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神苑に紅く生まれし蜻蛉かな
◎梅雨燕応天門をくぐり抜け
睡蓮に隠れゐるもの狙ふ鷺
川床座敷横目に眺め神苑へ
葉桜の古き電車に添ひて立つ
丹の回廊くぐれば涼し木陰道
◎亀も鯉もすっぽんも来て梅雨晴間
青田なか光となりて風渡る
日かげりて色現はるる半夏生
熊野社の茅の輪青かり宮参り
神苑にやすらふ番夏の鴨
昨夜の雨光り夏萩みだれ咲く
外国の人も夏越の大祓
◎神苑の昏き順路の涼しかり
隣合ふ佳人の扇子香を添へて
効きさうな青き茅の輪の熊野宮
梅雨晴間応天門で待合はせ
ほの紅き実梅枝にも地面にも
小流れに沿うて行く径木下闇
梅雨空の見えぬ高さに杜の樹樹
◎額の花疎水の脇の地蔵尊
◎睡蓮の花天竺の砂糖菓子
◎睡蓮にある今日の花明日の花
六月の花嫁眩し橋の上
外つ国の言の葉茅の輪くぐりけり
◎応天門茅の輪くぐりを試しけり
燕子花広きの垂れて細き立つ
蜘蛛の囲に光残して雨上る
池の上雲とどまりて蓮浮葉
夏越とや茅の輪大きくまるくあり
◎小流れを堰き止めるかに半夏生
響きくる神鼓睡蓮ふるわせて
花菖蒲咲き残す青あざやかに
梅雨晴間平安の苑匂ひ濃し
松緑大極殿の照り映えぬ
橋殿を統べる鳳凰雲の中
涼しさは賽銭箱の中にあり
橋殿に座して薫風ほしいまま
応天門夏越の祓明日にして
ほととぎす神苑青きみ空かな
幹三
輝子
言成
洋一
安廣
言成
幹三
曉子
幹三
瑛三
洋一
洛艸
兵十郎
曉子
言成
元彦
輝子
乱
洛艸
曉子
兵十郎
幹三
言成
邦夫
乱
洛艸
邦夫
翠
幹三
輝子
洛艸
曉子
兵十郎
邦夫
兵十郎
言成
幹三
洛艸
洋一
瑛三
井上浩一郎 選
第545回 〈吟行句会〉平成26年6月29日 (日)
その向ふ水音のあり花菖蒲
河骨の黄よりすつぽん泳ぎ来る
橋殿の風に押さへて夏帽子
浩一郎
選者吟
第544回 平成26年6月16日 (月)
兼題 蝸牛・黴(あや) 五月雨・柿の花(浩一郎)
席題 卓上に 額の花・未央柳・枇杷・百合
ぽつねんと釣人ひとり五月雨るる
◎黴匂ふまだ捨て切れぬ専門書
黴匂ふ和綴じの本の並ぶ棚
湿り香や熊野の道のさみだるる
仏の灯ひそかに燃えて黴の宿
◎くつさめや読むもあらずに黴の本
◎適塾や西洋医書の黴匂ふ
◎柿若葉照り誰も来ぬ日曜日
◎家持の孤愁の丘やほととぎす
みよし野の雨やはらかく蝸牛
首揃へ親待つ子燕発車ベル
五月雨や魚食ぶ鷺の羽根光る
恋知らぬ少年の手の花柘榴
でで虫の弛まぬ鈍さ学ぶべし
◎五月雨の止んで村里みづみづし
惜しげなく落花し柿の茂りゆく
五月雨や三川集む水の音
閑中忙米寿を祝ふ初夏の宵
瑞枝より零るる雨滴百日紅
かたつむり休み休みに塀登る
知らぬ間や庭の小径の柿の花
◎さみだるる長き埠頭や海昏し
◎定年の私物は終に黴の山
五月雨や廊下に響く松葉杖
一周忌君懐かしむ枇杷の味
五月雨や我が家に続く坂長し
蝸牛お前との刻すぎ易し
句会てふ心の黴を払ふ場所
ででむしや角一本で雨探る
鷺一羽点景にして五月雨るる
蜜蜂が難儀して出る柿の花
虹消えてこの部屋なぜか黴臭し
山里に平家末裔柿の花
熊野路の句碑浮き立たす五月雨
書に倦みて五月雨の窓ぼんやりと
紫陽花の葉蔭に揺れる猫の夢
五月雨に水漬き易きが広い芝
山道を乾ききつたる蟹歩く
豆腐屋の小型車路地へさみだるる
若き日の黴の日記も捨てにけり
◎東山けむりて京のさみだるる
黴匂ふ家に戻りて旅終る
五月雨の晴れ間に広がる藍の空
旅の朝五月雨と聞く鐘の音
稽古終ふ舞妓小急ぎさみだるる
ででむしの歩みのごとし人の世も
柿の花介護の車週に二度
三四郎美禰子の影か五月闇
常ならぬ淀の速さへさみだるる
山頂の夏鶯や遠山脈
◎短か夜や雨の匂ひに明けにける
人類は地球の黴と思ふかな
五月雨や軒の雫が時刻む
