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kukaihousyouroku
item16

 独り居の男大文字真っ裸
 梅雨の明名水を汲む列絶えず
◎旱にも涸れぬ伏見の水あまし
 あめんぼう小さき水輪の自己主張
◎魚河岸に働く裸逞しく
 雲の峰検査入院てふ余白
 炎ゆる日も龍馬訪ぬる人絶えず
 海の日に伏見の町を吟行す
 物欲は生きる証よ雲の峰
 葉柳を分けて十石舟舟出
 いまはむかし特攻の基地雲の峰
 ほつほつと京灯りゆく加茂の川床
◎ビル街を威嚇するごと雲の峰
 水清き郷に生まれし冷酒酌む
◎四方より都心を攻める雲の峰
 せせらぎの瀬音も馳走川床料理
 蝉時雨くぐり十石船のゆく
 夏ばてに伏見酒てふよき薬
◎裸ぐせ娘に諭されてゐる父御
 雲の峰浮かびし海女の大呼吸
◎角(かど)とれし酒樽干せる梅雨の明
 こんちきちんBGMに川床料理

瑛三
輝子
輝子
言成
暁子

邦夫
言成
幹三
洋一
瑛三
浩一郎
暁子
暁子
和江
浩風
暁子
眞知子
洛艸

輝子
言成

林 直入 選

第531回 平成25年7月15日 (月) 

プチ吟行 伏見の街並み・酒蔵と十石舟遊覧
兼題   裸・夏の海(あや)床・雲の峰(浩一郎)

 通り雨夏の吟行励ましぬ
 乗るよりも見てゐて涼し船遊
 船遊川に遊んで貰ひけり

直入

 

選者吟

アンカー

 手花火の後に広がる闇ほのか
 松の葉の青き仏花や盆の昼
 宅配に感謝をこめてお中元
 初秋の勉強部屋に灯のともる
 花木槿片寄せて読む検針夫
 高句麗の遺跡を囲む木槿垣
◎手花火を終へて匂ひの風の
 白木槿空にひとひら薄い雲
 不知火といふわだつみのうたごころ
 初秋や散歩をせがむ犬の声
◎中元や今日もまたまた長電話
 残りたる庄屋屋敷の百日紅
 今朝の秋葉を持ち上げる団子虫
 初秋や朝の比叡の近く見え
◎線香花火手に藁しべの残りたる
 今朝の秋不意に年とる鏡かな
◎婚の荷の触れてはならじ花木槿
 お中元細く懐し縁かな
 青春も倦むことのあり日日草
 手花火やことばの要らぬ恋のうた
 中元や引退せしと言葉添へ
 手花火の玉たゆたひて落ちにけり
◎異国の子線香花火に目を丸く
 初秋の風に押されてひとり旅
 手花火や束の間皆の顔見ゆる
 中元を送る人また一人減り
 職退きてよりの身軽さ盆の礼
 初秋や無事に過ぐると文の来て


洋一
浩風
瑛三
浩風
洛艸
京子
眞知子
あや
輝子

幹三
和江
洛艸
幹三
暁子
浩風


あや
輝子

和江
洋一
暁子

瑛三
浩一郎

林 直入 選

第532回 平成25年8月19日 (月) 

