●項目をクリックすると
各句回にジャンプします
茉衣
花帆
浩一郎
暁子
瑛三
兵十郎
幹三
遊子
乱
兵十郎
花帆
昴
太美子
嵐耕
翠
安廣
浩風
邦夫
洛艸
眞知子
瑛三
浩一郎
眞知子
浩一郎
和江
安廣
太美子
昴
幹三
瑛三
浩風
浩風
言成
幹三
洋一
乱
英雄
浩一郎
英雄
兵十郎
長山あや 選
第565回 平成27年10月19日 (月)
新酒酌みしみじみひとりなりしかな
秋の川は淋しと言ひし君のこと
湧き出でてふと静もれる小鳥かな
楽しさは庭の木の間を飛ぶ小鳥
新酒酌み久しき電話掛けもする
小鳥来て庭たちまちに蘇る
あや
浩一郎
選者吟
兼題 秋の川・無花果(あや) 新酒・小鳥(浩一郎)
席題 卓上に 金木犀・零余子・実むらさき・杜鵑草
幹三
茉衣
あや
兵十郎
洛艸
兵十郎
あや
言成
あや
安廣
あや
眞知子
兵十郎
暁子
あや
京子
昴
和江
瑛三
輝子
輝子
幹三
安廣
暁子
瑛三
花帆
安廣
言成
嵐耕
乱
英雄
幹三
あや
安廣
花帆
井上浩一郎 選
眠る子に星の流れしこと言はず
篭いつぱい林檎を盛りてサンルーム
遺されし書斎の窓の後の月
吊橋の板の隙間や秋の川
蔵元の蔵見せ新酒振る舞へる
◎新酒てふ地酒一升にごりたる
新酒汲み交すとて夫も父もなく
忘れたきこと忘れずに式部の実
湧き出でてふと静もれる小鳥かな
笑み給ふ円空佛や飛騨の秋
一塊となり飛び翔ちし小鳥かな
◎高き枝に来鳴く小鳥や名を知らず
無花果の早や売切れて道の駅
旅にあり行く先々に酌む新酒
新酒酌みしみじみひとりなりしかな
ときめくや窓辺に小鳥来る朝
一刷毛の雲をくぐりて鳥渡る
無花果の郷愁深き甘さかな
堰落つる水音さやか秋の川
◎小鳥来る日清日露の兵の墓
小鳥来る三井の鐘の音とどく杜
鉱脈の尽きたる山の上の月
好物の無花果一つ母の墓
◎小鳥来とパントマイムで伝へけり
句碑めぐる杜鵑草咲く翁堂
中庭の守衛のやうな秋の蝶
秋の川掬めば零るる光かな
虚子偲ぶ金木犀の香る句座
雲映し流れゆるやか秋の川
小鳥聞く書斎の一日暮れにけり
石投げて憩ふひととき秋の川
◎裏返すやうに無花果食べてをり
秋の川は淋しと言ひし君のこと
飯盒を洗ふ人あり秋の川
◎小鳥にも心臓のあること思ふ
嵐耕
翠
洋一
暁子
浩一郎
和江
洛艸
暁子
暁子
兵十郎
瑛三
眞知子
安廣
洛艸
輝子
浩一郎
安廣
翠
邦夫
眞知子
京子
茉衣
言成
兵十郎
茉衣
遊子
幹三
浩風
兵十郎
翠
長山あや(後選)
第566回 平成27年11月16日 (月)
枯葉落つちひさき声をあげて落つ
冬耕の夕影野辺をどこまでも
むかしここに佳き人住みし冬紅葉
浩一郎
選者吟
兼題 枯葉・冬耕(あや) 大綿・冬紅葉(浩一郎)
席題 卓上に 花八手・石蕗の花・郁子・
二十日大根・皇帝ダリア
浩風
嵐耕
洋一
暁子
昴
乱
洛艸
輝子
暁子
暁子
輝子
瑛三
洛艸
幹三
言成
暁子
邦夫
洛艸
安廣
翠
安廣
邦夫
幹三
京子
太美子
京子
洛艸
眞知子
翠
磨央
洛艸
嵐耕
安廣
浩風
暁子
兵十郎
乱
翠
