阪大StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

のびやかに、ひたむきに、
時に悩み、それでも前を向く。
そんな阪大生たちのきらめきの学生生活(ストーリー)

勝利さえ上回る目的に向かって
勝利さえ上回る目的に向かって

勝利さえ上回る目的に向かって

体育会ヨット部

冬空の下、身を切り裂く寒風を全身で受け止めながら、操る全長470センチのヨットが海上を進んでいく。荒ぶる波しぶきをかき分け、広大な海原と対峙するその姿は、まさに『海の格闘技』。阪大ヨット部は新西宮ヨットハーバー(西宮市)の艇庫に集い、 同じ釜の飯を食べながら合宿練習を重ねる。風と波という大自然に直接対峙する海上スポーツにおいて、絶対に欠かせないのが互いの信頼関係。そこには「勝利」さえも上回る目的が存在する。

部員はほとんどヨット初心者

「ヨットの魅力は、一人では何もできないことでしょうか」

そう話す主将の佐藤稜真さん。「『470級』と『スナイプ級』の二つの競技があり、五輪競技でもある470級はセール(帆)が3枚、スナイプ級は2枚。それぞれスピードや戦略性、選手の役割も違ってきます」。しかし、共通するのは「役割の違う2人が舵とセールを操って、初めてヨットが海の上を走ること。それこそが醍醐味です」

部員のほとんどが入学後からヨットに携わる。高校球児だった佐藤主将も「大学で何か新しいことに挑戦してみたかった。試乗会で初めてヨットに乗り、風を切る爽快感に魅了された」という。スナイプ級の堤雄大さんも「試乗会で衝撃を受けた」一人だ。「今では日常生活のすべてをヨットと絡めて考えるようになりました。気象条件や、波を読むことは大学の勉強にも役立っています」とどっぷりヨットに浸かる毎日だ。

 

合宿で養う信頼関係

戦いの場は「海」という果てしないフィールド。手加減してくれない自然相手だけに「だからこそ、最も大切なのが信頼関係」だ。毎週末、合宿形式で行われる練習で互いの信頼を熟成する。「朝から夕方まで海に出っ放しになることもたびたびです」。陸に上がれば、大所帯での共同生活。合宿生活のすべてを部員全員でこなす。470級チームリーダーの鈴木航太さんは「ヨット競技は準備がすべて。道具の手入れから艇のチューニングなど、自然環境に合った準備を進める大切さを、合宿生活から学びました」と話す。

そんな部を支えるのが8人のマネジメントスタッフ(MS)だ。MSリーダーでもある主務の門田佳央理さんは「炊事はもちろん、救助艇に乗って練習の管理や安全確認をするのも仕事です。大変ですが、ただただ楽しい」と語った。

 

『人材育成』が一番の目的

目指すのはもちろん、全日本大学ヨット選手権(インカレ)優勝。昨年は総合16位に終わったが、佐藤主将は言う。「目標としてインカレ優勝を掲げていますが、勝つことが目的ではありません。阪大ヨット部の第一の目的は『人材育成』であり、人としての成長が一番です」。

艇の維持費など多額の運営費がかかるため、大学や卒業生の支援なくしては部の活動も成り立たない。「大学やコーチ陣、OB、OGの支援には本当に感謝しています」と続けた。また、3年前から台湾・国立中山大学との交流も始まった。「10日間ほど一緒に生活し、交流戦を重ねます。『ヨット』を通じた国際交流です」と門田さん。活動の幅は、果てなき海のように広がっていく。

 

 

●大阪大学体育会ヨット部
1934年に大阪帝国大学医学部ヨットクラブとして発足した歴史と伝統を受け継ぎ、1963年の全日本大学ヨット選手権(インカレ)準優勝をはじめ、国立七大学戦(七帝戦)で6度の優勝など輝かしい戦歴を誇る。一時は部員減少で低迷したが、2019年には「470級」「スナイプ級」両クラスでの全日本インカレ出場を果たした。現在は新西宮ヨットハーバー(西宮市)を拠点にプレーヤー20人、マネジメントスタッフ8人が全日本インカレ優勝を目指し活動している。

(本記事の内容は、2020年2月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

 

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