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◎池の空くるくる廻す水澄
まひまひの地球廻してゐるつもり
走り梅雨緑明るき御堂筋
雨雲の行方見定め代掻す
蜥蜴なら通りぬけられさうな穴
◎代田掻く平和な暮らし願ひつつ
◎忙しさを誇示するやうにみずすまし
代掻の順巡り来し川下田
代掻機すすめば鷺も後を追ひ
まひまひの飛ぶこと今日も忘れをる
まひまひや天にも地にも気を配り
乗尻 (のりじり) と馬万緑の中に溶け
◎まひまひのもうまひ始む雨の後
百万石の代田の中のわが家かな
代掻や大音声の機械あり
捩花やねぢられてなほ天を指し
軽暖や少しの呆けは気にせずに
代掻や流れる雲を抱く水
◎捩るてふ固き意志持つ捩り花
入り水を畦で見守る田掻牛
まひまひやこの古池を天地とし
◎父と子の口利かぬ日々ねぢればな
通るたびそと薬玉に触れてゆく
奔放な蕗の勢ひに負けてをり
陀羅尼助売りをる店の長命縷
近江富士囲みくまなく代田かな
ねじ花や反抗期てふ成長期
数へては苺ふくみて孫笑顔
綻びも床し家伝の長命縷
暁子
暁子
言成
洋一
幹三
言成
洛艸
邦夫
洛艸
幹三
邦夫
乱
幹三
あや
昴
洋一
翠
洋一
暁子
洋一
輝子
幹三
暁子
あや
幹三
洛艸
眞知子
洋一
洛艸
林 直入 選
第528回 平成25年5月20日 (月)
兼題 まひまひ・代掻(直入) 文字摺草・薬玉(あや)
席題 卓上に 苺、蕗、山法師、紫蘭
池の空くるくる廻す水澄
逝きし師を偲ぶ座敷や桜鯛
朝日さし音もなく舞ふ水すまし
◎代かきのすみて一村早寝かな
代掻きて田はぬるぬると平なり
雨雲の行方見定め代掻す
庭古りて七株咲けり文字摺草
咲き終へし茉莉花の匂ふ夜風かな
代田掻く平和な暮らし願ひつつ
薬玉や煤光りせる太柱
代掻機休まず煙草吸ふ間にも
代掻や人無き道に耕耘機
代掻の順巡り来し川下田
◎水と土匂ひ立たせて代田掻
代掻を了へて雨待つ農三代
水すまし天地の境に舞ひ狂ふ
◎田掻き終へ里の灯恋し人馬かな
色紙の薬玉一つ残されし
◎代掻きやゆれながら土になじむ水
新妻の運転上手し代を掻く
代田掻くエンジンの音響かせて
連山の影を映して代田かな
天に向くらせん階段捩り花
◎庭隅に蕗の横暴始まりぬ
まひまひの作る波紋や日の遊ぶ
まひまひやこの古池を天地とし
◎父と子の口利かぬ日々ねぢればな
まひまひや体内コンパス持つごとく
◎まひまひの虚の影実 (じつ) より明らけく
まひまひや軽やかさこそ極意なれ
代掻きの牛の歩みの確かなる
近江富士囲みくまなく代田かな
次々に代掻終はり雲流れ
一望の棚田代田に変はる朝
綻びも床し家伝の長命縷
代掻きや動かぬ牛の瞳かな
暁子
遊子
昴
輝子
敏夫
洋一
敏夫
京子
言成
暁子
直入
昴
邦夫
暁子
和江
昴
翠
敏夫
眞知子
暁子
言成
香月
暁子
直入
安廣
輝子
幹三
眞知子
乱
邦夫
安廣
洛艸
眞知子
輝子
洛艸
京子
長山あや 選
代掻機休まず煙草吸ふ間にも
庭隅に蕗の横暴始まりぬ
荒々しからず挿されし山法師
懇ろに代掻き終へし牛洗ふ
奔放な蕗の勢ひに負けてをり
かなしきは捩り忘れし捩り花