井上浩一郎 選
機械には頼れぬ棚田冬耕す
大綿や六甲はるか晴れ渡り
冬耕を終へて輝く鍬の先
生き物のごとく走れる枯葉かな
カタカタと冬耕の人帰るらし
小春日やすつくと皇帝ダリア咲き
触れ合うて乾きし音の枯葉かな
冬耕はまた明日でよし句に遊ぶ
大綿の命抱きて舞ひにけり
冬耕のひと日を土と語りつつ
冬紅葉正倉院は閉ざされて
巡礼の鈴大綿の日和ゆく
冬耕や日向の中の昼弁当
注射針刺され見てゐる冬紅葉
◎刈込みを済ませ枯葉も持ち去りし
綿虫や余生ふはふは漂ひて
◎冬耕の土塊風に晒されて
冬耕の遮二無二動く耕運機
◎冬の田を耕す人の手の厚き
立ち上り皆走り出す枯葉かな
◎雲低し老農一人冬田打つ
山門にいよよ色濃き冬紅葉
◎乾ききり枯葉に音の生れたる
大綿の虚空に溶けし如消えて
黄に紅に山門ごとの冬紅葉
◎身の内に日ざし染み入る小春かな
街騒に大綿怯む気配なし
◎大綿や雲厚きままひと日暮れ
振り向けば鬼女かも知れず冬紅葉
冬紅葉逝きたる友の妻も逝き
露天湯の真向かひに見ゆ冬紅葉
枝々に残る枯葉の音たてて
綿虫の命を指にそつと乗せ
◎冬耕といふといへども十坪ほど
冬耕やときどき遥か沖眺め
ひと山を銀色にして橅冬芽
腰伸ばしまた冬耕の老農夫
冬紅葉その先端は風の空
大綿や六甲はるか晴れ渡り
明日手術君見つめゐし冬紅葉
冬耕を終へて輝く鍬の先
生き物のごとく走れる枯葉かな
◎散り敷いて枯葉の匂ふ森となる
冬紅葉雨の恵みに彩きはむ
触れ合ひて乾きし音の枯葉かな
大綿の命抱きて舞ひにけり
◎冬耕やひと日を土と語りつつ
干拓の八郎潟を冬耕す
巡礼の鈴大綿の日和ゆく
大量の枯葉のどこへ消えゆくか
苔庭にひと葉紅葉の色の濃き
冬耕や遠山の峰はや白し
◎鉄路果つ青森駅の枯木立
風の来て散るも残るも枯葉かな
冬の田を耕す人の手の厚き
◎立ち上り皆走り出す枯葉かな
山門にいよよ色濃き冬紅葉
◎大綿や夢よりたよりなきうつつ
◎身の内に日ざし染み入る小春かな
冬紅葉夕日を浴びて華麗なり
◎手入れよき鍬を渡され冬耕す
◎日蔭より出で大綿の輝けり
小春の日グラバー邸のプッチーニ
声明の響く古刹や木守柿
◎鍬立てて冬耕けふはここまでと
冬耕といふといへども十坪ほど
ひと山を銀色にして橅冬芽
◎冬紅葉その先端は風の空
幹三
輝子
翠
暁子
輝子
幹三
暁子
暁子
瑛三
翠
言成
邦夫
邦夫
幹三
暁子
瑛三
乱
輝子
暁子
言成
暁子
幹三
乱
輝子
兵十郎
兵十郎
輝子
兵十郎
翠
暁子
輝子
乱
兵十郎
幹三
井上浩一郎 選
第567回 平成27年11月29日 (日)
太柱冬日斜めに本願寺
動かずにをりたる鴨もやがて去り
駅出でてすなはち京の底冷えに
浩一郎
選者吟
吟行地 京都 東本願寺・渉成園(枳殻邸)
目覚めてもかたちはなほも浮寝鳥
◎撩乱と紅葉を散らす楓(ふう)大樹
◎冬芽はや膨らむ散れるものの上
◎もういいや破れかぶれの枯蓮
冬椿全き花を零しけり
濡れて濃くなりし真鴨の頸の色
冬の雲黙せる苑を黙し歩す
寒禽の声よく透り本願寺
花芽しかと抱く庭木の冬支度
句碑三つ冬日を背ナに佇めり
