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独り居の男大文字真っ裸
梅雨の明名水を汲む列絶えず
◎旱にも涸れぬ伏見の水あまし
あめんぼう小さき水輪の自己主張
◎魚河岸に働く裸逞しく
雲の峰検査入院てふ余白
炎ゆる日も龍馬訪ぬる人絶えず
海の日に伏見の町を吟行す
物欲は生きる証よ雲の峰
葉柳を分けて十石舟舟出
いまはむかし特攻の基地雲の峰
ほつほつと京灯りゆく加茂の川床
◎ビル街を威嚇するごと雲の峰
水清き郷に生まれし冷酒酌む
◎四方より都心を攻める雲の峰
せせらぎの瀬音も馳走川床料理
蝉時雨くぐり十石船のゆく
夏ばてに伏見酒てふよき薬
◎裸ぐせ娘に諭されてゐる父御
雲の峰浮かびし海女の大呼吸
◎角(かど)とれし酒樽干せる梅雨の明
こんちきちんBGMに川床料理
瑛三
輝子
輝子
言成
暁子
翠
邦夫
言成
幹三
洋一
瑛三
浩一郎
暁子
暁子
和江
浩風
暁子
眞知子
洛艸
昴
輝子
言成
林 直入 選
第531回 平成25年7月15日 (月)
プチ吟行 伏見の街並み・酒蔵と十石舟遊覧
兼題 裸・夏の海(あや)床・雲の峰(浩一郎)
通り雨夏の吟行励ましぬ
乗るよりも見てゐて涼し船遊
船遊川に遊んで貰ひけり
直入
選者吟
手花火の後に広がる闇ほのか
松の葉の青き仏花や盆の昼
宅配に感謝をこめてお中元
初秋の勉強部屋に灯のともる
花木槿片寄せて読む検針夫
高句麗の遺跡を囲む木槿垣
◎手花火を終へて匂ひの風の中
白木槿空にひとひら薄い雲
不知火といふわだつみのうたごころ
初秋や散歩をせがむ犬の声
◎中元や今日もまたまた長電話
残りたる庄屋屋敷の百日紅
今朝の秋葉を持ち上げる団子虫
初秋や朝の比叡の近く見え
◎線香花火手に藁しべの残りたる
今朝の秋不意に年とる鏡かな
◎婚の荷の触れてはならじ花木槿
お中元細く懐し縁かな
青春も倦むことのあり日日草
手花火やことばの要らぬ恋のうた
中元や引退せしと言葉添へ
手花火の玉たゆたひて落ちにけり
◎異国の子線香花火に目を丸く
初秋の風に押されてひとり旅
手花火や束の間皆の顔見ゆる
中元を送る人また一人減り
職退きてよりの身軽さ盆の礼
初秋や無事に過ぐると文の来て
昴
洋一
浩風
瑛三
浩風
洛艸
京子
眞知子
あや
輝子
翠
幹三
和江
洛艸
幹三
暁子
浩風
翠
翠
あや
輝子
乱
和江
洋一
暁子
乱
瑛三
浩一郎
林 直入 選
第532回 平成25年8月19日 (月)
兼題 中元・木槿(直入) 初秋・花火線香(あや)
席題 卓上に 日日草、千日紅
◎手花火の後に広がる闇ほのか
夕焼けの一期一会の色模様
初秋の勉強部屋に灯のともる
◎手花火やはなやぎてまたしみじみと
花木槿片寄せて読む検針夫
高句麗の遺跡を囲む木槿垣
わが駅の白き木槿の日々新た
手花火を終へて匂ひの風の中
◎初秋や塩利いてゐる握り飯
花火線香刹那刹那の光かな
木槿咲く海峡今日も波高し
手花火のぽとりと落ちしむなしさよ
手花火の火玉ほとりの闇夜かな
手花火や二人の戦士てふ夫婦
◎初秋や朝の比叡の近く見え
初秋の声はづませて坪菜園
中元の熨斗に父の名代筆す
花火線香消えたる後の闇深し
◎線香花火手に藁しべの残りたる
◎今朝の秋不意に年とる鏡かな
◎逢魔時木槿の一日終りけり
木槿咲くひと日の命尊けれ
教え子のメールが残暑を和らげる
中元の素麺当てに買はで待つ
お中元細く懐しき縁かな
子等魅せし線香花火の火玉かな
青春も倦むことのあり日日草
手花火の玉たゆたひて落ちにけり
◎大草原端より端へ大銀河
手花火に小さき世界の始まりぬ
母の愛でし木槿一枝手向けけり
木槿垣曲がれば母の居るごとく
◎初秋の風に押されてひとり旅
初秋の風の色なる摂津峡
初秋やさつと空刷く雲現れて
いんぎんに盆礼をして直ぐ帰る
手花火やまだ宿題を残す子と
