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薄氷見つけては割り登校す
◎薄氷見つけたものが割つてよし
鶯のまだ片言の初音かな
下萌や潮のごとくひろがり来
広がりし湖西の畑の草萌ゆる
◎地球ふといとほしきかな草青む
風通る古墳の藪に初音かな
下萌に力を貰ふ朝の道
草萌えて大地に潜む底力
よみがへる大地ふつふつ下萌ゆる
下萌や一日大和路歩きたし
道東に対馬暖流草萌ゆる
◎細波を留めたるまま薄氷に
草青み靴ぬぎ捨つる子の笑顔
薄氷のかけら重なりまた離る
◎去年聞きし初音の森へ今年また
合格の知らせとともに聞く初音
初音きく今年も森の同じ木に
春の風邪和服の似合ふ娘でありし
新しき道の残土に草萌ゆる
山門の氷柱長きも短きも
快方へ向ふ兆しや初音聞く
春の風邪引きて年寄りらしくなる
よき報せあるらし今朝の初音かな
◎鶯のよく鳴く家を手放せり
◎春の風邪独り占ひきりもなく
雨だれにふくらむ土や下萌ゆる
薄氷のとけるひととき朝散歩
侮つておれば長引く春の風邪
こじらせてよりの怖さよ春の風邪
堤防の下萌せかす水の音
葛城の鶯を聞く立ち休み
はうれん草のスープでつなぐ命かな
早春の日向探して予後の夫
下萌の泥にまみれてなほ凛と
春風邪にもう一日をずる休み
図らずも畦に聞こゆる初音かな
窓越しに初音の届く書斎かな
下萌や散歩の足も速まりぬ
人間は笑ふ生きもの草青む
薄氷張れば誰かが割つてゆく
◎薄氷のみな割られをり下校道
水温む船より投げてよこす綱
紙屋川隔て鶯谷渡り
治ったかと思へば咳き込む春の風邪
◎春の風邪うつらうつらと治しけり
鶯の啼きをり今日は日曜日
蹲踞の真中にまるき薄氷
城壁の狭間に確と草青む
春の風邪おいてけぼりの一日かな
薄氷をかざせば薄き日影かな
いつ迄も鼻を去らずに春の風邪
春の風邪マスクの顔が目で笑ひ
ものの芽の唄ふがごとく育ちゆく
福豆のひとつ残れる膳の下
暁子
幹三
瑛三
あや
兵十郎
太美子
嵐耕
京子
洛艸
瑛三
乱
兵十郎
乱
洋一
邦夫
京子
英雄
嵐耕
洛艸
兵十郎
遊子
和江
暁子
瑛三
あや
輝子
嵐耕
英雄
暁子
浩風
眞知子
元彦
暁子
あや
安廣
和江
邦夫
洛艸
洋一
幹三
眞知子
輝子
幹三
浩風
洋一
あや
輝子
輝子
元彦
兵十郎
瑛三
暁子
安廣
あや
洋一
井上浩一郎 選
第555回 平成27年2月16日 (月)
ものの芽の唄ふがごとく育ちゆく
鶯のよく鳴く家を手放せり
春の風邪うつらうつらと治しけり
薄氷ややがて分れて跡も無き
鶯のいざなふままに東山
あなどりのむくひとなりし春の風邪
あや
浩一郎
選者吟
第554回 平成27年1月19日 (月)
兼題 初明り・仕事始(あや)初電話・雪(浩一郎)
席題 卓上に 水仙
初明り世界の平和祈りけり
主電源入れて始まる初仕事
森の奥池の底にも初明り
去年の暮また孫娘さずかりぬ
◎ウィーンフィル聴いてゐるかと初電話
初電話交せし姉は旅立ちて
水仙の清々しさを詠まんかな
しののめの生駒山から初明り
峰寺の雪道たどる奥の院
初明り我が人生の句読点
