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kukaihousyouroku

 のどけさや金剛葛城遠く見ゆ
 独りごつ春夜の闇の黙深し
 吟行の後は句談議永き日を
 永き日や途切れず家事のありにけり
 曇り日の部屋に牡丹の耀へり
 のどけしや象は鼻もて睦みあふ
 木屋町をそぞろ歩きの春の宵
 みよし野の野の香り濃きよもぎ餅
 南座にそろうて二人春の宵
 夜半の春湖北の宿の仄明り
 人待ちて柳の雨となりにけり
◎神苑の静寂を破る落花かな
 東山日永の鐘のどこやらに
 さみどりの柳の映ゆる蔵の町
◎つつみゐし時こぼしつつ牡丹咲く
 被災地の破屋に桜独り咲く
 春の夜を勧め上手と地酒汲む
 湖の国の畑黒々と長閑なる
 永き日を言葉忘れし妻とゐて
 のどけしや生きる歓び弾くピアノ
 やはらかき雨に息づく柳かな
◎芽吹く程重くなり行く柳かな
 のどけしや指文字踊る手話教室
◎春の夜や即かず離れず酌み交はす
 糸柳かすかに揺れて風を知る
 碑に枝垂るる柳旧街道
 鳶舞ひて潮騒聞こゆ駅長閑
◎山合いの鄙びた寺の初桜
 もう一寺廻れさうなる古都日永
 のどけしやカヌー行く手に蕪村の碑
 おもむろに父の書棚へ春の夜
 ブータンは幸の国長閑なり
 長閑なる一日書斎に山望む
 老耄を得たり長閑にややも似て
◎川風に柳の靡く酒の街
 徒然なり雲一つだに無き日永
 春の夜独り居の部屋音もなく
 菜の花に集まつてゐる光かな
 春の夜や心ときめくパバロッティ
◎しやぼん玉あきらめといふ美しさ
 飛鳥川埋めんばかりに花筏
 春の夜若き日の恋ふと胸に
 今日の句座主役は華あるぼたんなる
 春の夜の言葉も黙も柔かく
 永き日をふうわり海月浮いてをり
◎月も星も融けゆく如し春の夜
 道問へば優しき訛長閑かな
 春の夜の夢か現か新細胞
◎たんぽぽを吹き出す土の匂ひかな
 妻相手問はず語りの春の夜
 甲子園八連勝の日永かな
 鐘の音のわたり洛中日永かな
 一心に日曜大工日の永し
◎山里の雨はしづかに夜半の春
 永き日や過去が現在(いま)なる姑(はは)とゐて

言成

輝子
暁子
暁子
浩風
遊子
太美子
嵐耕
京子
浩一郎
太美子
浩一郎
暁子
眞知子
安廣
太美子
兵十郎
瑛三
英雄
浩一郎
安廣
輝子
邦夫

兵十郎
暁子
茉衣
暁子
京子
和江
香月

浩一郎
浩風
邦夫
洋一
幹三

みなみ
遊子
英雄
眞知子
浩一郎
ゆたか
安廣
暁子
和江
京子

言成
浩一郎
和江
太美子
眞知子

長山あや 選

第542回 平成26年4月21日 (月) 

