●項目をクリックすると
各句回にジャンプします
見る写す描く桜や満開に
◎門内にしばしたゆたひ花惜しむ
風光る青海原に向きて句碑
待ちに待ちあつといふ間の桜かな
世のいつもひとに添ひ来し桜かな
黄よ白よ胡蝶たはむる野良日和
日に向ひイカロスのごと蝶とびぬ
小糠雨窓にけだるし花疲れ
とめどなく桜散り来る失意の日
風光る老人クラブの歩こう会
ハイキング弾む山路に風光る
散りぎはを模索してゐる八重桜
くちずさむハイネの一節風光る
杖ついて歩けるまでに風光る
春愁や過ぎ去りし日を掘り起し
春愁に身を委ねたき甘さあり
水しぶき増す渓流に風光る
◎朧夜をひとり歩めば時は消ゆ
テーブルにフリル華やか白牡丹
風光る伸びよ伸びよと草に樹に
◎春愁や千代紙人形目鼻なく
花の闇如意輪寺の塔浮かばせて
雨ひと日桜散るのを見てひとり
◎みよし野の花の余韻にしばらくは
明るさに消えてゆきたる蝶々かな
白牡丹三輪句座を圧倒す
牡丹活け花器の小さくなりにけり
鉄橋を去り行く電車風光る
鎌倉の谷戸の展けて風光る
嬉々として砂遊びの子夕桜
ランドセル走る背中に風光る
学舎は桜満開過疎の村
◎千年の桜の下や卒寿祝ぐ
縞馬の模様の不思議風光る
春愁を吹き飛ばしけり不整脈
足跡も轍も埋めて花の塵
春愁やかへらぬ過去の口惜しく
遠き日の春愁想ふ老ひとり
光る風生きよ生きよと頬を撫で
桜散りまたも始まる人嫌ひ
◎春愁やひたすら吉野山登る
往く春を追ひかけるなり花吹雪
何となく蝶の道ある気配かな
苔纏ふ吉野の山の桜かな
春愁や乱るにまかす老いの部屋
頬杖の春愁の貌胸を打つ
花びらの追ひかけてくる散歩道
花の雲突き抜けてゐる白鷺城
夜と朝のあはひに又兵衛桜かな
発光の仕組ごと食ぶ蛍烏賊
眠き人眠つてもよし遠き蝶
死はそこにあるを忘れて花見かな
鐘一打花の谷へと渡りくる
雲一つ風に浮べる蝶の空
白牡丹切るも活けるも力入れ
白牡丹壺に溢れて咲き満つる
立ちのぼる霞の衣神の山
春愁や金剛インコ喋り過ぎ
鳶鳴けば人恋しかり夕桜
◎人間に生と死語る桜かな
この里に桜も人も老いゆけり
もう行けぬ旅の案内や春かなし
山路来て轍の水に集ふ蝶
◎はらはらと春こぼれ来る道を行く
窓開けて見晴らす空に風光る
開け放ち六甲はるか風光る
春愁の落語を聞けば失せにけり
夜桜の妖しさにつと歩を返す
春かなし母の賜ひし数珠を繰る
◎春愁といふにあらねどひとり酌む
風光り人の歩街に軽きかな
近づきて静かに去りし桜かな
春愁やくぐもる心もて余し
乗り継ぎしSLの旅風光る
◎そよ風を躱しつ蝶の軽く舞ふ
英雄
乱
輝子
暁子
浩一郎
瑛三
昴
乱
安廣
眞知子
茉衣
浩風
昴
言成
茉衣
乱
茉衣
安廣
言成
眞知子
輝子
太美子
輝子
太美子
幹三
翠
幹三
洋一
浩風
洛艸
安廣
翠
遊子
京子
浩風
乱
茉衣
安廣
暁子
暁子
京子
磨央
洛艸
京子
洋一
洛艸
兵十郎
言成
輝子
幹三
幹三
暁子
太美子
嵐耕
眞知子
輝子
京子
幹三
翠
暁子
暁子
輝子
洛艸
安廣
磨央
嵐耕
邦夫
太美子
輝子
浩一郎
浩一郎
ゆたか
眞知子
英雄
安廣
長山あや 選
第558回 平成27年4月20日 (月)
夫病みて花を見ぬまま終りけり
亡き夫と春の日わかちゐる窓辺
話しかけて答ふる声のなき日永