闇深く濃く手花火の消えしあと
初秋や京佃煮に白ワイン
◎手花火の記憶せしほど輝かず
昴
乱
瑛三
浩一郎
浩風
洛艸
暁子
京子
幹三
京子
眞知子
太美子
瑛三
昴
洛艸
浩風
幹三
安廣
幹三
暁子
輝子
洋一
磨央
洛艸
翠
邦夫
翠
乱
敏夫
浩風
安廣
和江
洋一
浩一郎
太美子
ゆたか
暁子
輝子
言成
暁子
長山あや 選
中元の一増二減なるも齢
底紅の早出早退なりしかな
中元を贈る十年も遭はぬ人
手花火やことばの要らぬ恋のうた
不知火といふわだつみのうたごころ
老いといふ忘るる力涼しとも
直入
あや
選者吟
第530回 〈吟行句会〉平成25年6月30日 (日)
◎パトカーの大阪訛り梅雨の町
船のりこみ花形役者汗かかず
梅雨茸豪邸名残の門構へ
地下鉄の奈落に吹き込む青嵐
蚊火腰に庭師の朝の始まりぬ
◎大川の流れゆたかや梅雨晴間
昼席に日傘の列や繁昌亭
ややあって消えしぼうふら浮かびくる
◎朝まだき香の濃き茅の輪くぐりけり
◎鷺の翔つ羽音に蓮の散り初めぬ
町川に魚釣る父子梅雨晴間
大川に吹く風涼しビルの群れ
覚悟して緑蔭一歩踏み出しぬ
凌霄花晴るるも降るもたゆみなく
薫風や雀四阿抜けゆけり
五位鷺の狙ふは鮒か目高群れ
噴水に濡れるも愉しボート漕ぎ
もう今日は閉づることなく蓮の散る
捕虫網逃れて蜻蛉水の上
◎人住まず凌霄の花野放図に
ボート漕ぐまだ童顔のエイトかな
すずめらの水浴びをする市公邸
幹三
輝子
瑛三
暁子
輝子
言成
暁子
輝子
真知子
敏夫
暁子
邦夫
暁子
瑛三
暁子
敏夫
邦夫
輝子
暁子
言成
瑛三
敏夫
林 直入 後選
船のりこみ花形役者は汗かかず
青芝やはるかに聞こゆ街の音
空と山映す湖また夏の青
◎梅雨茸豪邸名残の門構へ
◎船乗り込み浴衣凛々しき仁左衛門
御堂筋銀杏若葉の天を突く
あめんぼに掟のありて不即不離
蚊火腰に庭師の朝の始まり
大歌舞伎船乗り込みと夏の川
大川の流れゆたかや梅雨晴間
昼席に日傘の列や繁昌亭
◎朝まだき香の濃き茅の輪くぐりけり
鷺渡る羽音に蓮の散り初めぬ
天上を指しをる蓮の蕾かな
祭気分盛り上げ名優船乗込み
六月尽今も天満の子守唄
◎蝸牛もう競ふことなき余生
覚悟して緑蔭一歩踏み出しぬ
凌霄花晴るるも降るもたゆみなく
剣先の川風涼し中之島
夏芝居舟乗り込みの八軒家
捕虫網逃れて蜻蛉水の上
ボート漕ぐまだ童顔のエイトかな
蓮の黙人の饒舌誘ひけり
◎炎天に大阪〆めを仁左衛門
天満宮鈴なりの絵馬梅雨晴れ間
万緑の中の暮らしや青テント
夏川や船の残せし波の音
輝子
暁子
乱
瑛三
翠
真知子
輝子
輝子
敏夫
言成
暁子
真知子
敏夫
幹三
瑛三
言成
暁子
暁子
瑛三
瑛三
言成
暁子
瑛三
翠
幹三
眞知子
瑛三
幹三
長山あや 後選
吟行地 藤田邸跡公園・大川端・中之島公園・天満宮など
川風に色の揺れゐる秋桜
川に映ゆビルの裏側夜業の灯
眠たさを越えれば夜業すいすいと
月明しおだやかなれやこの地球
◎答弁もまとまり夜業明けて来し
◎夜業の灯父子で分け合ふ町工場
芒壷に風の姿を活けにけり
夜なべせし妻の聞きゐる子の寝息
コスモスの丘やはらかき風の色
池の面の月に悪餓鬼石投ぐる
日はいのち月はこころを育てしと
サラブレツド眠る牧舎に月高し
◎親しさの木戸より訪ひて秋桜
警備員誘ひ一服夜業かな
月の椅子ところかまはず置かれけり
憂きことはひとまづ忘れ月を愛づ
殊更に雄々し月夜の槍穂高
飛鳥路や古き仏に秋桜
煌々と塾は良夜にかかはらず
◎一枚の葉書来てゐる月の土間
目さむるも母の夜仕事続きをり
埋もれつつ一列縦隊芒原
国後の島かげ遠き星月夜
台風の来るぞ来るぞと雲尖る
◎声変りしかけてゐる子草の花
制御盤計器と過ごす夜業かな
朝まだき半月白き旅の空
参道の杉の巨木やけふの月
◎いつの間にかコスモス同居街路樹と
◎コスモスに風のなき日もありにけり
