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目つむればふと秋風の身ほとりに
咲き初めの萩二三輪風に揺れ
爽やかや昔のことは皆忘れ
名月の楽の音のごと光降る
頼まれしことを果して爽やかに
僻地なる吾子よ達者か月今宵
月の出に合せ合唱童らは
退院の人を迎へる月夜かな
◎昼の虫そのまま暮れてゆきにけり
月見団子味はうて詠む句会かな
今日の月美しければなほ寂し
爽やかや退院許可の下りし朝
はつきりと月を出してはくれぬ雲
爽やかや駿馬で駈ける朝の丘
◎月仰ぐひとりごころの澄みゆける
妻ねむる虫を聴きつつ独り酒
頬撫づる風さはやかに散歩道
爽やかや嵐のあとの杉木立
絹の道アジアの果ての凌霄花 (のうぜんか)
石庭のいづこともなき虫の声
耳鳴りの気付けば消えて虫時雨
秋草を両手に抱きゐて淋し
◎訪ぬれば住職萩を括りをり
それぞれの虫の定位置闇の中
爽やかや空を仰ぎて深呼吸
秋草に触れては別れ水流る
秋草や日本に長き阿蘭陀人
◎一歩ごと虫の声やむ野の小道
秋草の名を教はりつ師に就ける
夕月や砂丘に残る日のぬくみ
◎帰るさは車窓の月を友とせし
雨去りて雲間の月の疾く走る
忙しとこぼしながらも爽やかに
大いなる月に雲間の破れ初む
秋冷や志野の湯のみに煎茶入れ
月見れば妻と出合ひし頃をふと
月天心山湖の眠り深くあり
◎プランターに秋草咲かせ独り住む
憂きことは忘れあまたの虫の夜
眠れぬかちちろ一匹まだ鳴けり
虫すだく山の旧居のなつかしき
爽やかに勤務時間を変へくれし
あや
安廣
翠
眞知子
洛艸
輝子
洋一
嵐耕
幹三
言成
翠
洛艸
ゆたか
洛艸
あや
瑛三
英雄
洋一
遊子
洛艸
翠
あや
幹三
あや
太美子
暁子
幹三
安廣
洛艸
昴
邦夫
安廣
暁子
兵十郎
眞知子
洛艸
太美子
言成
和江
暁子
あや
ゆたか
井上浩一郎 選
第548回 平成26年9月8日 (月)
月仰ぐひとりごころの澄みゆける
それぞれの虫の定位置闇の中
秋草を両手に抱きゐて淋し
放下してまた放下して爽やかに
月射して心に残ることも無し
燈消せばこの世は虫の声ばかり
あや
浩一郎
選者吟
第547回 平成26年8月18日 (月)
兼題 走馬灯・西瓜(あや) 芙蓉・地蔵盆(浩一郎)
席題 卓上に 千日紅・斑入りすすき・えのころ草・鶏頭・芭蕉
西瓜抱き笑顔のゼミ生訪ね来し
迎へ酒して甦る酔芙蓉
音もなくただ廻るのみ走馬灯
西瓜そもシルクロードを渡り来し
走馬灯数多廻りて静かなり
塀越しに覗く旧家の花芙蓉
暮れてより夢の拡がる走馬灯
西瓜たたく音なつかしき朝の市
大家族西瓜囲みて静もりぬ
◎路地奥に灯のあかあかと地蔵盆
◎堰落つる一枚の水今朝の秋
売れてまた一つ灯ともす走馬灯
子の声の唱名揃ふ地蔵盆
◎蝉時雨だしぬけに止み川の音
地蔵盆あの路地この路地わらべ歌
子らの輪の大数珠廻す地蔵盆
酔芙蓉はや散り落ちし夕ベかな
地蔵盆ひねもす子らの弾む声
結願の寺の華やぎ大芙蓉
一日を後生大事に芙蓉咲く
今日終る命と見えぬ酔芙蓉
海の日や人麻呂の詠む羇旅八首
お下がりを手に手に子らの地蔵盆
雨風の止んでたちまち蝉時雨
◎大草原走る夢見せ走馬灯
◎走馬灯短き一話語り継ぎ
閉ぢぎはの彩を尽くして酔芙蓉
破裂せし西瓜転がる仏間かな
泥酔し転び落ちたる酔芙蓉
山頂へ六地蔵詣あと百歩
