(選者は前日に吟行、投句されました)

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kukaihousyouroku
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アンカー

 芭蕉葉の風と睦みつ争ひつ
 野球し得る平和しみじみ原爆忌
 門火焚く我が家流てふ作法もて
◎まつ白な一本の道原爆忌
 原爆忌折り目正しき千羽鶴
 病葉の散り行く先に石仏
 道問うてトマトを一つもらひけり
 逆縁も混ざりて今日の霊迎
◎故郷に食む本当のトマトかな
 プランターの小さきトマト愛ほしく
 反省も祈りも空し原爆忌
 プランターに熟れごろとなるプチトマト
 平和へのいしずゑなりし原爆忌
 病窓に落ちし病葉よぎりゆく
 迎火の切なくも早や燃え尽きぬ
◎病葉に混じりて青き葉の落ちぬ
◎ピカドンつて何と問はるる原爆忌
 老若の県人集ひ原爆忌
 芭蕉林くぐりし風の青きかな
◎蛇口上向けて水呑む原爆忌
 病葉の音なく落つる老樹かな
 御宸翰やも陵の落し文
◎トマト赤しかつて健康優良児
◎一皿のなにかさみしきときトマト
 畑よりトマトを放り食へと言う
 迎火やこころに点るもののまた
 会ふことの辛き人あり霊迎

眞知子
瑛三
輝子
幹三
言成
義雄
幹三
浩風
暁子
健馬
眞知子
浩風
あや
洛艸

幹三
浩風
洛艸
暁子
浩風
瑛三
香月
眞知子
あや
幹三
浩一郎
輝子

林 直入 選

第498回 平成23年8月8(月)

兼題  トマト・原爆忌(直入)迎火・病葉(あや)
席題  卓上に 芭蕉葉

 湧水の笊に真赤なトマトかな
◎芭蕉葉の風と睦みつ争ひつ
 トマト食ぶ怒りかくさぬ少年と
◎急逝に迎火点す我一人
 耳にあて貝殻にきく夏の詩
 まつ白な一本の道原爆忌
 迎火を祖父に習ひし侭に焚く
 原爆忌空しく死にゆく牛数多
 病葉の散りゆく先に石仏
◎迎火に津波の松を焚きし浜
 道問うてトマトを一つ貰ひけり
 秋暑し看取つづける人の声
 人類の汚点は消えず原爆忌
 故郷に食む本当のトマトかな
 迎火の小さきをひとつ胸の奥
 迎火を焚けぬ住まひに夫を待つ
 原発事故第二原爆忌と言はむ
 原爆忌安全神話崩れたり
◎背の高き父の屈みて門火焚く
◎原爆忌あの日も空は青かった
 町中の屋根の音する夕立かな
 みちのくの迎火かなし新仏
 原爆忌立ち尽くしたり無言館
 青臭きトマト齧りし防空壕
 疎開の子記憶に甘きトマトかな
 もぎ立てのトマトの汁の温かく
 泣き皺のまた一つ増え霊迎
◎原爆忌小さき寺にも鐘の音
 放射能深くしみ入る原爆忌
 過ちを繰り返してや原爆忌
 芭蕉葉の飛び立つ心秘めてをり

洛艸
真知子
輝子
健馬
香月
幹三
直入
真知子
義雄
敏夫
幹三
京子
言成
暁子
真知子
京子
直入
言成
幹三

幹三
瑛三
和江
京子
瑛三

浩風
輝子
健馬
暁子
暁子

長山あや 選

 迎火に四五本摺りし燐寸の香
 トマト食ぶ甘酸嘗めて来し齢
 病葉の風なき風にさへ零れ
 一皿のなにかさみしきときトマト
 迎火のふと揺るるとき合掌す
 病葉のごとわが生を終わりたき

直入


あや

 

選者吟

◎家計簿にかなかな鳴くと記しけり
 蛇穴に入る頃なれや旅支度
◎宵闇や誘ふやうに屋台の灯
◎幾度も叩かれてゐる西瓜かな
 天平の甍よ萩よ雨の降る
 蛇穴に入るをためらふ日和かな
 蛇穴に入りて里山静もれる
 衣被さへ母の味妻の味
 宵闇や待つも待たすも気がせいて
◎門入れば萩の大波迫り来ぬ
 短き尾ひと振り蛇の穴に入る
 括られし萩高きより花こぼす
 萩の寺箒目の上に散り敷きぬ
 自づから風の道あり萩繚乱
 萩刈つて耳門明るくなりにけり
 生の酒と赤穂の塩と衣被
 早々と蛇穴に入る地震の跡
 山萩の小さし咲きてもこぼれても
 大半は隣家に向きし乱れ萩
 来年を期することなく穴惑ひ
 宵闇や根岸の昔偲びをり
◎湯気あがるままに供へし衣被
 萩揺るる風の行方を追ふごとく
 谷川の水音ばかり葛の花
 風やみし後もこぼるる萩の花
 括ること叶はぬほどの乱れ萩
 親しさの木戸より訪ひし萩の風
 蛇穴に入りてまた出る日和かな

