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兵十郎
幹三
眞知子
浩一郎
暁子
輝子
和江
乱
英雄
幹三
昴
浩一郎
暁子
ゆたか
邦夫
幹三
瑛三
浩一郎
嵐耕
京子
茉衣
洛艸
洛艸
兵十郎
浩一郎
眞知子
幹三
遊子
乱
瑛三
嵐耕
乱
浩一郎
瑛三
幹三
茉衣
安廣
京子
幹三
浩一郎
眞知子
言成
輝子
洛艸
瑛三
暁子
長山あや 選
第561回 平成27年6月15日 (月)
君逝きて短夜果てしなき夜となりぬ
もう居ない夏が一番好きな君
亡き夫の書斎の窓辺風薫る
考へを罷めて苺をただつぶす
白雲へ伸び競ひたる夏木立
起き出でて書き足す稿や明易き
あや
浩一郎
選者吟
兼題 夏木立・苺(あや) 短夜・紫陽花(浩一郎)
席題 卓上に 百合・額の花
安廣
洛艸
乱
あや
茉衣
眞知子
兵十郎
翠
あや
暁子
太美子
輝子
暁子
遊子
洛艸
瑛三
嵐耕
遊子
安廣
乱
あや
瑛三
幹三
暁子
安廣
嵐耕
暁子
眞知子
あや
輝子
洛艸
乱
兵十郎
言成
暁子
井上浩一郎 選
◎短夜を語り明かせば月白し
やすらぎのカフェテラスある夏木立
短夜や雀の鳴きて本を閉づ
曽爾原は風の狂乱青嵐
中庭で人みな憩ふ夏木立
夏木立揃ひの帽子の園児行く
淡き香の山紫陽花に出合ひけり
明易の旅の無聊や細き月
亡き夫の書斎の窓辺風薫る
◎紫陽花の喜ぶ雨と思ひけり
湖畔には宮居の多し夏木立
夏木立恋人たちに蔭を濃く
紫陽花や昨夜の雨滴をなほとどめ
◎萬緑の山に読経の谺かな
林道の山紫陽花に霧流る
◎勤行の鐘明易の坊泊り
六甲の雨の紫陽花藍深し
居酒屋の傘を借りたる走り梅雨
苺採る乙女の指の白さかな
紫陽花の中に消えたる妻を呼ぶ
もう居ない夏が一番好きな君
◎夏木立木曽馬育つ山の牧
夏木立見え隠れして信濃川
夏木立テニスコートの音届く
◎小さけれど終の棲家や夏木立
かごに摘むハウスの苺車椅子
生れし家の夏木立見え足速め
◎耳あてて水音聞かむ大夏木
◎君逝きて短夜果てしなき夜となりぬ
楽しさは子らとわけ合ふ苺パフェ
滞る稿を果たして明易し
苺摘み日の香のするを子らと食ぶ
三輪山の神を守るや夏木立
百合の香の隅まで届く句座にあり
◎紫陽花や繕うて住む古き家
幹三
翠
暁子
言成
洋一
遊子
英雄
翠
乱
洛艸
幹三
京子
洛艸
英雄
安廣
瑛三
暁子
洋一
昴
安廣
暁子
浩風
輝子
瑛三
暁子
幹三
眞知子
眞知子
幹三
暁子
昴
浩風
洋一
浩一郎
洛艸
輝子
浩風
兵十郎
幹三
翠
眞知子
浩風
浩一郎
洛艸
兵十郎
磨央
言成
洛艸
翠
長山あや 選
第562回 平成27年7月13日 (月)
待つ人の永遠に帰らぬ日永かな
発掘より帰宅の夫の日焼かな
古墳訪うていつも日焼の夫なりき
辛酸の皺の深さの日焼かな
長き旅ありしと掬ぶ泉かな
水中花開きゆくときみな笑まふ
あや
浩一郎
選者吟
兼題 水中花・日焼(あや) 泉・昼寝(浩一郎)
席題 卓上に 胡瓜・茄子・トマト
翠
幹三
暁子
邦夫
嵐耕
幹三
嵐耕
洛艸
洋一
英雄
瑛三
幹三
暁子
昴
安廣
幹三
兵十郎
暁子
瑛三
幹三
暁子
瑛三
兵十郎
言成
昴
浩風
茉衣
昴
洛艸
浩風
幹三
言成
眞知子
和江
井上浩一郎 選
◎独り住み猫も胡瓜ものびのびと
蝙蝠の数とは数へにくきもの
音たてて泉湧きゐる木蔭かな
日焼して覚えし櫓漕ぎ伝馬船
すっきりと伸ばす手足や昼寝覚
◎目をかつと見開いてゐる金魚かな
読みつつもいつしか昼寝すこやかに
日焼して出迎へくれし浜の子ら
砕け散る波と戯る日焼の子
