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月の石が語る地球の過去〜独創的な装置開発で、宇宙のロマンに近づく〜

月の存在は、地球の成り立ちや生命の進化の鍵を握る。寺田健太郎教授は、最先端の機器を駆使して太陽系誕生の謎の解明に迫る。

レーザーから拡がる前人未到の世界〜コンクリート構造物の非破壊検査から宇宙の謎の解明まで〜

LFEX(エルフェックス:Laser for Fast Ignition Experiments)は、核融合を研究するために大阪大学内で開発された世界でも類を見ない超高強度レーザー装置。余語覚文准教授が大阪大学の研究者となったのは、その魅力に引かれたからだ。LFEXを使って、宇宙の起源に迫る基礎研究に加え、コンクリート構造物の非破壊検査などの応用研究に取り組んでいる。

人の動きを予測する大規模空間での群集の振る舞いをシミュレーション

建物の内外での人の動きをシミュレーションする研究を続けている安福健祐講師。災害が起きたときに建物から一斉に逃げる場合や、大規模なショッピングモールやスタジアムなど、非常に混雑する施設から外へ移動する場合などの人の流れを細かく条件を設定したうえ、コンピュータで計算し、可視化している。同時に建築の専門家として、建築自体の「よさ」を評価できるシミュレーションの研究も進めている。

古典詩から現代文学までトルコ文学の魅力を伝えたい

宮下遼准教授の専門はトルコ文学史。オスマン帝国の古典詩を研究し、詩歌を通じて当時の人々の心性を解読する一方、現代トルコ文学の紹介にも力を注ぐ。特に小説に関しては、「まず日本語で読めるようにならないことにはそもそも日本で普及しない」との思いから、2006年ノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムクの作品をはじめ、数々の作品を日本語に翻訳。世界文学の視点を絡めた現代トルコ文学に関する論考も発表している。

集積システムのブレイクスルーが目標〜情報機器のさらなる進展に貢献したい〜

橋本昌宜教授の専門分野は「集積システム設計」。情報機器に欠かせないVLSI[Very Large Scale Integration(大規模集積回路)]の低電力化や高信頼化に係る研究、特に自己診断により自律的に性能を保証する回路システムの設計・開発などに取り組んでいる。

先人の思い、言葉を蘇らせる〜当時の資料から小説を読み解く〜

太宰治や織田作之助の作品を中心に、太平洋戦争時期から敗戦直後にかけての日本文学を、時代背景も含めて研究する斎藤理生准教授。新聞小説を中心に、戦中戦後の混乱期にかけての失われた文学資料の発掘にも力を注ぐ。

血管領域からのがん治療〜血管をコントロールし、新薬の開発に挑む〜

臨床医時代に抗がん剤の全く効かない患者を見て、何とかしたいと研究の道に進んだ髙倉伸幸教授。「良い薬があっても、がんの中に届かないのはなぜか」を血管の視点から研究し、がん組織の血管正常化を通じて、抗がん剤を望む場所に届ける治療法開発を進めている。さらに、リンパ球を確実にがんに到達させる薬の開発や、血管の老化とアンチエイジングの関係なども研究している。

運動と同じメカニズムの 抗うつ薬の開発に挑む 〜「脳を知りたい」知的好奇心が原動力〜

運動にはうつ病や認知症を予防、改善する効果があることが知られている。近藤誠准教授は、運動による抗うつメカニズムをマウスの海馬を用いた実験によって解明した。この成果を生かし、既存の抗うつ薬では効果が得られない難治性うつ病の患者に対しても効果を発揮する、新しい抗うつ薬の開発につながる研究を進めている。

「まとも」と「へんな」の共存で未来の建設・鉱山機械を研究

2006年にスタートした大阪大学とコマツとの共同研究講座をさらに発展させ、より広範囲な領域で強力な産学連携を推し進めるため、両者が共同で2015年に「コマツみらい建機協働研究所」へ改組した。「建設・鉱山機械の遠隔化・自律化」に関する研究では、製品応用化が見込まれるような新技術を生み出したほか、研究者育成にも尽力している。

「ナノ粒子量産プロセス」を解明し世界初の数値予測に成功

ナノ粒子の大量生産は産業分野で高いニーズがあり、茂田正哉准教授は、「熱プラズマ流を利用したナノ粒子量産プロセスにおける諸現象のモデル化」と「数値シミュレーション」の研究に取り組んでいる。ナノ粒子の創製プロセスは非常に複雑であり、既存の実験や理論、数値シミュレーション技術では解明できなかったが、茂田准教授は独自に考案した計算方法により解明、プラズマ環境での粒子生成の数値予測に世界で初めて成功した。その成果は世界で高く評価され、2014年度に科学技術分野の文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、2017年11月に大阪大学賞(若手研究部門)を受賞した。

研究者、指導者、表現者として人の動きと心理を科学的に分析

小島理永講師は体育、ダンスをフィールドとする教育方法学を研究している。また、大阪大学の初年次通期の共通教育、健康・スポーツ教育科目の講師を務め、コンテンポラリーダンサーとしても活動。「研究者、指導者、表現者という三つの立場から身体活動に関する諸問題について、人の動きと心理を科学的にとらえ、教育やコーチングに役立てようとしています」と話す。

共創イノベーションへの挑戦

「共創」を掲げる大阪大学は、 産学連携の分野で産業界や地域と手を携え 共創イノベーションを目指す新たな取り組みの第一歩を踏み出した。 これまでの課題を克服し、近未来の社会課題解決と 社会実装を通じた経済的インパクトの創出を図る取り組みは、 産業界からの注目も高まりつつある。

ITを用いた地域連携 防災・見守りの仕組みづくりに挑戦

稲場圭信教授は、寺社などの宗教施設を地域資源とした防災の研究・実践に取り組み、2014年から、全国の避難所および宗教施設など約30万件のデータを集積した、スマートフォン用災害救援アプリを無償提供。防災を基盤に、ITを活用した新たなコミュニティの構築を模索している。