兼題  日永・春の夜(あや)  長閑・柳(浩一郎)
題  卓上に 白牡丹・苺の花・金盞花・アイリス・
    フリージア・林檎の花

◎のどけしや象は鼻もて睦みあふ
 木屋町をそぞろ歩きの春の宵
 みよし野の野の香り濃きよもぎ餅
 夜半の春湖北の宿の仄明り
 柳葉を白く返して風通る
◎今少し歩いてみよう春の夜
 見学者迎へのどかな句会かな
 さみどりの柳の映ゆる蔵の町
 つつみゐし時こぼしつつ牡丹咲く
 桜木の間に浮かびをり山の寺
 春の夜の風の誘ふ灯りかな
◎永き日を言葉忘れし妻とゐて
 椿咲く島へ凪ぎたる船路かな
 ぶらぶらとくらしてをれば日の永く
 チェロ聴きし余韻やはらか春の夜
 永き日やまたコーヒーをいれてをり
 夕刊を取りて草引く日永かな
 灯し火に滲む影あり春の夜
 お話の続きは明日夜半の春
 碑に枝垂るる柳旧街道
◎ふと寂しどつぷり恋し春の宵
 鳶舞ひて潮騒聞こゆ駅長閑
◎花冷やつまりは父と似てゐたる
 永き日の暮れまで続く庭手入
 砂浜にさざ波のよす日永かな
 川添ひの柳並木のゆれゆれて
 もう一寺廻れさうなる古都日永
◎エレベーターひとりで昇る春の夜
 春の夜のまだ祇園町宵の口
 独酌に己鎮めて春の夜
 何となくアルバムを繰る春の夜
 ブータンは幸の国長閑なり
 宿敵に三連勝の春の夜
 見る夢の埒なき齢春の夜
 残りたる上枝(ほつえ)の垂るる柳かな
 わだかまりさらりと捨てて柳芽に
 駅前の柳ゆらせてバス留まる
 徒然なり雲一つだに無き日永
◎ねぎらひのひと声かけて牡丹剪る
 やはらかなみどり新し糸柳
 春の夜若き日の恋ふと胸に
 無人駅降り立つ旅ののどけしや
 青年と柳の下の待ち合はせ
 春の夜や火星の赤さきなくさく
 花影踏む少女の足ややはらかく
 月も星も融けゆく如し春の夜
 道問へば優しき訛長閑かな
 若柳水満々とある堤
 春の夜賢治の童話読んでやる
 のどけしや金の鳳凰光る屋根
◎たんぽぽを吹き出す土の匂ひかな
 春の夜の古き日記を繙けり
 のどけしやバスにゆられて二人きり
 永き日や過去が現在(いま)なる姑(はは)とゐて
◎山里の雨はしづかに夜半の春
 のどけさや金剛葛城遠く見ゆ
 永き日や似てゐる人と犬の顔
 毛筆で仮名書く稽古長閑けしや
◎曇り日の部屋に牡丹の耀へり
 鉢植をいじくり廻す日永かな

浩風
遊子
太美子
京子
安廣
邦夫
言成
暁子
眞知子

邦夫
瑛三
遊子
ゆたか
あや
輝子
洛艸
香月

兵十郎
眞知子
暁子
幹三
言成
ゆたか
眞知子
暁子
幹三
洛艸

安廣
香月
元彦
瑛三
邦夫
香月
言成
邦夫
太美子
輝子
英雄
英雄
あや
言成
みなみ
安廣
暁子
幹三
輝子
眞知子
京子
洛艸
嵐耕
眞知子
太美子
言成
幹三
眞知子
暁子
浩風

井上浩一郎 選

 春の夜やひと日去りゆく門を閉づ
 青年と柳の下の待ち合はせ
 チェロ聴きし余韻やはらか春の夜
 老耄を得たり長閑にややも似て
 やはらかき雨に息づく柳かな
 春の夜の言葉も黙も柔かく

あや


浩一郎

 

選者吟

◎妻逝きて儘にならざる更衣
 影広く水面に拡げ若楓
 春愁やダリの時計の歪みたる
 陽を浴びて風に華やぐ若楓
 その夏のことの眩しくまなうらに
 これだけは守り小坊主更衣
 若楓重なり合うて池昏し
 雨足の見えて芍薬崩れけり
 夏来り病窓から見る緑かな
 吊橋の空に明るく若楓
 おらんだ坂登れば学舎若葉風
 若楓青き葉影を重ね合ひ
 若楓に頬撫でられて磴のぼる
 颯爽と人も自然も更衣
 芍薬を今こそ剪らめ客来る
 やはらかな風に色のせ若楓
 池の鯉泳ぎ大きく夏来る
 谷川に魚影戻りぬ夏立ちて
 薄つすらと紅を引きたる若楓
◎八重咲きの芍薬崩れさうな夜
 安らぎの木陰の風や夏来る
 白き帆の湖きらきらと夏来る
◎俳句てふ楽しみありて夏来る
 ハイキング五月の風とたはむれて
 蚕豆の莢のしめりに育つ豆
 若楓みどりの波を寄せ来たる
 さし交はす若き楓や磴長し
◎芍薬や末の妹より嫁ぐ
 更衣背丈いささか縮みしか
◎更衣娘らしくて見直せり
 三山を見晴るかす丘夏立ちぬ
 はなむけに白き芍薬ひとつ截る
 田には水山盛り上り夏来る
◎更衣生成り木綿の肌ざ
 若楓くぐり流鏑馬駈け抜ける
◎樹冠よりひらりと余花の便り来る
 伊賀の酒飲みつつ若葉愛でにけり
 山門を覆ひて明かし若楓
 若楓心も軽く老(おい)遊ぶ
 過疎の村芍薬一輪咲き残り
 若楓奥の院へは後二丁
 更衣あといくたびとふと思ふ
 竿竹を売る声路地に夏来る
 山と川みどり一色夏立ちぬ
 自から広がる歩幅更衣
 雨はれて雫光れる若楓
 芍薬にかすむ帰らぬ過去のこと
◎子の手脚すらりと伸びて夏に入る

