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大阪大学に集まり、世界に広がる アジア太平洋研究のグローバルハブへの挑戦

異分野の研究者が一堂に会する

「アジア太平洋を対象とする研究者は、アジアやアメリカはもとよりヨーロッパにも多く、研究分野も実にさまざまです」と杉田教授。しかし、地理的に離れているうえ、研究分野も異なるため、交流する機会が少ないのが悩み。「名前は知っているし、著作も読んでいるが、会ったことはない」という間柄の研究者が多いという。研究を進展させるには、従来のように机にかじりついているだけではなかなか進まない時代だといい、「ネットワークを広げ、ディスカッションを通じ、刺激し合うことが大事」だという。

杉田教授自身の研究分野も、国際関係と医療保険史にまたがっているが、どちらか一つに留まっていては見えてこないこともあると実感している。そのような状況にあって、研究者を呼び寄せることに特化した国際共同研究促進プログラムはうってつけだった。

「現代はインターネットの時代。しかし、深い議論にまで進展させるには、研究者が一堂に会し、侃々諤々の議論を行うことに意義がある」と話す。また、その仕組み作りにも工夫を凝らす。「シンポジウムの規模は10名程度に抑え、参加者には事前にコンファレンスペーパーの提出を課し、発表を15分、質疑応答時間を45分に設定、どんな大御所であっても司会やコメンテーターなどの役割を与え、参加者全員が必ず発言しなければならない環境にしている」という。異分野の研究者がフランクに話し合うことで、新しい研究の種が生まれるというのが、杉田教授の考えだ。

若い世代にも大きな刺激

プログラムの一環として、今年2月と3月にはアジア太平洋の研究者を世界から招き、専門家による小規模セミナーや公開シンポジウムなどを実施。これまでに40人以上の研究者を招へい。従来の文系分野での研究費で招へいできる人数はせいぜい年間1〜2名程度であることと比べると、その効果の大きさが分かる。今後も海外から招いた研究者とともに定期的にセミナーなどを開催する。

セミナーやシンポジウムで話し合われた内容は、最終的に本にまとめて出版する予定だ。「発表を行った研究者とは、6カ月以内に書籍の1章分の論文を仕上げてもらう約束をしています」と杉田教授。出版を通じて発表の場を広げることで、プログラムの活性化につなげたいという。

このプログラムに参加すれば、大阪大学に集まってくる海外の著名な研究者と交流するチャンスが生まれる。その点に魅力を感じ、自ら「ぜひ参加したい」とアピールしてきた国内外の研究者も多いという。

杉田教授はプログラムが若い世代への刺激にもなると考えている。たとえば、研究者を目指す大学院生は学内や海外の研究者と交流することで、つながりのなかった海外の大学の教員を紹介してもらえるなど留学先を決めるヒントを得ることもできるし、学部生には英語だけで進行する国際シンポジウムで、どのように議論が展開されるかを実際に体験できる貴重な機会にもなるからだ。

「この制度によって研究を大きく広げることができています。ただ、これは私だけではなく、スタッフの皆さんの支えがあってこそです。今後も色々な方々に感謝しながら研究を広げていきたいですね」

研究分野、年代、国境を越えたアジア太平洋研究のネットワークが今、大阪大学を舞台に大きく広がろうとしている。

国際共同研究促進プログラム

最先端の研究を展開している外国人研究者と大阪大学の研究者との共同研究を支援することにより、研究力を一層高め、大阪大学のグローバル化を促進することを目指す阪大独自のプログラム。海外の研究機関で主任研究者として最先端の研究を展開している外国人研究者が、年間1カ月以上大阪大学の研究室で共同研究することを条件にサポート。H25年度から開始し、22プログラムが進行中。2015年2月時点で、13カ国22の大学や研究機関と国際ジョイントラボを設立。

クロス・アポイントメント制度

「柔軟な人事制度の構築」の実現に向け、他機関との混合給与を制度化。
2015年2月時点で、日本国内2名、海外からはアメリカ、カナダ、ドイツ、スウェーデン、イスラエル、モロッコ王国、中国、ベトナム、オーストラリアなど世界各地18カ国25名が制度を利用し、大阪大学で分野を問わず共同研究を行っている。

 

●杉田米行(すぎた よねゆき)

1989年一橋大学法学研究科修了。99年ウィスコンシン大学マディソン校博士課程修了。大阪外国語大学助手、専任講師、助教授を経て2007年言語文化研究科准教授。13年から現職。研究分野は日米医療制度、アメリカ外交、日米関係。著書にPitfall or Panacea: The Irony of US Power in Occupied Japan 1945-1952 (Routledge)など。

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