木戸屋 浩康 微生物病研究所 情報伝達分野 助教

木戸屋浩康助教の専門は、血管の構造や形状・性質を解明する「血管生物学」。血管新生の仕組みから、がん組織などに見られる血管形成までを網羅的に研究し、血管形成の制御によるがん治療薬の開発をめざしている。

第3ステージ突入!阪大発の新たな産学連携モデル

2016年度、大阪大学は、中外製薬株式会社、大塚製薬株式会社との包括連携契約をそれぞれ締結した。 「新たな産学連携の形」として学内外から注目を集めている。 これまでの産学連携との違いは何か。 また、今後の展望について、西尾章治郎総長に聞いた。

常識を打ち破り革新的な金属錯体をつくりだす

理学研究科の今野巧教授は、「錯体化学で物質科学の常識を打ち破る」研究に取り組む。革新的な金属錯体の創製は、画期的な機能性材料を世界に発信できる新基盤技術の開発につながり、「縁の下の力持ち」として、物質科学分野での基礎研究に貢献している。

中尾 薫 文学研究科文化表現論専攻 准教授

中尾薫准教授は、伝統芸能の能楽を研究している。「能楽を大成させた観阿弥・世阿弥親子の時代から約600年。その源流から数えると1000年以上の歴史があり、時代の変遷で演じ方や社会との関わり方がどう変わり、また変わっていないのかを調べています」と話す。

医脳理工と企業が緊密に連携し スーパー日本人育成を目指す

「人間力活性化によるスーパー日本人の育成」を掲げた、大阪大学センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムがスタートして3年半が経過。「脳」や「免疫力」、「コミュニケーション力」を活性化させる研究により、社会全体の活性化を目指す大阪大学COIでは、医学・脳科学・理学・工学分野の研究者と企業によるunder one roofの緊密な連携が、めざましい成果を生み出し始めている。

舌がんを 切らずに治す、 放射線治療の 普及を目指して

舌がんの治療法には、切除と放射線治療などがある。歯学研究科の村上秀明准教授はこの放射線治療を行っている。放射線治療は舌を切らずに治すことが可能だが、副作用のリスクがあることなどから、切除を選ぶ患者が9割を占めている。この現状を打破するため、村上准教授は、副作用を防止する新しいコンセプトのマウスピース型装置を世界で初めて開発した。更なる普及を目指し、日々患者への臨床応用を進めている。

「仕掛け」で問題解決へと人をいざなう

ゴミ箱にバスケットボールのゴールがついていたら、 ゴミを投げ入れてみたくなる─。 「つい行動したくなる」ように仕向ける仕掛けを設置して、 効果を検証する仕掛学。松村真宏准教授が提唱する新しい研究分野だ。

世界中が注目 ノーベル賞受賞の「オートファジー」

胞がたんぱく質を分解し再利用する「オートファジー(自食作用)」。 2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東京工業大学栄誉教授と共にこの分野の第一人者と評される吉森保教授は、哺乳類のオートファジーの役割を明らかにし、さまざまな病気との関連を研究している。 大隅教授への思いやオートファジーの「これから」を語ってもらった。

ゲリラ豪雨の予測を可能に-高速・高分解能気象レーダを研究開発

2016年度大阪科学賞を受賞した牛尾知雄准教授。受賞理由は「フェーズドアレイ気象レーダの研究開発」。ゲリラ豪雨などの予測手法の研究開発などに活用しており、今は次世代型レーダの研究に取り組んでいる。

「新たな社会調査」で若者の心に迫る

吉川徹教授を代表とする研究グループは、2015年、メディアなどによる世論調査とは異なる特性を持つ大規模な学術社会調査・SSP調査(Stratification and Social Psychology/階層と社会意識全国調査)を実施。蓄積された過去のデータと比較することで、これからの日本社会を構成する若年層の「社会の心」の変容の兆しを明らかにした。

3人の「専門歯車」をかみ合わせ、免疫システムを解明する

大阪大学は、学内の若手研究者(45歳以下3名)によるチャレンジングな異分野融合研究を支援するため、「未来知創造プログラム(平成26〜28年度)」を実施。58件の応募から12件のプロジェクトが採択され共同研究が進行している。その1つ、「医工情報の連携による蛍光生体イメージング技術の開発と細胞遊走ダイナミクスの統合的解明」に取り組む、菊田順一助教(医学系研究科)、堀雄一郎准教授(工学研究科)、瀬尾茂人助教(情報科学研究科)のグループに、研究の内容や意義、異分野融合研究のメリットなどについて聞いた。

泳ぐ細菌の「べん毛モーター」の謎にせまる

細菌の運動器官であるべん毛は、逆回転も可能なナノサイズの回転モーターが動かしている。生体内で最初に発見された自然の回転機構であり、ギアを切り替えるように回転方向を変え、栄養豊富な場所に移動したり、感染先を探り当てている。今田勝巳教授らのグループは、極めて高性能な「べん毛モーター」の基本的作動原理の解明や、部品の構造解析に取り組み、その成果は将来の感染症予防や新薬開発にも結びつくと期待されている。

勝又 壮太郎 経済学研究科経営学系専攻 准教授

数学を武器に人の消費行動を解き明かす

加納 純子 蛋白質研究所 准教授

染色体の原理を明らかにするため「研究マラソン」を走り続ける

「光るタンパク質」で医療やエネルギー問題に貢献 未来社会を大きく変革する

2008年ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士らの蛍光タンパク質(GFP)で、一般にも広く知られるようになった「光るタンパク質」。iPS細胞の研究や、2014年ノーベル化学賞で注目された超解像顕微鏡の開発でも重要な役割を果たしている。産業科学研究所の永井健治教授らによる、光るタンパク質を使ったイメージング(可視化)技術の研究は、肉眼でも観察が可能な青緑(シアン)色やオレンジ色の超高光度発光タンパク質の開発に成功するなど飛躍的に進みつつある。

