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幅広い分野に最先端のAI技術を身につけた人材を〜実データで学ぶ人工知能講座(NEDO特別講座)

「データから価値を生み出す力」を育成

 AI技術は今、さまざまな分野の企業で注目されているが、「日本ではAIに関する知識・技術を持った人材が大幅に不足している」と講師を務める沼尾正行教授(産業科学研究所)。「短期間のプログラムで、最先端のAI技術を身につけた人材を育成したい。目指すのは『データから価値を生み出す力』の向上」と講座開設の背景と目標を語る。

 当講座の教育プログラムは、コンピュータサイエンスに関する基礎学力を測るCS(コンピュータサイエンス)プレースメントテスト、AIに関するトップレベル講義(3科目)、リアルコモンデータを扱う演習(1科目)、プログラム修了時の能力評価で構成されている。

AI関係の講義(90分×15回)は大学院レベル。18年度・春〜夏学期(4〜9月)は、「知能と学習」「ビッグデータ解析」「脳機能計測概論」で、AIに関する先導的知識、基礎的知識を獲得。続く秋〜冬学期(10〜3月)は「画像認識」「ロボットビジョン」「知識情報学」を開講予定だ。

各講義と関連する演習(90分×15回)では、春〜夏学期は画像、脳データ、各種センサデータを、秋〜冬学期は自然環境データ、画像、人物データなど、大阪大学だからこそ入手可能な他の研究科やセンターの最先端の研究論文などで使用された実データを対象に学びの場を提供。プログラム修了時には、教育の質を保証するため、各科目の能力評価が実施される。

 

脳科学分野の最先端データを使用した演習も

 このプログラムは、大阪大学大学院情報科学研究科、同産業科学研究所、脳情報通信融合研究センター(CiNet)の教員が指導する。講師の福井健一准教授(産業科学研究所)は「現場で使える知識・技術であることを意識しています。またキャンパス内にあるCiNetとも密に連携し、CiNetで計測された脳科学分野の最先端データを用いた演習なども行われます。社会人対象のAI講座としては非常にユニークな内容」と語る。ディープラーニング(深層学習)のアルゴリズムが実行できる最新の大型コンピュータ設備8台を、受講生が演習で活用するのも阪大ならではだ。

サポート体制も万全で、情報科学系の大学院生などがTA(ティーチングアシスタント)として参加。難しい課題が出される演習では、5、6人のTAが受講生の質問に答えるなどしてプログラムを支援している。

1年を通した受講でAI技術のスキルアップ

 当講座の定員は約20人、半期ごとに受講生を募集。春〜夏学期と秋〜冬学期では、プログラム内容が大きく異なり、1年を通して受講することで、AIに対する理解が深まりスキルアップが期待できる。

 当講座の手応えについて、「実社会で活躍している受講生ですから、現場体験に基づく質問が多く、私たちも考えさせられます」と沼尾教授。「大学院生も受講しており、社会人受講生が作成するレポートの質の高さに驚き、大いに刺激を受けているようです」と福井准教授。受講生同士の交流も盛んで、AIに関する同好会を作るなど異業種間のコミュニケーションを楽しんでいる。

AI技術は幅広い分野の技術者に必須

「AIとは何か。そしてAIが社会に浸透することで、どのような変化が起きるのか。AIの知識・技術だけでなく、AIに関する倫理なども含めて考える機会になれば」と沼尾教授。そのうえで「これからの社会や企業ではAI技術の導入が不可欠。コンピュータの専門家だけでなく幅広い分野の技術者に、この講座で基礎を学んでもらいたい」と、19年度の講座への応募(来年1月に募集予定)を呼びかけている。

 

講座受講生の声

有用なデータ解析手法を修得自身の可能性と選択肢が広がった

株式会社カネカ基盤技術協働研究所
狩野 源太 さん

 大学院時代からデータ解析に興味があり、弊社もAI導入に意欲的だったため、受講することになりました。特に演習が充実している点が良いですね。データ解析に便利なプログラミング言語・Python(パイソン)を使用しながら様々なデータ解析手法を習得することで、自分の可能性が広がり、仕事における選択肢も増えました。

 大学院での専門は動物行動学でしたが、弊社では、全く異分野である新しい材料開発の仕事に取り組んでいます。分野は異なっていてもデータ解析という部分では共通しています。

 世の中には未だ扱われていない潜在的データが膨大に存在します。AIは、それらを掘り起こし活用していくために必要なツール。弊社にも、顧客や実験などに関する多様なデータがあります。それらを解析して新しい価値を見いだし、会社の発展に貢献したいです。

 学習と仕事の両立は大変ですが、AIについて学びたいという強い思いで受講しているので、とても楽しいです。

 

(本記事の内容は、2018年9月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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