そのあとは句作にはげむ昼寝かな
道修町薬舗の棚の水中花
潮の香の満ちたる中に昼寝覚
昼寝覚めたちまち元の老いの身に
また来むと泉にコイン投げ入れぬ
日に焼けし農夫の顔のゆるぎなき
◎日焼の子みな飛び込んでしまひけり
山頂に日時計のあり昼寝人
咲きつづく疲れありけり水中花
◎オール握る日焼の腕たくましき
◎日焼の子日焼せしこと書く日記
日焼して一皮むけし背中かな
日焼してなでしこジャパン帰国せり
日焼せし手にがつしりと握る鍬
昼寝の子起こさぬための庭仕事
辿り着きひとくち命の泉かな
老いてなほ農一筋の日焼顔
水中花病床の友ほほえみぬ
シャツのあと背中にくつきり日焼の子
水替へて彩よみがへる水中花
◎しばらくは俗世を離れ大昼寝
母を待ちまだ沈めざる水中花
江戸情緒コップに咲かす水中花
◎いつの間に夢なき深き昼寝かな
◎昼寝してまた伸びるらし長き足
蝙蝠の数とは数へにくきもの
◎独り住み猫も胡瓜ものびのびと
音たてて泉湧きゐる木蔭かな
◎三毛猫に添寝してゐる昼寝の子
水中花亡き母想ふ昭和かな
葛切りの喉越し楽し谷崎忌
静けさを一人占めして泉わく
健闘のなでしこジャパン日焼美し
色褪せぬことの悲しさ水中花
◎昼寝覚めいつもの根気戻りけり
老鶯の鳴きたきままに鳴ける谷
◎山脈の泉流るる庭の風
日焼して出迎へくれし浜の子ら
◎そのあとは句作にはげむ昼寝かな
くま蝉の啼き初むるなり今日の夏
道修町薬舗の棚の水中花
◎昼寝覚めたちまち元の老いの身に
端居してはじめて判る老い心
また来むと泉にコイン投げ入れぬ
日に焼けし農夫の顔のゆるぎなき
水中花短かき返信読み返す
◎一掬に先づ口をつけ泉汲む
敗戦を語らぬ将や日焼濃く
水中花褪せし昭和の花なれば
咲きつづく疲れありけり水中花
砂の湧く泉の底に音の無く
◎うつつにも片足残し昼寝かな
日常を少しはずれて水中花
日焼の子日焼せしこと書く日記
時に出す泡は言葉か水中花
辿り着きひとくち命の泉かな
老いてなほ農一筋の日焼顔
点滴の遅遅たる落下梅雨の雲
辛酸の皺の深さの日焼かな
水替へて彩よみがへる水中花
敦煌の砂漠に泉湧く不思議
しばらくは俗世を離れ大昼寝
山頂の宮の軒下三尺寝
一夜明け熊蝉の樹となつてをり
水中花己が鼓動を聞いてをり
いつの間に夢なき深き昼寝かな
予備校に日焼の顔の馴染まざる
突然に世のま只中昼寝覚
病室の一つの彩り水中花
蝉鳴かぬ刻の静寂に身を置きぬ
梅雨寒や朝刊を待つもどかしさ
水中花昭和の花を咲かせをリ
山路来て杓も備はる泉かな
アンニュイの募り行く午後水中花
田の隅は手植となりて老一人
挨拶は紫陽花のこと色のこと
名づけられ苺ふる里もちにけり
◎母に蹤き朝の苺を摘みしこと
一日の小さき幸せ苺食む
明易し少年の黙とけぬまま
明易や噴火近しと浅間山
短夜や雀の鳴きて本を閉づ
里山に憩ふひととき夏木立
苺ひとり食ぶことかくも淋しとは
◎行く雲をしばし留める大夏木
起き出でて書き足す稿や明易き
とびきりの眠りを得たり短夜に
明易きことに戸惑ひする旅路
石灰を吸うて紫陽花赤み帯び
竹の柄の太き傘持ち父の梅雨
短夜の看取り長しと思ふ夜も
明易や宿をはや立つ人の声
雨を浴び色づく雫七変化
木洩日の揺れ合ふ影や夏木立
短夜を語り明かしぬ幼馴染み
苺摘む赤く大きな粒揃へ
どの毬も彩を違へて七変化
短夜や露天湯に待つ日の出かな
◎母給びし苺ミルクや今も好き
◎夏木立地下深くめぐる水思ふ
明易や潮入り川に潮の差す
◎萬緑の山に読経の谺かな
年半ば成さざることも夏木立
◎勤行の鐘明易の坊泊り
六甲の雨の紫陽花藍深し
◎紫陽花の中に消えたる妻を呼ぶ