直入
あや
選者吟
名のごとく群れる白花雪の下
木耳の世に物申したきごとく
鮎といふ川の貴公子訪ふ旅に
天ぷらにまじる狭庭の雪の下
すれすれの路肩あやうし雪の下
立葵凛として咲く朝の気に
予報とは外るるものよ梅雨の入り
鮎釣りの極意幾たび耳に胼胝 (たこ)
古老寄る続く空梅雨打ち案じ
珊瑚樹の枯れ木耳の育ちをり
雪の下小町化粧の井と伝ふ
木耳も母の武骨な手に生きて
◎野暮用の急いて急かない梅雨の入り
しづしづと雪の下咲く裏参道
梅雨入を明るく告げる予報官
乗客はみんな不機嫌梅雨に入る
雪の下厨の昔知つてをり
色もなく原子炉建屋梅雨に伏す
梅雨ひと日銀器のくもり磨きけり
名水を誇る神泉雪の下
梅雨に入る仲良き子らのゲームかな
四五粒の雫をこぼし梅雨に入る
笹の香を纏ひて鮎のはこばるる
雲の蓋かぶさり来たり梅雨の入り
夏暖簾掛くる女の会釈して
入梅や慈雨も豪雨もありぬべし
傘ぬちに見入るおみくじ梅雨の入り
田の水に写る重たき梅雨の空
濡れて来て梅雨の匂を運び込む
人といふ字のうち並び鴨足草
梅雨寒のなきまま梅雨の明けんとす
木漏れ日を受け薄色の雪の下
梅雨入の夜空に黙す大樹かな
木耳や森には音の満ちてゐて
川音を聞きつつ食うぶ鮎料理
朽木より木耳命貰ひをり
馴染まざる雪隠雪駄鮎の宿
鮎の目の曇りてきたる炭火焼
熊野路は石垣の道雪の下
クリスタルの冷酒干さんか梅雨の入り
木耳の歯応へよかり山の宿
大鉢にこぼるるばかり活く四葩
八寸の鮎八寸に凛として
群れてゐるやうで楚々とし雪の下
木耳は森の小鬼の耳ならむ
梅雨入りを知りて蛙の声高し
鮎解禁明日に控へし用意かな
裏庭の生簀の匂ふ鮎の店
路地奥の寓居しづかや雪の下
後髪きりと結ひ上げ梅雨に入る
森深く木耳ききし樹々歌ふ
解禁の鮎焼く香り村に満つ
川音に囮鮎売る店二軒
不揃ひの鮎を詫びをり山の宿
石碑の文字浮き立たせ梅雨湿り
梅雨入りの兆しに聡き老農夫
嵐耕
和江
あや
暁子
浩風
乱
瑛三
言成
浩一郎
言成
瑛三
洋一
浩風
洛艸
幹三
輝子
暁子
安廣
太美子
洛艸
洋一
浩風
太美子
昴
幹三
邦夫
浩風
眞知子
輝子
幹三
あや
敏夫
暁子
幹三
眞知子
乱
浩風
幹三
敏夫
昴
京子
遊子
昴
浩風
輝子
眞知子
暁子
暁子
瑛三
洋一
瑛三
あや
輝子
昴
敏夫
洛艸
林 直入 後選
第529回 平成25年6月17日 (月)
兼題 木耳・梅雨入(直入) 鮎・雪の下(あや)
席題 卓上に 未央柳・金魚草・紫陽花
清流に映す陰もなし雪の下
◎木耳の森の声聞き大きくなる
木耳の世に物申したきごとく
水底の藻の色あざに蛍の川
町おこし祭りささへる若い衆
木耳や男料理のかくし味
予報とは外るるものよ梅雨の入り
木耳や昨年蘇る口の中
◎街抱く遠山脈や夏の空
まとひつく夏蝶のあり切通し
◎夕まぐれ風伝へ来るほととぎす
しづしづと雪の下咲く裏参道
雪の下厨の歴史知つてをり
閼伽井屋を囲みて花の雪の下
急流に挑み無念や鮎生簀
色もなく原子炉建屋梅雨に伏す
梅雨ひと日銀器のくもり磨きけり
夕厨鮎の塩焼く匂ひ満つ
時来れば待つとしなくも梅雨に入る
木耳のひそひそ話に耳を立て
