阪大StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

答えのない世界でどう生きるか?
楽しむこと──
そんな阪大生が描くその後の人生(ストーリー)

努力がフェアに報われる社会を作りたい
努力がフェアに報われる社会を作りたい

努力がフェアに報われる社会を作りたい

株式会社YOUTRUST 代表取締役 岩崎由夏

岩崎由夏さんは、「友人の友人」からオファーが届くリファラル採用プラットフォームである転職・副業支援サービスYOUTRUSTを2018年に開始。現場社員が採用を主導する「スクラム採用」促進に向けたセミナーなども行っている。

ちょっと変わった組織

東京・五反田の閑静な住宅街。駅から続く急坂を登った場所に建つマンションの一室がオフィスだ。アロマの香りが心地よい瀟洒な部屋には「信頼される人が報われる転職市場に」「人材領域で一番強くて優しいチーム」「GIVE  人に惜しみなく与える」などと書かれた「ビジョン・ミッション・バリュー」が張られている。

「ミッション等はチームで話し合って決めます。まとめるのもみんなで。ヒエラルキー(階層)のある組織にしたくなくて」と岩崎さん。そのチームだが、フルタイムメンバーは岩崎さんとあと2人と、インターンシップメンバーのみ。残りの「メンバー」はすべて他の仕事 と掛け持ちで働いている。いわゆる「副業メンバー」だ。「ちょっと変わった組織ですよね」とほほ笑んだ。

 

転職・副業意欲を「見える化」

新卒で入社したITベンチャー企業の人事部門で新卒、転職者の採用を担当した。しかし実際に会うと履歴書で想定していたのとは違う人材だということも多かった。また、人事が「良い」と思う人材が必ずしも現場にうまくマッチするわけではない。採用市場の現状に違和感を覚えた。「自分が信頼する友達や『友だちの友だち』 の転職意欲・副業意欲を見える化できればいいのでは」と、「YOUTRUST」を起業した。

意図は当たった。ツイッターで立ち上げをつぶやいただけだったが初日に転職・副職希望者700人が登録した。(19年7月時点で6,000人)「働き方改革」で、現代人は定時退社を求められている。でも彼らには「もっと社会に貢献したい」「自分のスキルを高めたい」の思いが強い。そうした人々が副職、転職を求めている、という。

 

フェアでない転職市場をフェアに

今の世の中は少子高齢化で生産人口が減少傾向にあり、「超売り手市場」だ。人事担当者は「思うように採用できない」と嘆いている。「でも、そもそも良い人材は口コミで転職してしまい、転職市場に出て来ません。能動的に動かないと優秀な人材は採用できません。『採れない』と言う一方で副業を禁じる会社も多い。これでは日本はどんどん衰退してしまいます」

岩崎さんには「本人の努力以外のパラメーター(変数)で物事が決まるのはものすごく気持ち悪い」との思いがある。「例えば、女性というだけで雇用の機会に差があるのはおかしい。本人の努力以外で生じるマイナスをゼロにしたい。フェアでない転職市場もフェアにしたい」

 

大学は「自分と向き合う時間」

笑顔が印象的な岩崎さんの学生時代を伺うと、意外な答えが返ってきた。「浮いてたと思います」。自宅から通えて偏差値の高い国立大学という理由で進学。華々しい大学デビューを期待したが、なじめなかった。サークルにも入らずバイト以外は家に直帰する日々。時間のかかる実験を、誰よりも早く終わらせることに励んだという。「成績で一番になられへんから、手際はよかったんで、せめて実験を終える時間で一番になりたかったんです」と笑う。

 

 

 

「自分らしく生きて」が心にしみて

周囲になじめず、落ちこぼれだと思っていたと話す岩崎さんの心に深くしみたのが、指導教員の北河康隆准教授のひと言だった。 「岩崎さんは、そのままでいいから自分らしく生きなさい。行けるところまで行ったら、大物になるで」。その時は「何言ってはるんやろ」と思ったが、社会人になって、やりたいことが見つかり、でも 起業に踏み切るのがこわいと思った時に浮かんだのが恩師の言葉。「よっしゃ、やったろ」「一生会社員で終わるやろう」と思っていた自分を起業に踏み切らせた言葉だった。

「大物になるで」に背中を押されて挑戦は続く。後輩に伝えたいことは?「あまりまじめに自分を型にはめんでいいよ、好きに生きて。10年後の自分はもっと良くなっているから」

すてきな笑顔になった。

 

●岩崎 由夏(いわさき ゆか)

2012年3月大阪大学理学部化学科卒業。同年4月DeNA入社。17年12月YOUTRUST設立。18年4月に同名のリファラル採用プラットフォームを開設。

 

 

 

(本記事の内容は、2019年9月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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