正装を制服に替へ事務始
◎元日の雪に籠るも老二人
声はづむうれしきしらせ初電話
四方の雲厳かに染め初茜
しんしんと重き心に雪降り来
往年のラガーもいまは俳句詠む
風荒ぶ雲間にきらりと初明り
限りなく生れ落ち来る牡丹雪
家族みな順にでてくる初電話
初明りしばし愁ひも忘れけり
かはたれの庭の明るき雪景色
星一つ残して広し初明り
◎ひそひそとおとなふごとく雪の降る
誰かれに挨拶交し初市場
インド洋超えて来し子の初電話
初明り神馬のいななき清々し
初手水零るる光掌に
◎降る雪の音なき音を聴く静寂
頬を打つ雪の固きや尾根歩き
配達の足跡埋めて雪霏霏と
人とうに死にしと知れる初電話
老いの身は病院行きが初仕事
初明り額の書の文字見え初むる
山鳩のはっきりと鳴く雪の谷
◎朝市や雪を払ひて品渡す
元日の吹雪くなかをば孫帰る
一人居の仕事始めや厨事
ぐいぐいと地球や動く初日の出
◎汝が笑顔浮かびて消えぬ初明り
炭の眉落ちて日向の雪だるま
初明り六甲連峰改る
◎ちちははを恋へば静けき雪となり
明るさの昏さの空の雪催ひ
軒までも雪積む町に生きる子よ
◎開かるる書斎の窓や初仕事
京の雪夕日に映ゆる金閣寺
麗人のフルートを聴く雪降る夜
初電話だけは律儀に帰らぬ子
◎論文の思案あれこれ初仕事
雪まじる風吹き飛ばす草の雪
屋上の稲荷に詣で初仕事
昨夜降りて庭に積りし雪の黙
初電話明日の帰郷を喜べり
独り居の部屋にもほのか初明り
初春や白一色の庭を愛づ
白馬(あおうま)と眼差し合ひし初詣
離陸して日本傾く初明り
初電話生甲斐夫の介護とぞ
初明りむらさきと見てまた眠る
雪降りぬ太郎も次郎も眠りしぞ
こし方もゆくへも知らぬ吹雪かな
吹雪く夜の炉話怪談めいて来し
夢多き眸に映ゆる初明り
子から孫次々替る初電話
初明り眼下の町はまだ醒めず
見慣れたる山輝きて初日かな
御降の雪舞ふ美しき夕べかな
娘に孫に妻忙しき初電話
雪しんしん限りなく降り続くかに
◎初仕事とは生きること白寿かな
川光る大阪平野初明り
雪深き町へもどる子口重く
気の匂ひ仕事始めの製材所
嵐耕
洛艸
浩一郎
ゆたか
暁子
和江
言成
元彦
瑛三
輝子
洛艸
浩一郎
嵐耕
乱
安廣
英雄
兵十郎
安廣
太美子
乱
言成
安廣
茉衣
遊子
京子
洛艸
洋一
太美子
兵十郎
輝子
浩一郎
磨央
眞知子
幹三
暁子
ゆたか
瑛三
乱
昴
洛艸
嵐耕
浩一郎
浩風
輝子
邦夫
英雄
瑛三
眞知子
乱
兵十郎
洛艸
言成
邦夫
洋一
太美子
京子
ゆたか
翠
暁子
昴
ゆたか
洛艸
安廣
洛艸
輝子
翠
京子
浩一郎
眞知子
翠
幹三
輝子
幹三
長山あや 選
白々と雪運ぶ川静かなり
主電源入れて始まる初仕事
汝が魂のまとふごとくに雪舞へり
初糶の声の熱気や魚市場
初明り恵方の窓を開けてみる
ウィンフィル聴いてゐるかと初電話
老友の今年限りの年賀状
峰寺の雪道たどる奥の院
正装も制服に替へ事務始
声はづむうれしきしらせ初電話
水仙を活けて明るくなる句会
四方の雲厳かに染め初茜
子らも去り声なき部屋に初電話
新玉の満月仰ぎめでたけれ
◎しんしんと重き心に雪降り来
風荒ぶ雲間きらりと初明り