洛艸
ゆたか
遊子

浩一郎
兵十郎

浩風
茉衣
洛艸


言成
茉衣
邦夫
英雄
洛艸
安廣

京子
英雄
瑛三
京子
磨央
眞知子
輝子
暁子
幹三
眞知子
ゆたか
遊子
浩一郎

京子
洛艸

遊子
兵十郎
邦夫
洋一

言成
洛艸
茉衣
暁子
浩一郎
茉衣
邦夫

長山あや 選

第543回 平成26年5月19日 (月) 

兼題  立夏・若楓(あや)  更衣・芍薬(浩一郎)
席題  卓上に 山法師・紫蘭・豌豆・蚕豆・カーネーション

◎花済みし芍薬の根の干されけり
◎芍薬や山のお寺の落語会
 若楓くぐりて通る弓道部
 淀川に水満満と夏来たる
 谷川に魚影戻りぬ夏立ちて
◎安らぎの木陰の風や夏来る
 白き帆の湖きらきらと夏来る
 そぼと降る雨に濡れたる若楓
 通学の子らもいつしか白き服
 一樹とは思へぬ木蔭若楓
 反照にきらめく木の葉夏来る
 若楓みどりの波を寄せ来たる
 夏来るはやも狂気の気配秘め
 芍薬や末の妹より嫁ぐ
 起重機の降りゆく先に卯浪立ち
 酒に解く医師のひと日や夏に入る
◎更衣背丈いささか縮みしか
 影いまだ作れぬほどの若楓
 何となくさつぱりしたる更衣
 身も軽く心も軽く更衣
 滝の左右揺れて明るき若楓
 伊賀の酒飲みつつ若葉愛でにけり
◎更衣介護の人の腕太し
 芍薬の花の蔭には蟻の棲む
 更衣して首長くなりにけり
 若楓影やはらかにゆれゆれて
 芍薬を活け明るさを病室に
◎いつも腰かける石あり風薫る
◎少年の遠き瞳や夏来たる
 更衣今年らしさを少し入れ
 芍薬の所を得たり白書院
◎自から広がる歩幅更衣
 更衣靴は真白なスニーカー
◎子の手脚すらりと伸びて夏に入る
 若楓くぐり流鏑馬駈け抜ける

元彦
暁子
幹三
あや
安廣
英雄
瑛三
邦夫
洋一
あや
洛艸
輝子
眞知子
幹三
洋一
あや
眞知子
洛艸
ゆたか
嵐耕
洛艸
遊子
瑛三
輝子
浩風
眞知子
言成
幹三
輝子
眞知子
瑛三
暁子
輝子
邦夫
洛艸

井上浩一郎 選

 酒に解く医師のひと日や夏に入る
 芍薬やくしやくしやに咲き美しき
 淀川に水満満と夏来たる
 はなむけに白き芍薬ひとつ截る
 雨はれて雫光れる若楓
 明け放つ居間に夏来て溢れけり

あや


浩一郎

 

選者吟

アンカー

 大桜天蓋にして雨の庭
 ハルカスの高さを隠す春の雨
 花の雨沛然と庭叩きをり
 茶臼山の霊を鎮めて白椿
 春の雨たたくつはものどもの陣
 四阿の木椅子の湿り花の雨
◎鷺鳴きし声深々と春の雨
 嵐にも咲き初むる花凛とせり
 固き殻ぬぎ捨て淡き楠新芽
 見はるかす通天閣や桜越し
 紫の気品こぼれるすみれ草
 白鷺の飛び立つ池や花の雨
 いくさ跡木蔭にひそと黒椿
 花の雨風も騒ぎて古戦場
 木瓜の花雨に打たるる赤淋し 
◎本陣のありしてふ丘椿落つ
 利休忌や雨の庭見る四阿に
 雨垂れに花房揺るる馬酔木かな
 園庭の森ゆらぐ空花の雨
 咲き初めし椿取り巻く古戦場
 気がつけば春の装ひ交差点
 雨細く花散る下を通りけり
 身のうちにつと芽ぶくもの二つ三つ
 春嵐戸ひたと閉めて池の亭
◎池覗き自己陶酔の柳の芽
 蝌蚪の群河底池に幾星霜
 大雨を来て公園の花明り
◎春愁や犀の眉間の硬き角
 春泥の靴どかどかと四阿へ
◎雨しとど初音の森の小道かな
 春の雨動いてゐたる河馬の耳
◎茶臼山椿散りしく陣のあと
 雨しとど山桜いま咲き初めし
 ハルカスを朧に望む古戦場
 春雨やおほかた眠る動物園
 木木芽立つ色それぞれの雨雫
 初花の雨の冥さに咲きにけり
◎春驟雨豹の見てゐる遠くかな
 雨音を消して初音の森の道
◎芽柳のみどり滲ませ雨の降る
◎木々の芽のつぶやき聞こえさうな苑
 雨に花散り込む池やいや古れる
 雨に濡れ馬酔木の花のしつとりと
 ハイエナの身震ひしたる春の雨
 風椿また落椿なる山路

