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◎紅梅や年寄りてからよく笑ふ
使い道多き水菜の大き株
◎焼山や燃え行く命萌ゆる命
焼山の記憶重なる大和古寺
◎春立ちて山の稜線ふくらみぬ
立春や今日より光新たなり
幼な子の散歩の列や春隣
漆黒の天蓋燻す山火かな
◎おぼろげに行く末見せて春の立つ
稜線に日差しあふれて春立ちぬ
くれなゐの漂ひゐるは濃紅梅
焼山となりて山の威失へり
春来ると湖畔に馬を引き出せし
紅梅や紅満ちてはじけたる
雪に飛び氷に舞うて人酔へり
紅梅や人も心を開かねば
濃紅梅雪しまきたる一夜明け
焼山や燻り出されて走るもの
山焼きのゆらぎし炎我が胸へ
◎早や三年紅梅の丘一人立つ
◎焼山のすこし露はにけもの道
火の宴果てて焼山今朝の黙
焼山や乾坤の闇ゆるぎなく
霜菊や会葬の客皆老いぬ
すくめたる肩ほぐれゆく梅見かな
山焼くや焔の壁に山見えず
はるかなる闇に動ける山火かな
薄氷を踏めば音冴ゆ畑の道
◎妻の食む水菜の音の歯切れよき
春雪の中電球の色ありぬ
山並の樹々やはらいで春立ちぬ
焼き山に新芽の出ずる日は近し
立春を期し計画の動き出す
奈良墨を買うて山焼待つてをり
◎立春や跳んでみやうかこの小川
水菜洗ふ新妻の指しなやかに
◎一輪の紅梅空を広く見せ
盆栽の紅梅かほる交番所
土産なりと抱きとる水菜土匂ふ
なんとなく華やぐ鳥語春立てり
山焼の焔に映ゆる五重の塔
焼山に小さき生命の動きをり
焼山や昨日走りし火の残像
◎春立つや母終へ妻を終へ逝きぬ
乾坤の目覚めを誘ふ春時雨
水菜畑採り残されし株一つ
盆梅の四百年の紅さかな
春立つや書棚に古き旅日記
◎梅咲いて梅に従ふこころかな
ざぶざぶと洗ひざくざく水菜鍋
菜の花やそのほろ苦さ旬の味
清らなる瀬見の小川や春立ちぬ
六甲の山に風格春の雪
完走の猛者倒れこむ春の雪
焼山や焔の中に山消ゆる
立春の光の中へ踏み出せり
一鉢の紅梅置かる棋聖戦
浩一郎
眞知子
翠
和江
茉衣
安廣
遊子
昴
乱
京子
太美子
暁子
ゆたか
昴
翠
浩風
浩一郎
洛艸
眞知子
翠
洛艸
瑛三
ゆたか
遊子
洋一
昴
浩一郎
安廣
敏夫
幹三
茉衣
磨央
太美子
暁子
暁子
安廣
昴
言成
翠
浩風
洋一
邦夫
暁子
幹三
太美子
昴
乱
昴
浩一郎
翠
瑛三
言成
京子
元彦
昴
暁子
元彦
長山あや 選
第539回 平成26年2月17日 (月)
兼題 立春・水菜(直入) 紅梅・焼山(あや)
席題 卓上に 梅・菠薐草・犬ふぐり・菊菜・菜の花
春立ちて山の稜線ふくらみぬ
◎菜園のアフロのやうな水菜かな
稜線に日差しあふれて春立ちぬ
空を舞ふソチの若人山笑ふ
紅梅に願ひの絵馬の丸き文字
水菜煮る平凡の日々有難き
春立つや耳目を聡く万象に
芳はしき白梅凛と句座にあり
立春や励ましの風畦道に
立春やせく心もて過す日々
山並の樹々やはらいで春立ちぬ
鉢植の小さき紅梅香もほのか
さみどりの水菜サラダのほろ苦き
◎立春や跳んでみやうかこの小川