幹三
浩風
洛艸
幹三
輝子
浩風
洛艸
言成
眞知子
暁子
敏夫
眞知子
敏夫
香月
浩風
幹三
元彦
輝子
敏夫
言成
嵐耕
洛艸
暁子
道子
幹三
洛艸
浩風
箕川

林 直入 選

第499回 平成23年9月12(月)

兼題  衣被・宵闇(直入) 蛇穴に入る・萩(あや)
席題  卓上に 枝豆

 献箏の華やぐ風にこぼす萩
 秋の蛇岩をぬらしてかくれけり
 括られていつしか萩の盛り過ぎ
 幾度も叩かれてゐる西瓜かな
 山萩の崖の上よりこぼれ来ぬ
 間伐を終へし北山秋の日矢
 継ぎはぎの歳時記いとし夜半の秋
 うとまれてうたれて蛇の穴に入る
 衣被にも母の味妻の味
 人の軒借りたちばなし鰯雲
 川音に萩咲きそめし貴船かな
 宵闇や佛の灯りあるばかり
 丈伸びて迷路めきたる萩の苑
 括られて萩高きより花こぼす
 嫁が来て饗す秋茄子衣被
 素逝忌や父英訳の「砲車」讀む
 自づから風の道あり萩繚乱
◎かなかなや蕪村遺愛の硯箱
 萩刈つて耳門明るくなりにけり
 そこだけにありしと見ゆる萩の風
◎生の酒と赤穂の塩と衣被
 孕む鯉寄り添ふ鯉の水の秋
◎門前の斑入りすゝきを起しけり
◎山萩の小さし咲きてもこぼれても
 恙なき一日の夕餉衣被
◎衣被かすかに残す土の味
 宵闇や根岸の昔偲びをり
 子規の忌や溢るるほどに種を採る
 神の塚残し白蛇穴に入る
◎湯気あがるままに供へし衣被
 路地奥に萩のこぼるる閑居かな
◎宵闇に阿蘇の五岳の黙深し
 弁財天祀る島へと秋の蛇
 宵闇や呑みに行きたくなる時間
 白萩を分けて石碑の字を読めり
 萩揺るる風の行方を追ふごとく
 谷川は水音ばかり葛の花
 萩叢に石けりの石見失ふ
 風やみし後もこぼるる萩の花
 まろき葉にまろき露置く萩の園
 柔肌の白きを隠す衣被
 火の国の夕日に染まる芒原

嵐耕
ゆたか
嵐耕
幹三
敏夫
京子
義雄
輝子
言成
道子
京子
ゆたか
洛艸
眞知子

箕川
香月
京子
浩風
洛艸
幹三
京子
箕川
輝子
京子

嵐耕
和江
言成
洛艸
瑛三
太美子
香月
直入
幹三
暁子
道子
輝子
幹三
箕川

太美子

長山あや 選

 衣被あつさり衣を脱ぎにけり
 
宵闇や呑みに行きたくなる時間
 宵闇の温泉の町歩く下駄の音
 宵闇や思ひ鎮めし山河あり
 
思ひ出のするりとうまき衣被
 目つむれば月さし込める胸の底

直入


あや

 