◎空中に鮎泳がせてしなる竿
木耳や朽ちし木株に生宿る
夏暖簾掛くる女の会釈かな
庫裏板間足裏しつとり梅雨入かな
声明の粛々と消え雪の下
田の水に写る重たき梅雨の空
濡れて来て梅雨の匂をさせてをり
山深き瀬にただ鮎を日がな釣る
◎木耳や森には音の満ちてゐて
雪の下土手に雪崩れて人住まず
熊野路や小さき魚籠に小さき鮎
脳検査事なし自祝の鮎を買ふ
◎親子して酒酌み交す鮎の宿
激つ瀬のしぶき受けつつ鮎を焼く
分水嶺炉端に鮎を焼きにけり
淵深く一閃二閃鮎の腹
◎山煙り田水の跳ねて梅雨に入る
◎ホスピスに入所の日より梅雨入かな
梅雨入りを知るらし蛙の声高し
鮎解禁明日に控へし用意かな
雪の下見る人もなく咲きて散る
鮎焼かる眼つぶらず尾をはねて
◎山も野も待ちて久しき梅雨入かな
大空に泰山木の花の白
◎森深く木耳ききし樹々の歌
石碑の文字浮き立たせ梅雨湿り
梅雨入りの兆しに聡き老農夫
昴
太美子
和江
京子
磨央
洋一
瑛三
昴
京子
幹三
乱
洛艸
暁子
洛艸
翠
安廣
太美子
嵐耕
眞知子
浩風
邦夫
安廣
幹三
洛艸
昴
眞知子
輝子
浩一郎
幹三
翠
敏夫
暁子
安廣
浩一郎
遊子
安廣
乱
洛艸
眞知子
暁子
乱
輝子
洛艸
京子
瑛三
敏夫
洛艸
長山あや 選
清流を己が影抱き鮎の棲む
木耳の歯ざはりたのし山の宿
鮎といふさやかな味の魚を愛づ
山深き瀬にただ鮎を日がな釣る
窓の日の明るさ瓶の紫陽花に
くしやくしやと木耳道に売られけり
あや
浩一郎
選者吟
第527回 平成25年4月15日 (月)
兼題 桜貝・大根の花(直入) 春光・萩若葉(あや)
席題 卓上に フリージア
◎指先の綺麗な人や桜貝
うつすらと生毛纏ひて萩若葉
放埓の気ぶりも見えず萩若葉
餌啄む鶫 (つぐみ) の翔ちて萩若葉
萩若葉憩ふベンチにボール来る
渚行く二人の拾ふ桜貝
春光や船それぞれの水脈を引き
萩若葉一年生はみな元気
水底に影を沈めて花筏
たまさかに訪ふ虫のあり花大根
◎さらさらと砂の磨きし櫻貝
◎箒目を正しくなぞる花の塵
春光や過ぎたる船の波が今
散る花と京にありたるひと日かな
花冷や独り居の部屋音もなく
奔放さ微塵も見せず萩若葉
◎中天に昼の半月花大根
桜貝磨き終りし海静か
花大根紫ほのと日暮けり
春光をほしひままなる観覧車
◎水筒の蓋より湯気が花の冷
やさしさを風にほどきて萩若葉
春光に白亜の壁の応へをり
通学路近道抜道諸葛菜
老桜の幹より花の噴き出しぬ
◎春光や検査入院無事終わる
大根の花迂回して耕運機
◎春光をちんちん電車ころげ来る
大根の花おつとりと畑の隅
遠浅の海のきらめき桜貝
乱
敏夫
浩一郎
言成
暁子
嵐耕
暁子
輝子
京子
眞知子
幹三
乱
幹三
浩一郎
洋一
翠
幹三
敏夫
京子
洛艸
幹三
あや
暁子
和江
幹三
眞知子
輝子
浩一郎
安廣
京子
林 直入 選
桜貝波に抗ひ波に媚び
カーテンを替えて机にフリージア
男手の厨侮り大根咲く
餌啄む鶫 (つぐみ) の翔ちて萩若葉
花大根余生はひそりゆつくりと
◎ゆつくりと揺れはじめたる八重櫻
春光にきらめく川を渡りけり
渚行く二人の拾ふ桜貝
◎春光や船それぞれの水脈を引き
