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別れ霜宇陀の里まだ目覚めゐず
人麻呂を偲ぶかぎろひ見あたらず
花の中暗さのありて瀧桜
水温み何か蠢く川の底
古町をやさしく包む朝霞
かぎろひの丘の夜明けの花の冷
小流れのかすかにひびき水芭蕉
山気澄む阿騎野のあした別れ霜
眞知子
邦夫
幹三
邦夫
洋一
敏夫
輝子
輝子
林 直入 後選
第526回 〈吟行句会〉平成25年4月1日 (月)
吟行地 宿舎近くの池周辺、又兵衛桜、かぎろひの丘 など
春日受け畑ほこほこと乾きゆく
朝ぼらけまづ白蓮 (はくれん) のうかびくる
別れ霜宇陀の里まだ目覚め前
◎大和なる春あけぼのに目覚めけり
人麻呂と丘に座りて暖かし
別れ霜射し初む朝日受け光る
水温む何か蠢く川の底
朝日受け崖なだれ落つ瀧桜
踊子草鳥の声降る小径行く
◎人麻呂の歌碑へ下萌踏みしめて
春暁の木木の香りの径かな
小流れのかすかにひびき水芭蕉
◎山気澄む阿騎野のあした別れ霜
敏夫
輝子
眞知子
暁子
幹三
眞知子
邦夫
敏夫
輝子
乱
暁子
輝子
輝子
長山あや 後選
春日影動かぬ亀の時間かな
下積みのさまに地を這ふ犬ふぐり
寒くともバスのダイヤは確かなり
一面の更地となりていぬふぐり
◎残雪や家々訪うて小商い
下萌や人動きそめ語りそめ
◎大人ぶるかまくらの子のご挨拶
かまくらの灯影ほつこり闇の中
パンジーやヅカ合格の声歓喜
入りませとかまくらの子ら頬丸し
◎かまくらへ小さき三つ指に迎へられ
列車よりホーム短し犬ふぐり
◎探鳥の湖北の里に残る雪
かまくらの童女の眉はこけし風
山の辺の道歌碑いくつ下萌ゆる
◎かまくらの灯それぞれ子らの城
借景の山も離宮も眠りをり
下萌や褪せし地蔵の涎掛け
灯ともしてかまくらいよよ別世界
仏壇にバレンタインの日の供物
下萌や母子像ある少年院
靴底を通りぬけたる余寒かな
残雪や馬柵に鼻寄せ親子馬
犬ふぐり抱く空の青海の青
◎残雪や日に日に汚れゆくさだめ
◎下萌や脚より育つハイティーン
犬ふぐり小水かけて犬の去り
残雪の秩父山並高からず
春しぐれ身を寄せあふて猿の群れ
残雪の丹後の里の機の音
京子
洛艸
磨央
翠
暁子
浩一郎
洛艸
安廣
眞知子
和江
あや
ゆたか
京子
ゆたか
瑛三
翠
乱
元彦
あや
京子
輝子
幹三
浩風
あや
言成
浩風
洋一
和江
安廣
瑛三
林 直入 選
第522回 平成25年2月18日 (月)
兼題 かまくら・犬ふぐり(直入) 下萌・残雪(あや)
席題 卓上に ほうれん草・春菊・水菜・パンジー
◎野に山に嬉しきたより犬ふぐり
妻の留守男料理のはうれん草
妻病みて不足のままの冬野菜
◎大人ぶるかまくらの子のご挨拶
◎かまくらの火影ほっこり闇の中
雨ふくむ土くろぐろと下萌ゆる
あめつちに力みなぎり下萌ゆる
菠薐草ポークソテイを引立てて
就中はりはり鍋の水菜かな
◎日溜りは瑠璃色だまり犬ふぐり
ご神木一と廻りして下萌ゆる
かまくらの小さき灯に人の寄る
◎残雪や荒磯へ向く蜑の小屋
探鳥の湖北の里に残る雪
国境雪を残して近江路へ
