人文学研究科の教育目標および各ポリシー

教育目標


 人文学研究科は、大阪大学の教育目標のもと、多様な個人や社会集団が生み出してきた言語・事物・思考・習慣など、精神文化と物質文化の両面にわたる人間の営為を探求する人文学研究を継承しつつ、専門性にとらわれることなく領域横断的で柔軟に発想する能力と、現代社会のグローバル化・情報化に即応した最新の技術を活用する力を身に付けることにより、現代にふさわしい人文学をデザインし、今日的課題に果敢に挑戦し、そこで得られた知見を世界に向けて発信し得る人材を養成することを目的とします。

○最先端かつ高度な専門性と深い学識

 各専攻それぞれの特色を活かした教育により、人文学・言語文化学・外国学・日本学・芸術学における各専門領域の最先端の知識の修得と、これを基盤とした理論と実践により、高度な専門性を身につけさせるとともに、学術論文作成に必要なスキルや高度な研究に取り組むための種々の能力を養います。
一方で、このような専門領域の枠にとらわれず、広く人文学に関する諸領域の知見を通して、学識を深化させ、グローバルな諸課題の解決に必要な柔軟な思考力を培います。

○高度な教養

 学問全般にわたる高度で幅広い教養と現代にふさわしい高度な情報リテラシーを培い、また複眼的、俯瞰的に思考し、対象を多角的に評価できる力を養います。

○高度な国際性

 豊かで論理的な日本語能力と、言語や文化の差異を越えて、豊かなコミュニケーションを実らせる諸言語の高度な運用能力、そして他者や異文化、芸術の多様性に対する鋭敏な感受性と深い理解力を涵養します。

○高度なデザイン力

 各専攻が有する多彩な教育資源を縦横に組み合わせ、現代にふさわしい人文学の地平を切り開き、今日、社会が直面する複雑多様な問題を自ら発見し、解決の道筋を独自に構想していくデザイン力を養います。

 人文学研究科では、5専攻の特色を活かしつつ、博士前期課程及び博士後期課程を通じて、社会の多様な分野で、新たな人文学の知見を発信し、自立した研究者ならびに高度専門職業人として活躍し得る人材の育成に取り組みます。

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)


 人文学研究科は、大阪大学のディプロマ・ポリシーのもと、伝統的かつ最先端の人文学の知見や、言語と文化に関する高度な専門性と深い学識、教養・デザイン力・国際性を身に付け、所定の単位を修得し、学位論文の審査及び最終試験に合格した学生に対し、博士前期課程では、修士(文学、言語文化学、日本語・日本文化または学術)を、また、博士後期課程では、博士(文学、言語文化学、日本語・日本文化または学術)のいずれかの学位を授与します。

【博士前期課程】

○最先端かつ高度な専門性と深い学識

  • 専門領域における最先端かつ高度な専門性と深い学識を身につけている。
  • 最先端かつ高度な研究に取り組む能力を身につけている。
  • 明解な論旨で一貫した構成の論文をまとめる確かな論述能力を身につけている。
  • 既存の専門領域にとらわれず、人文学に関わる諸領域の知見を通して、課題解決に必要な柔軟な思考力を身につけている。

○高度な教養

  • 学問全般にわたる幅広く高度な教養や、自立した研究者ならびに高度専門職業人に必要な高度な人文学的教養を有している。
  • 高度な情報リテラシーに関する能力を有している。
  • 多様化した社会に対応できる複眼的、俯瞰的な思考力を有している。

○高度な国際性

  • グローバル化・情報化の進展する現代社会に深い関心を寄せ、個々の言語や文化を適切に理解し尊重する姿勢を有している。
  • 言語や文化の差異を越えて、円滑なコミュニケーションができる高度な言語運用能力を有している。

○高度なデザイン力

  • 人文学に関する専門領域において、本質的かつ複雑多様な課題を発見し、的確なデータ・文献資料収集を通して、解決の道筋を構想できる能力を有している。

○独自の学習目標

  • 伝統的な人文学研究を継承しつつ、グローバル化、情報化の進む現代社会に即応した、領域横断的で独創性を備えた修士論文を作成できる。
  • 専門領域の特性に応じて、特定言語の高度な運用能力や職業に関わる能力を有する。

【博士後期課程】

○最先端かつ高度な専門性と深い学識

  • 自立した研究者ならびに高度専門職業人にふさわしい専門領域における最先端かつ高度な専門性と深い学識を身につけている。
  • 専門領域における研究方法に従って最先端かつ独創的な研究に取り組み、成果に結実させる高度な研究能力を身につけている。
  • 明解な論旨で一貫した構成の論文をまとめる高度な論述能力を身につけている。
  • 既存の専門領域にとらわれず、人文学に関わる諸領域の知見を通して、課題解決に必要な柔軟な思考力を身につけている。

○高度な教養

  • 自立した研究者ならびに高度専門職業人にふさわしい、学問全般にわたる総合的な教養や、専門性の高い人文学的教養を有している。
  • 自立した研究者および高度専門職業人にふさわしい、高度な情報リテラシーに関する能力を有している。
  • 多様化する社会に対応できる複眼的、俯瞰的な思考力を有している。

○高度な国際性

  • グローバル化・情報化の進展する現代社会に深い関心を寄せ、個々の言語や文化を適切に理解し尊重する姿勢を有している。
  • 言語や文化の差異を越えて、円滑かつ豊かなコミュニケーションができる高度な言語運用能力を身に付け、研究成果を国内外に広く発信する能力を有している。