稜線の長き山ある帰省かな
◎ふと触れし夏痩の肩わびしかり
有難や残暑を流す俄か雨
走馬灯夢も希望もありし日よ
踏切はなくなり残る地蔵盆
声嗄らす世話役忙し地蔵盆
磨り減りしお顔笑うて地蔵盆
◎悲しみは忘るるがよし走馬燈
横丁の明かり賑はふ地蔵盆
棚経の振向く僧の大き顔
夕さればひと色濃くし酔芙蓉
花芙蓉短き夢を見尽くして
◎精一杯酔ふて潰えし芙蓉かな
包み込む一と日の哀歓夕芙蓉
西瓜割る声がはじける浜辺かな
芙蓉咲く手入れよき庭友偲ぶ
大西瓜大胆に切り工事場に
白芙蓉母に抱かれてしまひさう
西瓜浮く深く冷たき井戸の底
大文字書斎の窓の正面に
触れ合ひし指の記憶や白芙蓉
在りし日は辛口の師よ盂蘭盆会
◎朝日影白蓮の池咲き満ちて
◎花芙蓉今日の命と咲きにけり
忘れ得ぬ人を瞼に走馬灯
走馬灯半世紀とはこんなもの
しばらくはものも言はずに西瓜食ぶ
西瓜切る積もる話はあとにして
子らのみな湯上り匂ふ地蔵盆
共に酒酌みしおもひで走馬灯
◎雲湧ける空まで幹を蟻の列
通院も台風去りて楽になり
◎大玉の西瓜一家で食ひし日も
乱
浩風
翠
眞知子
翠
乱
浩風
京子
翠
暁子
幹三
洛艸
浩一郎
幹三
瑛三
昴
英雄
乱
浩風
言成
京子
遊子
嵐耕
乱
兵十郎
兵十郎
浩風
邦夫
暁子
翠
遊子
太美子
言成
翠
兵十郎
洛艸
幹三
瑛三
京子
幹三
眞知子
邦夫
洛艸
瑛三
安廣
言成
太美子
和江
眞知子
茉衣
昴
輝子
京子
ゆたか
瑛三
輝子
洛艸
浩風
瑛三
浩一郎
遊子
磨央
瑛三
長山あや 選
そつと咲きぽとりと落つる芙蓉かな
◎刃の入りて西瓜の声を聞く一瞬
たうたうとありき故郷の天の川
辻ごとに地蔵ある町地蔵盆
はつきりとはじめは白や酔芙蓉
西瓜でて老人病棟なごみけり
大家族西瓜囲みて静もりぬ
西瓜たたく音のしてゐる朝の市
路地奥に灯のあかあかと地蔵盆
地蔵盆一賑も宵のうち
売れてまた一つ灯ともす走馬灯
ゆらぎつつ止まる手作り走馬灯
厨房の子らの視線を浴ぶ西瓜
蝉時雨だしぬけに止み川の音
地蔵盆里の土産をさりげなく
子らの輪の大数珠廻す地蔵盆
横丁の明かり賑はふ地蔵盆
水流で西瓜冷やしてバーベキュー
◎両断に歓声あがる西瓜かな
地蔵盆ひねもす子らの弾む声
体温計脇にはさむ子猫じやらし
走馬灯消えし余韻のめぐる闇
父は腕に母は手つなぎ地蔵盆
雨風の止んでたちまち蝉時雨
灯消えて夢想も消えて走馬灯
いつ切るか思案こもごも大西瓜
◎白芙蓉すつきり生きるむつかしさ
閉ぢぎはの彩を尽くして酔芙蓉
山頂へ六地蔵詣あと百歩
稜線の長き山ある帰省かな
◎有難や残暑を流す俄か雨
もてなしは冷し西瓜とお手拭きと
大西瓜かるがる水に浮く不思議
悲しみは忘るるがよし走馬燈
わが父も地蔵盆へと足運び
駅頭の朝の挨拶白芙蓉
朝日影白蓮の池咲き満ちて
棚経の振向く僧の大き顔
◎西瓜切る手元を子らに見詰められ
夕さればひと色濃くし酔芙蓉
だれかれの指示みな違ふ西瓜割
花芙蓉短き夢を見尽くして
惜しみなく花散る夕ベ酔芙蓉
八月がひときは愛しい秘密あり
◎ただ並べ黙つて坐せる西瓜売
灯に浮かぶ田の面美し地蔵盆
地蔵盆の筵に膝をそろへけり
◎西瓜割る声がはじける浜辺かな
大西瓜大胆に切り工事場に
卓上は秋の深まる句会場
◎西瓜浮く深く冷たき井戸の底
ま白きはま白きままに芙蓉垣
走馬灯兎も亀も休まれず
大文字書斎の窓の正面に