家族みな順に出てくる初電話
初あかり墨絵のごとき雲浮かび
売初やデパート地下の赤法被
初明りしばし愁ひも忘れたり
星一つ残して広し初明り
初雪にハンドル握る手もかたし
足早に仕事始の背広かな
初仕事とてキーボード打ってをり
大斜面水仙群のなだれ咲く
ひそひそとおとなふごとく雪の降る
晴れやかに仕事始の御堂筋
水際の水仙波と踊るなり
◎カーテンを開き忽ち初明り
初手水零るる光掌に
ハワイより声も弾める初電話
◎降る雪の音なき音を聴く静寂
頬を打つ雪の固きや尾根歩き
断崖に水仙雪崩るる越の海
初明りこのひととせのしあはせを
◎墓石にも標(しるべ)にも雪奥の院
◎冬の芽のひとつにさはらせて貰ふ
老いし友に用はなけれど初電話
初電話団欒の声聞こえくる
◎朝市や雪を払ひて渡したる
◎雪晴の空の蒼さよ関ヶ原
待合せ場所確める初電話
炭の眉落ちて日向の雪だるま
初明り六甲連峰あらたまる
駅前で長靴買ふも雪の旅
せはしなき空と思うてをれば雪
麗人のフルートを聴く雪降る夜
番号で呼ばれ寒鰤糶られをる
初電話だけは律儀に帰らぬ子
論文の思案あれこれ初仕事
◎雪まじる風吹き飛ばす草の雪
気遣のやさしき子らの初電話
碁敵と約束なりし初電話
挨拶を交はす人影初明り
大雪や長靴履いて大はしゃぎ
白壁に紅を刷いたる初明り
離陸して日本傾く初明り
ポケットにくぐもる音や初電話
雪降りぬ太郎も次郎も眠りしぞ
夢多き眸に映ゆる初明り
初仕事とて継続の厨事
子から孫次々替る初電話
メール読むことに始まる初仕事
初明り眼下の町はまだ醒めず
一杯をぐつと我慢の初仕事
見慣れたる山輝きて初日かな
御降りの雪舞ふ美しき夕べかな
帯ぽんと芸妓の仕事始かな
初仕事とは生きること白寿かな
川光る大阪平野初明り
雪深き町へ戻る子口重く
いつまでも溶けぬ雪あり深廂
素直なることが気がかり初電話
茉衣
洛艸
昴
安廣
暁子
暁子
磨央
瑛三
洛艸
嵐耕
言成
乱
洋一
太美子
安廣
兵十郎
太美子
昴
瑛三
乱
安廣
洋一
太美子
言成
暁子
茉衣
京子
乱
言成
洋一
安廣
太美子
兵十郎
瑛三
英雄
浩風
幹三
暁子
輝子
暁子
浩風
言成
洛艸
嵐耕
暁子
幹三
瑛三
幹三
眞知子
乱
兵十郎
洋一
元彦
昴
乱
言成
ゆたか
幹三
昴
安廣
太美子
洛艸
言成
輝子
兵十郎
翠
京子
浩風
翠
幹三
輝子
眞知子
浩風
井上浩一郎 選
森の奥池の底にも初明り
初明り森の命のそれぞれに
ちちははを恋へば静けさ雪となり
浩一郎
選者吟
第557回 〈吟行句会〉平成27年3月29日 (日)
吟行地 生国魂神社・寺町・天王寺七坂界隈
句会場 天王寺区民センター
口縄坂尽きれば桜枝垂れをり
真言坂のぼり桜と朱塗り門
彼岸過ぎ雨の寺町人気なく
その昔海見えしとふ春の坂
見せばやは果てし遊女に初桜
春の雨なには七坂流れ行く
巳さんに参る女の花衣
鞦韆の雨の無聊や鳥騒ぐ
◎春の日の浪速の坂ののぼりおり
春昏し雨の口縄坂くだる
鬼貫の墓の小さしや落椿
この町を讃ふる碑あり春の坂
春愁や愛染坂の無愛想
◎ハルカスは遥か寺町春の雨
花曇塞ぐ心のひらき初む