選者吟

 豊年や歌ふ翁に前歯なく
 露天湯に味はふ空気峡紅葉
◎牧の風ひきしまり来て馬肥ゆる
 はぢらいし乙女のごとく薄紅葉
 馬肥ゆる言ひ訳しつつもう一膳
 みざくろの豊か朱色のきらめきぬ
 高からぬ大和三山豊の秋
 無位無冠旅こそよけれ鰯雲
◎せせらぎの川となりゆく稲穂波
 絶景と絶句紅葉の嵐山
 牧駆ける力強さよ馬肥ゆる
 苔纏ひ相寄る神を訪ふ紅葉
 高原のはるけし牧に馬肥ゆる
 長江の巾広がりて豊の秋
 調教の黒毛一頭馬肥ゆる
 針千本のますげんまん夕紅葉
 林檎落つ発明家の訃ありにけり
◎風立ちて夕日に炎立つ紅葉
 紅葉湖に富士逆さ富士泰然と
 老樹なほいのちの限り紅葉せり
 人育て句を育て来し古酒新酒
 天守より望む豊年伊賀上野
 寂しさは言はず紅葉の色を愛づ
 馬肥ゆる針の動きに眉ひそめ
 血汐てふ紅葉を仰ぐ大和路に
◎有線の正午の憩ひ豊の秋
 豊の秋田圃に子らの戯れて
 行けど行けど加賀どこまでも豊の秋
 むらさきの美しき花籠秋灯下
 薄紅葉してベランダの夜明けかな
 秋の日にぱつと散りたる粉薬
 見はるかす野に点々と馬肥ゆる
◎豊年の香に一村の浮みゐる
 豊年や古城址の水豊かなり
 紅葉狩ゴルフボールを友と追ひ
 名も知らぬ草紅葉にも生死あり
 豊年や野路ゆく人に僧もゐし
 商談はとんとん拍子馬肥ゆる
 薄紅葉エントランスに華やぎを
 誇りたく祝ぎたきものよ豊年を
◎バス停を探してをれば威銃
 序曲いま始まるごとく薄紅葉
 豊年の田の風ずしり重きかな
 草原の起伏のはてや馬肥ゆる
 秋晴にオリーブ実る句会場
 馬肥ゆる信濃はるばる旅心
仰ぎ見てうつむき見ても紅葉かな
 三世代願ふ団地の大紅葉
◎壷を溢る秋草に祝ぐ句の縁
 熱き恋の夢見る紅葉訪ひし夜は
 この天を力の限り鳥渡る
 豊の秋跳びて集まる雀かな
 豊年や一村青き空の下
 五百回はおろそかならず菊に祝ぐ
◎重ね来し会に今日照る紅葉かな
 豊の秋天守閣には金の鴟尾
 黄昏を下りゆく谷の紅葉かな
 夕日あび鶏頭の赤燃え立ちぬ
 山籠り三日で里の紅葉づれる
 硬き音鈍き音して木の実落つ
 日々仰ぐ背山は雑木紅葉かな
 この河はわれらが故郷秋の空
 豊年の空に星々ぎつしりと
 山肌にほつと一灯初紅葉
 遺志つぎて子の守る牧や馬肥ゆる
 風渡る明るき田畑豊の秋
 みちのくに今あれとこそ豊の秋
 豊年や童の巨きランドセル
 ゴンドラの下に開けし谷紅葉
 紅葉まで後一息の桜かな
 馬肥ゆるたつぷり肥後の日差し浴び
 てらてらと毛並つやつや馬肥ゆる
 くすみたる仏に紅葉明りかな
 わが道を往く蟷螂の日和かな
 夕映えに紅を重ねてはぜ紅葉
 初紅葉して一景の調へり
◎草を食み海を眺めて馬肥ゆる
◎夕まぐれ白彼岸花宙に浮く
 小鳥来るホテルに新たなる出会ひ
 三代の田圃に集ふ豊の秋

幹三
言成
浩一郎
暁子
健馬
敏夫
香月
義雄
和江
言成
太美子

嵐耕
箕川
元彦
浩風
幹三
あや
瑛三
ゆたか
あや
言成
眞知子
健馬
箕川
浩風

瑛三
太美子
京子
幹三
言成
あや
ゆたか
元彦

ゆたか
洛艸
太美子

幹三
浩一郎
あや
敏夫
太美子

茉衣
敏夫
あや
暁子
浩一郎
幹三

あや
浩一郎
輝子
道子
眞知子

香月
道子
あや
暁子

瑛三
嵐耕
浩一郎
箕川
洛艸
元彦

浩風
ゆたか
瑛三
輝子
香月
ゆたか
箕川
太美子

稲畑廣太郎先生 選

第500回〈第500回記念句会〉平成23年10月8(土)

句会場 リーガロイヤルホテル大阪 レストラン・ベラコスタ

 次々に刈られゆく田や豊の秋
 牧の風ひきしまり来て馬肥ゆる
 馬肥ゆる風もまぐさも日の匂
 秋麗ら浪高生らと大句会
 大津波あれど牧には馬肥ゆる
 火山(よな降れる牧駆けりつつ馬肥ゆる
 洛東の秋空板木響かせて
 山羊つなぐ綱の長くて草紅葉
 岩に敷き淵に漂ふ紅葉かな
 豊作をゆつたり言祝ぐキーツかな
 曲屋に慈しまれし馬肥ゆる
 調教の黒毛一頭馬肥ゆる
◎出来秋を車窓に嵌めて賀へ急ぐ
◎磴行けば紅葉の海に小さき寺
 半農にしては上々豊の秋
 豊年や老農山車の試し曳き
 老樹なほいのちの限り紅葉せり
 祝宴や紅葉の色のワイン酌む
 みちのくの桜紅葉のいかにとぞ
 馬肥ゆる大地未来へ伸びゆけり
 血汐てふ紅葉を仰ぐ大和路に
◎行けど行けど加賀どこまでも豊の秋
 東北に馬肥ゆる日の近からんを
 秋の日にぱつと散りたる粉薬
 蒼天へ向けていななき馬肥ゆる
◎豊年や千枚の田に千の彩
 津波後の明日は初競り鰯雲
 点々と雫のやうに茱萸あかし
 バス停を探してをれば威銃
 道しるべ被ひつくして草もみぢ
 キリギリス枕頭に来て朝も居る
 仰ぎ見てうつむき見ても紅葉かな
 興亡を秘めて埴輪や草錦
◎この天を力の限り鳥渡る
 庭園の静寂を切る松手入
 豊年や一村青き空の下
 重ね来し会に今日照る紅葉かな
 黄昏を下りゆく谷の紅葉かな
 馬追ひの澄み渡る声芭蕉庵
 夕日あび鶏頭の赤燃え立ちぬ
◎硬き音鈍き音して木の実落つ
 豊年の空に星々ぎつしりと
◎豊年を射貫く新幹線鉄路
 苦も楽も旨さ増したる菊膾
 豊年の太鼓団地を包みゆく
 師を迎ふ緊張のあり秋灯下
 くすみたる仏に紅葉明りかな
 就中銀杏黄葉の黄をつくす
 隠し湯へ紅葉明かりの岩梯子