ホスピスの庭にかたまり花大根
日は西に花大根の傾ぎ咲く
水底に影を沈めて花筏
萎れしかはた眠れしか萩若葉
一本の柳の芽吹き富士被ふ
◎たまさかに訪ふ虫のあり花大根
◎箒目を正しくなぞる花の塵
暮れなづむ一隅大根の花ざかり
夢に逢ふ母齢とらず花大根
人気なき白兎海岸さくら貝
◎村つなぐ吉野古道の春の色
春の色求め求めて奥千本
花大根網で囲はれ農学部
花吹雪影をば持ちて舞ひにけり
花冷や独り居の部屋音もなく
心癒ゆるまでの旬日花大根
ものおもふ昔ありけり櫻貝
中天に昼の半月花大根
花大根紫ほのと日暮けり
春光の溢れて眠き会議室
◎つくづくと吾はとり得なし花大根
春光や散り行くものは時待たず
酒蔵の白壁まぶし春光に
川音や一片 (ひとひら) ごとの花の舞
春光も瓦礫の街を温めず
◎かく小さき門より春の風と入る
病める子とひと時春光背に受けて
鏡台の奥に仕舞はれ桜貝
裏道は吉野古道や春光
春光や検査入院無事終わる
◎春光を浴び輸出車の積まれゆく
春光の大気を弾きゆく音か
◎大根の花迂回して耕運機
◎春光に村目覚めたり吉野道
水温み心開きて友を待つ
春光や紙飛行機を競ふ子ら
遠浅の海のきらめき桜貝
回復へ歩むものあり春の色
高々と茎をもたげて花大根
桜貝一期一会の一つかな
小箱には秘めしこころと桜貝
指先の綺麗な人や桜貝
輝子
幹三
浩一郎
言成
翠
幹三
太美子
嵐耕
暁子
嵐耕
太美子
京子
洛艸
和江
眞知子
乱
輝子
言成
眞知子
敏夫
翠
洛艸
京子
洋一
暁子
言成
幹三
京子
直入
暁子
翠
嵐耕
京子
安廣
浩一郎
翠
直入
敏夫
眞知子
輝子
暁子
輝子
敏夫
洋一
和江
京子
浩一郎
敏夫
嵐耕
太美子
乱
長山あや 選
春光の溢れて眠き会議室
鏡台の奥に仕舞はれ桜貝
萩若葉てふ生真面目な薄緑
やさしさを風にほどきて萩若葉
春光の波草原を走りゆく
春光のすべり落ち来る杉木立
直入
あや
選者吟
山脈の水を集めて鮎光る
◎鮎といふさやかな味の魚を愛づ
雪の下小町化粧の井と伝ふ
ご神木幹にかすかな梅雨湿り
◎清流を己が影抱き鮎の棲む
◎河骨の日に真向ひて咲く力
木耳や家に残りし裁鋏
田の水に写る重たき梅雨の空
◎濡れて来て梅雨の匂をさせてをり
◎人といふ字のぎつしりと鴨足草
ふるさとはこの夕月と鮎の香と
朽木より木耳命貰ふなり
熊野路や小さき魚籠に小さき鮎
木耳を噛みて確かむわが余命
脳検査事なし自祝の鮎を買ふ
◎木耳の歯ざはりたのし山の宿
大鉢に活けてこぼるる四葩かな
長雨や釣り人たちの鮎談議
淵深く一閃二閃鮎の腹
仏事終へ部屋静かにて梅雨に入る
◎木耳は森の小鬼の耳ならむ
鮎解禁明日に控へし用意かな
雨つぶをはじく明るさ雪の下
路地の奥寓居しづかに雪の下
◎浮御堂三尺下げて梅雨に入る
◎山も野も待ちて久しき梅雨入かな
庭奥に氏神守る雪の下
◎川の音囮鮎売る店二軒
不揃ひの鮎を詫びをり山の宿
長命の家系の庭の雪の下
京子
あや
瑛三
敏夫
あや
京子
ゆたか
眞知子
輝子
幹三
ゆたか
乱
敏夫
あや
暁子
あや
遊子
遊子
安廣
洋一
輝子
暁子
敏夫
瑛三
浩風
洛艸
和江
輝子
昴
眞知子
井上浩一郎 選