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kukaihousyouroku
item16

◎銀杏散る南御堂の辞世の句
 大鷹の舞ふ北嶺の姑の里
 切り岸の巌頭鷹の一羽舞ふ
◎黒土と風に育ちし大根引く
◎城垣の川面へ放つ鷹ひとつ
 色づくも散るもある庭冬に入る
 松ケ枝の八方ふさぎ掛大根
 本を閉づ車窓いつしか初時雨
◎茶の花や足るを知らざる金の蕊
 茶の花の垣根めぐらすお茶農家
 石垣の上に石垣お茶の花
 茶の花や雨にぬれたる庭の石
 初時雨聞かんと小窓少し引く
◎大根売る隣る畑で引き来しを
 うつむきて茶の花金の蕊かくす
 枝折戸に茶の花垣の茶店かな
◎初時雨かすかな木木の匂ひして
◎掛大根日時計で足る杣暮し
 初時雨ふと口ずさむ謡ひとつ
 日当りて茶の花幸せさうに咲く
 露座仏は半眼に在し初時雨
 営々と島の畑守る人と鷹
 輪を描いて飛行機雲へ鷹の舞ふ
◎鷹の目のはるかなるもの見つめをり
 枝といふ枝みな大根懸けし庭
 借り傘の蛇の目に京の初時雨
 山寺に茶の花の垣よき日和
 悠々と鷹舞ふ空に雲ひとつ
 紀ノ国を見まはるやうに鷹舞うて
◎大根炊く香に包まるる帰宅かな
 大原女の商ひの声初時雨
 飼はれても馴るることなく鷹凜と
 同姓の續く生垣お茶の花
 夕日受く富士を隠して初時雨
 手甲の厚し鷹師の腕太し
 雨ひそと茶の花いよよ白きかな
 奥入瀬に架る倒木草紅葉
◎大根をどこかに干せりどの家も
 露天風呂たたきて行きし初時雨

遊子
和江
浩風
和江
浩一郎
太美子
浩風
暁子
言成
洛艸
輝子
ゆたか
浩一郎
輝子
暁子

京子
浩風
洋一
暁子
浩風

嵐耕
暁子
洛艸
瑛三
ゆたか
安廣
太美子

洛艸
輝子
浩風
敏夫
輝子
浩一郎

ゆたか
敏夫

林 直入 後選

第536回 平成25年11月18日 (月) 

兼題  茶の花・鷹(直入)初時雨・大根一切)(浩一郎)
席題  卓上に 石蕗の花、杜鵑草、山吹の帰り花、金柑

 散る銀杏南御堂の辞世の句
 つつましき茶の花匂ふ夕べかな
 庭石の濡るるほどなる初時雨
 切り岸の一巌頭を鷹の舞ふ
 差し向かひ妻と風呂吹ふきながら
 大根をためし切りして包丁研ぐ
 色づくも散るもある庭冬に入る
 本を閉づ車窓いつしか初時雨
 坐禅くむ人気 (ひとけ) なき寺初時雨
 初時雨今日より京の幾時雨
◎初時雨折りたたみ傘さしもせず
 茶の花の垣根めぐらすお茶農家
◎鷹の眼に野を行く我の映るらむ
 道の駅光る大根山積みに
 大根売る隣る畑で引き来しを
 探鳥のレンズに鷹の眼かな
 だかまり一つほぐして初時雨
 ふろふきの湯気の中なる母の顔
 初時雨かすかな木木の匂ひして
 波除に網干さぬ日は大根干し
 大草原鷹は束の間放たれし
 初時雨ふと口ずさむ謡ひとつ
 日当りて茶の花幸せさうに咲く
◎大根の太さの穴の並びをり
 輪舞して気流に乗るや鷹柱
 青首の大根の香もおろしけり
◎禅林の茶の花白き朝かな
◎鷹の目のはるかなるもの見つめをり
◎枝といふ枝みな大根懸けし庭
 茶の花を生け花として炉を起す
 借り傘の蛇の目に京の初時雨
 朝日さし茶の花の蕊金色に
 蹲踞の蔭ににひつそり石蕗の花
◎鷹を見るわが目を鷹は見ざるまま
 さつと抜け尻餅つきし大根引
◎山寺に茶の花の垣よき日和
 大根を桂に剥きし無骨な手
 悠々と鷹舞ふ空に雲ひとつ
 鷹一羽サンクチュアリに身じろがず
 茶の花の黄を点じゐて慎ましや
 鷹舞ひて山一瞬に巌と化す
◎紀ノ国を見まはるやうに鷹舞ふて
 卓上を灯して石蕗の花明り
 大根の一本残りし裏畑
◎大根や父母の好みし下ろし金
◎痛きほど葉の生きてゐる大根買ふ
 初しぐれ箕面の猿の雨宿り
 茶の花や備前茶碗のぬくもりを
◎大原女の商ふ声や初時雨
 鷹の目の虚空を見つめ人を見ず
◎県境を越ゆる間の時雨かな
 初時雨山薄れゆき黄昏る
 初しぐればらばらばらと十粒程
 飼はれても馴れてはをらず鷹凜と
 照り翳り繰返してや初時雨
 頭垂れ羽根を繕ふ鷹の老い
◎茶の花のこぼるる垣根東山
 傘無くて背を丸め行く初時雨
 夕日受く富士を隠して初時雨
 手甲の厚く鷹師の腕太き
 影長き人大根を引きをりぬ
 旅半ば岬に立てば鷹渡る
 大根をどこかに干せりどの家も
 落し蓋ぐつぐつぐつと大根煮る
 大根を抜きたる穴の昏きかな

