研究

生命倫理とは

現在社会においては、マルチメディアの発展など、近年の科学技術の進歩の一方で、人間の倫理の面で用心しなければならない問題が生じてきている。中でも生命科学、生命倫理といった問題は、場合によっては生命の本質、生命の根元に関わるものであり、社会的関心も高く、きちっとした姿勢をとることが求められている。

 

このことから、我が国においては科学技術会議生命倫理委員会が設置され、第1回の会議が平成9年10月30日に執り行われた。

 

例えば、人間の生命の設計図といわれるヒトゲノムの研究も、それ自体が人間の生命の根源に科学的に迫るがゆえに、その進展につれて、人間や生命についての考え方を変容させ、また社会における価値の揺らぎを生じさせる可能性がある。それゆえ、ヒトゲノムの研究は、倫理的にどこまでどのように許されるのかが問題にされることになる。いまやヒトゲノムの研究は、その全塩基配列の解読完了を目前にしており、今後は特に個人のゲノムの違いを研究することによって、体質や疾病の原因となる遺伝的要因を明らかにし、生物医学のさらなる発展、中でも個人個人に適した新しい医療の実現を目指している。しかし、こうした研究が行われるに当たっては、多数の提供者からの試料の提供が必要であり、またその研究成果が個人の遺伝情報をも明らかにすることから、これまで以上に多くのさまざまな問題が生じることが懸念される。このため、生命倫理の観点から、平成12年6月14日に、「ヒトゲノム研究に関する基本原則」が取りまとめられた。

 

又、ヒトES細胞については、ヒト胚は人の生命の萌芽として倫理的に尊重されるべきである。生命の萌芽としてのヒト胚にどの程度の保護を与えるかについては、個々人の生命観により様々な考え方がありうる。しかしながら、ヒト胚を生命の誕生ではなく研究に利用し、滅失する行為は、倫理的な面から極めて慎重に行うべきことについては論を待たない。重要な成果を産み出す研究であっても、人の生命の萌芽として尊重すべき点を考慮した上で妥当と認められる場合にのみ、その実施が許容され得ると考える。

 

これらのことを踏まえ、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則」が平成13年12月5日に施行され、同日「特定胚の取扱いに関する指針」が施行されている。

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