犬ふぐり天与の青を誇るかに
水菜白き千筋の茎の乱れざる
下萌の野に愛犬を放ちやる
犬ふぐりひと叢汚れ持たぬ青
雪残り庭掃くことをたのしめり
余生とはしぶとくひそと犬ふぐり
残雪の未練溶かして雨しとど
残雪の丹後の里の機の音
◎下萌の土堤に大の字空ひろし
美しき記憶となりし残る雪
◎下萌や大地は助走はじめたり
早春の樹々仰ぎ見て鳥捜す
原発の被爆の田畑残る雪
かまくらの幼馴染よ恋女房
春寒し身ほとり電子音ばかり
犬ふぐり一人が摘めばみんな摘む
鎮もれる句座に菫の孤独かな
春一番ヴァチカンからの退位宣言
◎忌を修しいざ生きめやも草萌ゆる
下萌の上滑らせて舟を出す
待つ心知るかについと下萌ゆる
鷽替や見知らぬ人の笑みの波
◎山頂の残雪映ゆる落暉かな
下萌を燃え初む恋と読みし世も
◎残雪やふとわが余生思ひやる
いとしけれど抜かねば庭の犬ふぐり
野に山に嬉しきたより犬ふぐり
嵐耕
言成
元彦
洛艸
安廣
嵐耕
浩一郎
言成
浩風
嵐耕
敏夫
元彦
浩一郎
京子
洋一
言成
暁子
言成
眞知子
ゆたか
翠
眞知子
瑛三
輝子
ゆたか
太美子
茉衣
嵐耕
瑛三
暁子
輝子
翠
茉衣
翠
幹三
眞知子
京子
嵐耕
乱
言成
直入
嵐耕
長山あや 選
かまくらの子等みな二重瞼なる
残雪や白とは汚れ易き色
犬ふぐり狭庭の日差知つてをり
犬ふぐり空のしずくのやうに咲く
灯ともしてかまくらという別世界
野焼あと塒をさがす鳥の声
直入
あや
選者吟
春の草かすかなえぐみ美味として
卒業やみどりの袴闊歩する
師の重き言葉を胸に卒業す
◎被写体は初孫ばかり山笑ふ
爺まねて腕を組む子や山笑ふ
蕗の薹闌けゆく時を惜しみけり
車椅子越えては戻る燕かな
◎どの色もちびしクレヨン卒園す
杉玉の下がる軒下初燕
廃屋となりし隣家に燕来る
庭手入困りゐてなほ苗木植う
初燕軒並み低き寺内町
老ハイカーペアールツクに山笑ふ
◎ダム放水かいくぐり行く岩燕
◎人生は八回表苗木植う
◎卒業の子の親離れうれしとも
特急の明るき車窓山笑ふ
駅長の燕来てより落着かず
卒業の独り横向く写真かな
掘り出せし土冷んやりと苗木植う
杉苗植ゑ山守る業の脈々と
アンテナを揺らして生駒山笑ふ
沈丁と夕月の道独り占め
花も葉もさ緑匂ふふきのたう
又枯らす不安はあれど苗木植う
基肥のほこほことして苗木植う
じやあと言ひまたなと言うて卒業す
◎山彦のきれいな谷や杉の花
吊橋の繋ぐ山々笑ひ合ふ
苗木植う明日あることを信じたく
山笑ふ中腹を汽車見え隠れ
燕来て日本の田舎らしき景
◎友偲び異国の土に苗木植う
ぼんぼりに花へと心誘はるる
空に舞ふ女性ジヤンパー山笑ふ
眞知子
箕川
暁子
浩風
邦夫
眞知子
暁子
輝子
洛艸
浩風
太美子
瑛三
香月
敏夫
和江
瑛三
京子
暁子
ゆたか
幹三
翠
浩一郎
京子
翠
眞知子
浩風
幹三
幹三
洛艸
輝子
太美子
眞知子
安廣
太美子
元彦
林 直入 選
第523回 平成25年3月18日 (月)
兼題 卒業・苗木植う(直入) 山笑ふ・燕(あや)
席題 卓上に 木瓜・雪柳・黄水仙・蕗の薹・春の草
◎君逝きし庭に今なほ黄水仙