眞知子
浩一郎
輝子
和江
箕川
浩一郎
京子
幹三
箕川
茉衣
香月
元彦
廣太郎
輝子
太美子
浩風
ゆたか
暁子
浩一郎
廣太郎
箕川
瑛三
茉衣
幹三
洛艸
和江
元彦
道子
幹三
輝子
箕川
茉衣
和江
浩一郎
京子

浩一郎
道子
京子
眞知子
香月
暁子
廣太郎
和江
敏夫
太美子
ゆたか
浩風
義雄

長山あや 選

 野の色の卓に華やぎ藤袴
 出来秋を車窓に嵌めて賀へ急ぐ
 豊年を射貫く新幹線鉄路
 重ね来し会に今日照る紅葉かな
 牧の風ひきしまり来て馬肥ゆる
 この天を力の限り鳥渡る
 風立ちて夕日に炎立つ紅葉
 豊年の香に一村の浮みゐる
 壷を溢る秋草に祝ぐ句の縁

廣太


浩一


あや

 

選者吟

アンカー

アンカー

アンカー

 剣豪も母を恋ふるや柿たわわ
 露の世の梲残りて人住まず
 水害の跡も見せざる秋桜
 老桜の幹覆ひたる蔦紅葉
◎宿場町石蕗ひつそりと雨に咲く
 六地蔵の頭巾に垂れる秋の雨
 家々の洗ひ場今も秋の川
 城跡の谷より霧の湧き上る
 秋の味揃ふ旅籠の昼餉かな
 朽ちてゆく土蔵に咲ける藤袴
 秋水の小流れひびく宿場町
 川端に江戸の残りて柳散る
◎廃れたる酒蔵覆ふ蔦紅葉
 ゴルフ場に人影のなく四季桜
 たわわなる柿を又見てバスの旅
◎秋霖や旧道に立つ古ポスト 
 本陣のあと秋水の音の中
 刑場跡六地蔵笑み時雨けり
 赤々と猪と書きたる肉屋かな
 冬桜旧家の庭を明るうす
 昼の虫鳴きては笑まふ六地蔵
◎柿たわわ山懐の醤油蔵
 柿落葉無縁仏に散りかかり
 大声で十月桜教はりぬ
 播州の奥へ奥へと柿の秋
◎川も人もおだやかな街秋日和
 端然と家並うつす秋の川
◎山茶花と椿の咲ける刑場跡
 谷よりの霧這ひ上がる城址かな
◎柿の木の一本ありて無人駅
 六地蔵お耳傾く昼の虫
 血闘の昔のありて昼の虫
 色変へぬ松の残れる陣屋跡


太美子
言成
言成
太美子

暁子
幹三
言成
輝子
道子
太美子

和江
鮎太
幹三
道子
和江
幹三
言成
輝子

敏夫
幹三
太美子
眞知子
道子
暁子
輝子
幹三
暁子
輝子
鮎太

林 直入 後選

第501回〈第500回記念旅吟〉平成23年10月30(日)

吟行地  兵庫県平福(宿場町)西はりま天文台公園
句会場  西はりま天文台スタディールーム

◎露けしや梲残りて人住まず
 秋霖に六地蔵今も涙する
 新藁の梁に積まるる小屋静か
 この辺りわが父祖の地ぞ霧深し
 宿場町石蕗ひつそりと雨に咲く
 家々の洗ひ場残る秋の川
 そちこちに柿たわわなる宿場町
 冷まじや孤高の剣豪この地より
 城跡の谷より霧の湧き出づる
 仄暗き三和土の隅に竈馬跳ぶ
 人影のなき山裾に柿たわわ
 見上ぐれば霧に隠れし利神城
 秋水の小流れひびく宿場町
 館長の大らかに説く寒き部屋
◎生も死もある星々や秋夜空
 逢ひに来し星には逢へず秋の旅
 武蔵恋ふ母や十月桜咲く
◎朴落葉踏みて無限の星思ふ
 本陣の昔ありけり秋の水
 蔵写す佐用川の水澄みゆけり
 刑場に六地蔵笑む村時雨
 河内屋のおかみ神楽のおかめ顔
 柿たわわ山懐の醤油蔵
 秋風と巡るうだつのあがる町
 剣豪の決闘の碑や秋の風
 播州の奥へと柿の秋いくつ
◎端然と家並うつす秋の川
 谷筋を霧這ひ上がる城址まで
◎時雨初む宿場に辿る昔かな
 平福や山高からず水澄める
 剣豪の決闘の地に秋惜しむ
 六地蔵耳傾ける昼の虫
 鵙鳴くや武蔵木刀振り降す
 秋深し三年醤油旅苞に
 竹の春倒れし竹はそのままに

