StoryZ

阪大生にも、研究者にも、卒業生にも誰しも必ずある“物語”
その一小節があつまると大阪大学という壮大なドキュメンタリーを生み出します。
それぞれのStoryをお楽しみください。

日本の伝統文化を体感

「えべっさん 大阪では商売人にとって年の始めの福を招く、最も大切な伝統行事の一つ。「3日間、1日6時間、袴を着て立ったまま、訪れる人達におじぎをして、笹を渡して、鈴を振っての繰り返しで…とまどいました」。正直な感想を述べつつも、「えびす祭は神道の儀式。招福娘になるということは、祭りを外側から眺めるのではなく、自分自身が祭りの一部になることです。今回は日本の祭りがどういうものなのか、内側から体験することができました」

違う文化のなかで育った目には、日本の伝統、儀礼、習俗は「すべてが新鮮で驚き」。だから知りたい。高島幸次大阪大学招へい教授の後押しもあって、福娘に応募した。「3日間のお務めが終わった後、観光客がいなくなった境内で最後のセレモニーがありました。厳粛な雰囲気のなかに響く銅鑼の音が、心に残っています」と感動を語る。

日本にあこがれた子ども時代

フランスではコンピュータ科学を専攻するチリアさん。だが、阪大では社会学、ジェンダー論のほか、日本社会や伝統、文化などについて幅広く学んでいる。初めての留学先を日本に決めたのは、「日本の映画や漫画などが好きで、親しみを持っていました。日本に来ることは、子どもの頃からの夢でした」。まちかね祭で見たコスプレ、パフォーマンスを楽しむ阪大生の姿は、幼い頃から抱いてきた日本のイメージそのものだったという。

交換留学生の友人らとともに日本各地を旅することが好きだという。特に京都がお気に入りで、「着物の人がいたり、(お寺など)日本の伝統文化に触れられるのが楽しくて」

招福娘を務めている間に、自分で着物が着られるようになった。「日本滞在の記念に、浴衣を買って帰ります」と笑う。

異なる文化に触れた刺激

阪大の留学生として過ごした1年間は、その後の人生にどんな影響を及ぼすだろうか。

「将来はプログラマーになりたいので、仕事に直接影響はしないかも。でも日本文化に触れ、さまざまな人と知り合ったことで、ものの見方が大きく広がりました。自分たちが当たり前と思ってきたものと異なる文化に接したときに、別の視点から考えてみるための素地をこの留学が与えてくれたと思います」

●Jade Thiriat(ジェード・チリア)

2015年9月から1年間、大阪大学短期留学プログラム(OUSSEP)の交換留学生として学んでいる。出身はフランス、グルノーブル大学(Consortium of Universities in Grenoble)。大阪天満宮の「招福娘」20名の一人に、約420名の応募者の中から選ばれた。

(本記事の内容は、2016年3月大阪大学NewsLetterに掲載されたものです)

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