五月雨を耳に遊ばせ活字追ひ
ふるさとの友との閑話柿の花
更衣天香具山すそ長し
句碑なぞるででむしのゐて雨晴間
みささぎに柿の花咲く飛鳥かな
五月雨に木道も浮く尾瀬ヶ原
ででむしや孤にして心自由なり
◎黴の香に明け暮れ遺品整理かな
夾竹桃白し外人墓地広し
輝子
瑛三
言成
兵十郎
ゆたか
浩一郎
暁子
輝子
遊子
太美子
洋一
眞知子
茉衣
洛艸
邦夫
翠
瑛三
磨央
洋一
邦夫
浩一郎
暁子
兵十郎
昴
言成
輝子
ゆたか
暁子
兵十郎
輝子
安廣
ゆたか
昴
兵十郎
洛艸
茉衣
ゆたか
幹三
暁子
暁子
嵐耕
京子
茉衣
安廣
洛艸
嵐耕
眞知子
乱
浩一郎
京子
香月
眞知子
安廣
洋一
邦夫
遊子
瑛三
遊子
和江
翠
洛艸
幹三
長山あや 選
ぽつねんと釣人ひとり五月雨るる
二眼レフカメラ遺品に黴のなく
棲みつきし垣のででむし動かざる
布引の飛沫を横切る黒揚羽
黴匂ふまだ捨て切れぬ専門書
黴匂ふ和綴じの本の並ぶ棚
ででむしの這ひ上りゆく石地蔵
五月雨に逗留したる湯宿かな
◎仏の灯ひそかに燃えて黴の宿
◎柿若葉照り誰も来ぬ日曜日
◎存分にしたる欠伸や柿の花
仙花紙の卒論黴の匂ひけり
五月雨の止んで村里みづみづし
瑞枝より零るる雨滴百日紅
五月雨や神父挿しくる蛇の目傘
去年より空家華やぐ柿の花
翅広ぐときに息吐く揚羽蝶
◎五月雨や廊下に響く松葉杖
五月雨やうぐひす張もしめりがち
◎一周忌君懐かしむ枇杷の味
山里に平家末裔柿の花
黴くさきアルバムに吾が幼き日
土蔵脇塀をまたぎて柿の花
◎若き日の黴の日記も捨てにけり
東山けむりて京のさみだるる
百年を経し黴の家手放せし
短か夜や雨の匂ひに明けにける
その後に青き実確と柿の花
零るともなく零れをり柿の花
見晴らしの良き欄干の蝸牛
◎ふるさとの友との閑話柿の花
◎ころころと路塞ぎけり柿の花
◎みささぎに柿の花咲く飛鳥かな
ででむしの一と日ゆるゆる過ぎてゆく
黴の香の抜けざるままに形見分け
輝子
兵十郎
浩風
遊子
瑛三
言成
洛艸
邦夫
ゆたか
輝子
幹三
浩風
邦夫
洋一
浩風
和江
幹三
昴
輝子
言成
昴
輝子
洛艸
暁子
嵐耕
あや
香月
元彦
香月
元彦
邦夫
乱
遊子
輝子
洛艸
井上浩一郎 選
来し方をつづりででむし銀の道あや
ででむしや葉裏にひそと雨しのぐ
百年を経し黴の家手544回放せし
くつさめや読むもあらずに黴の本
常ならぬ淀の速さへさみだるる
でで虫と並び見るなり淀の雨
あや
浩一郎
選者吟
吟行地 平安神宮神苑
第546回 平成26年7月14日 (月)
兼題 夏の月・月見草(あや) 涼し・茄子(浩一郎)
席題 卓上に 胡瓜・トマト・青唐辛子・桔梗・紫式部の花
◎くしやくしやのハンカチ出して振り給ふ
逆上りできし公園月見草
日は西に月はまだ出ず月見草
おつとりと大きく丸き茄子一つ
◎たゆたうてセーヌに浮ぶ夏の月
航涼し明石大橋はるかなる
人も木も影失ないて梅雨曇
◎売れ残る土地埋めつくし月見草
月見草夕月よりも濃くひらく
街の夜をのつぽのビルと夏の月
梅雨明けを兼題として逝かれけり
◎焼酎を干して単刀直入に
リズムよく響く鋏や茄子畑
まだ月の出ぬに綻ぶ月見草
少年の言葉一途や風涼し
◎卓上に師を悼む白夏桔梗
人柄のままの涼しき最期かな
朝食はパンとトマトと珈琲と
浅漬けの茄子くつきりと藍の色
冴々と明るい空に夏の月
夏の月橋たもとほる人の影
◎昨夜はもう昔となりぬ月見草
食膳に茄子つややかに夕餉かな
夕暮れを開きつづけて月見草
◎涼しさよ句集残さず逝かれたる
棚田ごと小宇宙なる夏の月
◎もう聞けぬ涼しき声の名乗りかな
夏の月ゆつくり廻る観覧車
◎夕風に海の音聞く月見草
煮て焼いてつけてと日毎茄子料理
寝袋で見る高原の星涼し
月見草白のかなしも師の訃音
艶やかに光る命の茄子喰らふ
