大阪大学 OSAKA UNIVERSITY
日本酒 緒方洪庵
Sroty.04
阪大ゆかりの酵母「きょうかい6号」
  阪大ならではのお酒として、まずこだわったのが酵母です。杜氏の経験と勘に頼った「酒屋万流」の時代は過ぎ去り、近代以降は科学に基づく酒造りが行われてきました。それでもなお、酒造りには神秘の領域が残されています。なぜなら酵母という微生物の働きが不可欠だからです。NEO「緒方洪庵」では、阪大ゆかりの「きょうかい6号」酵母を採用しました。
 「きょうかい酵母」とは、日本醸造協会が全国の有名な酒蔵から分離・培養し、頒布するものです。「きょうかい6号」酵母は、秋田の新政酒造から分離された現存最古の「きょうかい酵母」で、遺伝子情報の解読により「清酒酵母のEVE(原初の存在)」と呼ばれています。
 秋田で吟醸酒づくりを指導し、今日の「美酒王国・秋田」を築いたのは、大蔵省税務監督局から秋田銘醸顧問・秋田県醸造試験場初代場長に迎えられた花岡正庸(1883~1953)です。花岡の指導を実践し、全国の品評会で上位入賞を果たしたのが、新政酒造の5代目佐藤卯兵衛こと佐藤卯三郎(1895~1947)でした。昭和5年(1930)、醸造試験所(現・酒類総合研究所)の小穴富司雄(1898~1974)が新政の蔵付き酵母を分離し、同じく秋田の小玉合名会社(現・小玉醸造)で最終試験を行います。小玉合名会社の小玉確治(?~?)が新政酵母で仕込んだ「太平山」が、昭和9年の全国清酒品評会で首席優等賞を獲得したことから、全国に頒布されることになりました。
花岡・佐藤・小穴・小玉はいずれも大阪高等工業学校(阪大工学部の前身)醸造科出身者だったのです。「きょうかい6号」を阪大ゆかりとする所以です。ちなみに大阪高工醸造科からは、日本初のウイスキー蒸留技師の竹鶴政孝(1894~1979)が輩出しており、同期の佐藤とは「西の竹鶴、東の卯兵衛」と並び称されたそうです。