太美子
眞知子
敏夫
箕川
太美子
暁子
元彦

幹三
太美子
眞知子
元彦
道子
和江
眞知子
暁子
敏夫
敏夫
道子
敏夫
和江
箕川

暁子
鮎太
太美子
道子
輝子
言成

元彦
暁子
幹三
輝子
元彦

長山あや 選

 鳶鳴いて佐用の山霧下りて来る
 身にしむやなゆたの宇宙に包まるる
 星を語る大きな数字爽やかに

あや

 

選者吟

アンカー

 コスモスの丘にそびゆる天文台
 靄の中に紅葉かつ散る朝かな
◎熊よけの鈴も用意の天文台
◎雲海に飛び石の如山残し
 天文台大秋晴に恵まれて
 漆黒の闇に迫れる霧の海
 ありなしの風に菩提子小さく揺れ
◎雲海の底より朝の時報湧く
 雲海のうねり山山呑み込めり
 朝日受く天文台の秋の草
 街道に江戸のおもかげ女郎花
 とりわけてどうだんつつぢ紅きはむ
 口々に秋鯖をほむ夕餉かな
 霧晴れて白亜の天文台光る
 空白みはじめし時の流れ星
◎一筋の朝日に小鳥鳴き初むる
◎川霧に消え残る星見失ふ
 住職に頼みし案内秋桜
 霧の中鴉や声のすきとほる
◎霧の中シリウスひとつ消え残る
◎秋雨の刑場跡の六地蔵
 過ぎし日を語りて山の夜長かな
◎雲海の風にほどけて地に還る
 老若の星を流せる天の川
 雲海の雲の遊びの限りなく
 人工衛星あれよあれよと星月夜
 コスモスの朝日に映ゆる天文台
 押し寄せし霧青空に溶けゆきぬ

暁子
鮎太
眞知子
太美子
箕川
暁子
輝子
敏夫
幹三
敏夫
鮎太
箕川
太美子
暁子
幹三
敏夫

幹三
あや
輝子
鮎太
暁子
あや

箕川
幹三
元彦
暁子

林 直入 後選

第502回〈第500回記念旅吟〉平成23年10月31(月)

吟行地  兵庫県平福(宿場町)西はりま天文台公園
句会場  西はりま天文台公園食堂 カノープス

 川霧の雲海に浮く天文台
 田の隅に稲架の名残のありにけり
◎露のみな輝き初むる日の出かな
 コスモスの丘に天文台そびゆ
 沸き上りまた流れゆき霧の海
 秋灯太古の闇を分け入つて
 雲海の彼方秋の日昇り来る
 平福の山島となる霧の海
 紺碧の空を透かせて栃黄葉
 朝寒や今雲海に日の昇る
 漆黒の闇に迫れる霧の海
 たたなずく山波望むここも霧
 漆黒の闇に目覚めし十月尽
 ありなしの風に菩提子小さく揺れ
 雲海のうねりて山を飲み込めり
◎雲海の底より朝の時報湧く
 朝まだき踏む枯芝の柔らかく
 星観望阻むも天意秋の雨
◎雲海を押し上げアポロンの馬車出づる
 寒林のむこうに祖母の里ありし
 冷まじや城跡うかぶ雲海に
◎霧晴れて白亜の天文台光る
 木の実落つ我が秋思などこれくらひ
 空白みはじめし時の流れ星
 雲海やいざ漕ぎ出でむ利神城
 一筋の朝日に小鳥鳴き初むる
 朝まだき空一杯に冬の星
 秋麗や大雲海に流れあり
 天文台なゆたに添ひし樺黄葉
 霧の中シリウスひとつ消え残る
◎宇宙まで広がる我が世秋の空
 国生みのごとき雲海秋の山
 一時の霧に包まる別れかな
 橡大樹葉を落としつつ紅葉づれる
 過ぎし日を語りて山の夜長かな
 朝もやに木の葉且つ散る欅かな
 忘れゐしまことの闇や秋惜しむ
 朝日影枯葉震はす白樺
◎虫の音か鳥か天地つぶやける
 霧の海城址残して山包む
◎秋晴るる一夜の雨のいと惜しき
 醤油屋は霧に沈みて時報鳴る
 押し寄せる霧青空に溶けゆきぬ

言成
鮎太
眞知子
暁子
太美子
和江
暁子
元彦
太美子
輝子
暁子
眞知子
言成
輝子
幹三
敏夫



和江
輝子
暁子
眞知子
幹三

敏夫
言成
鮎太
敏夫
輝子
言成
暁子
太美子
眞知子
暁子
和江
太美子
輝子


和江
敏夫
暁子

長山あや 選

 初霜の芝生のきらを踏み登る
 なゆたの星閉ざす闇より虫の声
 雲海の風にほどけて地に還る

あや

 