茄子積んで市場一隅かがやける
神苑へ流るる山の水涼し
六甲も生駒も見せじ梅雨の雲
水使ふ音のしてをり夏の月
ほの赤き夏の月ある帰港かな
煮て焼いて自己主張せぬ茄子旨し
川風を誘ひ誘はれ月見草
夏の月新内流し遠ざかる
月見草浮かべては消すヘッドライト
タイガース勝ちて夜空の星涼し
◎夏の月短き生を淡淡と
みどり児も母も眠りて涼しき夜
恋の行方そつと見守る月見草
睡蓮の開き始むる茶会かな
悠久の棚田の歴史夏の月
夕富士は涼しきものと仰ぎみる
夏の月戦火はてなきこの地球
芭蕉布や糸繰るひとの指涼し
床下の瀬音涼しき昼の膳
◎夏の月孤高に逝きし師を想ふ
月見草揺らせて発ちぬ終列車
川風のそよぐ岸辺の月涼し
蹠 (あうら) より涼しさ貰ふ仏間かな
ほの暗き香気ただよふ堂涼し
古書多き父の蔵書や土用干し
◎月涼し亡き人忍ぶとき澄みゆく
月見草寄り添うて聞く波の音
みこころに従はれゐる涼しさよ
隠沼を照らして赤き夏の月
◎会釈して去り行く人や月見草
幹三
兵十郎
言成
安廣
昴
嵐耕
幹三
輝子
ゆたか
瑛三
言成
幹三
暁子
洛艸
浩一郎
太美子
暁子
言成
安廣
茉衣
浩一郎
太美子
英雄
嵐耕
輝子
和江
暁子
瑛三
京子
眞知子
洛艸
瑛三
昴
浩一郎
京子
磨央
幹三
洛艸
輝子
兵十郎
眞知子
太美子
言成
邦夫
夜輝子
翠
遊子
京子
ゆたか
眞知子
昴
洛艸
翠
暁子
兵十郎
洋一
洛艸
遊子
眞知子
昴
太美子
浩風
昴
長山あや 後選
少年の言葉一途や風涼し
涼しさは一日終りて事も無き
山荘のむかしのことを月見草
浩一郎
選者吟
◎くしやくしやのハンカチ出して振り給ふ
逆上りできし公園月見草
だれかれの噂も交へ門涼み
◎池巡る間に未草目覚めけり
たゆたうてセーヌに浮かぶ夏の月
航涼し明石大橋はるかなる
涼しさの葉ずれの音を運ぶ風
サーファーは影絵のごとし月見草
夏の月うつして水面平らなり
待宵草鰹漁師の留守の庭
錆びしまま廃線のあり月見草
早咲きの桔梗紫鮮やかに
焼酎を干して単刀直入に
リズムよく響く鋏や茄子畑
◎卓上に師を悼む白夏桔梗
暮れなづむ沖に帆ひとつ夏の月
◎月見草心の晴れぬ闇夜かな
人柄のままの涼しき最期かな
舫はれし舟に寄り添ひ月見草
航跡の泡消え止まず夏の月
涼しさよ句集残さず逝かれたる
◎もう聞けぬ涼しき声の名乗りかな
涼しかり金魚の里の水の色
寝袋で見る高原の星涼し
◎月見草白のかなしも師の訃音
忍び逢ひしことふと胸に月見草
お使ひの辿り着いたる土間涼し
神苑へ流るる山の水涼し
◎水使ふ音のしてをり夏の月
戻り来て涼しき家の有難し
タイガース勝って夜空の星涼し
◎みどり児も母も眠りて涼しき夜
◎睡蓮の開き始むる茶会かな
夕富士を涼しきものと仰ぎみる
夏の月孤高に逝きし師を想ふ
水茄子を漬けて家風に染まる嫁
月見草揺らせて発ちぬ終列車
川風のそよぐ岸辺の月涼し
宵待のそよ風涼し雨のあと
遠き日の淡き想ひや月見草
蹠 (あうら) より涼しさ貰ふ仏間かな
風呂屋出て共に帰りし夏の月
◎厨事終へて仰げば月涼し
古書多き父の蔵書や土用干し
◎恥ぢらひの始まる齢月見草
生きて来しひと世のいとし夏の月
よろこびにときめく心凌霄花
月見草愛でつつ去りし山ガール
涼しさや水遣り終ふる立話
月見草寄り添ひて聞く波の音
夜の更けて無人の球場月涼し
木蔭にて風に頷く月見草
夏の月大寺の屋根光らせて
擱座せる船に人あり夏の月
幹三
兵十郎
浩風
乱
昴
嵐耕
香月
暁子
香月
洛艸
眞知子
言成
幹三
暁子
太美子
昴
邦夫
暁子
草翠
昴
輝子
暁子
瑛三
洛艸
瑛三
和江
邦夫
京子
幹三
暁子
言成
夜輝子
遊子
ゆたか
翠
浩風
暁子
兵十郎
磨央
安廣
洋一
邦夫
太美子
遊子
浩風
暁子
茉衣
洋一
邦夫
昴
嵐耕
草洋一
眞知子
ゆたか
井上浩一郎 選