マイクロ波による革新的製造プロセスで世界のものづくりを変える

マイクロ波化学株式会社は大阪大学発のテクノロジー・ベンチャー。大手商社出身のビジネスマンと大阪大学の研究者が、世界のものづくりを変革しようと、2007年8月に設立。大阪大学工学研究科に「マイクロ波化学共同研究講座」を設置し、マイクロ波による「省エネ・高効率・コンパクト」な製造技術の実用化と産業化に挑戦。独自技術や実績などが評価され、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(OUVC)の第1号投資先(2015年9月)となった。

福永 伸哉 文学研究科文化形態論専攻 教授

時空や世代を超えた「つながり」が考古学の醍醐味

笹井 美和 微生物病研究所 助教

免疫機構の理不尽なメカニズムに湧き立った研究心

「日の丸印抗がん剤」の 開発と実用化に執念を燃やす

大阪大学OBの中村祐輔教授は、現在、 シカゴ大学医学部内科・外科教授としてゲノム医療に取り組む。 学会への参加のため帰国した中村教授に、10月9日、 西尾章治郎総長から「Osaka University Global Alumni Fellow」の称号が授与された。 日米の医療や医学研究の現状などについて懇談したあと、インタビューに応じていただいた。

大阪大学の協働研究所から R&Dやビジネスモデルを変革したい

カネカ基盤技術協働研究所は、化学メーカーである株式会社カネカが、2011年7月、大阪大学の産学連携拠点であるテクノアライアンス棟に開設。有機ELや太陽電池、事業や競争力の源泉となる基盤技術の開発・拡充や活用、オープンイノベーションのさらなる推進をめざし、大阪大学のさまざまな部局と共同研究を進めている。大阪大学特任教授でもある福井祥文所長に話を聞いた。

西村理行 歯学研究科 口腔科学専攻 教授

人は財(たから) 世界に飛び立つ後進育成が使命

菅原由美 言語文化研究科 言語社会専攻 准教授

ジャワの歴史研究を断絶させない 古い文献からインドネシアを探る

「合成化学の革新」に挑む

医薬品、有機電子材料などの効率的な合成に欠かせないクロスカップリング反応は、現在では幅広い産業分野で必要不可欠な技術となっている。日本が得意とする技術分野であり、2010年に日本人2人を含む3人がこの領域でノーベル化学賞を受賞したことは周知のこと。三浦雅博特別教授のグループは、クロスカップリング反応のフロンティアを切り開く研究を推進。2012年には先端研究領域をリードする研究者に贈られるトムソン・ロイターの「リサーチフロントアワード」を受賞し、2014年に大阪大学特別教授となった。

大学キャンパスに企業を誘致 阪大のIndustry on Campus

植物バイオマスを活用し、人と環境に優しい機能性素材の研究開発から商品化まで取り組んでいる「Hitz(バイオ)協働研究所」。大阪大学の産学連携制度に基づき、2012年10月、日立造船株式会社が大阪大学内に設置。「Industry on Campus」のキャッチフレーズのもと、基礎研究から応用研究まで企業や大学の枠を超えて取り組んできた。他の国立大学にはないユニークな協働研究所を取材した。

辻川和丈 薬学研究科 教授

アカデミア創薬で「薬のまち」大阪の新しい時代を切り開く

小林 慶太 超高圧電子顕微鏡センター 助教

ミクロの世界が見える電子顕微鏡に魅かれ 極限環境下での物性の解明に挑む

世界に冠たる大阪大学の免疫学

大阪大学の免疫学は長い歴史と伝統を持ち、世界トップレベルの最先端研究を行ってきた。その基礎から応用に至る貢献を裏付けるように、免疫学フロンティア研究センター(WPI-IFReC)・坂口志文特別教授(実験免疫学)の「ガードナー国際賞(2015年)」受賞が決定。同賞はカナダのガードナー財団が医学の分野で世界的な発見や貢献をした研究者に贈るもので、ノーベル賞の登竜門ともされている。 2011年には同センター拠点長の審良静男特別教授(自然免疫学)が受賞しており、大阪大学では2人目の快挙となった。受賞を記念して、同じ免疫学者である平野俊夫総長が二人と、免疫研究の足跡や、阪大の免疫学の展望などについて語り合った。

「阪大免疫」強さの秘密 100年を超える 伝統と研究

「免疫の阪大」。世界の免疫研究者たちはそう評価する。では、阪大の免疫研究の層の厚さはどこから来るのか。なぜ、阪大は免疫研究が盛んなのか。阪大の原点である適塾にまでさかのぼる。 緒方洪庵は除痘館(のちの種痘所)を開いて天然痘の予防、さらにコレラなど感染症の克服に努めた。そして緒方洪庵の次男の緒方惟準が院長として適塾の門下生らが中心となり、明治2年に大阪仮病院が設立され、その後大阪医学校、大阪府立医科大学へと発展していく。その校長・学長を務めた佐多愛彦氏の貢献によるところが大きい。 免疫研究で多くの賞を受賞し、将来を期待される呼吸器・免疫アレルギー内科学教室の熊ノ郷淳教授に話を聞いた。

「見る」という脳機能の不思議に ドイツの研究グループとともに挑む

複雑で激しく変化する外界の3次元情報を、脳は何の問題もなく「見ている」。神経生理学が専門の藤田一郎教授の研究グループは、この脳の「見る」という機能の不思議を解き明かすため、2013年からドイツのユーリッヒ総合研究機構・神経科学医学研究所で理論脳科学を研究するソニヤ・グリュン教授(アーヘン工科大学教授)のグループと共同研究を進めている。研究は「大規模神経活動計測技術と計算論的手法の融合によるアクティブビジョンの神経機構の解明」だ。