雨の宮庭ほつほつと紅椿
何時開けむタイムカプセル花椿
雨の街雨傘の春明るかり
花見兼ね詣づ難波の大やしろ
春雨や灯ともし待てる占師
春雨や寺町の屋根しっとりと
春雨や鳩の水浴ぶ潦(にわたずみ)
◎寺町の中の教会桃の花
花三分開きかねたる雨一ト日
木蓮咲く学園静か春休み
花満ちて上方落語の碑を蔽い
心中の舞台の宮や花の雨
◎拍手の清き響きや初桜
戦火なき原生林に春の風
花の雨打掛もまた桜色
この雨に柳は緑ぐんと濃く
誰もゐぬ口縄坂や花の雨
春雨やしとどに濡るる多宝塔
夕陽丘にときめきし日も若き春
花前線すすまぬ雨の日曜日
夕陽丘名のみ残りて春深し
宮前に左近の桜三分咲き
◎それぞれの寺それぞれの桜かな
雨なれど花の生玉宮まゐり
米朝逝く彦八涙の春の雨
芭蕉の碑水仙二本守りをり
雨だれのリズミカルなる春一と日
傘持たぬ西鶴さんに花の雨
時止めて口縄坂の春の雨
花の下お神籤そっと結びきし
句友らと花に酌むべし今年また
◎寺町の静けさ深め花の雨
愛染堂かつらは未だ桜五分
◎花三分七坂すべて雨の中
花の下思ひ思ひの義士の像
桜咲く縁切り願ふ心にも
花の雨遊女の霊も鎮もるや
翠
言成
眞知子
暁子
乱
兵十郎
暁子
翠
邦夫
瑛三
兵十郎
暁子
翠
翠
邦夫
瑛三
兵十郎
瑛三
言成
暁子
邦夫
言成
眞知子
兵十郎
眞知子
兵十郎
暁子
洋一
邦夫
乱
眞知子
輝子
瑛三
瑛三
輝子
翠
瑛三
暁子
兵十郎
瑛三
乱
眞知子
言成
翠
輝子
邦夫
暁子
瑛三
輝子
暁子
兵十郎
乱
井上浩一郎 選
春雨や真言坂を朱の門へ
織田作も西鶴も春の雨の中
口縄坂雨は木の芽に打ちつけて
浩一郎
選者吟
兼題 薄氷・仕事始(あや)春の風邪・鴬(浩一郎)
席題 卓上に ほうれん草・雛あられ
春の風邪引いてはならぬもの引きし
薄氷のそろりと動く水面かな
薄氷見つけては割り登校す
薄氷ややがて分かれて跡も無き
ぱりぱりと薄氷踏みて池巡る
草青む町内会も若返る
窓近く初音聞きつつ夕暮るる
釈迦堂を松明廻り火の粉浴び
雀かと思へば鷽の初飛来
薄氷見つけたものが割ってよし
春の風邪ひきたる妻へ恋もどき
呆気なく雨にかはりぬ牡丹雪
◎鶯のまだ片言の初音かな
広がりし湖西の畑の草萌ゆる
地球ふといとほしきかな草青む
◎風通る古墳の藪に初音かな
下萌に力を貰ふ朝の道
草萌えて大地に潜む底力
◎下萌や妻の眠れる石の下
しんがりといふしたたかな春の風邪
下萌ゆる芹もなづなも蒲公英も
よみがへる大地ふつふつ下萌ゆる
春時雨石に忘れし鋏かな
うつうつと長き会議や春の風邪
道東に対馬暖流草萌ゆる
◎醜草の青みて庭の景となり
鶯や森に日差しの来るところ
◎鶯の来鳴きて幸を置いてゆく
群れて飛ぶ鳥の行方や春来る
薄氷や独り箸とる夕の膳
細波を留めたるまま薄氷に
鶯の忍び音洩らす頃となり
去年聞きし初音の森へ今年また
下萌を柔かく踏む山の道
合格の知らせとともに聞く初音
初音きく今年も森の同じ木に
うすらひの手水なつかし京の宿
◎黒土に雨のしみ入り下萌ゆる
彷徨へば左右(さう)に鶯うたふ径
鶯の二度目の声を待ち侘びて
薄氷の脆き命よ哀しかり
