・生物科学科)

銅賞 低速・低出力の人力無尾翼飛行機による長距離飛行を目指して(理学部・物理学科)

レゴで原寸大まちかねワニロボットを作ろう 〜レゴブロックを用いたロボット製作による空間認知能力とデザイン力の向上に関する研究〜(理学部・数学科)

阪大が世界10指に入るには 〜香港の大学はなぜ強いのか〜(外国語学部・外国語学科)

災害復興過程における長期ボランティアの果たすべき役割について ─岩手県九戸郡野田村の事例から─(法学部・国際公共政策学科)

NHK大学ロボコン優勝を目指して(工学部・電子情報工学科)

在日コリアンの問題に関してコリアンタウンにおけるフィールドワークと有識者へのインタビューを通した研究(法学部・国際公共政策学科)

国際化する社会における企業間紛争への解決アプローチを探る(法学部・国際公共政策学科)

サイエンス・インカレ 表彰者

奨励表彰

工学部応用自然科学科4年 五十嵐拓哉 「細胞表面へのタンパク質ナノ薄膜形成によるES細胞由来3次元ヒトペースメーカー組織の構築と移植」

工学部応用自然科学科4年 寺垣歩美 「シクロデキストリンゲルの不斉空間を用いた光学分割」

理学部物理学科2年 岩切秀一 「高分子溶液の相分離温度に対する添加物効果の実験および理論的研究」

各協力企業・団体賞(東京エレクトロン賞)

工学部地球総合工学科4年 駒井尚子 「大規模地震による宅地造成斜面の崩壊範囲の評価 ─がけ条例による建築禁止距離の新提案に向けて─」

マチカネワニをレゴ®ブロックで製作
初の共同作品で「歩行動作にも挑戦したい」

阪大レゴ部のメンバーたちも、発見50年を迎えるマチカネワニのロボットをブロックで製作するプロジェクトで、9組の中に参加。この発表後には、いちょう祭で駆動する姿も披露、来場者たちから大きな反響を得ていた。

ロボットは顎、胴体、しっぽを動かすことができる。全長約3㍍だが、強度などの問題を克服すれば、実物大に仕上げることも可能という。レゴ®ブロック以外の材料は使わず試行錯誤して強度を確保。体型の曲線を出すのが難しく、薄いパーツをたくさん使って工夫した。発表で壇上に立った大迫聡さん(工学部2年)は「歩行動作もできるように挑戦したい」と抱負を語った。

レゴ部は活動歴3年の任意団体で、大学からの公認を目指し、参加型イベントと作品展示会を開催している。部室がないためこれまでは個人製作がメインだったが、分割して製作・収納できるよう随所に工夫を凝らし、初めての共同作品を完成させた。「ニューズレター」表紙撮影のため、豊中キャンパス・中山池のほとりにワニを移して組み立て直すのに1時間ほどかかったが、学部生の指導にあたった中山かんなさん(基礎工学研究科博士後期課程2年)は「マチカネワニが池の横にたたずんでいる姿は素敵」と、感動していた。作品は大阪大学総合学術博物館で7月から展示される。

(本記事の内容は、 2014 6 月大阪大学 NewsLetter に掲載されたものです)

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