遊子
嵐耕
太美子
浩風
瑛三
輝子
太美子
暁子

浩風
眞知子
洛艸
幹三
眞知子
輝子
京子

箕川
京子
ゆたか
輝子
洋一
暁子
幹三
遊子
嵐耕
瑛三
暁子
洛艸
ゆたか
瑛三
嵐耕
洋一
暁子
洛艸
ゆたか
敏夫
安廣
輝子
太美子
瑛三
太美子
浩風
洋一
邦夫
輝子
箕川
浩風
洛艸
暁子
幹三

ゆたか
輝子
暁子
言成
京子
安廣
敏夫
輝子
幹三
眞知子
ゆたか
浩風
暁子

井上浩一郎 選

 雨ひそと茶の花いよよ白きか
 大根干す棹に余りて立木にも
 気配してまなこ挙ぐれば初時雨

浩一郎

 

選者吟

バックナンバー
バックナンバー

◎鬼笑ふことの相談師走かな
 師走てふ言葉に心走り出す
 師走には物置となる書斎かな
 咳込んで車内の視線浴びにけり
 遺されし時計の刻む十二月
 己が背に首をあづけて浮寝鳥
◎寄生木の所在あらはに枯木立
 草枯れし野に静けさと温もりと
 稜線の透け枯木立なりしかな
 夢見るや万里の旅の浮寝鳥
◎色町の昼餉静かに枇杷の花
 なすことも無き独り居の年用意
 すべて脱ぎ泰然自若枯木立
 浮寝鳥浮世の波に委ぬかに
◎力なき咳に看取りの憂ひ濃し
◎電話とる妻は師走の声となり
◎会場を脱け出す羽目となりし咳
 ここかしこ杯を重ねて師走ゆく

暁子
あや
瑛三
和江
京子
言成
言成
太美子
太美子

幹三
洋一
洛艸
洛艸
洛艸
洛艸
洛艸

林 直入 選

第537回 平成25年12月16日 (月) 

兼題  枯草・毛布・師走(直入)浮寝鳥・枯木立・咳(浩一郎)
席題  卓上に焼藷

 ダイアリー替へてオフィスの年用意
 水仙やホスピスの窓一つ開く
 力なき咳に看取りの憂ひ濃し
 蒼空に洗はれしごと枯木立 
 年用意祖母の仕切ぞ見事なる
 抽選器がらから師走かきまはす
 ゆつたりと師走を過ごす退職期
 帰り待つと母の言葉や咳交へ
◎嫁ぐ娘のうたた寝母の毛布かな
 満天の星に眠るや枯木立
 カシミヤの毛布売り切れ特売日
 浮寝鳥湖暮れゆけば湖にとけ
 山寺に薪割る僧の年用意
 マンデラ師逝けりジャカランダ咲き盛る
◎なすことも無き独り居の年用意
 もう何も気にするものなし枯木立
 枯草を抱けば太古の香りかな
◎やつとこさ癒えし女房と冬至粥
 七輪をおこし師走を煽りをり
◎咳こめば真に母に似て来たる
◎電話とる妻は師走の声となり
 枯木立行く人の影また淡き
 月光に神鹿遊ぶ枯木立
◎極月や父の蔵書の所を得
 地下鉄に神農の虎ゆれてをり
 正月は嬉しくないと妻の言ひ
 薔薇色のひざかけ毛布娘の呉るる
 毛布一枚破れし軍靴復員す
 咳の子の背ナなでてやる祈るごと
 私事公事よきに計らへ浮寝鳥
◎遺されし時計の刻む十二月
◎昭和てふ時を封じし古毛布
◎咳込みて死ぬかと思ふ一夜かな
 師走には物置となる書斎かな
 水鏡に色極まりし冬紅葉
 揺れながら夢みることも浮寝鳥
◎バスの来て人みな乗せて行く師走

安廣
遊子
洛艸

邦夫
浩風
茉衣
箕川
浩一郎
安廣
元彦
眞知子
瑛三
箕川
洋一
浩風
和江
元彦
浩風

洛艸
浩一郎
瑛三
箕川
京子
ゆたか
輝子
箕川
暁子
和江
京子
和江
暁子
瑛三
京子
言成
幹三

長山あや 選

 変身をしてさつま藷とは見えず
 数へ日となりて余生と言ふことも
 楽しみは年用意してあとの酒
 師走てふ言葉に心走り出す
 咳ひとつこぼす癖あり夫帰宅
 山荘の猪鍋窓に大き星