この莟みな咲くつもり雪柳
師の重き言葉を胸に卒業す
ちちははの植ゑし椿のひとつ咲く
始まりに向かつて旅立つ卒業式
大空を斜めに切つて燕消ゆ
◎軽やかに親も子も今日卒業す
蕗の薹闌けてゆく時惜しみけり
◎堰越ゆる水音高し初燕
どの色もちびたクレヨン卒園す
杉玉の下がる軒下初燕
後輩の論文を読む春の宵
初燕軒並み低き寺内町
ひるがへる燕土佐堀光りそめ
万蕾の一つほぐれて花の色
黒潮が熊野の初夏を早めけり
山笑ふまた始めむか英会話
花も実も見ぬかも知れぬ苗木植う
七十年待ちし卒業旅行かな
風さやぐ遠近 (おちこち) の丘竹の秋おちこち
先頭の歓声蕗の薹見つけ
ふとんふくらませて東山笑ふ
手弁当ひろげる四方の山笑ふ
駅長の燕来てより落着かず
卒業の独り横向く写真かな
初燕水音高き今朝の堰
花も葉もさ緑匂ふふきのたう
四十年茶筌作りし窓の春
職も決め卒業式は日本晴
◎山彦のきれいな谷や杉の花
◎苗木植う明日あることを信じたく
父祖よりの山守らねば苗木植う
雲低し鶯餅の粉こぼる
八十路なほ卒業の無き俳句道
教え子の手柄讃へて春うらら
◎友偲び異国の土に苗木植う
燕きて露地も賑はひ人通ふ
手を繋ぎ登る避難路燕来る
言成
幹三
暁子
浩一郎
茉衣
京子
輝子
眞知子
敏夫
輝子
洛艸
磨央
瑛三
浩一郎
太美子
磨央
眞知子
言成
浩風
京子
暁子
浩風
洛艸
暁子
ゆたか
敏夫
翠
京子
洛艸
幹三
輝子
太美子
幹三
浩風
磨央
安廣
洋一
元彦
長山あや 選
結局は歌碑の字読めず山笑ふ
巣の在り処商店街の燕
長髄彦撃ち破られし山笑ふ
六甲山ま近に笑ふ街にすむ
燕棲むマンションに吾も住むことに
卒業式まさかの父が出席し
直入
あや
選者吟
酒蔵の杉玉揺らす春の風
春の雷去りて雨足つのりけり
月斗句碑小さき桜散りかかる
かたかごに触れゆく風の紫に
山茱萸の黄どこまでもモノトーン
片栗の花咲くと言ふ崖のぼる
雨の今やみしばかりよ楓の芽
春めきて大和三山色づきて
小流れに春の草咲く宇陀の町
月斗句碑萌ゆ春草に囲まれて
句碑の辺にみどり柔らか蕗の薹
かたくりの花開き初む雨上り
菜の花の斜めに咲いて山畑
明日の日を待つみ吉野の花の黙
鶯や薬草園の丘の上に
虫出でよ人も出でよと春の雷
かたかごのうつむきて咲く雨の宇陀
日の射せば一山の花咲き出でむ
土筆には効能 (ききめ) 札なし薬草園
宇陀川に沿ふ伊勢みちの花の冷
酒蔵へ渡る土橋桜かな
酒蔵の裏に板張る大桜
川音に枝垂柳の芽吹く空
桜狩鄙びし菓子を買ひもして
花の宴初霞てふ地酒酌む
杉玉を潜りて求む花見酒
春寒し旧家の土間のおくどさん
霞立つ宇陀の山山神在す
春雨に檜の香の強き製材所
春雨を音なく落す鎖樋
弟子慕ふ先師の句碑や下萌ゆる
乱
輝子
敏夫
暁子
言成
輝子
幹三
洋一
敏夫
翠
輝子
敏夫
幹三
あや
京子
眞知子
京子
あや
翠
幹三
敏夫
敏夫
京子
輝子
輝子
翠
乱
京子
幹三
洋一
暁子
林 直入 後選
第524回 〈吟行句会〉平成25年3月31日 (日)
吟行地 宇陀市松山地区とその周辺、森野旧薬園、
