ものづくりを通して研究活動を支援しています。大学の研究室では常にオリジナルな発想が生み出されています。それを既存の装置で実践していくには限りがあり、新たなものを作る必要が出てきます。そのアイデアを図面として受け取り、形にすることが私の担当する業務です。私の所属する機械工作グループでは金属加工がメインです。
作業場がキャンパス内にあるので直接相談を受けることができ、きめ細かい対応を可能としています。

研究室が対象ですので多種多様な依頼がやってきます。中でも異色で印象的だったのは人体骨格標本の加工です。研究を説明する展示品として機材を取り付けることが目的で、依頼者とは特に入念に打ち合わせをしました。複雑で柔らかい素材だったために工作機械に据え付けることができず、ハンドドリルやノコギリなどを使って手作業で加工を行いました。普段の金属加工と勝手が違ったので、慎重さと度胸の両方が試されましたが、それまでのノウハウを応用することで無事に完成させました。貴重で面白い体験でした。
また、勤続8年目を迎える現在でも、美しく・早く・正確に製品を完成させることは、技術者冥利につきる快感です。

大学職員として、とは少し外れますが機械工作では、常に刃物や切りくずに囲まれています。肌を保護するため夏でも長袖の着用が義務付けられている一方で、機械への巻込みを防ぐため作業は素手が基本です。一瞬の気の緩みが怪我につながるため、安全管理や体調管理には特に気を遣います。疲れてきた時や慣れてきた時に危険度が増すので、常に気を張るのではなく、要所をおさえたやり方で注意力を保つようにしています。

上司の方々は私の採用当時から師弟の上下関係ではなく、同じ作業員の一人として教育、サポートをしてくださいます。仕事に対する妥協は許されませんが、それ以外では気さくに話しができる穏やかな雰囲気の職場です。ただ、業務中の機械の音はそれなりに大きいです

星を見ることが趣味で、休日には近くの天文台に行ったり、星見スポットまで行ったりします。ものづくり好きが高じて望遠鏡を作ったこともあります。仕事のノウハウが少し役に立ちました(笑)


私の業務に限定すれば多種多様な依頼そのものが大きな魅力です。短時間で済む簡単なものから頭を悩ませる難題までありますが、研究室ならではのユニークさがいつも刺激を与えてくれます。 さらに、大阪大学は多数の学生と教職員を抱える一大コミュニティーです。国内屈指の研究型総合大学として多くの分野へ研究貢献をしていますが、原動力の最少単位は、一人の学生であり教員であり職員です。裏方である職員の貢献度は本当にわずかかもしれませんが、一助を為しているという自負がやりがいを感じさせてくれます。