直入


あや

 

選者吟

アンカー

c535

第535回 平成25年10月21日 (月) 

兼題  茸狩・鵙(直入)木の実落つ・温め酒(あや)
席題  卓上に 酢橘、蔦

◎食へるかと杣にききつつ茸とる
 母逝きし鵙繁く啼くその朝に
 朝帰り叱咤するかに鵙の声
 鵙猛る下に求人広告板
 ぬくめ酒野暮は言ふまい今しばし
 木の実落つ時に二拍子三拍子
 温めて木の香かぐはし樽の酒
◎蛇腹てふ裏修験道木の実降る
◎酢橘買ふ酸つぱい顔になりながら
 朝鵙に家の戸開く城下町
 色鳥に細枝撓ふ重さあり
◎悔少しあれど一先づ温め酒
◎レンジではやはり味出ぬ温め酒
◎はしやぐ子やくやしがる子も茸狩か
 どんぐりのはづみころげし石だたみ
 句を拾ひ木の実拾ひて楽しかり
◎茸狩のみな首ひねるもの混る
 茸とる人ぬつと出てつと消ゆる
 鵙たけるメタセコイヤの先の先
 木の実降るぽつぽつ語る心内
 爺の目にだけよく見ゆる茸狩
 休診札掛けて娘と茸狩に
 はらからに米寿祝はれ温め酒
 注意力観察力かや茸狩
◎子も孫も去りて独りの温め酒
◎見上げたる空の広さや茸狩
 酒の量落ちしをかこち温め酒
 吹く風の気儘のままに木の実落つ
 鵙の声せつなきまでにけたたまし
 独り居の気儘も楽し温め酒
 計らずも浴びし反論鵙たける
 ぬくめ酒越と名のつく酒選ぶ
 得し地酒少し残るを温めけり

瑛三
安廣
洛艸
浩風
眞知子
浩風
瑛三

輝子
浩一郎
幹三
洛艸
暁子
ゆたか
眞知子
輝子
幹三
敏夫
輝子
和江
暁子

嵐耕
太美子
洛艸
安廣
暁子
洛艸
眞知子

輝子
眞知子
浩一郎

林 直入 選

 鵙日和部活の子らの声高し
◎言いきれぬことをも含み温め酒
 年寄も子供も木の実拾ふなり
 黒徳利父に倣ひし温め酒
 温めて木の香かぐはし樽の酒
 これよりの森の春秋木の実落つ
 流れ来る昭和演歌や温め酒
 リハビリの友見舞ふ日の秋時雨
 六甲に松茸狩りの記憶かな
 木の実落つ音軒に聞く旅の宿
 よき友と会の話を温め酒
 悔少しあれど一先づ温め酒
 木の実落つ我が身ひとつの永き夜
 僧たちの朝の清掃鵙高音
 人まかせせぬ父なりき温め酒
 鵙たけるメタセコイヤの先の先
 鷹一羽椰子の実一つ伊良湖岬
◎木の実落つ別れの辻の地蔵さま
◎爺の目にだけよく見ゆる茸狩
◎ふるさとに知友少なく木の実落つ
◎分厚き手の人に貰ひし木の実独楽
 温め酒二人で老いむと思ひしに
 休診札掛けて娘と茸狩に
 葛城へ椎茸の榾ならぶ道
 老妻と差し向ひつつ温め酒
 酒温めて今日の句を反省す
 見上げたる空の広さや茸狩
◎温め酒この人と来し五十年
 独り居の気儘も楽し温め酒
 言の葉も落葉も風に舞ひにけり
 鵙鳴きてそこで話の途切れたる
 山荘の山気震はせ鵙猛る
◎食へるかと杣にききつつ茸とる
 茸籠いささかあやし彩放つ
 母逝きし鵙繁く啼くその朝に

和江
和江

敏夫
瑛三
太美子
暁子
言成
京子
安廣
ゆたか
洛艸
眞知子
嵐耕
太美子
輝子
遊子
瑛三
暁子
幹三
幹三
暁子

輝子
浩風
直入
安廣
輝子

遊子
幹三
洛艸
瑛三
和江
安廣

井上浩一郎 選

 足ごしらへ程には茸採れざりし
 独酌の冷よりやはり温め酒
 まろやかな程酸つぱげに見ゆ酢橘
 ほどけゆく思案ひとつや温め酒
 朝鵙に家の戸開く城下町
 手馴れたる指図のままに茸狩

直入


浩一郎


 

選者吟

アンカー

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第521回 H25.01.21

第522回 H25.02.18

第523回 H25.03.18

第524回 H25.03.31

第525回 H25.03.31

第526回 H25.04.01

第527回 H25.04.15

第528回 H25.05.20

第529回 H25.06.17

第530回 H25.06.30

第531回 H25.07.15

第532回 H25.08.19

第533回 H25.09.09

第534回 H25.09.29

第535回 H25.10.21

第536回 H25.11.18

第537回 H25.12.16