下萌や五時の鐘聞き一仕事
春の風邪ひかせてみたき人のあり
◎さつとゆでおかかとしょう油ではうれん草
春の風邪和服の似合ふ娘でありし
春の風邪五体腑抜けの体たらく
鶯のいざなふままに東山
山門の氷柱長きも短きも
下萌の生命宿して緑なる
◎春の風邪引きて年寄りらしくなる
乗り遅れてふ小さき余暇草青む
下萌を踏み石仏に見(まみ)えけり
下萌ゆるものに屈みて言問はん
侮れぬままに尾を引く春の風邪
侮っておれば長引く春の風邪
初音とや仰ぎ追ふ眼の追ひつけず
飾らずになりて久しや雛あられ
はうれん草のスープでつなぐ命かな
下萌の泥にまみれてなほ凛と
図らずも畦に聞こゆる初音かな
窓越しに初音の届く書斎かな
独りでも胡麻と練り上げ菠薐草
◎さざ波を鎮め薄氷たゆたひぬ
◎人間は笑ふ生きもの草青む
薄氷に花片一つ手水鉢
踏みしめる下萌柔らかく優し
薄氷に透かしてみたき行く末を
福豆のひとつ残れる膳の下
ゆたか
邦夫
暁子
浩一郎
乱
和江
安廣
ゆたか
洋一
幹三
乱
輝子
瑛三
兵十郎
太美子
嵐耕
京子
洛艸
洋一
浩風
輝子
瑛三
幹三
輝子
兵十郎
瑛三
浩一郎
太美子
京子
洋一
乱
浩風
京子
茉衣
英雄
嵐耕
英雄
嵐耕
言成
邦夫
安廣
和江
乱
眞知子
洛艸
浩風
浩一郎
遊子
安廣
暁子
翠
乱
浩一郎
洛艸
暁子
翠
翠
暁子
安廣
邦夫
洛艸
翠
兵十郎
幹三
瑛三
乱
和江
洋一
長山あや 選
第556回 平成27年3月16日 (月)
兼題 クロッカス・踏青(あや)春の川・ものの芽(浩一郎)
席題 卓上に 蕗の薹・土筆・黄水仙・紅菜薹
野の魑魅(すだま)出で来て共に青き踏む
手入れせぬ庭に物芽といふ光
ものの芽や庭のどこにもしかと萌え
浩一郎
選者吟
三笠山鹿と並びて青き踏む
忘れゐし生れ故郷の土筆かな
やはらかな猫の肉球青き踏む
捨て置きし鉢にものの芽光浴び
春の川光るさざ波ゆつたりと
ものの芽の皆空に向き凛として
青空を仰ぎ斉唱クロッカス
クロッカス土の息吹のやうに咲く
◎日溜りの静けさが好き蕗の薹
青き踏む素足に大地うす湿り
釣人の今日は増えをり春の川
堰落つるとき春の水光りたり
春の川素早くよぎる魚の影
◎ものの芽にやさしき雨の一日かな
島を出る十五の春やフェリー着く
春の川挟み元祖と本舗かな
浄瑠璃寺春の小川に沿ひゆけば
やはらかく入り日に染まり春の川
◎なほざりの庭にものの芽たくましく
どの枝にも紫陽花の芽の浅みどり
風に舞ふ火の粉拝みしお水取
◎なんとなく摘んだ土筆をなんとしよう
◎両の手につなぐ子のゐて青き踏む
ものの芽や考へ日々に変りゆく
日を浴びて紫映ゆるクロッカス
クロッカスひと株だけは寂しかり
お水取終へしお山の闇深し
◎居留地の出窓を飾るクロッカス
◎踏青や足に楽しき野の起伏
ものの芽や見知らぬ人にも会釈して
◎苗札に離れて何の物芽かな
三山を望む宮跡青き踏む
洛艸
元彦
眞知子
洋一
邦夫
和江
太美子
暁子
翠
兵十郎
輝子
幹三
眞知子
京子
輝子
浩風
暁子
太美子
暁子
輝子
元彦
眞知子
輝子
暁子
洋一
昴
元彦
瑛三
幹三
乱
浩風
兵十郎
井上浩一郎 選