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由本陽子 言語文化研究科 教授

 現代人の頭や心の中にある「辞書」(メンタル・レキシコン)では、単語の意味や文法的性質についての情報はどのように整理されているのか、また、人は生まれて初めて遭遇したものにどうやって名前を付けるのか、これが研究テーマである。

 例えば日本語の「積む」という動詞は英語のloadに対応し、いずれも積むモノと積む場所を表さなければ意味が完結しない、すなわち二つの補部をとる動詞である。しかし、「積む」はモノを目的語にする文「トラックにリンゴを積む」しか作れず、「トラックを(リンゴで)積む」とは言えないのに対し、英語では‘load apples onto a truck’と‘load a truck with apples’の二つの構文が許される。このような日英語の違いは何に起因するのだろうか? これらの日英語の差異も、動詞の意味と構文の対応を緻密に分析することで説明が可能になる。そのためには、地道なデータ収集やインフォーマントを対象とした調査が必要である。

 日常出合う言葉にも、並々ならぬ関心をもっている。例えば、WEB上で見つけた「地球を住み直す」という表現。「文法的」とは言い難いが、なぜ容認されるか考え出すと止まらない。接する言葉全てが研究対象だ。由本教授はもともと英語の文法研究からスタートしたが、日本語にも対象を広げ、英語と日本語の心内辞書の類似点や相違点を追究している。これらの功績から2014年の総長顕彰を受賞。今後は、手話についてのレキシコン研究にチャレンジしてみたいと考えている。

 そんな由本教授の趣味は、美術館巡り。「すばらしい絵画や彫刻に囲まれ、贅沢な時間を過ごすのが大好きです」。文字通り生きた言葉との格闘の中で、楽しい息抜きになっている。

●由本陽子(ゆもと ようこ)

大阪大学文学研究科英文学専攻修了。日本学術振興会特別研究員を経て、1987年大阪大学言語文化部助手に就任、07年から現職。文学博士(2004年大阪大学)。05年新村出賞受賞。専門は英語と日本語の語形成論、語彙意味論。主な著書に『複合動詞・派生動詞の意味と統語─モジュール形態論から見た日英語の動詞形成─』由本陽子(ひつじ書房05年)、『語彙の意味と文法』由本陽子・岸本秀樹=編・分担執筆(くろしお出版09年)、『レキシコンに潜む文法とダイナミズム』由本陽子(開拓社11年)、『複雑述語研究の現在』由本陽子・岸本秀樹=編・分担執筆(ひつじ書房14年)がある。

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