選者吟

アンカー

 来し方の任地巡りや帰り花
 神の留守守りし祢宜の大欠伸
 余生にも人恋ふ時や帰り花
 帰り花人の記憶を巻き戻す
 出雲へも向きて拍手留守詣
 住職の自転車軽き小春かな
◎これくらいならと三年日記買ふ
 小春日や最晩年に得し自由
 花石蕗のかすかに揺れて風さがす
 時雨るるや珈琲店かタクシーか
 お銚子を二本酌む間の時雨かな
 実のつかぬ林檎に小さき帰り花
 神宮の神馬嘶く神の留守
◎小春日の誘ふあてもなき散歩
 縁談の運びよろしき神の留守
 老どちの世間話も小春かな
 片時雨またも取り込む竿の物
 小春日の背中が笑ふかごめ唄
 小春日や傘寿を(つひのクラス会
 砥峰の芒波打ち吾を迎ふ
 時雨るるやポケツトにある葛根湯
 山おりて小春の里に出合ひけり
 神留守の宮高らかに鈴の音
 時雨とは彼の世の雨のごと閑か
 さねかづら実をぶらさげて訪ね来る
◎気後れてひそかなさまに帰り花
 神の留守吾は異教の神に会ひ
◎帰り花となりて過ぎゆく刻を止め
 くろがねの把手冷たき箪笥かな
 時雨傘持ち寺廻り京一と日
◎百色のパステルひろげ庭小春
 時雨つつ時雨つつ山色を替へ
 小春日や忘れられたるやうに居る
 あやとりの一糸乱れず縁小春
 何もなき日と思ひきや帰り花
 枝に吊る寒暖計や狩の宿
 小春日の庭飴色に暮れ行きぬ
◎帰り咲く一枝の淋し空碧く
 揺り椅子に玻璃戸ごしなる小春かな
 立ち話つい長くなる小六月
◎あえかなる息吹灯して帰り花
 匂ふかと思へば匂ふ帰り花
 時雨るるや和菓子老舗の深き軒
 一切我今皆懺(いっさいがこんかいさんげ帰り花
 小春日を蝶の舞ひつつ絡みつつ
 神の留守鎮もる神苑ただ広し

浩風
洛艸

太美子
洛艸
和江
あや
暁子
あや
義雄
暁子
敏夫
あや
洛艸
和江

元彦
浩風
京子
言成
暁子
敏夫
道子
あや
箕川
洛艸
敏夫
あや
幹三
ゆたか
輝子
香月
暁子
浩風
幹三
幹三

香月
洛艸
瑛三
あや
浩風
敏夫
言成
瑛三
眞知子

井上浩一郎 選

第503回 平成23年11月21(月)

兼題  神の留守・時雨(浩一郎)帰り花・小春(あや)
席題  卓上に 八つ手の花・石蕗の花・白玉椿・山茶花・

 そぞろ寒身辺整理続く日々
 時雨雲ここ奥能登の空重く
◎納棺の締めの一枝帰り花
 帰り花人の記憶を巻き戻す
 一隅に青空覗く峡時雨
 奈良町に憩ふ茶店や片時雨
 帰り花青春の日々密やかに
 小春日や最晩年に得し自由
 一と年の記憶を辿る小春の日
◎お銚子を二本酌む間の時雨かな
◎ふたりして躓く木の根小春かな
 時雨来て蛇の目の似合ふ宿場町
 返り花魑(すだまのごとく壷に凭れる
 時雨傘大路北から開きゆく
 小春日の背中が笑ふかごめ唄
 もどり来し雀さざめく夕時雨
 時雨るるやポケツトにある葛根湯
 砥峰の芒波打ち吾を迎ふ
 空の色薄きにともす返花
 睦じく美男蔓を提げ来られ
 日暮より風荒れて来し神の留守
 天竜川たどる山路の時雨かな
 秋惜しむ孤高の星を見上げけり
 くろがねの把手冷たき箪笥かな
 明日手術の眼で見入る帰り花
◎時雨れつつ時雨れつつ山色を替へ
 奈良町の路地はみ出して花八つ手
 小春日や忘れられたるやうに居る
 北山の時雨見る見る我が里へ
◎小春日やつぎつぎこなす庭仕事
 木星の沈まんとして秋惜しむ
 枝に吊る寒暖計や狩の宿
 国生みの島すつぽりと時雨雲
 中庭の奥を灯して帰り花
◎定めなき人の世思ふ時雨かな 
 迎へられ送られ京の時雨かな
 御籤売るよく笑ふ巫女神の留守

義雄
浩風
京子
太美子
浩風
嵐耕

暁子
言成
暁子
幹三
言成
浩一郎
浩一郎
浩風
輝子
暁子
言成
浩一郎
太美子
輝子
道子
言成
幹三

香月
敏夫
暁子

洛艸
言成
幹三
香月
浩風
箕川
眞知子
眞知子

長山あや 選

 時雨傘大路北から開きゆく
 空の色薄きにともす返り花
 かはるなく棲めば小春のありにけり
 花石蕗の幽かにゆれて風さがす    
 帰り花となりて過ぎゆく刻を止め
 神宮の神馬嘶く神の留守

