StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

西尾総長から自主研究のきっかけを尋ねられ、タンパク質の立体構造の仕組みを研究した大谷さんは「学部独自の研究プログラムを履修していましたが、履修期間内に研究が終わらず、このテーマでもう少し自主的に研究してみようと思いました」と振り返る。また、太陽光に注目し光吸収率の高い素材を研究した山川さんは「環境に優しいエネルギーに興味があり、研究を始めました」と話す。

続いて、サイエンス・インカレに参加し得られたことを問われると、山川さんは「違う分野の人たちと交流して意識の高さを実感することができ、一層やる気になりました」。「感染予防の啓発活動と実態把握の実施を行ったのですが、他分野の人たちからいろいろなアドバイスをいただき、新たな課題を発見できました」と中島さん・新貝さん。形状に合わせたボケないプロジェクションマッピングの研究を行った井澤さんは「どうしたらわかりやすく説明できるのかを考えるいい機会になりました」と話し、それぞれの表情には充実感が伺えた。

「同じようなことを研究しても意味がない。自分なりの分析で結果を出すオリジナリティーを意識しました」と自主研究で心がけたことを話す山川さん。大谷さんも「実験結果が失敗かなと思った時にも、先生や先輩に見てもらい、違った視点でアドバイスをもらうようにしました」

自主研究には、「没頭すると、暗い部屋で、スクリーンに映し出される映像をずっと1人で眺めていることが多いです」(井澤さん)と語るように、忍耐強さも必要だ。

一方、研究の合間には、「子供を対象にした化学実験教室の補助のアルバイトをしていて、とても楽しく勉強にもなります」と大谷さん。新貝さんは「ボランティアサークルで、週に1回は養護施設の子供たちと接しています」。それぞれがオフタイムでも、自分の目標に向かって努力を続けている。

今後について、井澤さんは「研究成果を商品開発にまでつなげたい」と意気込む。

小林理事・副学長は「研究の楽しさを見つけることはすごく大事。これをきっかけにますます研究を深めてほしい」と激励。井澤さんは「分かりやすい資料作りと説明を心がけて」、大谷さんは「研究が何の役に立つのかを分かりやすく伝えるのが大事」とこれから自主研究に取り組む後輩にエールを送った。


■サイエンス・インカレ

文部科学省主催の研究発表会。理系学生に自主研究を発表する場を提供することで課題設定・課題探究・プレゼンテーション能力を備えた創造性豊かな人材を育成することを目的に2011年から開催されている。サイエンス・インカレの元となったのは、大阪大学が主催した「リサーチフェスタ2010」。

受賞者及び研究テーマ (※学年は受賞当時)

【サイエン ス・ インカレ奨励表彰】

工学部応用理工学科4年 山川若菜さん
「冷却エネルギー不要の熱音響冷却システムを目指した電磁波吸収材の作製」

理学部化学科4年 野本哲也さん
「微小量試料を用いた熱伝導度測定手法の開発」

工学部地球総合工学科4年 藤木 昂さん
「高密度常時微動計測に基づく2014年長野県北部の地震における白馬村神城地区での地震動の広域評価」

【各協力企業・団体賞】

ファーウェイ 賞〉 (華為技術日本株式会社)
基礎工学部システム科学科4年 井澤英俊さん
「適応的フォーカススイープ投影によるプロジェクタの被写界深度の拡張」

ア・ リキード 賞〉 日本エア・リキード株式会社 /株式会社エ ア・ リキー ド・ ラボラトリーズ)
理学部化学科3年 大谷結子さん
「タンパク質の翻訳後修飾を考慮した私なりのフォールディングドグマ」

【サイエンス・インカレ・アンバサダー賞】

医学部保健学科2年 中島早紀さん 新貝桃佳さん
「一般住民を対象とした風邪、インフルエンザ感染予防の実態把握と手洗い啓発活動の効果についてのアクションリサーチ」

(本記事の内容は、2016年6月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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