報恩講に続く法話の有難く
御影堂障子の一部新しき
◎古池にタワー映すや冬日和
◎ふうはりと羽毛は冬の水に落つ
わづかなる日差糧とし帰り咲く
御影堂足裏にじんと京冷ゆる
融邸跡紫式部こぼれつつ
からたちに実ひとつ残り枯木なる
膝ついて見るタンポポの帰り花
役宅の隣は空家蔦屋敷
枯れてゆく安らぎにあり苑静か
底冷えの堂に香煙漂ひ来
冬日和京都タワーも池の中
慎ましく茶の花咲けるふくふくと
石垣に枯木の根つこ組み込まれ
◎朴冬芽指ほど大き緑なる
斑なるくわりんの木肌冷たかり
茶の花の五つ六つ咲き茶室閉づ
池静か障子日の斑の揺れ止まず
小流れや朴の落葉のせきとめて
逝きし師と小春の京を詠みしこと
◎大本山信徒に銀杏黄葉降る
散り残す桜紅葉や枳殻邸
◎ぐいぐいと鯉泳ぎ来る冬日和
和江
兵十郎
暁子
邦夫
翠
元彦
兵十郎
洛艸
言成
京子
安廣
言成
元彦
洛艸
幹三
浩一郎
磨央
磨央
洋一
言成
安廣
眞知子
翠
言成
洛艸
言成
幹三
眞知子
兵十郎
望
暁子
眞知子
眞知子
幹三
言成
乱
瑛三
瑛三
昴
遊子
邦夫
元彦
暁子
瑛三
輝子
磨央
言成
乱
眞知子
浩一郎
翠
長山あや 選
第568回 平成27年12月14日 (月)
夫逝きて暗闇といふ寒さ知る
取り込みし夕刊しんと冷たかり
梟は風の隙間を埋めて鳴く
朝の森思ひ切り冷たさを吸ふ
木の洞を出でて梟月へ鳴く
人の顔持つ梟や真夜の声
あや
浩一郎
選者吟
兼題 木枯・梟(あや) 冷たし・河豚(浩一郎)
席題 卓上に みかん・水仙・枯蔦・柚子(湯)
嵐耕
暁子
幹三
洋一
あや
遊子
あや
洛艸
遊子
翠
兵十郎
元彦
あや
浩風
洛艸
言成
和江
乱
輝子
眞知子
輝子
幹三
あや
暁子
乱
幹三
洛艸
京子
暁子
あや
昴
暁子
あや
幹三
輝子
井上浩一郎 選
しあはせは河豚雑炊のお代りを
木枯や夜ごと安否を問ふ電話
今出川御門に走る時雨かな
ミネルヴァの梟探し老いにけり
取り込みし夕刊しんと冷たかり
又三郎訪ねて来しか冴ゆる夜
◎亡き夫のセーターやつと編み了へし
◎馴れてきて腹すゑて食ふふぐと汁
時雨るるや錦市場の人の波
亡き人をほつほつ語り河豚の鍋
鋭き歯見せ活け河豚の掬はるる
街路樹の赤き実映ゆる冬日和
◎梟は風の隙間を埋めて鳴く
憂さ分かち合ふ友ありて河豚の鍋
◎底冷に耐へてひたすら参禅す
ヴォ−リズの大丸惜しむ街師走
鬼太郎や木枯のなか彼の世へと
◎白き身を皿に横たへ河豚清ら
河豚ちりを囲み謀反の話など
◎探しもの出で来ず冷たき一日暮る
店頭に魚の冷たき眼のならぶ
凩に岬の町の鳴りにけり
山の夜や梟鳴けば闇深む
黒門へ河豚買ひに行く名医かな
◎ほうほうと梟鳴きし樹も伐られ
青年と同じ日浴びし蜜柑かな
宿坊の一人の夜や梟啼く
夕晴や遠き麓の街光る
乗り遅れたる底冷のホームかな
夫逝きて暗闇といふ寒さ知る
満ち潮の浸しゆくごと底冷えす
病む人のわが手をとりて冷たしと
河豚鍋に一本つけてひとりかな
◎鰭酒の手のつけやうのなき熱さ
ひたひたと冷たき廊下野風呂まで
冷たしや青春の充つ無言館