浩一郎


あや

 

選者吟

アンカー

 熱燗と呼ばうてくぐる縄のれん
 とつとつと語る来し方燗熱し
 この子らの行く末思ふ寒さかな
 木兎や志士脱藩のけもの道
 月食に寒さ忘れし小半時
 木兎の声待ちつつ浅き眠りへと
 禁酒の身熱燗少し飲みうまし
◎身に寒さ感じる限り生きてをり
 木兎の鳴き声に急く足止まる
 毛皮敷くコタンの宿に迎へらる
 木兎鳴きて宿坊らしく更けて来し
 山眠るふるさとや今無人駅
 朝寒し茶粥ふうふう奈良泊り 
◎湯冷めかと思ひし時はもう遅く
◎教室にマントの襟を立つ寒さ
 亡き妻へ柚子湯供へる話など
 寒き路地蝋石画家の奔放さ
 木兎鳴きて故郷に昔戻りけり
 毛皮着て命の余燼包みけり
◎もう毛皮着ることもなき日々となり
 毛皮着て女なにやら獣めく
◎客去りて厨を仕舞ふ夜の寒し
 熱燗に合ふ惣菜の続く日々
 木兎啼くや哀しく人を憶ふ夜は
 気の向かぬパーテイへ行く寒さかな
 退院の夕餉たのしみ燗熱く
 毛皮コート似合ふ阪急神戸線
 づくの鳴く坊の泊りの夢浅し
 寂しきは君のみにあらず燗熱く
◎熱燗や饒舌の人黙る人
 熱燗のすすみ話のすすまずに
◎なつかしき寒さありふるさとの駅
 熱燗にふと口ずさむ寮歌かな
◎うどん食ふ寒さふつ飛ぶ音たてて
 木菟や童話作家に焦れし日
◎熱燗や猫舌八十路の今もなほ
 熱燗やむかし切なきことのあり
 節電と思へど寒さ容赦なく
 木兎の栖家の大樹伐られける

浩一郎
和江
道子
浩風
元彦
太美子
ゆたか
暁子
義雄
敏夫
洛艸
道子
浩風
幹三
言成
あや
和江
洛艸

瑛三
眞知子
香月

浩一郎
あや
嵐耕
暁子
瑛三

箕川
暁子
幹三
瑛三
洛艸
幹三
浩風
浩一郎
瑛三
香月

林 直入 選

第504回 平成23年12月19(月)

兼題  木兎・寒さ(浩一郎) 熱燗・毛皮(あや)
席題  卓上に 万両・枯芙蓉・柚子

 万両もデフレの年でありにけり
 とつとつと語る来し方燗熱し
◎木兎や志士脱藩のけもの道
◎人住まぬ部屋に寒さの住みはじむ
 くぐもりし記憶の底の木菟の声
 木の椅子にみしりと座る寒夜かな
◎身に寒さ感じる限り生きてをり
 枯野ゆくおもちやの様な電車かな
 逝きし人帰らず柚子の季節来る
 夜の空白燗熱うして独りかな
 荒野より広ごる闇の寒さかな
 木菟の声闇のゆらぎと思ふ夜
 山眠るふるさとや今無人駅
 寒さ連れ戻りし家に誰も居ず
 湯冷めかと思ひし時はもう遅く
 熱燗をあふりあふりて己を責め
 熱燗や見えぬ帷は越ゑられず
 木兎や月の欠けゆく夜を鳴きて
◎雪匂ふ風起こりたる里の黙
 木兎鳴きて故郷に昔戻りけり
 毛皮着て命の余燼に包まるる
 マネキンの毛皮に妻の後戻り
◎寒さには負けぬ気構へ新たにす
 木菟の音なく来たる橅の枝
◎荒々と闇動きたる寒さかな
 月缺けて冬の星座の輝けり
 形見なる明治の重さ銀狐
 銀幕のデートリツヒの毛皮かな
 灯を消して寒さ残して去る厨
 屋根を行く猫は毛皮のコート着て
 熱燗のすすみ話のすすまずに
 なつかしき寒さありふるさとの駅
 月蝕に忘るる真夜の寒さかな
◎ただ一度父と熱燗酌みしこと
 みちのくに翁偲びつ枯野行く
 寒き夜は賢治の童話読み返す
 熱燗の胃に落ちじわり身のゆるむ
 思はざるよろこび多し柚子配る
 熱燗を飲めばほどけるほどのうつ
 堂広し奈良の仏も寒からん
 卓袱台と熱燗父の遠い影