生越專介 工学研究科 教授

予想と違う結果が出たときこそ、ブレイクスルーにつなげるチャンス

藤田佳孝 核物理研究センター 准教授

身近なモノで物理を体験 世界中の若者に「なぜだろう?」と思う心を伝えたい

服部 梓 産業科学研究所 助教

広くアンテナを張り 自由な発想で極微の物質を自在にデザイン

巧みに動く生き物にこそ ロボット制御の答えがある

大阪大学では、工学研究科や基礎工学研究科を中心にロボットを用いた研究が盛んに行われている。2013年にはロボット工学や認知科学、脳神経科学を融合させた新しい学際領域・認知脳システム学の発展と確立を目指し、未来戦略機構の第7部門として「認知脳システム学研究部門」も立ち上げた。今回の先端人 Tomorrow’s Pioneersは、昨年12月3日に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」に搭載した小型ロボット「ミネルバⅡ2」の開発プロジェクトに参加した工学研究科の大須賀公一教授と多田隈建二郎助教を平野俊夫総長が訪ね、ロボット研究の面白さや今後の可能性を語り合った。

日々生まれ変わる細胞の神秘 オートファジーの謎を追う

吉森保特別教授は、生物の細胞内で細胞自身がたんぱく質を分解する仕組み、オートファジー(自食作用)の研究で世界の最先端を走る。研究論文が年間数千本を数えるなど国際的に注目されるホットな研究分野だ。吉森教授の研究成果は多くの論文で引用され、生物学・生化学分野でトムソン・ロイターの「世界で最も影響力のある科学者(2014年)」に選ばれ、2014年に大阪大学特別教授の称号を受けた。

原子レベルで 測る・見る・作るに挑む

ロシア出身のファエノフ・アナトリー教授は、X線光学の分野における世界的権威。独自のアイデアで開発した高性能のX線分光装置と分光法は、X線によるイメージング(可視化)などに必要不可欠な装置として世界的に普及している。ファエノフ教授はネイチャー系の研究誌に数多くの論文を発表し、米国のネバダ大学リノ校や日本原子力研究開発機構をはじめ、世界トップレベルの研究機関と連携して業績をあげてきた。大阪大学には光科学研究を行う100以上の研究室があり、世界的研究拠点となるべく未来戦略機構に光量子科学研究部門を立ち上げている。グローバル化を進める大阪大学での研究を聞いた。

大阪大学に集まり、世界に広がる アジア太平洋研究のグローバルハブへの挑戦

「大阪大学をアジア太平洋研究のグローバルハブにしたい」。杉田米行教授は、世界各地で活躍するアジア太平洋研究の専門家を集め、新たな知見を世界中に発信するための環境を大阪大学に作りたいと語る。その取り組みの一環として、杉田教授が代表を務める国際共同研究促進プログラム「アジア太平洋地域の平和と安定:国際行動規範形成のための重層的分析」が2014年にスタート。政治学、経済学、歴史学、などの社会科学に加え、医療分野などの専門家も参加して、融合的な研究活動が展開されている。

藤野陽生 人間科学研究科 助教

現場と研究の「ギャップ」を埋め、治療の先にある社会復帰をサポートしたい。

「模様」と「まばたき」の不思議 生命システムの謎にせまる

大阪大学生命機能研究科は、分子から細胞、臓器から個体にいたるまで、不思議と驚きに満ちた生命現象を多様なテーマで解析している。今回の「先端人 Tomorrow’s Pioneers」は、平野俊夫総長が同研究科を訪ね、生物の縞模様など複雑な形ができる仕組みを理論的に解明し実証することを目指す近藤滋教授、まばたきに着目し脳の仕組みや行動の解明に取り組む中野珠実准教授とともに、生物が持つ仕組みの面白さ、それぞれの研究に対する情熱などを語り合った。

生命現象の 根本に化学があるー高分子化学研究で世界的な業績

原田明特別教授は「高分子化学に関する研究」で多くの世界的業績を残してきた。研究テーマは、高分子の分子認識による超分子構造の構築や、生体高分子の機能化、新規高分子の合成。大阪大学の教授だった父・篤也さんの「阪大は世界一の大学だ」という勧めで、大阪大学理学部に入学。以来、研究の面白さに触れ研究者に。生体内で起きている分子間の反応に興味を抱いたことから高分子や超分子の研究に取り組み始め、合成化合物を使用して、簡単な高分子にも生体で見られるような厳密な分子認識が起きることを世界で初めて見いだした。分子認識というミクロの世界を「センサー」や「接着」といったマクロの世界(リアルワールド)で活用することにも成功し、注目を集めている。

高齢者の健やかで幸せな老後のためにー認知科学や老年社会学で多面的アプローチ

「年をとっても健やかな心で幸せに生きたい」とは誰もが願うことだろう。認知神経心理学が専門の苧阪満里子教授は、人の認知の基盤をなす記憶システムであるワーキングメモリの研究を通して、高齢者の記憶、認知機能の変化に着目する。今年度、苧阪教授が代表を務める国際共同研究促進プログラム「超高齢期高齢者のサクセスフルエイジングを支援する介護福祉サービスの開発に向けた認知脳科学的・老年社会学的研究」がスタート。脳科学をはじめ福祉政策、介護社会学など、海外の研究者と大阪大学の異分野間の連携に期待が寄せられる。