伐りしかの桜のことをまた憶ふ
春愁といふにあらねどひとり酌む
風光り街に人の歩軽きかな
あや
浩一郎
選者吟
第560回 〈吟行句会〉平成27年5月31日 (日)
吟行地 神戸市北野界隈
若葉風ぎしぎしと鳴る館の床
若楓フランス窓に似合ひたる
青葉して緩くなりたる北野坂
綱渡りワルツと青葉の風にのり
山滴る坂の海まで続く道
杉落葉屋根に異人の館閉づ
汗拭ひ辿りつきたる異人館
ゼラニユウム主なき家の塀飾る
◎薔薇さいてこぼれて紅し北野坂
山までの坂の神戸の街薄暑
◎夏蝶の憩ふアールヌーボー手摺かな
大楠やオランダ坂の木下闇
異人館四方の窓に新樹かな
ほととぎす老鶯もゐて北野坂
六甲山背にして望む夏の海
青葉風辻芸人へワンコイン
梔子の香は教会へ続きたる
◎夏帽子迫り出して売るトマス坂
万緑の中風見鶏動かざる
紫陽花の濃き青咲かせ異人館
◎異人館少女の歴史風薫る
帽子屋の鏡横切る夏燕
夏雲に届くかジヤズのツービート
紫陽花に藍のひと刷毛雨あがる
氷菓舐むる日曜画家や北野坂
異人館めぐり求めし夏帽子
晴れて南風神戸つ子の町明るかり
青葉若葉天神様の蹬登る
オリーブの花かそけしや異人館
泰山木咲ける径を登りけり
ジヤズ流れ夏めく一日吟行す
緑蔭や瀬音鎮もる古戦場
◎夏帽子振りて叫べる中国語
万緑の北野神社に詣でけり
南風やしなやかに生く風見鶏
◎蔦茂る異人館より異人出づ
六月や花嫁立ちし異人館
異人館の真昼を鳴くや夏の蝉
手にアイスクリーム眼下に神戸港
薔薇アーチ横文字看板北野坂
水彩画手早く仕上ぐ新樹影
新緑の中にケーブルカーの消ゆ
暁子
邦夫
幹三
翠
眞知子
言成
洋一
兵十郞
輝子
眞知子
翠
言成
暁子
瑛三
洋一
輝子
幹三
翠
兵十郞
言成
翠
幹三
眞知子
輝子
輝子
言成
瑛三
瑛三
兵十郞
輝子
眞知子
洋一
幹三
言成
暁子
幹三
兵十郞
瑛三
幹三
暁子
洋一
幹三
井上浩一郎 選
北野坂五月の風を描いて売る
楠若葉添うて百年領事邸
天神の宮より南風の神戸港
浩一郎
選者吟
兼題 蝶・春愁(あや) 桜・風光る(浩一郎)
席題 卓上に 牡丹・チューリップ
春愁やぽつりと噛みし甘納豆
クルージング船首に佇てば風光る
春愁はせつなさ含む華やかさ
亀鳴くや谷間の宿の鄙ぶりに
風光る青海原に向きて句碑
◎春愁や指栞して空仰ぐ
翳深き白牡丹てふかなしき花
小糠雨窓にけだるし花疲れ
とめどなく桜散り来る失意の日
◎ふれ合うて語り合ふ木々風光る
野を行けばとりとめの無き春愁の
菜種梅雨煙雨に籠る湖国かな
くちずさむハイネの一節風光る
ハイキング弾む山路に風光る
暫くの魔法の末に蝶生る
年なりの春愁もあり老いてなほ
春愁や過ぎ去りし日を掘り起し
◎水足せば供花に寄りくる昼の蝶
朧夜をひとり歩めば時は消ゆ
春愁や千代紙人形目鼻なく
雨ひと日桜散るのを見てひとり
みよし野の花の余韻にしばらくは
話しかけて答ふる声のなき日永
牡丹活け花器の小さくなりにけり
甲山車窓はるかに風光る
◎咲き満つる桜の駅に電車着く
ランドセル走る背中に風光る
◎亡き夫と春の日わかちゐる窓辺
足跡も轍も埋めて花の塵
◎春愁やかへらぬ過去の口惜しく
ほのかなる紅秘めし白牡丹
姥小町井手の山吹愛づことも
◎春愁やひたすら吉野山登る