白雲へ伸び競ひたる夏木立
夏木立木曽馬育つ山の牧
夏木立見え隠れして信濃川
短夜の朝の光の未熟さよ
◎小さけれど終の棲家や夏木立
◎水底に紫紺の影や七変化
麦熟れて近江の風の乾きたる
◎考へを罷めて苺をただつぶす
耳あてて水音聞かむ大夏木
紫陽花やしみじみ二人ぼつちなる
詣でむと紫陽花の谷のぼりゆく
◎滞る稿を果たして明易し
父母は苺に砂糖かけられし
◎紫陽花や繕うて住む古き家
眞知子
暁子
安廣
太美子
洋一
嵐耕
翠
言成
英雄
洛艸
邦夫
輝子
洋一
嵐耕
洛艸
言成
眞知子
翠
元彦
浩一郎
元彦
浩一郎
暁子
幹三
洛艸
長山あや 選
第563回 平成27年8月17日 (月)
新涼は淋しと言ひし君のこと
天の川仰げば君の声聞こゆ
夫逝きて夕焼の窓遺りけり
みな逝きてほろと門火を点すかな
人ありし跡は風棲み赤のまま
新涼の風に放ちて古書斎
あや
浩一郎
選者吟
兼題 門火・新涼(あや) 天の川・赤のまんま(浩一郎)
席題 卓上に 南瓜・枝豆
輝子
京子
あや
暁子
京子
幹三
あや
乱
暁子
瑛三
幹三
眞知子
暁子
眞知子
暁子
眞知子
幹三
元彦
あや
暁子
洛艸
輝子
眞知子
安廣
邦夫
暁子
京子
幹三
瑛三
嵐耕
安廣
洋一
洛艸
あや
井上浩一郎 選
◎マッチ擦る手も母に似て門火焚く
奈良町や赤のまんまを活けし窓
◎新涼は淋しと言ひし君のこと
◎新涼を乗せて山風すべり来る
風向きの変はりし夜半の秋涼し
寺の名の書かれし如露で墓洗ふ
天の川仰げば君の声聞こゆ
新涼や風呂の掃除も引き受けて
新涼や探しゐし書を見つけたり
赤のまま玉音ききし工場裏
島の宿窓開け放ち天の川
先の世に君と下りし天の川
夕日さす野にまだ遊び赤のまま
天の川時をたゆたふ舟に乗る
◎門火焚く縁も仏間も開け放ち
天の川声届かざる向う岸
寺町の寺々に咲く百日紅
門火焚く道に迷はぬ君なれど
秋の蝉は淋しと言うて逝きし夫
わが腰のごと座りよき南瓜かな
新涼のいよよ始まりそめしかな
苧殻買ふ五本一束軽きこと
◎天の川暗くて深き淵のあり
野仏に誰か供へし赤まんま
門火焚き故郷離るる子孫かな
◎新涼やみな出払ひし家の中
甲板のわが影長し天の川
日かげりて蜻蛉の色現はるる
天の川渡る舟なき恋路かな
万葉の光を今に天の川
踏まれても知らぬ気な顔赤まんま
新涼や杖突く友に笑顔あり
◎結願の札所詣でや秋高し
◎帰りませ君の窓辺にたく門火
赤のまんまはるか昭和の幼年期
新涼を乗せて山風すべり来る
山の谷鮎釣る竿に日の躍る
六甲はやあきつの空となりてをり
新涼や原稿用紙前にして
新涼や素足すべらす青畳
賜りし新涼の如き助言かな
米寿とて俄かに近し天の川
独り居のこころ揺さぶる銀河かな
門火消え立ち去りがたきしばしかな
天の川己が卑小を今一度
魂迎へ生命をつなぎくれし人
天の川逝きたる妻を呼び寄せり
八十路こえ君なつかしき赤のまま
妻偲び独り門火を焚きにけり
◎天の川北アルプスに直立す
◎天の川声届かざる向う岸
南瓜愛す煮ても焼いても食へる君
◎門火焚く路に迷はぬ君なれど
◎人ありし跡は風棲み赤のまま
天の川飛行士すべて地球人
◎みな逝きてほろと門火を点すかな
打ち連れて戻り来給へ門火焚く
山道のしづかに曲がる涼新た
山頂の寝袋で見る銀河濃し
輝子
翠
英雄
眞知子
昴
嵐耕
安廣
太美子
邦夫
洛艸
邦夫
浩一郎
暁子
暁子
輝子
眞知子
磨央
浩一郎
言成
輝子
京子
兵十郎
洋一
暁子
乱
洛艸
眞知子
兵十郎
言成
兵十郎
輝子
太美子
京子
嵐耕
浩風
浩一郎
眞知子
瑛三
昴
洛艸
乱
洋一
嵐耕
輝子
乱
洋一
瑛三
幹三