凩の海より来る能登の宿
木枯や夜ごと安否を問ふ電話
木枯に旨み貰ひし野菜かな
梟も空襲警報も夜来たり
木枯や古りし雨戸の治まらず
凩が汽笛を乗せてやつて来し
襟立てて木枯に向け連れ立ちぬ
持ち上ぐる指に冷たき力石
◎はるばると来し木枯を聴く夜かな
◎黙々と河豚さばく手に迷ひなし
◎糠床の冷たさを知る妻の留守
羽音無く夜の梟鼠狩る
梟啼き森に谺し返り来る
◎凍星の中を地球に帰り来し
◎木の洞を出でて梟月へ鳴く
八十路来て何やら悲し枯葉舞ひ
教へ子の呼びかけ嬉し忘年会
ヘーゲルに倣ひて梟探しけり
河豚鍋に結婚記念日祝ぎしこと
梟の門番独り森の月
耳冷たし帽子なくして帰る道
亡き人をほつほつ語り河豚の鍋
◎水仙は老いても散らぬ花と聞く
底冷に耐へてひたすら参禅す
ヴォーリズの大丸惜しむ街師走
梟の静かにねずみ殺めたる
探しもの出で来ず冷たき一日暮る
◎河豚鍋を前に遺言たのまるる
◎凩に負けじと歩く就活生
黒門へ河豚買ひに行く名医かな
彩残す枯蔦まとひ杉林
梟の鳴く夜やしのぶ友のゐて
河豚宿に確かむ壁の免許かな
妖怪の涙冷たくしげる逝く
ほうほうと梟鳴きし樹も伐られ
宿坊の夜の差配や梟啼く
◎コニャック手にサスペンス読む梟の夜
梟や闇にうごめく思ひあり
たどりつく湖北路の駅いよよ雪
木枯は病人癒す夜の友
◎河豚鍋の軽き痺れの初デート
乗り遅れたる底冷のホームかな
柚子と笑顔俳兄の亡き句座さびし
冷たき手つつんでくれし母の掌よ
木枯か反イスラムの十字軍
柚子の香に逝かれし人を偲びけり
梟のパスカル然と瞑想す
きりのなき厨仕事の冷たさよ
朝の森思ひ切り冷たさを吸ふ
誰も居ぬ家は冷たしひと灯置く
(都合により今回 特選は選ばれませんでした)
篭いつぱい林檎を盛りてサンルーム
車窓から見える花野に胸馳せる
小鳥来て庭たちまちに蘇る
夫よりも妻飲兵衛の新酒かな
新酒てふ断りきれず腰すゑて
石投げのスキップ五つ秋の川
小鳥来て折り紙の手を止めにけり
余命いくばく下弦の月の影光る
結局は無花果皮ごと食ぶことに
新酒てふ地酒一升にごりたる
古本を整理し終へて秋の暮
小鳥来て木の葉一葉舞ひ降りぬ
蒼々と杉玉かをり新酒かな
酒蔵の主すすめる新走
新酒買ふ熟成と言ふ未来買ふ
笑み給ふ円空佛や飛騨の秋
裏鬼門守りて無花果たわわなる
一面の稲株眺め新酒酌む
大樹より大樹へ小鳥群れ渡る
高き枝に来鳴く小鳥の名を知らず
理系ゐて文系のゐて新酒くむ
楽しさは庭の木の間を飛ぶ小鳥
木に登りもぎとるものよ無花果は
酒ひたと慎しみをるに新酒出づ
魚沼や黄金の波に秋の川
雲一つ乗せて流るる秋の川
小鳥来てはづみ心のある家居
一刷毛の雲をくぐりて鳥渡る
野を卓に持ち込みし如杜鵑草
堰落つる水音さやか秋の川
小鳥来るいつもの刻にいつもの樹
愛用の備前徳利に新酒かな
新酒酌む句会につづく放談会
新酒注ぐまだ明るさの残る外
新走り盃合はせ目を合はせ
小鳥聞く書斎の一日暮れにけり
石投げて憩ふひととき秋の川
新酒酌み久しき電話掛けもする
ひとしきり話のはずむ今年酒
七転びしてたゆたひぬ秋の川