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皆様方へ  ~第17代総長 平野俊夫から総長退任のご挨拶

2015年8月19日(水)

総長挨拶1

 

総長退任のご挨拶

 私が総長に就任いたしました2011年は、忘れもしない東日本大震災があった年です。その後 7.8% 給与カットにはじまり、大学改革促進の機運が盛り上がり、大学のミッション再定義や第3期中期目標・中期計画に向けて大学を3つの類型に分けるなど様々な 大学改革促進政策が国から打ち出されました。この中で大阪大学は常に全国の国立大学の先頭を切って大学改革に努めてまいりました。

 私は就任早々、まず「大阪大学未来戦略2012–2015─22 世紀に輝く─」を策定し、その中心的機構として総長直轄の「未来戦略機構」を設置いたしました。そして、「世界適塾」構想を打ち出し、物事の本質を究める 研究や物事の本質を見極める能力を有した人材育成により、大阪大学は世界に開かれた大学、世界に貢献する大学、「世界適塾」として世界でトップ10に入る ような研究型総合大学を目指すという志を掲げました。その心は、「社会あっての大学、社会のための大学」であるという考えに基づいています。

 その理念は、学問による「調和ある多様性の創造」により、心豊かな人類社会の発展に貢献することを掲げました。この理念と志のもとに、この4年間 寝食を忘れて大阪大学の発展のために、「世界トップ10に向けたグローバル化の強化推進と人材育成・獲得支援策」としてまとめた様々な改革を行ってきまし た。その過程で、個の力の最大化のみならず大 学全体、すなわち組織の力の最大化を如何にすれば図れるかに注力してきました。

 また、以下の様々な施策を実行する財源として、国立大学改革強化推進事業、研究大学強化促進事業、スーパーグローバル大学創成支援経費、国立大学 機能強化経費、学長のリーダーシップ発揮特別経費、リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備事業など合計約50億円を獲 得するとともに、官民イノベーションプログラムで200億円を獲得してきました。

 特別教授の創設、クロス・アポイントメント制や年俸制などの柔軟な人事制度、研究大学強化促進事業採択とそれに伴う34の国際ジョイントラボ設立 や若手研究者育成プログラムなど国際的な研究展開の促進、学生の自主研究支援プログラムなど学生が主体的に学べるプログラムや環境整備、スーパーグローバ ル大学タイプA採択とそれに伴う学事暦・カリキュラム改革・入試改革の一体的教育改革推進、そしてカリフォルニア大学オフィスの大阪大学への誘致などの国 際戦略など様々な施策を実行してきました。特に施設老朽化対 策のためのスペースチャージや学内予算配分の見直しなどは他の国立大学に先駆けて実 行しました。大阪大学の様々な改革は全国の国立大学の手本とみなされ、大阪大学には全国の大学や文部科学省から様々な問い合わせがあり、日本の国立大学の 発展にも寄与できたのではないかと考えています。

 運営費交付金が減る中での大阪大学未来基金の募金活動も2031 年創立100 周年に向けた大阪大学の基盤充実のためとの思いで取り組んできました。中でも、未来戦略機構に異分野融合研究を促進するための研究部門を作り、創薬、認知 脳、光量子科学、グローバルヒストリーなどを推進していることは、大阪大学の研究力強化や国際化に大きく貢献しつつあると思います。4 年間に審良静男特別教授(2011年)と坂口志文特別教授(2015年)がガードナー国際賞を受賞するという大変素晴らしい成果もありました。

 イギリスの歴史あるQS社のアジア大学ランキング2015では、アジアで13位、国内で2位にランクされました。ランキングは大学の全てではな く、単なる一つの指標にすぎないことはもちろんですが、されどグローバル化の時代では海外の学生は大学ランキングを指標として大学を選びます。優秀な留学 生を獲得するためには大学ランキングは決して無視できません。今回QSという一つの大学ランキングではありますが、大阪大学の歴史で初めて国内2位になっ たことはそれなりに意味のあることと考えています。