花帆
花帆
花帆
長山あや 選
第564回 平成27年9月14日 (月)
遺されし書物に埋もれ露涼し
亡き夫と夜ごと聴き入る虫の声
夫逝きて萩を淋しき花と知る
寄る雲に遊べる月を見てひとり
爽やかに人驚かすことを言ふ
爽やかや無為の一日をたまはりて
あや
浩一郎
選者吟
兼題 月・夜長(あや) 爽やか・虫(浩一郎)
席題 卓上に 萩・芒・曼珠沙華・韮の花
あや
あや
言成
浩風
太美子
英雄
安廣
嵐耕
言成
あや
兵十郎
洛艸
輝子
言成
乱
あや
眞知子
洛艸
京子
幹三
邦夫
遊子
浩風
乱
眞知子
翠
兵十郎
輝子
眞知子
瑛三
元彦
幹三
言成
輝子
花帆
井上浩一郎 選
◎君逝きて虫しきり鳴く窓遺る
遺されし書物に埋もれ露涼し
卓上の青き小瓶に韮の花
爽やかや独り伝馬の流し漕ぎ
爽やかや登校の声張りありて
亡き友をしのぶがごとし虫すだく
雨だれの音絶えもせぬ夜長かな
病窓の明るき月に癒されし
さやさやと月の満つるを待つ芒
亡き夫と夜ごと聴き入る虫の声
爽やかや磯千畳を渡る風
◎頂上は広く平に虫の秋
◎爽やかに忘れてもよきことばかり
◎大好きな童話聴かせて夜長かな
息子らは異郷にありて月の秋
夫逝きて萩を淋しき花と知る
名月や水琴窟の音清し
辿り来し辻堂暗し昼の虫
◎爽やかや山脈の色深まりて
◎月光やまつすぐに跳ぶ魚のあり
◎爽やかや遠き丘より鐘聞ゆ
夏の牧鈴連なりて牛帰る
馳走さる五衛門風呂や庵の月
書を閉ぢて杯を手にせむ長き夜を
◎月明しなんとなけれど寝もやらず
雨上りさうわき上る昼の虫
すだく虫野に立つ吾を包みたり
◎長き夜や古き手紙に友若し
すがれ虫昼を鳴きをりほそぼそと
生きざまを影と語らふ夜長かな
一匹の虫籠で鳴くきりぎりす
果し合ひやってゐさうな芒原
爽やかな診断何故か物足らず
◎爽やかにすべて許して母逝きぬ
飛行機の飛び立つ空に赤蜻蛉
夜長し一行で書く日記帳
黙せしばし風爽やかな山頂に
愉しさを絵筆に託す夜長かな
さはやかや少年口笛うまくなり
◎思ひ出が思ひ出紡ぐ夜長かな
万葉の月を思へば恋しかり
荒海に月光冴えて一人立つ
波音も混りて更ける虫の宿
ひと仕事終へ冴え渡る夜長かな
聞き惚れてわれも一体虫の闇
◎しなやかに雲を脱ぎつつ月のゆく
◎寄る雲に遊べる月を見てひとり
ほろほろとこぼれやまざる萩の寺
◎月上る思ひがけなき方向に
爽やかに忘れてもよきことばかり
◎手入れなき草むす墓地の虫しぐれ
月まるく盆のやうなる秋の水
月明や森うづくまりやすらけき
開け放つ縁に愉しむ虫ライブ
長き夜や駄菓子に熱き番茶よし
爽やかや山脈の色深まりて
すだく虫車の音を包み込む
爽やかや机上片づけペンを執り
存分に遊ぶ月夜の魚かな
書を閉ぢて杯を手にせむ長き夜を
◎月明に峻厳と立つ槍穂高
月明しなんとなけれど寝もやらず
風なくば背筋伸ばして若芒
穴太積の石垣に聴く昼の虫
すだく虫野に立つ吾を包みたり
長き夜や古き手紙に友若し
夜々育つ月に光も添うてきし
久久の月を流るる雲の川
病院の広き中庭昼の虫
萎えし眼に昏るるは早し虫時雨
爽やかな無為の一日をたまはりて
◎目つむれば音色それぞれすだく虫
◎生きざまを影と語らふ夜長かな
月明や国境の橋渡りけり
ままならぬ旅路の宿の夜長かな
断崖の別荘下は月の海
赤トンボ命ささげし若人は
◎君逝きてホームに一人夜の長き
爽やかにすべて許して母逝きぬ
月の庭床几にありし父と母
子ら帰り声なき部屋に月明し
お月様俺も一人よよろしくな
◎木の鳴りて山の夜長の始まりぬ
句を詠めばその句に悩む夜長かな
夕飯の献立迷ふ秋の空
飛行機の飛び立つ空の赤蜻蛉