大阪大学憲章

< 平成15年3月>

大阪大学は、開学以来の国立大学という組織を離れて、国立大学法人として新たに出発する。かねて大阪の地に根づいていた懐徳堂・適塾以来の市民精神を受け継ぎつつ、「地域に生き世界に伸びる」ことをモットーとして、それぞれの時代の社会の課題に応えてきた。歴史の大きな転換点をむかえつつあるいま、大阪大学が国立大学法人として新たな出発をするこの機に臨み、将来の豊かな発展を期して、あらためて自らの基本理念を以下のとおり宣言し、大阪大学の全構成員の指針とする。

1.世界水準の研究の遂行

大阪大学は、人間そのものや人間が構成する様々な社会、及びそれを取り巻く環境や自然のあらゆる分野について、また、それら相互の関係について、その真理を探求し、世界最先端の学術研究の場となることをめざす。

2.高度な教育の推進

大阪大学は、次代の社会を支え、人類の理想の実現をはかる有能な人材を社会に輩出することを、その目標とする。

3.社会への貢献

大阪大学は、教育研究活動を通じて、「地域に生き世界に伸びる」をモットーとして、社会の安寧と福祉、世界平和、人類と自然環境の調和に貢献する。

4.学問の独立性と市民性

大阪大学は、教育研究の両面において、懐徳堂・適塾以来の自由で闊達な市民的性格と批判精神やその市民性を継承し、発展させる。学問の本質を踏まえ、いかなる権力にも権威にもおもねることなく、自主独立の気概のもとに展開する。

5.基礎的研究の尊重

大阪大学は、すべての分野において基礎的・理論的な研究を重視し、世界水準の研究を自らの課題として、次世代においても研究のリーダーであることを標榜する。

6.実学の重視

大阪大学は、実学の伝統を生かし、基礎と応用のバランスに配慮して、現実社会の要請に応える教育研究を実践する。

7.総合性の強化

大阪大学は、総合大学としての特色を追求する。たんなる部局の集合体ではなく、人文科学・社会科学・自然科学・生命科学など、あらゆる学問分野の相互補完性を重視するとともに、新時代に適合する分野融合型の教育研究を推進する。

8.改革の伝統の継承

大阪大学は、つねに世界に先駆けて新たな学問分野を切り拓き、それに見合った教育研究組織を生み出してきた自己革新の伝統を継承し、絶えざる組織の点検・再編に努める。

9.人権の擁護

大阪大学は、その活動のあらゆる側面において、人種、民族、宗教、信条、貧富、社会的身分、性別、障がいの有無などに関するすべての差別を排し、基本的人権を擁護する。

10.対話の促進

大阪大学は、あらゆる意味での対話を重んじ、教職員および学生は、それぞれの立場から、また、その立場を超えて、互いに相手を尊重する。

11.自律性の堅持

大阪大学は、直面する課題に対し、構成員間の協調をとおして、自らの意思においてその解決を図る。

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