コスモスの乱れ咲くさまとは静か
隣るビル負けず劣らず夜業の灯
コスモスの思ふさま伸び無人駅
嵐耕
暁子
あや
眞知子
浩一郎
暁子
太美子
邦夫
京子
言成
浩一郎
瑛三
浩風
暁子
ゆたか
眞知子
洛艸
瑛三
浩風
ゆたか
邦夫
眞知子
昴
幹三
幹三
瑛三
昴
邦夫
乱
暁子
あや
洛艸
浩一郎
林 直入 選
第533回 平成25年9月9日 (月)
兼題 夜業・コスモス(直入) 芒・月一切(あや)
席題 卓上に 玉蜀黍、葡萄、芒、唐辛子、紫式部(の実)
コスモスに埋め尽されし無人駅
遠く住むくらしに同じ月あらん
初月に大草原の闇広し
番小屋の本読むをとこ西瓜畑
一とすじの芒の空を仰ぎ見る
◎父母愛でし旧居の月の庭も消え
仰ぎ見るラインの古城ホ句の秋
月光のあまねく抱く芒原
分け入りて芒におぼれゐる男
◎茶碗酒程度夜業に許さるる
夜なべする妻の聞きゐる子の寝息
コスモスの丘やはらかき風の色
◎日はいのち月はこころを育てしと
保線夫の夜業の長き鉄路かな
◎サラブレツド眠る牧舎に月高し
コスモスやつくづく孤独似合はぬ花
殊更に雄々し月夜の槍穂高
武庫川の川辺彩る秋桜
揺れる葉に実は動かざる瓢かな
アルプスの蒼天に消ゆ秋燕
去る人の沈みゆくかに芒原
◎東雲の光眩しき夜業明け
煌々と塾は良夜にかかはらず
城の夜しろがね色に芒燃ゆ
◎川ひとつ埋めて靡く芒かな
男一人隠すに足れり芒叢
◎一枚の葉書来てゐる月の土間
石庭の巨岩にしみる秋の雨
津波跡一本松に月冴ゆる
◎国後の島かげ遠き星月夜
街の灯と別にありけり夜業の灯
◎闇の中夜業の光力あり
朝まだき半月白き旅の空
古井戸に束の間宿る望の月
月高し渡しの孤舟濡らしつつ
◎芒原吾を招くごと拒むごと
コスモスに風のなき日もありにけり
コスモスの迷路の先に石の塔
変りばえ無かりローマの月とても
一と叢の芒は残し庭手入れ
隣るビル負けず劣らず夜業の灯
直入
浩一郎
敏夫
遊子
ゆたか
乱
翠
嵐耕
ゆたか
直入
邦夫
京子
浩一郎
瑛三
瑛三
翠
洛艸
嵐耕
遊子
乱
眞知子
昴
浩風
暁子
浩一郎
直入
ゆたか
京子
安廣
昴
暁子
安廣
昴
眞知子
安廣
眞知子
暁子
輝子
直入
瑛三
洛艸
長山あや 選
鼻唄は昭和の調べ夜業人
芒原いつの間にやら肘に疵
月圓く映ること無き湖面かな
身の内の芒の揺れる風の眞夜
月光の白き家路や帰らねば
コスモスの乱れ咲くさまとは静か
直入
あや
選者吟
赤蜻蛉止まつてくれし吾が句帳
団栗のひとつ床几の緋毛氈
建仁寺垣にはじかれ木の実落つ
木の実落つ茶室の垣を結ふ人に
口丸め鯉餌ねだる秋日和
◎音立てて澄む水をゆく金の鯉
名月に聞かせたき音や水琴窟
曼珠沙華白きにほんのり朱も残し
風に揺れもこりと出でし芒の穂
◎悲話ありて女郎花の碑ありにけり
◎秋の水集め水琴窟唄ふ
木の実踏む音忍ばせて水琴窟
洩れ聴こゆ水琴窟の音は秋
秋澄める水琴窟の底の音
エジソンの選りし八幡の竹の春
昼の虫亀甲竹の奥の奥
◎さやけしや水琴窟の音をしばし
野点席賑はし去りし赤とんぼ
◎初紅葉苔の青さの際立てる
耳寄すや水琴窟に秋の声
初紅葉誘ふ奥に茶室あり
秋の蚊の尚も刺したり池の端
椿の実昏き葉の間に光りをり
待合に座してはるかな薄紅葉
女郎花塚一輪咲けり男郎花
秋高し蓬莱竹は奔放に
女郎花哀史のあればいとほしく
木の実落つ地より水琴窟の音
女郎花とんぼ止らせ軽く揺れ
乱
輝子
敏夫
輝子
乱
暁子
眞知子
乱
敏夫
暁子
言成
輝子
敏夫
邦夫
乱
幹三
眞知子
敏夫
輝子
翠
翠
邦夫
暁子
輝子
翠
言成
輝子
敏夫
眞知子
林 直入 選
第534回 〈吟行句会〉平成25年9月29日 (日)
吟行地 松花堂庭園
名苑の黄色に化けし曼珠沙華
早紅葉にベンチの向きを替へもして
伐ることも無く手入よき竹の春
直入
選者吟