苦吟する吾を見おろす桜かな
◎酒蔵の杉玉揺らす春の風
◎月斗句碑小さき桜散りかかる
花青木西の奉行の句碑拝む
伊勢道をいつたりきたり燕かな
春雷のひと声やく動うながされ
ものの芽や樹々と語らふ遊歩道
あざやかな紅 (くれなゐ) 芽吹く花の木とや
片栗の花咲けるとや崖のぼる
町並にひと際目立つ花馬酔木
花曇しばし静心戻りたり
雨は今やんだばかりよ楓の芽
春めくや大和三山色づきぬ
小流れに春の草咲く宇陀の町
月斗句碑春の野草に囲まれて
句碑の辺にみどり柔らか蕗の薹
片栗の花のまん中知らぬ間に
花三分酒倉二つならぶ街
切妻のさきに山々朧かな
菜飯食ぶ久し振りこそ美しけれ
菜の花の斜めに咲いて山畑
◎芽柳の揺るる川面や宇陀の里
草萌ゆる畦道づたひ句碑探る
春来たる阿騎野の野辺の草の彩
振り向けば中世の街春の風
山霞山のかたちを縁どりて
◎いにしへの商都訪ねる春の昼
山茱萸の花ひろごりし雑木山
◎土筆には効能 (ききめ) 札なし薬草園
春雷に始まる吟行句会かな
酒蔵へ渡る土橋花桜
旧街道燕ひらりと宙返り
川音や枝垂柳の芽吹く空
古民家の杉玉五つヒヤシンス
◎国破れ月斗の託せし宇陀が春
水温む待ちに待ちたる旅吟かな
花の宴初霞てふ地酒酌む
大楓芽吹き一山赤く染む
霞立つ宇陀の山山神在す
臨時バス走る又兵衛桜まで
木の芽雨黒門ひつそり人を待つ
春雨に檜の香る製材所
◎醤油屋の香り流れ来花あせび
洋一
乱
敏夫
言成
幹三
眞知子
邦夫
京子
輝子
言成
乱
幹三
洋一
敏夫
翠
輝子
幹三
輝子
洋一
邦夫
幹三
敏夫
暁子
輝子
翠
幹三
洋一
京子
翠
言成
敏夫
眞知子
京子
京子
邦夫
邦夫
輝子
暁子
京子
輝子
邦夫
幹三
敏夫
長山あや 選
大木の芽吹かんとして閑かなり
木々包む春の寒さの美しき
花曇りものの芽抱く淡き影
あや
選者吟
花の下十石舟のすべり行く
雛の間に苦労話しや老姉妹
人見れば近づいて来る残る鴨
春眠の夢とはなべて他愛なく
意志持ちて残れる鴨と思ひけり
木の芽和まん中に置き鄙の宿
みな去りて孤高のさまに残る鴨
紙風船かそけき音につきにけり
ふと目覚め続きをみたき春の夢
三代の雛を飾れる和菓子店
風船の糸に結びし五円玉
泣けさうな映画でも見む春の宵
飾り添ふ母の折られし紙雛
残る鴨群るるに混じり亀三匹
きらめきて春光に消ゆ小舟かな
輝子
眞知子
幹三
言成
暁子
輝子
乱
輝子
洋一
暁子
幹三
眞知子
輝子
翠
暁子
林 直入 後選
第525回 〈吟行句会〉平成25年3月31日 (日)
夕食後 宿舎にて 袋回し
花の下十石舟のすべり行く
◎春の宵友と語らふ床几かな
◎嫁ぎ行く娘と目を合わせ雛飾る
花見舟粋人乗せて下りゆく
いつの間に子等一人立ち雛飾る
半世紀振りに会ふ人春の宵
◎ふと目覚め続きをみたき春の夢
◎風船のゆらゆら溶けし青い空
くつろぎて十人句会春の宵
桃の花家家に咲く宇陀の里
春の宵袋回しといふ遊び
独り言ひとに聞かれし春の宵
亡き人の好みの料理木の芽和
輝子
邦夫
洋一
洋一
敏夫
乱
洋一
眞知子
暁子
暁子
言成
幹三
洋一
長山あや 後選