一輪の紅梅空を広く見せ
なんとなく華やぐ鳥語春立てり
春立つや母終へ妻を終へ逝きぬ
◎春立つや看取りの朝に見る笑顔
焼山に早や青き芽の二つ三つ
乾坤の目覚めを誘ふ春時雨
おいそれで解る人亡く水菜切る
少女背にポニーぽこぽこ春立ちぬ
春立つや書棚に古き旅日記
◎盆梅の四百年の紅さかな
紅梅のふふみ枝垂るる重さあり
◎立春や去年のメモ見る庭仕事
紅梅や甘え上手な子になりて
清らなる瀬見の小川や春立ちぬ
山焼きて人も大地も新鮮に
◎完走の猛者倒れこむ春の雪
立春の光の中へ踏み出せり
咲き初めて菜の花すべて初々し
一鉢の紅梅置かる棋聖戦
茉衣
太美子
京子
元彦
瑛三
安廣
太美子
翠
邦夫
眞知子
茉衣
嵐耕
太美子
暁子
昴
浩風
幹三
嵐耕
安廣
太美子
洋一
瑛三
昴
乱
敏夫
和江
太美子
言成
あや
元彦
暁子
太美子
元彦
井上浩一郎 選
焼山に鎮魂の雨しづかかな
焼山や古巣を探す鳥の声
子を探す母鳥の声焼山に
紅梅や年寄りてからよく笑ふ
はるかなる闇に動ける山火かな
梅咲いて梅に従ふこころかな
あや
浩一郎
選者吟
如月の大空襲を逃げしこと
枯枝に満月かかる春の宵
ものの芽もダリアとあれば威厳あり
オムライス食べ終はる頃春の雪
野遊の大好きなまま老いにけり
春の雪融けてほとほと軒の音
天上の花の舞ふかに春の雪
ものの芽に力を貰ふ句会かな
如月の光に老いも煌めけり
木屋町は片側道や水温む
木瓜の紅クレパスの赤凌ぐ色
汲む水の看取りの朝や水温む
◎庭ぢゆうの雨に光れる木の芽かな
◎しづけさや窓にいつしか春の雪
◎地震の手記読む如月の雨の夜
墨入れし墓に降りつぐ春の雪
春の雪逝きし友へのレクイエム
とくとくの清水の温む幻住庵
如月の雨しづかなる北野かな
老梅の蕾吹き出す力かな
み空より幸降るごとく春の雪
如月や加賀の白山白重ね
◎野に遊び草の香まとひ帰り来し
春潮にもまれし鯛のあら煮かな
野遊びや語らふ二人動かざる
日の匂ひ土の匂ひよ野に遊ぶ
ほんたうのわたしになりて野に遊ぶ
◎如月はやさしき牙を秘めてをり
◎風格の既に皇帝ダリアの芽
◎野遊に行かむ検診無事なれば
野を行くや如月の風この胸に
水取りの果てて御堂に火影揺る
銀世界幻にして春の雪
機音の残りし京の春の雪
雨戸開く朝の眩しさ春の雪
ひそやかに通夜如月の雨つづく
◎鎮魂の海に淡雪惜しみなく
青空の青深々と揚雲雀
◎春の街桧の匂ふ桶屋かな
うぐひすと共に去りけるホトトギス
退屈な看取りこそよし春の雪
ぼたん雪受ければ消ゆる天の文字
如月や日差し踊れる水の底
きさらぎの月こうこうと天心に
車椅子みんなで押して野遊に
春の雪何度も傘を揺すりけり
春の雪溶けてまた降りまた溶けて
額田王しのぶ野遊靄かかる
如月や別れの月てふ重たさよ
漣の追ひつ追はれて水温む
春の雪光の中を四方に舞ふ
如月や春まだ遠き津波跡
池渡る風の匂ひや水温む
野に遊ぶ愛妻弁当背ナにあり
池の泥動かす何か水温む
水温む汀を歩く鷺の二羽
◎野に遊ぶいつかひとりの世界かな
瑛三
箕川
言成
