大阪大学創立90周年・大阪外国語大学創立100周年記念式典総長式辞(2022年5月1日)

 昨年、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により延期いたしました大阪大学創立90 周年 大阪外国語大学創立100 周年記念式典を、本日ここに挙行できますこと、誠に光栄であり、教職員、学生、同窓生一同の大きな喜びとするところであります。
 本日は、文部科学省、自治体、在外公館、企業・経済団体、大学・学校関係など、各界を代表する、かくも多くの方々にご臨席を賜りましたこと、大阪大学を代表いたしまして、深甚なる敬意を表し、厚く御礼申し上げます。
 また、末松信介 文部科学大臣、津賀一宏 パナソニック ホールディングス株式会社取締役会長、永田恭介 一般社団法人国立大学協会会長の皆様方には、ご祝辞を賜りますことを衷心より感謝申し上げます。
 さらに、10 DECADESとしてご登壇いただく、本学に縁のある11名の方々には、式典に華を添えていただけますこと、大変嬉しく思っております。
 そして、本学の歴史を振り返り、また、未来に向かって新たなスタートとなるこの節目の日に、大阪大学及び大阪外国語大学の歴代総長・学長の先生方に、こうして一堂に会していただけましたことは、この上ない喜びでございます。心より感謝申し上げます。

 さて、大阪大学は、大阪の政財界や市民の熱烈なご支援により、地域社会と結びついた「市民主導の帝国大学」として1931 年5月1日に誕生しました。創立以来、精神的源流である江戸時代の学舎、適塾、懐徳堂の進取の気性、自由闊達な気風を大切に、普遍の真理を探究し、世界最先端の学術研究を行うとともに、次代の社会を支え、人類の理想の実現を図る有能な人材を世に輩出してまいりました。
 また、「大阪に国際人を育てる学校を」という林蝶子女史の篤志によって1921 年に大阪外国語学校として創設された大阪外国語大学も、極めて似通った成り立ちを持っています。外国語教育・研究の西の雄として大きく発展し、2007 年の大阪大学との統合後は、その伝統を外国語学部に継承し、発展を続けております。

 いま、現代社会が抱える課題は複雑化かつ多様化の一途をたどっています。例えば、新型コロナウイルスの発現は、生命科学や医療分野のみならず、社会構造や経済システムから個人の価値観まで、あらゆる面においてこれまでの常識を揺るがしています。
 こうした地球規模の社会的課題に向き合うには、もはや自然科学分野の知識だけでは解決することはできません。同時に、人間とは何か、社会はどうあるべきかを問い続ける人文学・社会科学分野の知識が不可欠であり、さらには実践においてそれらの知識を活用する「知性」が重要であることは言うまでもありません。
 大阪大学は、これからも自己革新に努めながら、これらの総合知、知性をもって卓越した教育研究活動のさらなる深化を遂げてまいります。そして、不変のモットーとして「地域に生き世界に伸びる」を掲げ、教育研究機関や産業界のみならず、自治体、さらには市民を含む社会全体との「共創」(Co-Creation)により、創立100 周年、そしてさらなる未来に向けて、「生きがいを育む社会」の創造に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学を目指して、弛まぬ挑戦を続けてまいります。
 これまでの皆さまからのひとかたならぬご厚情に心より感謝申し上げますとともに、引き続き温かいご支援とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 最後に、本日ご列席の皆さまをはじめ、本学を支えてくださっているすべての方々に改めて感謝申し上げ、私の式辞とさせていただきます。
 本日は誠にありがとうございました。

2022年(令和4年)5月1日
大阪大学総長
西尾 章治郎

■式辞全文PDFは こちら

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