風船・黄水仙・桃の花・雛
第521回 平成25年1月21日 (月)
兼題 寒月・寒梅(直入) 雪女・セーター(あや)
席題 卓上に 蝋梅・枯芒・水仙
◎寒梅の一輪のみの白さかな
寒梅の一つまみほど枝先に
振り向いてにつと笑まひぬ雪女
セーターの色で見分ける双子かな
◎セーターの伸び切つたるを手放せず
◎通り過ぎ後より匂ふ冬の梅
青空に寒紅梅は饒舌な
枯芒風の言伝てほろほろと
妹は姉のセーター欲しがりし
人と犬話してゐたる日向ぼこ
セーターを脱ぎて判りし同世代
寒月をあえかに灯す茜空
蠟梅の俯いて香を零すかな
◎霏霏と降る雪へ消えけり雪女
風音か雪女戸を叩けるか
◎寒梅や仕込み終へたる酒の蔵
京言葉なんなくこなし雪女
決意して眉を上げれば冬の月
セーター着て仕事解かれし顔となる
寒月や夜ごとこの木の枝にあり
山裾に紅のひと刷毛寒の梅
寒月やまだ灯の点る窓一つ
雪女覗きをるかや炉火崩る
寒梅や俤かの木この木にも
◎妻編みしセーター少し派手なれど
藁苞に小宇宙あり寒牡丹
団欒を窓より覗く雪女
京子
暁子
浩一郎
浩風
暁子
洋一
太美子
あや
和江
幹三
元彦
言成
浩一郎
あや
輝子
瑛三
眞知子
安廣
洛艸
ゆたか
敏夫
輝子
洛艸
翠
瑛三
香月
暁子
林 直入 選
雪女もとより紅を化粧はざる
◎夢現問はず遭ひたし雪女
セーターの残り香そつと抱きしめる
寒の月旅籠なき道歩みけり
雪女のごとく冷たき指と目と
大鵬の霊大寒の天翔ける
一声も出さぬが怖し雪女
セータ編む言葉とどかぬ日であれば
カシミヤの父のセーターあの日のまま
吹雪く夜や夢に見たきは雪女郎
雑念を研ぎ澄ますかに寒の月
◎セーターも揃ひの金婚旅行かな
セーターの首をかすめる風寒し
ふと温くき日射しにほろと冬の梅
寒月と独り対峙し過去想ふ
奥高野深雪になりて雪女郎
縛らるる心地どこかに愛のセーター
◎寒月の光硬しや星一つ
羽織りみる夫の遺せしカーデイガン
うつとりと枯芒見るひとのあり
◎セーターも似合ふ昼間の女将かな
寒梅に立てば寒さの募り来し
風音か雪女戸を叩けるか
寒梅や仕込み終へたる酒の蔵
セーターに着替へてよりはパパの顔
寒月に緩きほころび朝まだき
寒月や殺りく絶えぬ我が地球
セーター着て仕事解かれし顔となる
寒月に欅の影の濃くありぬ
寒梅の白のほどけて明けそむる
寒月やまだ灯の点る窓一つ
セーターをくぐりぬけきて子の笑ふ
◎セーターをほどけば一筋の糸に
妻編みしセーター少し派手なれど
藁苞に小宇宙あり寒牡丹
◎枯芒枯れの極意を知つてをり
直入
乱
翠
邦夫
言成
乱
直入
輝子
眞知子
嵐耕
洛艸
瑛三
磨央
眞知子
安廣
ゆたか
暁子
敏夫
暁子
幹三
直入
直入
輝子
瑛三
暁子
和江
眞知子
洛艸
幹三
浩一郎
輝子
太美子
暁子
瑛三
香月
直入
長山あや 選
枯芒枯れの極意を知つてをり
寒月の温暖化には倶せざる
一声も出さぬが怖し雪女
枯芒風の言伝てほろほろと
霏霏と降る雪へ消えけり雪女
寒月や星を退け孤高なり
直入
あや
選者吟
月斗句碑など
席題 又兵衛桜・春の夢・木の芽和・残る鴨・舟・春の宵・