兼題  中元・木槿(直入) 初秋・花火線香(あや)
席題  卓上に 日日草、千日紅

◎手花火の後に広がる闇ほのか
 夕焼けの一期一会の色模様
 初秋の勉強部屋に灯のともる
◎手花火やはなやぎてまたしみじみと
 花木槿片寄せて読む検針夫
 高句麗の遺跡を囲む木槿垣
 わが駅の白き木槿の日々新た
 手花火を終へて匂ひの風の中
◎初秋や塩利いてゐる握り飯
 花火線香刹那刹那の光かな
 木槿咲く海峡今日も波高し
 手花火のぽとりと落ちしむなしさよ
 手花火の火玉ほとりの闇夜かな
 手花火や二人の戦士てふ夫婦
◎初秋や朝の比叡の近く見え
 初秋の声はづませて坪菜園
 中元の熨斗に父の名代筆す
 花火線香消えたる後の闇深し
◎線香花火手に藁しべの残りたる
◎今朝の秋不意に年とる鏡かな
◎逢魔時木槿の一日終りけり
 木槿咲くひと日の命尊けれ
 教え子のメールが残暑を和らげる
 中元の素麺当てに買はで待つ
 お中元細く懐しき縁かな
 子等魅せし線香花火の火玉かな
 青春も倦むことのあり日日草
 手花火の玉たゆたひて落ちにけり
◎大草原端より端へ大銀河
 手花火に小さき世界の始まりぬ
 母の愛でし木槿一枝手向けけり
 木槿垣曲がれば母の居るごとく
◎初秋の風に押されてひとり旅
 初秋の風の色なる摂津峡
 初秋やさつと空刷く雲現れて
 いんぎんに盆礼をして直ぐ帰る
 手花火やまだ宿題を残す子と
 闇深く濃く手花火の消えしあと
 初秋や京佃煮に白ワイン
◎手花火の記憶せしほど輝かず



瑛三
浩一郎
浩風
洛艸
暁子
京子
幹三
京子
眞知子
太美子
瑛三

洛艸
浩風
幹三
安廣
幹三
暁子
輝子
洋一
磨央
洛艸

邦夫


敏夫
浩風
安廣
和江
洋一
浩一郎
太美子
ゆたか
暁子
輝子
言成
暁子

長山あや 選

 中元の一増二減なるも齢
 底紅の早出早退なりしかな
 中元を贈る十年も遭はぬ人
 手花火やことばの要らぬ恋のうた
 不知火といふわだつみのうたごころ
 老いといふ忘るる力涼しとも

直入


あや


 

選者吟

アンカー

第530回 〈吟行句会〉平成25年6月30日 (日) 

◎パトカーの大阪訛り梅雨の町
 船のりこみ花形役者汗かかず
 梅雨茸豪邸名残の門構へ
 地下鉄の奈落に吹き込む青嵐  
 蚊火腰に庭師の朝の始まりぬ
◎大川の流れゆたかや梅雨晴間
 昼席に日傘の列や繁昌亭
 ややあって消えしぼうふら浮かびくる
◎朝まだき香の濃き茅の輪くぐりけり
◎鷺の翔つ羽音に蓮の散り初めぬ
 町川に魚釣る父子梅雨晴間
 大川に吹く風涼しビルの群れ
 覚悟して緑蔭一歩踏み出しぬ
 凌霄花晴るるも降るもたゆみなく
 薫風や雀四阿抜けゆけり
 五位鷺の狙ふは鮒か目高群れ
 噴水に濡れるも愉しボート漕ぎ
 もう今日は閉づることなく蓮の散る
 捕虫網逃れて蜻蛉水の上
◎人住まず凌霄の花野放図に
 ボート漕ぐまだ童顔のエイトかな
 すずめらの水浴びをする市公邸

幹三
輝子
瑛三
暁子
輝子
言成
暁子
輝子
真知子
敏夫
暁子
邦夫
暁子
瑛三
暁子
敏夫
邦夫
輝子
暁子
言成
瑛三
敏夫

林 直入 後選

 船のりこみ花形役者は汗かかず
 青芝やはるかに聞こゆ街の音
 空と山映す湖また夏の青
◎梅雨茸豪邸名残の門構へ
◎船乗り込み浴衣凛々しき仁左衛門
 御堂筋銀杏若葉の天を突く
 あめんぼに掟のありて不即不離
 蚊火腰に庭師の朝の始まり
 大歌舞伎船乗り込みと夏の川
 大川の流れゆたかや梅雨晴間
 昼席に日傘の列や繁昌亭
◎朝まだき香の濃き茅の輪くぐりけり
 鷺渡る羽音に蓮の散り初めぬ
 天上を指しをる蓮の蕾かな
 祭気分盛り上げ名優船乗込み
 六月尽今も天満の子守唄
◎蝸牛もう競ふことなき余生
 覚悟して緑蔭一歩踏み出しぬ
 凌霄花晴るるも降るもたゆみなく
 剣先の川風涼し中之島
 夏芝居舟乗り込みの八軒家
 捕虫網逃れて蜻蛉水の上
 ボート漕ぐまだ童顔のエイトかな
 蓮の黙人の饒舌誘ひけり
◎炎天に大阪〆めを仁左衛門
 天満宮鈴なりの絵馬梅雨晴れ間
 万緑の中の暮らしや青テント
 夏川や船の残せし波の音