トガって、走って、未知の世界へーCO2抑制から活用へ、革新的技術を創り出す

「二酸化炭素から基礎化学品を作る革新的グリーン技術の開発」と題する研究が、本年度の「未来知創造プログラム」の一つに採択されている。これは、画期的な触媒システムの開発を通じて、社会のさまざまな分野で求められている化学材料を二酸化炭素から効率よく作り出そうという試みだ。従来、抑制の対象とされてきた二酸化炭素を有用な炭素資源として積極活用するという、画期的な技術の確立をめざすものである。挑戦するのは、機能開発、材料開発、理論計算をそれぞれ専門とする若手研究者3人。触媒の未来形を作り出そうとする彼らの意気込みを聞いた。

柏木 正 工学研究科 教授

船舶海洋工学のトップリーダーを育てることは大阪大学に課された歴史的責務

砂原庸介 法学研究科 准教授

経験を糧に研究領域を開拓 地方自治の本質に迫る

日本やアジアの視点から 地球規模の「新たな世界史像」を紡ぐ

一国史や西洋中心主義といった従来の枠を超え、地球的規模で世界の諸地域や集団の相互連関を見渡す新しい世界史「グローバルヒストリー」が、「大阪大学未来戦略機構」の新たな研究領域(第九部門)として発足する。今回の「先端人 Tomorrow’s Pioneers」では、文学研究科世界史講座・秋田茂教授と岡田雅志助教を、平野俊夫総長が訪ね、グローバルヒストリーの展望、今後の抱負などについて語り合った。

生体ナノマシンの構造に迫る

難波啓一特別教授の専門は、生物物理学・構造生物学、プロトニックナノマシンの研究だ。生体の中では生命を維持する様々な機構が働いている。大腸菌などのバクテリアは、細胞の一部にべん毛という小器官をもっている。生体内のモーターのようなつくりで、べん毛を回転させて動き回る。直径数10nm(ナノメートル)の生体内のモーターは、プロトン(水素イオンH+)の流れを受けて、非常に高いエネルギー効率で動作する。このような解析不可能と考えられていた生体超分子の立体構造と機能を世界に先駆けて原子レベルで明らかにした。

世界的な理論研究者との強力タッグで究極のナノデバイスを可能にする

杉本宜昭准教授の研究は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)。これを武器にナノ構造化学、薄膜・表面界面物性に迫る。SPMの一種である原子間力顕微鏡(AFM)の開発に力点を置く。AFMを使って物質表面の原子がどこにどのように配置しているのかを見極めることが、可能になった。この研究で、2009年アジア人として初めての米国Foresight Institute Feynman Prizeを受賞。平成25年度の国際共同研究促進プログラムにも採択され、理論と実験の両輪でさらに研究を推し進める。

障害のある子と親のQOLを高めたい

大阪大学は今年度、新たな研究の種を生み出すべく、学内の異なる分野の若手研究者3名で行う共同研究を支援する「未来知創造プログラム」を開始した。そのうちの一つが、今回紹介する「歯科医療現場における障害のある子どもとその親への包括的支援プログラムの開発」だ。障害者歯科学、臨床哲学、臨床心理学という文理3領域からのアプローチにより、障害のある患者とその親への理解を深め、両者のQOLを高めるサポートにつなげたいという歯学部附属病院・村上旬平助教らに取り組みを聞いた。

由本陽子 言語文化研究科 教授

現代人の心の中にある「辞書」 日常の「ことば」を探究する

金城 玲 蛋白質研究所 准教授

阪大発の蛋白質データバンク構築 生命科学研究で世界をつなぐ

人類共通の好奇心-宇宙開闢から太陽系の誕生 生命進化までを紐解く

大阪大学理学研究科「宇宙地球科学専攻」は、伝統的な天文学や地球惑星科学とは異なった視点から宇宙地球科学を研究するため1995年に設置。宇宙・惑星・地球を舞台とした様々な自然現象から生命までを含む多様な物質の極限状態を、物理学を基盤に解明するという、世界的にも類を見ないユニークな専攻だ。宇宙の謎に挑む寺田健太郎教授、長峯健太郎教授を平野俊夫総長が訪ね、壮大な宇宙をテーマとした先端研究について語り合った。

世界各国の知性を結集し 経済理論の充実を

昨年度の「大阪大学国際共同研究促進プログラム」に採択された「最先端経済理論研究と制度設計への応用」が、順調なスタートを切っている。代表者の芹澤成弘教授(社会経済研究所)に、プログラムの内容や効果について聞いた。

疑うがゆえに知り 知るがゆえに疑う

研究室に一歩入ると、いろいろな国籍の留学生やポストドクターが至る所でディスカッションしている様子が目に飛び込んでくる。そこは、まさにグローバルな空間だ。世界の材料科学研究は凄まじいスピードで競争が進んでいる。平成26年度の大阪大学国際共同研究促進プログラムにも採択された。工学研究科の関修平教授に、グローバルに展開する研究の最先端を聞いた。

大阪大学特別教授ー研究の醍醐味は 分からぬことへの挑戦

濱田博司教授の専門は、哺乳動物胚発生の遺伝子支配。動物の体の左右は、外見上大まかには対称的に見えるが、心臓は左に、肝臓は右にあるなど、構造に大きな違いもある。左右の非対称性がどこから生じるのかという「左右非対称性の決定機構」を長年探究してきた。これらの業績により平成26年春の紫綬褒章を受章した。「でも実際に研究を進めたのは学生や同僚なので、大部分は彼・彼女らのクレジットです」と謙遜する言葉にも温厚な人柄がうかがえる。野球好きで熱烈なタイガース・ファンとして学生たちに知られ、研究室には贈られたトラグッズが飾られている。岡山大学医学部生時代には、野球部に所属していた(下手だったので補欠でした:本人談)。