幹三
翠
安廣
嵐耕
京子
翠
浩風
言成
嵐耕
浩一郎
暁子
輝子
箕川
昴
浩風
浩一郎
京子
浩一郎
洛艸
昴
箕川
昴
浩風
暁子
暁子
幹三
輝子
浩一郎
安廣
言成
洛艸
兵十郎
輝子
翠
兵十郎
京子
磨央
浩風
眞知子
安廣
英雄
輝子
邦夫
乱
遊子
翠
昴
乱
安廣
浩一郎
瑛三
言成
輝子
暁子
長山あや 選
第540回 平成26年3月17日 (月)
兼題 春の雪・野遊(あや) 如月・水温む(浩一郎)
席題 卓上に 木瓜・黄水仙・ものの芽(皇帝ダリア)
離れてはまた呼び合ひて野に遊ぶ
春の雪融けてほとほと軒の音
如月の光に老いも煌めけり
木屋町は片側道や水温む
水温む人のこころもやはらかに
如月の望月は今雲の陰
濃緑の袴姿や水温む
川べりの語らひ果てず水温む
忘れしは何かを忘る木瓜の花
早春や瀬音堰音かろやかに
黒土に滲み染み入る春の雪
とくとくの清水の温む幻住庵
野に遊ぶ主役は吾子と握り飯
野に遊び草の香まとひ帰り行く
門出する若人の背に春の雪
春潮にもまれし鯛のあら煮かな
野遊や二人語らひ動かざる
日の匂ひ土の匂ひよ野に遊ぶ
◎ほんたうのわたしになりて野に遊ぶ
水取りの果てて御堂に火影揺る
◎野遊びや素足で草を踏んで見る
木瓜の花公会堂のオムライス
雨戸開く朝の眩しさ春の雪
◎如月の花待つ心もどかしく
軒囃す春雪しづくひとしきり
水温む遊びの誘ひ次々と
◎野に遊ぶ今日のひと日を妻と居て
◎如月や日差し踊れる水の底
水温むほどに釣果の儘ならず
野遊びや生れくる子と夫の里
縄文はかく暮らせしか蛤焼く
車椅子みんなで押して野遊に
野あそびやきりなき子等の草じめり
春の雪溶けてまた降りまた溶けて
紅木瓜や隣家の娘笑ふ声
野遊に出て一万歩達成す
◎如月や卓布の色をとりかへる
水温み水草出づる魚光る
如月や春まだ遠し津波跡
水温む磯に藻を採る媼たち
◎如月の風は光をのせて来る
一直線川沿ひに引く黄水仙
如月に綿入れ着たる祖父母かな
神迎へ鬼の舞ふなり花神楽
櫂要らぬ恋のボートや水温む
水温むはやも何かの動く影
池の泥動かす何か水温む
◎如月の大空襲を逃げしこと
思ひ切りのよき春雷でありにけり
ものの芽もダリアとあれば威厳あり
◎野遊の大好きなまま老いにけり
洛艸
安廣
翠
浩風
あや
言成
瑛三
翠
浩風
あや
嵐耕
浩風
乱
昴
洋一
箕川
昴
浩風
暁子
安廣
箕川
瑛三
兵十郎
言成
浩風
乱
兵十郎
安廣
元彦
和江
遊子
輝子
京子
乱
幹三
輝子
暁子
邦夫
安廣
洛艸
あや
兵十郎
邦夫
遊子
浩風
眞知子
言成
瑛三
あや
言成
翠
井上浩一郎 選
早春や瀬音堰音かろやかに
如月の風は光をのせて来る
思ひ切りのよき春雷でありにけり
池渡る風の匂ひや水温む
み空より幸降るごとく春の雪
庭ぢゆうの雨に光れる木の芽かな
あや
浩一郎
選者吟
第538回 平成26年1月20日 (月)
兼題 嫁が君・初手水(直入) 初雀・寒紅(あや)
席題 卓上に 水仙・臘梅
寒紅や短かき返事京ことば