京子
浩一郎

言成
眞知子
輝子
兵十郎
邦夫
兵十郎
瑛三
洋一
京子
兵十郎

瑛三
輝子

輝子
京子

洋一
浩一郎
眞知子
浩一郎
言成
邦夫
瑛三
幹三
暁子
京子
幹三
眞知子
輝子
言成
暁子
京子
暁子
幹三
京子
輝子
暁子
浩一郎
邦夫
幹三
浩一郎

長山あや 選

◎やはらかき雨の茶房の春灯
 春雨を突いてハルカス天に伸び
◎四阿の木椅子の湿り花の雨
 古戦場茶臼の山の紅椿
 春陰の森動くものなきしじま
 鷺鳴きし声深々と春の雨
◎見はるかす通天閣や桜越し
 白鷺の飛び立つ池や花の雨
 花一片うけて飛石伝ひゆく
◎逡巡を吹き飛ばしたる春の雷
 木瓜の花雨に打たるる赤淋し 
 本陣のありしてふ丘椿落つ
 利休忌や雨の庭見る四阿に
◎雨垂れに花房揺るる馬酔木かな
 昏き雨園を灯して青柳
 花として負けぬ気概や紫木蓮
 身のうちにつと芽ぶくもの二つ三つ
 春驟雨雀といつしよに雨やどり
 春の昼地下の茶房に女どち
 大雨を来て公園の花明り
 雨上る気配明るき桜花
◎春愁や犀の眉間の硬き角
 春泥の靴どかどかと四阿へ
 象の耳春雨の音聴いてをリ
 春の雨動いてゐたる河馬の耳
 茶臼山椿散りしく陣のあと
 はばたける鷺の真白や春の雨
◎春雨やおほかた眠る動物園
 木木芽立つ色それぞれの雨雫
 初花の雨の冥さに咲きにけり
 吟行の出足をくじく春の雷
 花冷のしんしんと身に沈みゆく
 春昼や時はゆつたり象の園
 春驟雨豹の見てゐる遠くかな
 雨音を消して初音の森の道
 老いてまたさくら花咲く時迎へ
 芽柳のみどり滲ませ雨の降る
 春愁を胸にそぼ降る茶臼山
 雨に濡れ馬酔木の花のしつとりと
 落椿とは雨の日を暗くする
◎ハイエナの身震ひしたる春の雨
 鐘の音に亀も小声で鳴きにけり
 空もビルも桜もかすむ今日の雨

あや
洋一
輝子
瑛三
あや
兵十郎
瑛三
京子
輝子
あや
瑛三
輝子

輝子
瑛三
言成
眞知子

輝子
瑛三
兵十郎
幹三
暁子
暁子
幹三
眞知子
輝子
暁子
京子
暁子
京子
あや

幹三
京子
洋一
輝子

邦夫
あや
幹三
洋一
眞知子

井上浩一郎 選

 やはらかき雨の茶房の春灯
 春陰の森動くものなきしじま
 花はみな眠りにもどる雨ひと日
 風の来てこぼす辛夷や地に白き
 風椿また落椿なる山路
 雨細く花散る下を通りけり

あや


浩一郎

 

アンカー

item1

第541回 〈吟行句会〉平成26年3月30日 (日) 

吟行地  天王寺公園・慶沢園・茶臼山と天王寺動物園

選者吟

アンカー

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第538回 H26.01.20

第539回 H26.02.17

第540回 H26.03.17

第541回 H26.03.30

第543回 H26.05.19

第542回 H26.04.21

第546回 H26.07.14

第547回 H26.08.18

第548回 H26.09.08

第549回 H26.09.29

第545回 H26.06.29

第544回 H26.06.16

第550回 H26.10.20

第551回 H26.11.17

第552回 H26.11.30

第553回 H26.12.15

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