触れ合ひし指の記憶や白芙蓉
走馬灯半世紀とはこんなもの
◎知らぬ子もまじりてゐたり地蔵盆
しばらくはものも言はずに西瓜食ぶ
対岸の丸き光や地蔵盆
いつからか四分の一で買ふ西瓜
地蔵盆町内ごとの盛りあがり
◎西瓜切る積もる話はあとにして
しあはせに酔へる夕ベや酔芙蓉
子らのみな湯上り匂ふ地蔵盆
切り売りの西瓜ずらりとマーケット
古井戸に西瓜吊るせし旧居消え
あや
あや
あや
暁子
ゆたか
輝子
翠
京子
暁子
ゆたか
洛艸
兵十郎
洛艸
幹三
輝子
昴
京子
茉衣
邦夫
乱
幹三
あや
邦夫
乱
翠
洛艸
眞知子
浩風
翠
遊子
言成
嵐耕
あや
瑛三
ゆたか
瑛三
京子
幹三
暁子
眞知子
浩風
邦夫
嵐耕
茉衣
暁子
あや
ゆたか
安廣
太美子
翠
眞知子
兵十郎
浩風
茉衣
昴
輝子
暁子
洛艸
幹三
兵十郎
眞知子
浩風
嵐耕
瑛三
元彦
乱
井上浩一郎 選
刃の入りて西瓜の声を聞く一瞬
走馬灯消えし余韻のめぐる闇
たうたうとありき故郷の天の川
はてし無くめぐるもさびし走馬灯
共に酒酌みしおもひで走馬灯
子の声の唱名揃ふ地蔵盆
あや
浩一郎
選者吟
第549回 〈吟行句会〉平成26年9月29日 (月)
吟行地 神戸元町・南京町・メリケンパーク
豪華客船小さき秋の窓拭夫
◎海よ山よポートタワーよ秋の空
隅に草の花あり中華街
◎秋天や朱塗の門に龍踊る
爽やかに頬撫づる風寄する波
昼時の南京町や走り蕎麦
秋高し生田の森の赤鳥居
磯の香や秋潮満つる神戸港
豚饅のまるまるとして秋の空
秋の海少しは瞑想したくなり
窓飾る旧居留地の葉鶏頭
異人館坂の彼方に秋の海
六甲の山襞にある秋の紺
◎秋天へ湯気立ちのぼる中華街
草の実や海を指さす移民の碑
はたはたのぴよんと飛び出す昼の波止
食欲の秋よ豚饅小龍包
秋の蝶ひたと羽伏せ波止の風
マドロスも帰燕も往きし波止場かな
秋高し船は大海原目指す
元町や吹く秋風も彩りて
秋日射す赤と金色中華街
移民船手を振りし子や草の花
◎コロッケの行列につき天高し
秋風のチャイナタウンの匂ひ乗せ
多彩なる南京町に吹く素風
若き日の出会ひと別れ波止場秋
ホテルより大きな船や波止の秋
立ち食ひは町の流儀よ美味し秋
久方のブラジル料理秋の潮
秋潮の香に誘はれて歩きけり
元町やお菓子の匂ひ秋の風
◎メリケンという名の歴史秋の海
秋空にでんと構へる石造り
港から望む六甲秋の雲
コスモスや地震乗り越えし記念の碑
白き帆と競ふ白波秋高し
秋の日の無限に波の綺羅を生む
被災せし舫の杭に秋の波
◎海よりの風にコスモス揺れて咲く
秋日傘南京町の雑踏に
秋暑し赤色多き中華街
秋日和道へ小龍包の湯気
移民てふ棄民の悲し秋の蝶
翠
言成
兵十郎
翠
言成
邦夫
洋一
兵十郎
幹三
乱
瑛三
洋一
曉子
曉子
幹三
幹三
言成
曉子
乱
輝子
瑛三
幹三
幹三
曉子
乱
邦夫
翠
言成
瑛三
元彦
輝子
乱
乱
邦夫
言成
翠
洋一
曉子
兵十郎
眞知子
乱
曉子
幹三
瑛三
井上浩一郎 選
居留地と言ひしあたりや秋の風
秋光や船もホテルも皆白き
岸壁に坐せば海音風は秋
浩一郎
選者吟
豪華客船小さき秋の窓拭夫
海よ山よポートタワーよ秋の空
バス乗場ふと見上ぐれば銀杏の実
秋草生ふ音なきメリケンパークかな
◎岸壁に坐せば海音風は秋
秋潮の洗ふ埠頭に地震語る
波止場てふ言葉にありし秋思かな
