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『自転車は世界をつなぐ』今の自分にとって何がベストかを考える〜【サイクリスト/起業家・山田美緒】

人一倍の努力家

子どものころから体を動かすのは好きだった。人一倍の努力家で、「気合いと根性はあった」と語る通り、高校時代の剣道部では、家で毎日千本の素振りをしていた。また、「努力すれば報われる勉強は好き」で、特に英語の成績は常にトップ。「外国人になってアメリカに住みたいと思っていました」と笑う。

自転車でアフリカ単独縦断

旧大阪外大外国語学部アフリカ地域文化学科に入学し、自宅から大学まで往復20㌔を自転車で通学した。スワヒリ語やアフリカの歴史を学ぶ授業など、どの授業もすごく面白く、1日中大学にいたというほどで、いろいろな分野の勉強を通じて「視野が広がった」と振り返る。ユニークで面白い友人や教員も多く、刺激を受けた日々だった。

大学1年の夏休みに、友人とアフリカ・タンザニアに旅行。しかし、バスで移動する単なる旅行者でしかなく、地元住民との距離感を感じた。そこで、通学で慣れている自転車で走ったら住民ともっとコミュニケーションが取れるのではないかと考え、さらに「女性では他に誰もやらないだろう」とアフリカ単独縦断を決意。事前に日本一周するなど1年間の準備後、大学3年の終わりに休学してアフリカに向かった。

女性の1人旅は危ないため、頭は丸坊主にして胸にさらしを巻き、時々つけひげをして男性を装った。行く先々の村では大勢の人に囲まれ、スワヒリ語で話すととても喜ばれた。途中、マラリアにかかるなどのトラブルもあったが、ケニアから南アフリカまで8カ国約5000㌔を半年かけて走破した。

「アフリカの奇跡」ルワンダへ

 卒業後、日本で雑誌社に就職し、営業担当やイタリアンレストランの立ち上げスタッフなどとして働いた後、一般社団法人コグウェイを設立して、自転車で四国をツーリングするツアーを主催するなど、サイクリストとしての活動を本格化。また神奈川県で長男を出産後、保育所に入所できなかったため、「それなら自分で作ろう」と、地域の母親やボランティアらを巻き込み、公民館などを利用した保育システムをつくった。

その後、夫の転勤でシンガポールに住んだが、夫が仕事を独立することになり、新たな移住先として迷わず選んだのがルワンダだった。ルワンダは1994年に大虐殺があったにもかかわらず、現在は高い経済成長率や治安の良さなどから「アフリカの奇跡」と呼ばれている。料理や人をもてなすのが好きな山田さんは、2017年に日本料理店「KISEKI」をオープン。味噌やしょう油などを日本から輸入するなど、本物の日本料理は評判を呼んだ。さらに店を利用してフリーマーケットやライブの開催、子どもたちの預かり保育、盲目の人にマッサージ技術を指導するなど幅広い社会貢献もしていて、人の輪はどんどん広がっている。「私も食とサービスを通じてアフリカで奇跡を生み出したいですね」

最大限に力を発揮するには

 「高校生のころはよく、目標を持って生きろと先生に言われたが、私は特に目標を持って生きてきたわけではない」と語る山田さん。ただ、常に考えていることがある。「今の自分にとって何をしたら最大限に力を発揮できるか。ベストな選択は何か」だ。アフリカ縦断、保育システムの設立、日本料理店のオープンなど、どれも自分にとってベストだと思う選択をしてきた。阪大の後輩にも「ベストな選択を決めたら、責任を持って突き進んでほしい」とエールを送る。

 

●山田美緒(やまだ みお)氏
2006年旧大阪外国語大学外国語学部アフリカ地域文化学科卒業。在学中に自転車で日本人女性初のアフリカ単独縦断。卒業後、雑誌社で営業担当や築地本願寺境内のイタリアンレストラン立ち上げに関わった。また、退社後は「サイクリスト」として活動し、一般社団法人コグウェイを設立して自転車で四国をツーリングするツアーなどを主催。2017年1月にはルワンダに初めての本格的日本料理店「KISEKI」をオープン。ルワンダ在住で、夫と3人の男児の5人家族。


 

お店情報

日本料理店「KISEKI」
(No.2KG680Kimifurura Kigari Rwanda)


2017年1月オープン。日本人の寿司職人のほか現地スタッフ約20人で運営。座席数は約60席。味噌やしょう油、酒などは日本から、魚はベルギーから輸入し、寿司や天ぷらなど本格的日本料理を提供する(ホームページhttps://www.kisekirwanda.com/)。また、日本からの大学生等のインターンシップ受け入れにも力を入れている。

 

(本記事の内容は、2018年9月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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