荒木 勉 基礎工学研究科 教授

社会人に企業の枠を超えたナノテクの研究の場を提供しものづくりを支援する

村松里衣子 医学系研究科 准教授

神経回路の修復に関わる新生血管分泌物を発見 あらゆる生命 いとおしく

重症心臓疾患のための移植手術など最先端医療を提供

大阪大学は、1838年に緒方洪庵が開いた適塾が原点。蘭学者だった緒方洪庵は天然痘の治療などに貢献し、日本における近代西洋医学の先駆者の一人といわれ、「人のため、世のため、道のため」という精神は、現在の大阪大学の医学・医療に受け継がれている。 今回は平野俊夫総長と、医学部附属病院に設置されているハートセンターで最先端の医療に携わる、循環器内科の坂田泰史教授、心臓血管外科の戸田宏一准教授が、重症心臓病に対する治療や研究などの取り組み、阪大病院が全国の重症心臓疾患治療の拠点として日々活動する姿、患者さんの命と向き合う熱い思いなどについて語り合った。

肺がん・胸腺腫 幅広く治療・研究 心肺同時移植にも貢献

昨年12月23日、国内で2例目となる心肺同時移植が大阪大学医学部附属病院で行われた。 澤芳樹教授が率いる心臓血管外科と奥村明之進教授が率いる呼吸器外科の胸部外科チームにより、心臓・肺の取り出しと移植手術が成功。 単独臓器の移植とは異なる心肺同時移植の難しさや、手術を成功に導いた要因、そして奥村教授らが取り組む肺がんや胸腺腫、胸腺がん、重症筋無力症などに関する阪大病院の先端治療・研究などについて語ってもらった。

がんを克服するための 新しい選択肢を 切り開く

現在、日本人の死因トップは「がん」。その7割は消化器がんだと言われているが、その治療法は年々進化している。今回は、消化器がんの専門家であり、臨床と研究、教育の3分野で幅広く活動する森正樹教授に、がん治療の最前線について聞いた。

ナノの世界を この目で見たい!

「愛校心の深さには自信があるよ」と笑顔で語る河田聡教授は、祖父から3代続く阪大ファミリー。ナノの世界を光で計測・制御するサイエンスとエンジニアリングの研究を続け、ナノフォトニクスやプラズモニクスなど光科学研究の第一人者。これまでの業績により、2013年の「大阪大学特別教授」に選ばれた。光科学の最先端研究や、大学発ベンチャーなど、阪大一筋の教授に熱い思いを語っていただいた。

再生医療・移植医療などで 世界に貢献

2012年8月、医学部附属病院に未来医療開発部が発足した。中核となる3つのセンターは、先進医療の開発や高度治療を行う一方で、医療の国際化を積極的に進めている。大阪大学がGlobal University「世界適塾」元年と位置づける2014年4月には、新たに最先端医療イノベーションセンター棟がオープンし、未来医療開発部の新しい拠点となる。医療を通して世界に貢献する方向性、将来展望など阪大病院の近未来医療について鼎談を行った。

藤崎泰正 情報科学研究科 教授

現実を抽象化し「制御」理論を組み立て動きをデザインする

輪島裕介 文学研究科 准教授

演歌を中心とした近代日本大衆音楽を研究 出発点はブラジル音楽との出合いにあり

ことばが文化、社会、時代を「伝える」

ことばが「伝える」ものは、喜怒哀楽や情報だけでなく、背後にある文化、社会状況など実にさまざま。言語文化研究科は、このように「伝える」力をもったことばの世界を探究し、人々の暮らしや芸術、文化などにアプローチしている。 今回は、平野俊夫総長が箕面キャンパスにある言語文化研究科を訪ね、「バリ」「大阪」をフィールドとしてユニークな研究を進める2人と語り合った。 ことばの研究を通じて浮かび上がってくる人間の関係性の変化や、地域に根付いた文化の豊穣さについて、さらに多様な背景をもつ人々に「伝える」ことの大切さについて意見を交えた。

制御性T細胞は 何をつたえているのか

大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文教授は、生体内に侵入した細菌などの異物を排除する免疫反応の手綱を引く「制御性T細胞」というリンパ球を発見し、その機能を明らかにした。制御性T細胞の量的・機能的異常が自己免疫病やアレルギーなどの原因となることも証明した。その業績で、2012年に日本学士院賞を受賞。2013年に「大阪大学特別教授」の称号を授与された。免疫疾患の治療・予防だけでなく、さまざまな免疫応答を制御することに新しい道を開く研究の最前線の話を聞いた。

消えないメモリ動作の謎を解明

現在、世界中で高密度の不揮発性メモリ開発をめざした熾烈な競争が繰り広げられている。柳田剛准教授は、その最も有望な素子とされながらも制御が困難だった抵抗変化不揮発性メモリ(ReRAM、メモリスタ)の本質的な動作原理の謎を解明した。これにより、さらに信頼性の高いデバイス設計が可能となり、極微な超低消費電力型の不揮発性メモリ素子を活用した省エネ科学技術・グリーンナノテクノロジーへの波及効果が期待される。

環境浄化の重要性をつたえる

日本には世界トップレベルの環境技術が数多く集積し、人々の暮らしや健康に大きな影響を与える水質浄化や土壌浄化などに関する研究も着々と進められている。しかし環境保全・浄化に関する公共政策や企業戦略の推進には、さまざまなステークホルダー間の合意形成と大規模な予算編成が必要。市民や産業界の正しい理解や世論の後押しが不可欠だ。多様な環境技術の開発に取り組む池道彦教授は、研究のかたわら、国などが主宰する環境関連の委員会の委員を数多く務め、環境浄化の重要性を社会に広く伝え続けている。

今アフリカで 起きていることが、 なぜ世界につたわらないのか

世界中で今もさまざまな紛争が起きているが、それらについてのメディアの取り上げ方は一様ではない。なかでも、コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo)での紛争は、累計500万人が犠牲になっているのに、多くの日本人はそういった現実を知らない。なぜこういうことが起きるのか。情報社会といわれる現代において、ニュースとして伝えられない紛争に強い関心を寄せる国際公共政策研究科(OSIPP)のヴァージル・ホーキンス准教授に話を聞いた。