輝子
暁子

瑛三

真知子
輝子
輝子
敏夫
言成
暁子
真知子
敏夫
幹三
瑛三
言成
暁子
暁子
瑛三
瑛三
言成
暁子
瑛三

幹三
眞知子
瑛三
幹三

長山あや 後選

バックナンバー
バックナンバー

吟行地  藤田邸跡公園・大川端・中之島公園・天満宮など

 川風に色の揺れゐる秋桜
 川に映ゆビルの裏側夜業の灯
 眠たさを越えれば夜業すいすいと
 月明しおだやかなれやこの地球
◎答弁もまとまり夜業明けて来し
◎夜業の灯父子で分け合ふ町工場
 芒壷に風の姿を活けにけり
 夜なべせし妻の聞きゐる子の寝息
 コスモスの丘やはらかき風の色
 池の面の月に悪餓鬼石投ぐる
 日はいのち月はこころを育てしと
 サラブレツド眠る牧舎に月高し
◎親しさの木戸より訪ひて秋桜
 警備員誘ひ一服夜業かな
 月の椅子ところかまはず置かれけり
 憂きことはひとまづ忘れ月を愛づ
 殊更に雄々し月夜の槍穂高
 飛鳥路や古き仏に秋桜
 煌々と塾は良夜にかかはらず
◎一枚の葉書来てゐる月の土間
 目さむるも母の夜仕事続きをり
 埋もれつつ一列縦隊芒原
 国後の島かげ遠き星月夜
 台風の来るぞ来るぞと雲尖る
◎声変りしかけてゐる子草の花
 制御盤計器と過ごす夜業かな
 朝まだき半月白き旅の空
 参道の杉の巨木やけふの月
◎いつの間にかコスモス同居街路樹と
◎コスモスに風のなき日もありにけり
 コスモスの乱れ咲くさまとは静か
 隣るビル負けず劣らず夜業の灯
 コスモスの思ふさま伸び無人駅

嵐耕
暁子
あや
眞知子
浩一郎
暁子
太美子
邦夫
京子
言成
浩一郎
瑛三
浩風
暁子
ゆたか
眞知子
洛艸
瑛三
浩風
ゆたか
邦夫
眞知子

幹三
幹三
瑛三

邦夫

暁子
あや
洛艸
浩一郎

林 直入 選

第533回 平成25年9月9日 (月) 

兼題  夜業・コスモス(直入) 芒・月一切(あや)
席題  卓上に 玉蜀黍、葡萄、芒、唐辛子、紫式部(の実)

 コスモスに埋め尽されし無人駅
 遠く住むくらしに同じ月あらん
 初月に大草原の闇広し
 番小屋の本読むをとこ西瓜畑
 一とすじの芒の空を仰ぎ見る
◎父母愛でし旧居の月の庭も消え
 仰ぎ見るラインの古城ホ句の秋
 月光のあまねく抱く芒原
 分け入りて芒におぼれゐる男
◎茶碗酒程度夜業に許さるる
 夜なべする妻の聞きゐる子の寝息
 コスモスの丘やはらかき風の色
◎日はいのち月はこころを育てしと
 保線夫の夜業の長き鉄路かな
◎サラブレツド眠る牧舎に月高し
 コスモスやつくづく孤独似合はぬ花
 殊更に雄々し月夜の槍穂高
 武庫川の川辺彩る秋桜
 揺れる葉に実は動かざる瓢かな
 アルプスの蒼天に消ゆ秋燕
 去る人の沈みゆくかに芒原
◎東雲の光眩しき夜業明け
 煌々と塾は良夜にかかはらず
 城の夜しろがね色に芒燃ゆ
◎川ひとつ埋めて靡く芒かな
 男一人隠すに足れり芒叢
◎一枚の葉書来てゐる月の土間
 石庭の巨岩にしみる秋の雨
 津波跡一本松に月冴ゆる
◎国後の島かげ遠き星月夜
 街の灯と別にありけり夜業の灯
◎闇の中夜業の光力あり
 朝まだき半月白き旅の空
 古井戸に束の間宿る望の月
 月高し渡しの孤舟濡らしつつ
◎芒原吾を招くごと拒むごと
 コスモスに風のなき日もありにけり
 コスモスの迷路の先に石の塔
 変りばえ無かりローマの月とても
 一と叢の芒は残し庭手入れ
 隣るビル負けず劣らず夜業の灯