 また、2007年に大阪外国語大学と統合して以来、最大の課題でありました箕面キャンパスの問題も、2015年6月に箕面市長との共同記者会見で 明らかにしましたように、単なる外国語学部等の箕面船場駅(仮称、2020年に北大阪急行が千里中央から延伸され、新設予定)前への移転ということではな く、世界適塾構想の大きな柱、大阪大学のヘッドクオーターの可能性を秘めた案という形で解決への道筋をつけることができましたことは望外の喜びでありま す。これは2021年創立90周年事業の柱になると思います。

 世界適塾構想のハード面で重要な学生寮に関しては、「世界適塾ビレッジ」10年計画を立案しました。外国人学生や日本人学生のみならず教職員との 混住とコミュニケーションを 促進するためのPFI方式を取り入れた計画です。その第1期計画が2015年夏に本格的に始動します。政府の出資により大阪大学に設立された大阪大学ベン チャーキャピタル株式会社の活動内容に関する認定と認可を2015年6月末に国立大学として初めて得ることができました。大学外からの出資も加えて100 億円強の資金で8月からベンチャー育成活動を始めます。大阪大学の様々な知財を社会へ還元する大きな道筋をつけることができました。

 2015年6月には、環太平洋大学協会(45大学が加盟)の第19回学長会議を大阪で開催しました。これからますます重要になる環太平洋地域の主 たる大学の学長が大阪に集まり、この地域の大学の絆を強くすることができました。学問による「調和ある多様性の創造」が21世紀の大学に求められる最も重 要な役割であることを提唱し、強い共感を得ることが できました。4 年間の「世界適塾」構想のひとつのマイルストーンになったのではないかと考えています。

 また、大阪大学の強い分野や異分野融合研究領域の次世代の卓越した研究者人材を育成するための世界基準の大学院「世界適塾大学院」設置に向けての 道筋も作りました。このような改革と活動を継続していくことにより、大阪大学は「世界適塾」へと大きく発展する可能性を得ることができ、10年後、20年 後、そして22世紀にも輝く大学になることができると私は信じております。

 「勿嘗糟粕」という言葉を残されている初代総長の長岡半太郎先生は、大阪大学を去るにあたり「阪大を日本一の大学にするため教授陣には私の力のか ぎり新鋭をすぐって、集 まりいただいたつもりだ。そして研究第一、殊に産業科学の研究に力を入れる気運を作っ た。長岡は今大阪を去るが、どうか、教授・学生共々に、この阪大の学燈を守っていただきたい」と述べられました。私自身は長岡先生ほどの人物ではありませ んが、この4年間で「世界適塾」に向けて数多くの道筋をつけることができたのではないかと思います。この道筋を最大限生かしていただき、立ち止まることな く、大阪大学が引き続き「世界適塾」を目指して世界でトップ10に入るような世界に冠たる大学に発展する努力を続けていくことを強く願っています。

 夢は叶えるためにある

 夢は簡単に実現しないから夢と呼びます。しかし、夢は自分に関係ない別世界だと考え てしまえば、夢は永久に夢です。夢に向かって目の前の一つ一つの山を登りきって行けば、 いつの日か夢は現実のものとなります。たとえ、夢が現実のものにならなくても、そのプロセスが人生を豊かにしてくれます。大学を素晴らしいものにしてくれ ます。私は「世界適塾」への道半ばで大阪大学を去ることになりましたが、これからは皆様一人一人の力と英知を合わせて、大阪大学を「世界適塾」へと導いて 欲しいと思います。それができるのは他でもない教職員・学生の皆様一人一人の力です。

 天の川 世界適塾 はるかなり

  皆様方と大阪大学のために、この4年間一緒に汗をかけたことは大変ありがたく、今となっては一生涯忘れがたい思い出となりました。ご協力、ご助言、ご支援、ご鞭撻いただいた多くの皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 最後に皆様方のご健勝とご活躍をお祈りしています。

2015年8月

 

総長挨拶2

 

大阪大学での最終講義

「免疫学者として、総長として~来し方を思い、未来を想う~」(2015年7月14日)

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