阪大坂の自転車通行についての見解

阪大坂はそもそも従前より付近住民の通常の生活道路として利用されており、また建築基準法上も車両等の通行止めが認められない道路と指定されています。しかし、阪大坂を新たに模様換えしたのを機に、付近住民のご理解を得て、平日の午前7時より午後7時の間は自動車の通行を禁止する措置をとりました。

ところが、阪大坂が通行しやすいように整備されたことを良いことに、阪大坂を猛スピードで下ってくる自転車が見受けられるようになりました。そのため通行人にとって危険な状態が日常的に起こり、ついには深刻な人身事故が発生するにいたりました。本ワーキングと本委員会では、そうした状況を踏まえ、適切な規制方法について引き続き検討してきました。例えば、強制的に速度を落とさせるようにバリケードを設置することや歩行者と自転車走路の区分を行うことなどを考えましたが、しかし、そのような措置によってかえって事故を引き起こす可能性も危惧され、実現にはいたりませんでした。

この間、パンフレットの配布や看板等の設置によって阪大坂における通行規制の周知徹底をはかり、ルールの遵守をお願いしてきました。しかし、ルール違反者が後を絶たない状態が続きました。そのため、ご案内のように平成19年10月から阪大坂に警備員を配置し、阪大坂を自転車で通行するに際しては自転車を手押しするように指導を行うことにしました。約2ヶ月後、自転車による危険な通行も見られなくなったので、通行ルールの徹底がはかられたものとして、警備員を配置することをやめました。しかし、しばらくすると導入以前の状態に戻ってしまいました。

本委員会としては、豊中地区部局長会議に対し、今後豊中地区として、地区内の駐輪場問題を含め、阪大坂の規制に関しどのような対策をとるかにつき改めて検討していただくよう依頼いたしました。それを受けて、豊中地区部局長会議では、諸般の事情を考慮し、平成20年1月21日に阪大坂の自転車通行禁止の規制を行うことを決定されました。さらに、本ワーキングで具体的な規制方法につき検討のうえ、本委員会において当該通行規制を行うことを了承し、平成20年4月から実施されるに至りました。

なお、通行規制の実施に際しては、豊中地区の各部局は、各部局において新たな規制の周知徹底をはかるとともに、規制実施に伴うトラブルや要望・苦情等に対しては、まず最初は関係部局が速やかに対応し、しかるべき説明等を行うこと、ただし、専門技術的な問題や全学的な対応が必要な要望などが出てきた場合には、本ワーキングないし本委員会で対応することが確認されております。

どのような規制も関係者全員から支持されるものはないでしょう。しかし、学生教職員の安全を確保することは大学当局としては、最も重要な責務の一つです。そのために一部の者に多少の不便を強いることがあったとしても、それは物事の衡量からすれば、社会的に認められることであり、むしろ求められている規制であるとさえ考えます。阪大坂を自転車で通行できないとしても、坂下の駐輪場に自転車を置いて阪大坂を歩くことがそれほど不便なことでしょうか。大半の学生教職員は徒歩で通学通勤をしています。そして、今般の規制については、極めて多くの学生教職員から歓迎され、さらに厳しい規制を求める声さえも届いています。

互いの利害を一方的に主張するのではなく、互いの利害を妥当なところで調整しつつ、安全で快適なキャンパスライフをともに過ごすことこそが、大阪大学で学び生活する者の知恵ではないでしょうか。そのことを、重ねてご理解いただきたいと思います。

平成20年11月

大阪大学施設マネジメント委員会及び構内の交通安全対策検討ワーキング

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