関口倫紀 経済学研究科 教授

組織が直面する「人的資源」の課題探求 経営研究の底上げ、日本発で図る

梅田純子 接合科学研究所 助教

籾殻とCNTコーティングのトップランナー 文系から転身、理系研究者の道へ

「骨」にかわる素材から太陽光をエネルギーにかえる「触媒開発」まで

マテリアル系の研究は、大阪大学における代表的研究分野の一つ。 中野貴由教授は、材料工学的手法を駆使して人工関節など骨の代替材料を開発するなど、医療分野にも貢献。原点である材料工学研究の進展にも大きく寄与したとして2012年、日本学術振興会賞を受賞した。 森浩亮准教授は、環境調和型エコマテリアルの分野で、太陽光を化学的エネルギーに変換する光触媒開発を初めとする各種触媒技術の最先端研究に取り組み、触媒学会の奨励賞などを受賞している。 今回は、平野俊夫総長が「かえる」「かわる」をキーワードにマテリアル研究の可能性や魅力などについて語り合った。

アンドロイドと ひとの心がすりかわる 瞬間

「ロボット学」と名づけた新しい研究分野を創設し、世界に先駆けて、人と関わるロボットや人間酷似型ロボット(アンドロイド)の研究開発に取り組んでいる石黒浩教授。その卓越した業績や先導的役割は、2007年に英国のコンサルティング会社の「生きている天才100人」調査で日本人最高位の26位に選出されたことからもわかる。また、それらの業績から、今年度創設した「大阪大学特別教授」10名のひとりでもある。人間理解を最終目的に掲げ、認知科学・脳科学・芸術・哲学を融合させた最先端ロボットを研究する経緯と今後について聞いた。

よりよく生きる 全人的な統合医療

生体機能補完医学寄附講座の伊藤壽記教授は、 現在の医療活動にかわる予防医療・補完医療・代替医療を促進している。 最近では補完代替医療[Complementary and Alternative Medicine : CAM]に とどまらず近代西洋医学にCAMを有機的に融合させ全人的にアプローチする、 エビデンスに基づく統合医療[evidence-based Integrative Medicine : eBIM]の 推進と、その基盤作りに向けた研究に力を注いでいる。 現状や将来像を語ってもらった。

金融は、今日の消費と 将来の消費の 交換について考える学問

私たちは日常生活の中で預金をしたり、時には株式を購入したり、住宅ローンを利用するなどの形でお金の貸し借りをしている。だが「金融」「ファイナンス」という言葉には、何か特別な、専門家でなければ近づけない領域といったニュアンスを感じる。佐井りさ講師に、そもそも金融とはなにか、金融研究の最前線について話を聞いた。

「透ける紙」「透ける画像」を開発!

「すける・すきとおる」技術に心惹かれるのは、老若男女を含めて世界共通。 そのような夢とも言える研究に挑んでいるのが、 「産業に生かす科学」をキャッチフレーズとした産業科学研究所の二人の若手研究者。 異分野を融合した独創的な発想により、「何かに隠れているものや人体内部の可視化技術」、太陽電池の基板ともなる「21世紀の透明な紙」の開発に、それぞれ成功した。 今回は平野俊夫総長が産業科学研究所を訪れ、「透ける技術」の面白さや、今後の可能性、出口を見据えた基礎研究の魅力などについて語り合った。

透明なものを可視化する「対話の場」をデザイン

原子力、再生医療などの専門的な科学議論に、市民も参加できるよう「対話の場をデザインする」研究をすすめる八木絵香准教授。その功績で、科学技術政策研究所から2011年の「ナイスステップな研究者」に選定。「目に見えない『透明な』ものに焦点を当てた」コミュニケーションの技法の研究を進めながら、阪大生たちにも「せっかく恵まれた総合大学にいるのだから、異分野の学生たちと議論、対話を深めることで、自身の専門性をより高めてほしい」と指導している。

異分野から発想した結晶技術で、 次世代イノベーションに貢献

森勇介教授は、レーザーに使う無機物から新薬開発に必要なタンパク質まで、多様な分野におよぶ結晶化の研究を進めている。これまでに、半導体の加工・検査などに役立つ紫外レーザー光を発生させる波長変換結晶の開発や、その結晶化技術を転用した高品質なタンパク質の結晶化に成功。現在は、新たな半導体材料として優れた素質を持つガリウムナイトライドの結晶化と、その実用化に取り組んでいる。

からだの中をMRIで透かす

現在、多くの病院にはMRI(磁気共鳴画像化装置)が設置されて、近年では超高磁場MRIによって、分子、細胞レベルから個体レベルに及ぶ豊富な情報を、さまざまな角度から得られるようになった。吹田キャンパス内の免疫学フロンティア研究センター(IFReC)や脳情報通信融合研究センター(CiNet)では現在、最新鋭のMRIが活躍中。からだの中で起きていることを、かつてない精度で「透かして見る」ことができるようになった。MRIのメカニズムや研究の動向など、吉岡芳親特任教授に伺った。

「透明人間」を切り口に テクノロジーと物語の 緊張関係を追いかける

「透明人間」の物語は、古代ギリシャに由来する秩序破壊の物語と、近代化が引き起こした疎外の物語の二つの系譜が確認できる。 世界で語り継がれていくうちに、両者はどう変容していったのか。 英国地域研究、比較文学の専門家である橋本順光准教授が、 「科学技術を先取りする人間の想像力」に焦点を当てて 「透明人間」を読み解いた。

