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四、適塾の教育
適塾は元来は医学、医療を教育する塾であったが、青雲の志熱き若者である塾生たちにとってはオランダを通じてもたらされる最新の知識、技術には一々驚くものがあったのだろう。関心の赴くままに、各種の本をどん欲に読んだようで、その基礎となったのは、適塾で行われていた蘭書の会読であった。判らぬ言葉の意味を探して、適塾に一冊しかなかったヅーフ辞書を奪いあうように利用した。そのため、辞書をおいた部屋はヅーフ部屋と呼ばれ、明かりが消える間がなかったといわれている。
塾生たちの勉強ぶりはすさまじかったようで、福沢諭吉にして、自伝の中で「凡そ勉強ということについてはこのうえにしようもないほどに勉強した」と述懐しているほどである。
このような自由闊達な塾風が、幕末から明治初期にあって各分野で活躍する多様な塾生を数多く輩出したのである。
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