直入
浩一郎
敏夫
遊子
ゆたか


嵐耕
ゆたか
直入
邦夫
京子
浩一郎
瑛三
瑛三

洛艸
嵐耕
遊子

眞知子

浩風
暁子
浩一郎
直入
ゆたか
京子
安廣

暁子
安廣

眞知子
安廣
眞知子
暁子
輝子
直入
瑛三
洛艸

長山あや 選

 鼻唄は昭和の調べ夜業人
 芒原いつの間にやら肘に疵
 月圓く映ること無き湖面かな
 身の内の芒の揺れる風の眞夜
 月光の白き家路や帰らねば
 コスモスの乱れ咲くさまとは静か

直入


あや

 

選者吟

アンカ

 赤蜻蛉止まつてくれし吾が句帳
 団栗のひとつ床几の緋毛氈
 建仁寺垣にはじかれ木の実落つ
 木の実落つ茶室の垣を結ふ人に
 口丸め鯉餌ねだる秋日和
◎音立てて澄む水をゆく金の鯉
 名月に聞かせたき音や水琴窟
 曼珠沙華白きにほんのり朱も残し
 風に揺れもこりと出でし芒の穂
◎悲話ありて女郎花の碑ありにけり
◎秋の水集め水琴窟唄ふ
 木の実踏む音忍ばせて水琴窟
 洩れ聴こゆ水琴窟の音は秋
 秋澄める水琴窟の底の音
 エジソンの選りし八幡の竹の春
 昼の虫亀甲竹の奥の奥
◎さやけしや水琴窟の音をしばし
 野点席賑はし去りし赤とんぼ
◎初紅葉苔の青さの際立てる
 耳寄すや水琴窟に秋の声
 初紅葉誘ふ奥に茶室あり
 秋の蚊の尚も刺したり池の端
 椿の実昏き葉の間に光りをり
 待合に座してはるかな薄紅葉
 女郎花塚一輪咲けり男郎花
 秋高し蓬莱竹は奔放に
 女郎花哀史のあればいとほしく
 木の実落つ地より水琴窟の音
 女郎花とんぼ止らせ軽く揺れ


輝子
敏夫
輝子

暁子
眞知子

敏夫
暁子
言成
輝子
敏夫
邦夫

幹三
眞知子
敏夫
輝子


邦夫
暁子
輝子

言成
輝子
敏夫
眞知子

林 直入 選

第534回 〈吟行句会〉平成25年9月29日 (日) 

吟行地  松花堂庭園

 名苑の黄色に化けし曼珠沙華
 早紅葉にベンチの向きを替へもして
 伐ることも無く手入よき竹の春

直入

 

選者吟

アンカー

c530

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hajimenie
hajimenihe-2
titlewhite

第521回 H25.01.21

第522回 H25.02.18

第523回 H25.03.18

第524回 H25.03.31

第525回 H25.03.31

第526回 H25.04.01

第527回 H25.04.15

第528回 H25.05.20

第529回 H25.06.17

第530回 H25.06.30

第531回 H25.07.15

第532回 H25.08.19

第533回 H25.09.09

第534回 H25.09.29

第535回 H25.10.21

第536回 H25.11.18

第537回 H25.12.16