往く春を追ひかけるなり花吹雪
苔纏ふ吉野の山の桜かな
春愁や乱るにまかす老いの部屋
耀ふといふほかはなし白牡丹
夫病みて花を見ぬまま終りけり
加賀路きて遠山白し花の冷
◎鐘一打花の谷へと渡りくる
春愁の鬢のほつれを手で押へ
◎うす紅をさし白牡丹乱れなし
亡き夫と仰ぎし桜ことのほか
この里に桜も人も老いゆけり
風光るビル屋上にある菜園
開け放ち六甲はるか風光る
ケーブルを降りて鳥瞰風光る
夫逝きて春愁といふことしみじみと
風光る東支那海見ゆる丘
春かなし母の賜ひし数珠を繰る
知ってゐし木の切られをり暮の春
春愁や身辺整理すればなほ
春愁やくぐもる心もて余し
昴
洛艸
茉衣
太美子
輝子
洋一
あや
乱
安廣
あや
ゆたか
瑛三
昴
茉衣
邦夫
安廣
茉衣
洋一
安廣
輝子
輝子
太美子
あや
幹三
英雄
邦夫
安廣
あや
乱
茉衣
あや
言成
京子
磨央
京子
洋一
暁子
あや
瑛三
太美子
洛艸
兵十郎
あや
暁子
眞知子
嵐耕
洛艸
あや
兵十郎
輝子
幹三
暁子
眞知子
井上浩一郎 選
第559回 平成27年5月18日 (月)
江戸つ子で祭の好きな夫偲ぶ
亡き夫よ聞きませ祭の笛太鼓
祭好きなりし亡き夫呼ぶ太鼓
いつの間に父にもはぐれ祭かな
見つけたよカーネーションにかくれても
森に風あれば常磐木落葉かな
あや
浩一郎
選者吟
兼題 柏餅・カーネーション(母の日)(あや)
祭・常磐木落葉(浩一郎)
席題 卓上に ジギタリス・紫蘭
◎裾分けのその裾分けの柏餅
マスターズ若き勝者へ風光る
ジキタリス卓上に野趣満ち来る
常磐木の一樹の落葉ただならず
葉の香りまづ楽しみて柏餅
尊厳をなほ有しをり杉落葉
◎祭好きなりし亡き夫呼ぶ太鼓
◎松落葉降る鎮もれる陵に
柏餅文読むやうに葉を開く
母の日の果つる間際の子の電話
太鼓打つ汗が輝く夏祭
神輿いざかつぐ氏子ら太き腕
胡瓜揉きれいな夜の始まりぬ
打ち鳴らす祭太鼓に朝が明け
亡き夫よ聞きませ祭の笛太鼓
荒ぶるは女衆神輿神田川
母の日や母娘の仕種似てゐたる
綿菓子の膨む不思議夏祭
今日ひと日町は一丸祭来る
カーネーション一本添へてはにかめり
江戸つ子で祭の好きな夫偲ぶ
病む人に祭囃子の聞えをり
吾に一つ武者に二こ買ふ柏餅
◎味噌餡の母の手になる柏餅
若楓風が育ててをりにけり
昔人になりきつてゐる賀茂祭
自刃跡常磐木落葉碑を埋む
樽神輿鎮守の森へ声高し
河内音頭余韻残して祭果つ
◎母の日や母にそむきし頃のこと
◎子ら遠し夫婦黙して柏餅
地車の発止と曲る街の角
境内を登る夏足袋白く映え
苔庭にこもれ日揺るる椎落葉
水滴のごと並びゐる木の芽かな
蒸したてのその香もうまし柏餅
有馬まで下る急坂松落葉
音といふ音が祭の音となり
カーネーション売りをる人の母に似て
◎杖一本残され母の日でありし
老ひとり留守居に遠き祭囃子
祖父・父と受け継がれ来し祭笛
牛車ゆく糺の森の祭かな
葵祭近づく街の気配かな
歌舞管弦峡の一と日の西祭
どかどかと乗車して来し登山靴
カーネーション一輪挿してありがとう
乗り遅れし駅の売店柏餅
母の日の海渡り来しメールかな
母の日やカーネーションを供華として
灯の入れば宵宮熱気いや増しぬ
◎祭太鼓妖しき面をつけて打つ
母の日や女人高野の親子づれ
