StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

日本語日本文化教育センターは、1954年に大阪外国語大学に設置された留学生別科を出発点に、半世紀以上にわたって日本語・日本文化教育の拠点機関として、日本の留学生受け入れの一翼を担っている。

センターには、現在、日本語・日本文化に関する分野を専攻する国費留学生など、計190人が在籍する。岩井康雄センター長は「日本語と日本文化を学ぶ留学生の多様なテーマに合わせて、きめ細かく指導しています」と話す。

来日当初は 日本語の基礎レベルに達していなくても 周囲の日本人と接するうちに人気者になり 日本語習得にも著しい成果を見せた学生もいます コミュニケーション能力が高い学生は 言語力も伸びます ことばの能力は拙くても 人とつながろうとする意欲が大切です と語る。

また、文部科学省から認定を受けた「日本語・日本文化教育研修共同利用拠点」として、他大学と協力し、日本語連携教育を実施している。日本の伝統文化や地場産業の現場を訪れる「学外実地研修」もその一つで、他大学の留学生も受け入れている。日本酒の製造工程を学ぶ工場見学、丹波焼の作陶体験、大相撲見学など内容も多岐にわたる。

学外実地研修では、春と秋に、他大学の留学生も交えて1泊2日の見学旅行が催され、旅館に宿泊し、日本文化に触れる。「初めて旅館に泊まった」「温泉もよかった」と留学生に好評だ。他大学や出身国が異なる留学生同士の交流の場にもなっている。

2015年春、福井県の東尋坊や永平寺を訪ねた見学旅行には、200人以上が参加した。規模が大きくなると、新たな訪問先の開拓や参加者全員が一堂に会して食事がとれる宴会場のある旅館の確保も課題になる。岩井センター長は「地場産業の見学など小規模の企画も増やしたい。他大学のリソースを有効活用できたら、幅が広がる」と意気込みを語る。

センターの学生は1年間日本に接して吸収した成果を論文やレポートにまとめ、持ち帰り、自国の指導教員にも渡す。センターの役割について、岩井センター長は「留学生を通じ、日本を世界に発信することも目標の一つ」と話す。日本人学生に向けては「同じキャンパスにいるという利点を生かし、留学生に対して構える部分を崩して互いに積極的に交流してほしい」と期待を寄せている。

留学生インタビュー

 日本文化を直接肌で感じ
 将来は日越をつなぐ仕事を

ド・トゥ・チャンさん (ベトナム)

中学生の頃から日本語を勉強しており、日本の歴史と日本人の心に興味があります。東日本大震災では、日本人の譲り合いの心に驚きました。

今は、戦後の日本の経済復興に関心があり、勉強しています。どうすれば母国も日本のように経済発展を遂げられるのか、この留学を通じてしっかりと考えたいです。

プライベートで東京などへも旅行しましたが、関東と関西の考え方やことばの違いに驚きました。例えばエスカレーターは左右どちらに乗ったらいいのか、東京は大阪と逆なので戸惑いましたし、関西弁に慣れているので、タクシー運転手が話すことばは理解できませんでした。今後は、北海道へも旅して、日本の観光サービスについても学びたいです。

学外実地研修では、姫路城を見学し、日本建築から、日本語だけでなく、日本文化を直接肌で感じ学び取ることができたので、貴重な経験でした。

将来は日越友好のために、両国をつなぐ仕事をしたいと思っています。

日本のことをもっと学びたい!
 将来は日本語で小説を書くのが夢

マリナ・パンドルフィノさん (フランス)

高校生のときに、日本語と日本文化に興味があって勉強を始めました。日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字と、いろいろな書き方があっておもしろいと思います。でも漢字や敬語は難しいですね。

今は、日本の政治や国際関係に興味があり、勉強しています。フランスに帰国したら、大学院でさらに深く日本の国際関係を学びたいです。

フランスと日本の文化は全く違います。電車を待つ時、日本人は列を作って並びますが、フランスはバラバラ。すごいと思います。礼儀正しさなど、日本に学ぶことが多いです。

学外実地研修では「備前おさふね刀剣の里」(岡山県)で、日本刀の作り方を実際に見ることができ、とても楽しかったです。他の大学で学ぶフランス人留学生とも話し、授業についての情報交換ができました。

日本語や日本のことをもっと勉強し、将来は、専門の国際関係とは違いますが、日本語で小説を書きたいですね。

(本記事の内容は、2016年3月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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