秋高し生田の森の赤鳥居
◎海の秋護岸の岩の波音に
秋暑し中華街抜け海に出る
秋の海少しは瞑想したくなり
◎秋の潮被災埠頭へひた寄する
窓飾る旧居留地の葉鶏頭
異人館坂の彼方に秋の海
◎六甲の山襞にある秋の紺
輝いてメリケン波止場秋の風
◎秋天へ湯気立ちのぼる中華街
高き空動くともなき秋の雲
密やかに泊まりし船や秋の浪
◎草の実や海を指さす移民の碑
白ペンキ塗り立ての船秋高し
ひたひたとメリケン波止場秋の潮
マドロスも帰燕も往きし波止場かな
◎秋高し船は大海原目指す
秋光や船もホテルもみなま白
居留地の面影追うて秋の街
ポートタワー仰げば秋の雲ふはり
秋日影生田の森の古戦場
若き日の出会ひと別れ波止場秋
ホテルより大きな船や波戸の秋
翠
言成
洋一
言成
浩一郎
輝子
輝子
洋一
浩一郎
曉子
乱
兵十郎
瑛三
洋一
曉子
浩一郎
曉子
眞知子
兵十郎
幹三
幹三
瑛三
乱
輝子
浩一郎
瑛三
眞知子
洋一
翠
言成
長山あや 後選
兼題 虫・月(あや) 秋草・爽やか(浩一郎)
席題 卓上に 月見団子・芒・無花果・山法師の実・酢
蕉翁の旅の結び地花桔梗
◎灯を消せば障子にともる月明り
明り窓月の射し入る三和土かな
地の果てふ岬へ延る月の道
鳴き終へし虫を迎ふる大地かな
積雨はれさはやかにしてページ繰る
爽やかや手話で介護の若き人
さりげなく色草活けて山の駅
今日の月逝きたるものの声あらむ
爽やかに全て嘘だと言ひにけり
萩刈れば風の通ひ路失せにけり
名月の楽の音のごと光降る
金剛山頂色草と共に吹かれをり
冷酒手にしばしぼんやり虫の闇
頼まれしことを果して爽やかに
◎僻地医の吾子よ達者か月今宵
虫の音よ老人あやす子守唄
秋草の息吹足裏にリフト降る
退院の人を迎へる月夜かな
人偲びひとを想へば鉦叩
昼の虫そのまま暮れてゆきにけり
秋の月山を伴ひ動きけり
白々と月下の街のゆらぎをり
爽やかや退院許可の下りし朝
◎燈消せばこの世は虫の声ばかり
爽やかや熱闘五十イニングス
夜ごと見る月の満ちゆく速さかな
爽やかや駿馬で駈ける朝の丘
つれづれに『パンセ』繙き虫の秋
◎月射して心に残ることも無し
◎妻ねむる虫を聴きつつ独り酒
白樺の林爽けし露踏みて
正調も破調もありて虫時雨
更け行きて風泣く夜や濡るる月
◎爽やかや嵐のあとの杉木立
秋草や昼寝の長き母とゐる
古井戸にしばし留る望の月
牛降ろす色草の道奥信濃
耳鳴りの気付けば消えて虫時雨
湯あがりの肌の輝く月下かな
訪ぬれば住職萩を括りをり
世に近く住むといへども虫の声
爽やかな風になびけり我が想ひ
◎目覚めたる夜半のひととき虫集く
秋早く入隊前に部屋の遺書
◎鳴き終へしあとの静寂つくつくし
友逝きてひとり佇む秋の草
夕月や砂丘に残る陽のぬくみ
まだ居ると鳴いて知らせる虫いとし
◎放下してまた放下して爽やかに
巨大なる月に雲間の破れ初む
◎縁側に名月入れて独り酌む
秋草や備前の壺に活けし朝
数独が解け爽やかや老の朝
遊子
昴
邦夫
昴
邦夫
洋一
輝子
瑛三
浩一郎
幹三
眞知子
眞知子
翠
昴
洛艸
輝子
邦夫
浩風
嵐耕
太美子
幹三
ゆたか
暁子
洛艸
浩一郎
瑛三
暁子
洛艸
昴
浩一郎
瑛三
安廣
浩風
邦夫
洋一
輝子
眞知子
洛艸
翠
暁子
幹三
浩一郎
眞知子
英雄
ゆたか
京子
昴
昴
洋一
浩一郎
兵十郎
翠
京子
翠
長山あや 選