◎嫁が君大黒柱また齧る
◎寒紅の微妙に違ふ伯母と叔母
寒紅を淡く品よく若女将
◎八十路こえ生きるよろこび初手水
寒紅を引くや誰にも逢はぬ日も
千本鳥居潜り抜け行く初雀
ゆくりなく寒紅もらふ誕生日
子や孫に忘れられたる寝正月
寒紅を引きて舞妓の顔となり
雑煮よりカレーがよいと子の苦情
餅花や色町の門残りたる
まず影の転がり来たる初雀
寒紅や微笑まずともあでやかに
◎遠くより声のみ聞こゆ初雀
◎去年の湯の湯気立つてをり魔法瓶
地面から飛び立つ光初雀
◎居酒屋の守り神なる嫁が君
寒紅や昭和の夢も古びたり
寒紅をさして女は鎧ひけり
回覧板遅まきながら年賀の辞
富士湧水汲みて安堵の初手水
◎顔の皺伸びたる心地初手水
闘病の人寒紅を濃く引きぬ
雲厚き日のつづきをり冬桜
◎知り尽すこの家の迷路嫁が君
寒紅をさして誰かを待つでなく
嫁が君走れるくらしありしこと
幹三
邦夫
邦夫
洛艸
嵐耕
暁子
洛艸
輝子
磨央
安廣
磨央
幹三
暁子
茉衣
乱
幹三
茉衣
遊子
翠
輝子
磨央
洛艸
暁子
嵐耕
幹三
太美子
洛艸
浩一郎
林 直入 選
◎老妻も寒紅引くと知らざりし
妻の煮し七草粥に手を合せ
目覚むれば大梁渡る嫁が君
◎背を伸し寒紅をさし出て行きぬ
◎母逝きぬ寒紅淡く頬にさし
寒紅やティッシュくはへて出来上がり
寒紅をさし風強き街へ出る
松かざり外して今年も息をつく
梁太き庄屋屋敷の嫁が君
寒紅をさしわが心決しけり
八十路こえ生きるよろこび初手水
◎寒紅のくつきり自我の強き人
寒紅を引くや誰にも逢はぬ日も
ゆくりなく寒紅もらふ誕生日
子や孫に忘れられたる寝正月
刀自出でて客に挨拶初商
初手水東の空に震へたる
贈らるる花束既に春爛漫
宮の井の深きを汲みて初手水
寒紅に萎えむとするを支へられ
まず影の転がり来たる初雀
父譲り大島紬初手水
◎寒紅の色鮮かに十七歳
初恋の想ひを託す寒の紅
燈台の白へ水仙のぼりゆく
寒紅の揃ふ太鼓やひびき合ふ
◎ふくらんで日に当りをり初雀
初手水柄杓の木の香あらたなり
◎星一つ掬ひ取りたり初手水
ひたすらに本音で生きむ初手水
初雪に番鴉の円舞かな
水仙の花束香る句会かな
寒紅をさして女は鎧ひけり
初日出で森のいのちを輝やかす
寒紅や暖簾を出して見上ぐ空
回覧板遅まきながら年賀の辞
初手水灯明一つ山の寺
◎遠慮なく朝酒戴く三が日
◎強く引く寒紅病魔に負けじとぞ
寒紅をさして誰かを待つでなく
◎婚の荷に寒紅求む父なりき
日溜りに寄れば喧し初雀
直入
安廣
元彦
敏夫
輝子
眞知子
敏夫
磨央
幹三
太美子
嵐耕
眞知子
暁子
輝子
磨央
遊子
邦夫
直入
瑛三
眞知子
暁子
乱
安廣
安廣
浩一郎
箕川
浩一郎
輝子
安廣
洛艸
京子
京子
輝子
浩一郎
暁子
磨央
安廣
洋一
翠
洛艸
太美子
敏夫
長山あや 選
寒紅にハリウッド好みなど無かり
三日目のもう老成の初雀
むつまじく兄弟多き初雀
日のつらら風のつららと育ちけり
風の神つくり給ひしつららかな
きびしさの脳までひびく初手水
直入
あや
選者吟