StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

新産業やイノベーションに役立つ学際的知識と実践力を

当プログラムの受講生は主に、実社会で活躍中の研究者や技術者。一年間の夜間講義(テレビ会議システムを用いたライブ遠隔授業を含む)と短期実習により、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの現状を理解し、次世代産業やイノベーションに役立つ学際的知識と、分野横断的な視野、実践力を身につけることを目的としている。

「ナノサイエンス・ナノテクノロジーは今や、先端科学技術や産業の共通基盤となる学際的基礎科学技術として、幅広い分野に定着しています。しかし日本の未来を見据えた新たな学問領域・産業領域を生み出すためには、今一度、基礎に立ち返り体系的に学習する場が必要」と、大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センターの藤原康文センター長。

「ナノマテリアル・ナノデバイスデザイン学」「ナノエレクトロニクス・ナノ材料学」「超分子・ナノバイオ学」「ナノ構造・機能計測解析学」「エネルギー・環境ナノ理工学」「ナノ機能化学」「スピントロニクス・デザイン学」の7コースがあり、社会人の学び直しニーズに対応している。

仕事と両立させながら博士号を取得するプログラムも

7つのコースに加えて、所属企業からの推薦を条件に博士号取得を目指せる大学院博士後期課程「社会人ナノ理工学特別コース」も今年度から新設されている。社会人の学び直しと学位取得の2つのプログラムを組み合わせた先進的でユニークな社会人博士人材養成課程で、年齢層、背景の異なる社会人と一般学生との討論、対話を通じたこれまでにないシナジー効果も期待される。

産学連携コンソーシアムが教育の方向性・内容を議論

現在、受講生の約80%が25〜35歳。各コースとも「夜間講義」「土曜集中講座」「短期集中実習(必修)」で構成され、理系学部4年生レベルの知識を基盤に、基礎から応用までを学ぶ。「選択制の土曜集中講座は大学院生との混合クラスです。社会経験を積んだ受講生と最新研究に取り組んでいる大学院生が少人数討論を通じて議論し合うことで、技術を社会に普及させるためのナノテクデザイン力や、新技術の社会的影響をも考察できる総合力を培っていきます。必修の短期集中実習では、サテライト教室で遠隔講義を利用している受講生も来学し、研究室に入って少人数の実習に参加します。大学の先端研究を体感すると共に、他企業の受講生と交流することで人脈づくりにも役立っています」と、伊藤正副センター長。1年間の履修や交流により、受講生には仲間意識が芽生え、OB有志の会なども開催されているという。

当プログラムの大きな特徴は、多くの企業が参画するコンソーシアムによる強力なバックアップ。これまでに50社を超える企業が参加し、産学共創の理念による「産学連携相互人材育成」を実践。参加企業の企画運営委員が当プログラムの方向性や教育内容を議論し調整することで、カリキュラムと社会のニーズとのミスマッチを防いでいる。

高度人材育成によりシンクタンク的存在に

社会人受講生について伊藤副センター長は「なぜこのテーマについて学んでいるのか、そもそもの目的意識が明確なため、学部生や大学院生と集中力のレベルが異なる。異分野で活躍する受講生からの意外な質問に、我々教員がドキッとさせられることもあり、学び合いという側面もある」と笑う。今後の展開として、「人材育成により、新しい科学技術の流れの一端を担うシンクタンク的な存在になりたい。そして企業と共に、長期を展望した新しいテーマを開拓し、修了生が活躍できる場を創り出したい。当プログラムが、ものづくりの共通基盤であるナノ理工学を加速させる駆動力になれば」と夢を語る。

藤原センター長も、「大阪大学の6研究科、5研究所・センターが協力し、100人を超える教員が関わる、ここまで大規模な教育プログラムは他に例がない。社会・企業の声をオープンに聞きながら、大学としてやるべきことを考え、今にフィットした教育を共創していく。これはまさに、次世代の産学連携教育だと思う」と、強い自信をのぞかせた。

VOICE 受講生の声

初心者レベルでも実践まで持ち上げてくれる

住友電気工業株式会社 解析技術研究センター
土井 友博さん
ナノ構造・機能計測解析学コースを平成28年修了(首席)

弊社が製造開発する半導体デバイスなどの分析を担当しています。分析について基礎から勉強したことで、難しい解釈が必要なデータも取りこぼさず、深く考察できるようになりました。弊社で活用が期待されている電子顕微鏡が使える人材になれたことも大きな成果です。

仕事との両立は簡単ではありませんでしたが、一度も休まず受講できて嬉しかったです。楽しかったのは夏の短期集中実習。受講生全員と交流し、幅広い人脈を作れたと思います。

今後さらに経験を積み、世界で最も信頼性の高い半導体製品の開発に貢献したい。当プログラムの受講は弊社内で推奨されており、初心者レベルでも実践まで持ち上げてくれるので、後輩もぜひ受講してほしいですね。


住友電気工業株式会社
1897年創業。大阪市北浜に本社を置く日本最大手の非鉄金属メーカー。電線・ケーブルの製造技術をベースに事業領域を拡大して、現在では、自動車、情報通信、エレクトロニクス、環境エネルギー、産業素材の5つのセグメントで、グローバルに事業を展開。世界トップシェアの製品を多数持ち、世界五大陸40カ国以上に約390社、24万人を超える社員を擁する。


VOICE 企業の声

幅広い分野の知 識・ 技術がバランス良く学べる

パナソニック株式会社先端研究本部
エナジーマテリアルプロジェクト室(兼)材料・デバイス研究室 室長
藤井 映志さん


このプログラムは、最先端の専門技術や、商品開発のバックグラウンドとなる幅広い学術的知識を身につけられるため、弊社の人材育成プログラムのひとつとして積極的に活用させていただいております。

事業状況や技術が激変する時代に、一つの専門分野だけでは、個人も会社も生き残っていけません。このプログラムなら、自身の幅を広げ将来のイノベーションにつながる知識・技術が多分野にわたりバランス良く学べます。弊社から毎年10人前後が受講していますが、自ら希望して受講しているため、受講姿勢も非常に前向きです。

今後、異分野の融合領域も含めた新しい教育プログラムに少しずつ改訂していただければ、企業にとって、さらに魅力が増すと思います。

■パナソニック株式会社
1918年故松下幸之助氏が創業。「A Better Life, A Better World」をブランドスローガンとし、部品から家庭用電子機器、電化製品、FA機器、情報通信機器および住宅関連機器等に至るまでの生産、販売、サービスを行う。グループ会社578社、グループ従業員約27万人を擁する世界的総合エレクトロニクスメーカー。

(本記事の内容は、2017年10月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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