直入
和江
浩風
太美子
京子
幹三
暁子
道子

瑛三
浩一郎
眞知子
道子
暁子
幹三
洛艸

瑛三
和江
洛艸

義雄
太美子
言成
浩一郎
箕川
和江
京子
眞知子
言成
暁子
幹三
瑛三
輝子
義雄
輝子
眞知子
箕川
眞知子

京子

長山あや 選

 木兎の聞き耳立てている如し
 毛皮とは甘い男に買はすもの
 耐へ難き寒さ露天湯諦めし
 気の向かぬパーテイへ行く寒さかな
 熱燗に外科医の父の責を解く
 木菟鳴けば淋しだまればなほ淋し

直入


あや

 

選者吟

アンカー

 幽玄の域や滝音聞え初む
 蝉の声開園告ぐる声となる
 生駒嶺を日焼けの子らに明け渡す
 拝殿に迫る岩壁滴れり
◎結界を越え石段を夏の蝶
 生駒へとちと大仰な登山靴
 蝉涼し山に抱かれゐる堂宇
◎涼しさを供ふ水掛地蔵尊
 ケーブルカー木槿咲く庭見下ろして
 樹がくれに堂散らばれる寺涼し
 滝となり落ちゆく水の反りにけり
 雲の峰巨巌におはす露座仏
 下闇のきざはし尽きて奥の院
 龍王の祠にせまる真葛原
 真葛原わけてケーブルカーの行く
 商売の神ます山に蝉もまた
 夏菊や幼なを抱きし地蔵尊
◎人里を眼下にしたる汗拭ふ
 涼しげに弥勒まします般若窟
 果てしなき参道なりし凌霄花
◎苔まとふ地蔵の裾にかたつむり
 岩清水布袋の腹のひんやりと
 仏らに囲まれ座せば風涼し
 滴りに不動の灯消えがちに
 老鶯や木の間木の間に堂ひそと
 香煙の流るる先にほととぎす


敏夫
輝子
暁子
京子
輝子

言成
言成
暁子
幹三


輝子
輝子


言成
言成

言成
敏夫

言成
暁子
輝子

林 直入 後選

第497回 〈吟行句会〉平成23年7月31(日)

吟行地  宝山寺、生駒山上遊園地

 奥の院てふも登山の道半ば
 諸堂よりお茶所最も涼しかり
 夏果つる門前町の寂れゐて

直入

 

選者吟

 秋風や亡き人かぞふ住所録
 滔滔と流れゆく淀小鳥来る
 牧駆ける力強さよ馬肥ゆる
 山羊つなぐ綱の長くて草紅葉
 曲屋に慈しまれし馬肥ゆる
◎豊年を確と信じて祝ぐ手酌
 馬肥ゆる空どこまでも透きし青
 豊年や老農山車の試し曳き
 寂しさは言はず紅葉の色を愛づ
◎有線の正午の憩ひ豊の秋
 馬肥えて洗ひ甲斐ある毛並かな
 行けど行けど加賀どこまでも豊の秋
 名も知らぬ草紅葉にも生死あり
 津波後の明日は初競り鰯雲
 夕餉疾く済ませ良夜に妻誘ふ
 豊年の田の風ずしり重きかな
 津波田に穂波の田あり豊の秋
 仰ぎ見てうつむき見ても紅葉かな
 出稼ぎの夫にテレする豊の秋
 菱採りや乗せてもらへぬ盥舟
 秋草をアレンジされし祝の句座
 紅葉の葉しのばせ友に文送る
 野の色の卓に華やぎ藤袴
◎豊年や一村青き空の下
 五百回はおろそかならず菊に祝ぐ
 高石垣夕映紅葉なだれ落つ
 山籠り三日で里の紅葉づれる
 一本の巨樹に寄りそひ紅葉茶屋
 紅葉を眼下にリフト登りゆく 
 馬肥えて老騏壮心已みがたし
◎日の匂溜めし厩舎に馬肥ゆる
 五百回菊の勲章飾る句座
 検査終へ豊年一等米出荷
 早稲晩稲みつしり重く豊の秋
 遺志つぎて子の守る牧や馬肥ゆる
 風渡る明るき田畑豊の秋
◎草千里風の走りて馬肥ゆる
 豊の秋天災人災乗り越えて
 くすみたる仏に紅葉明りかな
 初紅葉して一景の調へり
 トンネルを出れば里あり豊の秋
◎小鳥来るホテルに新たなる出会ひ
 出来秋に休耕田のぽつねんと
 三代の田圃に集ふ豊の秋
◎村あげて踊り支度や豊の秋
 露天湯に味はふ空気峡紅葉
 煙立つ浅間の牧場馬肥ゆる

道子
あや
太美子
幹三
香月
洛艸
京子
浩風
眞知子
浩風
洛艸
瑛三

元彦

あや
瑛三
茉衣
洛艸
道子
言成
眞知子
廣太郎

あや
敏夫

洛艸
浩風
箕川
輝子
言成
京子
眞知子
瑛三
嵐耕
あや
暁子
ゆたか
香月

太美子
瑛三

洛艸
言成
あや

井上浩一郎 選

小菊・美男蔓

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