◎静寂の杜の常磐木落葉かな
一つ降りまた一つ降る椎落葉
祭笛そはそは聞きて夫逝きし
思ひ出も分け合つて食ふ柏餅
浩風
元彦
兵十郎
暁子
翠
太美子
あや
眞知子
幹三
乱
安廣
眞知子
幹三
英雄
あや
和江
浩風
安廣
輝子
洋一
あや
幹三
瑛三
瑛三
幹三
言成
暁子
乱
翠
暁子
乱
洛艸
洋一
安廣
遊子
嵐耕
瑛三
ゆたか
幹三
輝子
洛艸
浩風
嵐耕
京子
瑛三
幹三
言成
輝子
京子
瑛三
眞知子
輝子
遊子
京子
安廣
あや
浩風
井上浩一郎 選
帰郷して祭囃子を夢に聴く
列島の祭り疲れの月曜日
マスターズ若き勝者へ風光る
祭囃子遠き昔のなほ耳に
◎葉の香りまづ楽しみて柏餅
三軒のベランダ総て鯉幟
御下がりを少し早めし柏餅
雨蛙白き腹見せガラス窓
カーネーションひともと手折り汝が胸に
尊厳をなほ有しをり杉落葉
里帰り三つめ手出す柏餅
松落葉降る鎮もれる陵に
御陣乗の祭太鼓の息遣ひ
樟大樹生命の嵩の落葉かな
穏やかな世代交代夏落葉
太鼓打つ汗が輝く夏祭
打ち鳴らす祭太鼓に朝が明け
いつの間に父にもはぐれ祭かな
母の日や母娘の仕種似てゐたる
綿菓子の膨む不思議夏祭
今日ひと日町は一丸祭来る
新緑の湖畔の道を三三五五
◎里若葉薄紫に靄りけり
ぱらぱらと樟落葉する忠魂碑
病む人に祭囃子の聞えをり
◎母の日の妻はやつぱりおさんどん
夕風や常磐木落葉とめどなき
◎雑踏のはるかより神輿来る気配
若楓風が育ててをりにけり
自刃跡常磐木落葉碑を埋む
樽神輿鎮守の森へ声高し
河内音頭余韻残して祭果つ
病む人へ一寸小振りのカーネーション
母の日や母にそむきし頃のこと
◎子ら遠し夫婦黙して柏餅
杉襖落葉にうづむ裏参道
どれほどの毒や試さむジキタリス
境内を登る夏足袋白く映え
吾の全て許せし母よカーネーション
◎揚羽蝶生れしばかりの影と舞ふ
◎音といふ音が祭の音となり
柏餅母の型今妻の型
宮入りか祭太鼓の乱れ打ち
影となり光となりて若楓
杖一本残され母の日でありし
老ひとり留守居に遠き祭囃子
◎祖父・父と受け継がれ来し祭笛
ヒマラヤをどよもす初夏の地震かな
森に風あれば常磐木落葉かな
牛車ゆく糺の森の祭かな
葵祭近づく街の気配かな
常磐木の落葉掃き寄せ客を待つ
ブラームス卓の紫蘭と聴いてをり
どかどかと乗車して来し登山靴
舟渡御の神輿に喚声わき上り
◎母の日や老いても歌ふ玉の声
手作りの葉よりはみ出す柏餅
全身を黄金に染めて椎落葉
掃きて掃き掃きて常磐木落葉かな
祭太鼓妖しき面をつけて打つ
八十路こえ母恋ふ花やカーネーション
短髪や五月の風を切つていく
病院食小さきちさき柏餅
淡く濃く緑の新樹清々し
カーネーション病院なれば造花活く
◎一人住み一人を愛しカーネーション
母の日や五十男も子に戻る
安廣
元彦
元彦
乱
翠
邦夫
洛艸
安廣
昴
太美子
和江
眞知子
兵十郎
太美子
邦夫
安廣
英雄
浩一郎
浩風
安廣
輝子
茉衣
元彦
洛艸
幹三
浩風
浩一郎
眞知子
幹三
暁子
乱
翠
元彦
暁子
乱
瑛三
幹三
洋一
輝子
京子
ゆたか
言成
兵十郎
乱
輝子
洛艸
浩風
磨央
浩一郎
嵐耕
京子
洋一
翠
幹三
眞知子
暁子
暁子
兵十郎
幹三
輝子
嵐耕
遊子
太美子
茉衣
瑛三
翠
暁子
長山あや 選