OMORO!HANDAI

発見!オモロいおおさか。Osakanマニアックス 発見!オモロいおおさか。Osakanマニアックス

「OSAKANマニアックス」ってなに!?

これでキミも“OSAKAの達人”!?
「大阪」生まれの「阪大」育ちのワタシでも、まだまだ「おおさか」については知らないことばかり。
「たこ焼き」や「世話焼きおばちゃん」だけが、大阪のシンボルではないはずですよ(笑)。
府外からの受験生や留学生の皆さんはもちろんのこと、府内の方にもいろいろ学んでいただけるように、ガッツリ前のめりで
「OSAKAの魅力」を探しに行きましょう!

vol.08

ARTICLES 湯川秀樹博士愛用の黒板(大阪大学理学研究科H棟7階)

「この黒板から湯川先生のオーラを感じます」。これは、湯川秀樹博士愛用の黒板に初めてチョークで書いてみた理学研究科の大学院生の言葉で、テレビニュースでも放映されたものです。実際、黒板の設置に関わった私も、黒板の現物がはるばるアメリカから日本に到着したとき、同じ感想を持ちました。しかしいま、湯川博士愛用の黒板は、完全に理学研究科の日常にとけ込んでしまいました。毎日、大学院生のディスカッションや自主ゼミに使われ、まさしく研究と教育のための黒板として、第2の黒板人生をスタートさせているのです。
湯川秀樹は、1949年にノーベル物理学賞を受賞しました。この受賞の対象となった中間子論の論文は、当時、大阪中之島にあった大阪大学(旧大阪帝国大学)理学部で誕生し、この論文によって湯川は大阪大学より理学博士の学位を取得したことを皆さんはご存知でしょうか。湯川は受賞の一報を受けたとき、アメリカのコロンビア大学で客員教授をしていましたが帰国となり、空いた教授室を引き続き使ったのが、その後ノーベル物理学賞を受賞するT. D. Lee教授でした。彼は、湯川の使用した机や黒板などをそのまま敬意を持って使い続けたといいます。その黒板が半世紀を経て、2014年3月に大阪大学に移設されることとなったのです。理化学研究所のセンター長も務めたT. D. Lee教授の口添えと理化学研究所のご厚意で、「湯川黒板」は大阪大学へやって来ました。平野俊夫元総長、湯川秀樹博士のご子息や南部陽一郎 特別栄誉教授が列席した黒板披露式典では、「黒板フェチの橋本さん」と何度も呼ばれた私ですが、黒板好きが高じてここまで人をつなげることができたことを幸運に思っています。
黒板は、学生が自由に使える理学研究科物理学専攻H棟の7階コミュニケーションスペースに設置されています。しかしこの頃の大学生は、LINEだのTwitterだのと忙しく、定められたメディア形式の中で泳がされ、自分の表現手段を制限してしまっていることに気付いていません。黒板は、自分のアイデアや考え方を、まったく自由にしてくれるキャンバスです。まずは湯川先生のオーラを感じてみるだけで良いので、ぜひ使ってみてください。使ってみればすぐに、湯川黒板は自分の日常となり、そして自分が次のステップに立っていることに気付かされると思います。

(理学研究科教授 橋本幸士)

<関連Webページ>
○阪大NOW(大阪大学HP)
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/publicrelation/now

※当該記事は阪大NOW (No.141/2014年7月発行)「濃いっ!阪大‐湯川秀樹編‐」に掲載されたものから抜粋し、一部改編し掲載しています。

タグがありません。