○高度なデザイン力

  • 人文学に関する専門領域において、自らの課題に対して、先行研究を広く踏まえつつ、独創的かつ先端的な研究を展開できる能力を有している。

○独自の学習目標

  • 伝統的な人文学研究を継承しつつ、グローバル化、情報化の進む現代社会に即応した、領域横断的で独創性を備えた博士論文を作成できる。
  • 専門領域の特性に応じて、特定言語の高度な運用能力や職業にかかわる能力を駆使し、強い発信力をもって人文学に貢献できる。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)


 人文学研究科は、大阪大学のカリキュラム・ポリシーのもと、以下の方針によりカリキュラムを編成します。

【博士前期課程】

【教育課程の考え方】

 2年間の課程を通じて、専門教育、教養教育、国際性涵養教育の3つの柱に基づき以下の科目編成を行うことで、人文学の最先端かつ高度な専門性と深い学識、幅広い教養、高度な国際性、高度なデザイン力を養います。

  • 専門教育:「専門教育科目」により、当該専門領域に必要な専門知識と研究能力、並びに国際的に発信するための言語能力を養う。また、「研究科共通科目」により、人文学のあらゆる分野に共通の基礎的な知識と研究の方法論、ならびに諸外国語を含め、隣接する分野に関する高度で幅広い知見を培う。
    特に全専攻共通の必修科目である「人文学基礎(人文学と対話)」では、現代の文化・社会の諸課題に関する最先端の知見を修得させるとともに、問題解決のための思考力を涵養する。
  • 教養教育:必修科目である「人文学基礎(現代の教養)」を含めた[高度教養教育科目」を履修させることにより、人文学に関する領域横断的な分野や、人文学以外の学問分野に関する高度な教養を培う。
  • 国際性涵養教育:「高度国際性涵養教育科目」により、高度な外国語運用能力、異文化や他者に対する感受性と知識を涵養する。

 また、学生自身の専門領域にかかわらず、幅広く科目を履修させることで、学際的・領域横断的な研究につながるようにしています。なお、学生には自専攻内の主たる指導教員のほかに、必要に応じて他専攻の「相談教員」を指定し、随時研究指導を行う体制を整備しています。
 さらに、海外の諸大学との交流協定等に則った留学、海外研修、国際交流のプログラムを整備し、学生の積極的な参加を促します。

 このような教育課程と体制により、最終年次には、高度な専門性を備えた修士論文の完成へと導きます。

【学修内容及び学修方法】

 講義科目では、各人の研究主題に関する体系的な知識を習得するとともに、与えられる論述課題を通じて、自力で資料を収集・分析・考察し、その結果を的確かつ論理的に構成・表現する能力を身につけさせます。また、演習科目では、各人に口頭発表を行わせ、日本語ならびに外国語の文献資料の高度な読解・分析能力、調査・研究を的確に遂行する能力、その結果を論理的かつ説得的に発信する能力を身につけさせます。

  • 専門教育:講義科目と演習科目からなる「専門教育科目」から選択履修させる。専門領域によっては学外での実習やフィールドワークを取り入れた実習科目も開講する。「研究科共通科目」のうち「人文学基礎(人文学と対話)」1単位は必修とする。また、修士論文作成を通じて、独自の課題について、主体的に考究・発信する能力を身につけさせる。
  • 教養教育:「研究科共通科目」」のうち「人文学基礎(現代の教養)」1単位は必修とする。その他、講義科目と演習科目からなる「高度教養教育科目」から選択履修させる。
  • 国際性涵養教育:主として講義科目からなる「高度国際性涵養教育科目」」から選択履修させる。

【学修成果の評価方法】

 講義科目、演習・実習科目においては、シラバス等に記載されている学習目標の達成度に従い、成績評価の方法(試験や課題、レポートなど)を用いて評価します。

 修士論文においては、複数の審査員が、主題選択の妥当性、論述の明晰さ、資料・文献調査の適切性、主張の独自性などを総合的に判断し、評価します。

【博士後期課程】

【教育課程編成の考え方】

 各学生の研究主題に関する講義科目、演習科目の履修を通じて、深い学識と高度な研究能力、幅広い教養、ならびに国際的に発信する言語能力を修得させるとともに、研究を主体的に構想・実行する能力と独創的なデザイン力をさらに高めます。
 また、学生自身の専門領域にかかわらず、幅広く科目を履修させることで、学際的・領域横断的な研究につながるようにしています。なお、学生には自専攻内の主たる指導教員のほかに、必要に応じて他専攻の「相談教員」を指定し、随時研究指導を行う体制を整備しています。
 さらに、海外の諸大学との交流協定等に則った留学、海外研修、国際交流のプログラムを整備し、学生の積極的な参加を促します。

  このような教育活動と体制により、最終年次には、自立した専門家としての独創性を備えた博士論文の完成へと導きます。

【学修内容及び学修方法】

 講義科目を通じて、高度な教養ならびに高度な専門性と深い学識を身につけさせます。また、演習・実習科目を通じて、①日本語ならびに外国語の文献資料の高度な読解・分析能力、②調査・研究を的確に遂行するデザイン力と実行力、③その結果を論理的かつ説得的に発信する能力を身につけさせます。さらに、博士論文作成を通じて、独自の課題について、学問的価値の高い成果を主体的に考究・発信する能力を涵養します。

【学修成果の評価方法】

 講義科目、演習・実習科目においては、シラバス等に記載されている学習目標の達成度に従い、成績評価の方法(試験や課題、レポートなど)を用いて評価します。
 博士論文においては、当該分野の専門家である複数の審査員が、主題選択の妥当性、論述の明晰さ、資料・文献調査の適切性、主張の独自性などを総合的に判断し、評価します。

【学位プログラム版】教育目標および各ポリシー

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