創薬基盤科学研究で「総力結集」

「創薬」とは、新たな薬を作り出し、臨床試験を経て医薬品として社会に流通させること。 日本における主要な成長戦略の一つと考えられ、創薬推進に対する期待が益々高まっている。大阪大学でも創薬の基礎研究が盛んに実施され、日本屈指の研究拠点になりつつある。 それらの研究ポテンシャルをさらに高めるため、部局横断的に創薬研究を推進する「創薬基盤科学研究部門」が総長をトップとする大阪大学未来戦略機構の中に設置された。 今回は、平野俊夫総長が薬学研究科ライブラリーを訪れ、創薬研究に携わる薬学・工学・医学の研究者3人と、「創薬の未来」について熱く語り合った。

まちの将来を「みすえる」

今回の総長の訪問先は工学研究科の加賀有津子教授。専門は建築・都市計画、環境デザイン、空間情報学。市民参加型の都市・地域再生デザインを多く手がけ、自治体の都市設計や地域振興に関する審議会にも多数参加し、積極的な社学連携を実践している。見に見えるようで見えにくい「まちづくり」。まちの将来像をいかに見据えていけばよいのか。

iPS細胞から分化誘導した肝細胞を世界で初めて実用化 信頼性の高い「毒性評価系」の構築をみすえて

今、世界から注目されているiPS細胞は、再生医療だけでなく、「創薬分野」での応用にも期待が高まっている。分子生物学を専門とする水口裕之教授は、創薬プロセスにおける毒性試験で使用される肝臓細胞(以下肝細胞)を、ヒトiPS細胞から分化誘導し、実用化に成功。その業績により第10回産学官連携功労者表彰・厚生労働大臣賞と、第4回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2012」奨励賞を受賞した。

遺伝子という絵の具で 網膜の発生経路を明らかに 「生命の森の中、葉っぱの一枚一枚を描く」

古川貴久教授は、一貫して網膜の発生と機能の研究を続けてきた。 視細胞がいかにして生まれ、分化し、成熟して機能を発揮するのかというメカニズムの主要部分を分子レベルで解明し、今年度の第30回大阪科学賞を受賞した。 緻密な研究に没頭するとともに、「研究者にはロマンを持ってほしい」と若手に熱く語りかける。 また医師としての自覚も持ちながら、病気との関わりを常に模索して原因遺伝子の発見に努めるとともに、全国各地の市民講演で患者たちに「研究、医療は日進月歩しています。希望を失わないでください」と訴える。

先端的な取り組みからコンピュータ社会のこれからをみすえる

今や「当たり前」の存在となったコンピュータ。 大阪大学サーバーメディアセンターでは、スーパーコンピュータ(スパコン)の管理・運営から、バーチャルリアリティ(VR)研究などに力をいれる。 センター長の中野博隆教授と清川清准教授に、スパコンの可能性と、VR研究の最先端研究について話を聞いた。

歯周病から全身の疾患をみすえる

世界で最も蔓延している病気としてギネスブックにも認定されている歯周病。21世紀に入ってその研究が加速すると、脳血管疾患、心血管疾患、がん、骨粗鬆症、慢性関節リウマチなどの原因になっていることが分かってきた。天野敦雄教授は、歯周病菌の検査によって自分の体の状態を把握し、将来の歯周病の進行をみすえ、それが生活習慣病の発病につながらない処置を施すよう指導。その危険性と予防対策を広く呼びかけている。

「木簡」と「庭園」を「よみとく」

今回の先端人のテーマは「よみとく」。よみとくことによって知の領域が広がる、その現場を紹介する。今回の「先端人」は、市大樹准教授と桑木野幸司准教授のお二人。市准教授は日本古代の「木簡」を、桑木野准教授は初期近代イタリアの「庭園」を、主な研究対象としている。現代のフィルターを介さずに、当時の社会と人々の営みにリアルに迫ろうとする研究から、新たな歴史の眺望が開けてくる。

遺伝情報を速く、確実に読み解く ナノテクノロジーの最新技術

21世紀初頭、人類はついにヒトDNAの全遺伝情報の解読に成功した。以来、日米欧を中心とする研究機関、医療系・情報系企業は、より速く確実に、適切な費用での解読技術の実現に向けて激しい競争を展開している。そんな中、産業科学研究所の川合知二特任教授の研究グループは、「もっとも実現可能性の高い」と評されるゲーティングナノポア・シーケンシング技術を使ったDNA、RNAの遺伝情報解析技術の実現に世界で初めて成功した。

ひとの脳波を読み解き ロボットアームが動き出す—脳卒中、ALSなどに実用化の道

長期の運動まひがある人の脳の表面に置いたシート状の電極で計測した脳波を解読し、腕状のロボットなどをリアルタイムで動かすことに、平田雅之特任准教授(脳神経外科)、栁澤琢史助教(脳神経外科)などのグループが成功。体内埋込装置や脳磁図(MEG)で動かせる装置での研究も着実に進んでいる。将来的には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者などの日常生活支援に役立つことが期待される。

光の量子的性質を利用して 解読されない暗号を創る—長距離通信めざし、波長変換技術を完成

井元信之教授が取り組んでいるテーマは「量子情報処理」。この分野では、既存のコンピュータをはるかにしのぐ情報処理能力を持った量子コンピュータの実用化がとりざたされているが、より早い実現が期待されているのが「プライバシー面で絶対に安全な『量子暗号通信』」だ。井元教授らのグループは、それを実用可能にする長距離通信をめざし、量子情報を量子メモリーと通信回線の間で自由にリンクさせるための波長変換技術と量子雑音除去技術を完成させ、世界から注目されている。

すぐにもらえる小さい報酬か 将来にもらえる大きい報酬か—神経経済学で「人間の行動」を読み解く

「すぐに食べられるハンバーガーか、行列のできる店で長時間待ってごちそうを食べるか、あなたはどちらを選びますか」 そんな人間の欲を、経済学・脳科学・心理学などを合体させた「神経経済学」の視点から解析・研究している。実際の人間の経済行動をよりよく説明できるような新しい経済モデルを作ろうとする新しい分野である。

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